曜日和   作:リヨ

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13話

「はぁ…どうしたもんか」

「はちくん、大丈夫?」

「大丈夫そうに見えるか…?」

あれから、渡辺とはまともに話せていない。

珍しく俺から話しかけても用事があるからとかで、めちゃくちゃ避けられる。

「私とは普通に話してくれるんだけど…昨日のこと話そうとすると話題変えようとしちゃって…」

勘違いというのは怖いものだな。

「ごめんね、私がはちくんに抱きついたりしたから…」

「いや、誰にでも苦手なものはあるから気にするな。それに渡辺が勘違いしてるだけだしな」

もうこれは帰りに賭けるしかないな。

 

 

 

 

授業も終わり、部活に入っていない俺はいつもならすぐ帰宅直行だが、今日は違う。

校門の前で2時間くらい時間を潰さなければならない。

「たまたま本持ってきてて良かったな…さて…」

 

 

「…あ…ひ、比企谷くん…」

そしてついに目的の人物が現れた。

「よう…渡辺」

「だ、誰か待ってるの?あ、もしかして千歌ちゃん?千歌ちゃん部活入ってないし、何か用事でもあったのかな?」

「お前を待ってたんだよ」

「ど、どうして?何か用事?それなら明日でも…」

「今ここで言いたいんだよ。………前の雨の日のやつだが」

「そ、その話は聞きたくない…な」

「はぁ…だから、勘違いだってば」

「ご、ごまかさなくてもいいよ?おめでたい事だもん。私は全然気にしてなんか…」

その時の感情が蘇ったのか、渡辺の目から涙がこぼれる。

「だからあれは勘違いだ!高海は雷が苦手で、その時鳴ったのが大きくておどろいて、その拍子に俺にもたれかかっただけだ」

「………え?」

「…だからべつに高海とはそういう関係とかじゃない。大体俺じゃ釣り合わないしな」

「…………じゃ、じゃあ私の勘違い?」

「だからそう言ってるだろ」

「……………………ううっ」

「お、おい待てなんでまた泣くんだよ。ほんと待って俺が犯罪者みたいになるから」

「だ、だってぇ…」

「はぁ…ちょっと落ち着け」

俺は渡辺の気を落ち着かせるために、そっと頭を撫でる。

「………………スゥ」

「…あれ?おい、渡辺?」

「…スゥ…」

「え、待って、まさか寝た?この状況で寝たの?」

「…はち…まん…」

普段言わない呼び名を口にするあたり、確実に寝てますねこれは。

「まぁ部活あとだったしな……とりあえずどうしよう」

 

 

 

 

俺は近くの公園まで運び、渡辺をベンチに寝かせる。

そして俺は膝枕。

「これ普通状況逆だよな…」

「んぅ………ひきがや…くん?」

「おぉ、起きたか」

「……っ!?あ、あれ!?私…!?」

「いきなり眠り始めたからビビったわ」

「ご、ごめん……」

「まぁ部活で疲れてたんだろ…とりあえず起き上がってくれ」

「あ…!ご、ごめんね!足借りちゃって!」

「気にするな」

「……」

「……」

「…じゃあ俺帰るな」

「………ちょっと待って!」

「なんだ?」

「確かにあれが勘違いなのは分かったけど…………比企谷くん、千歌ちゃんに抱きつかれた時鼻伸ばしてたよね?」

「…………そんなことは」

「ないとは言わせないよ?」

え、なに急に。あの話は終わったんじゃないの?

というか男なら誰でも喜ぶでしょ。美少女に抱きつかれたら。

「それはちょっとお仕置きが必要かな…!」

「え、まって、落ち着け、な?」

眠って体力回復したのか、渡辺からすごいエネルギーを感じる。

怖い。

「…ヨーソロー…」

その後俺がどうなったかは、言うまでもない。


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