曜日和   作:リヨ

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15話

「お、お待たせ…」

「お、おう…」

本日は性夜…ごほん。聖夜の夜、クリスマス。昨年までなら家に引きこもってリア充爆発共に呪いの念を送っていたところだが、今回は運命の日だ。これでおれの高校生活が決まると言っても過言ではない。

まさか俺が女子とクリスマスにディスティニーランドに来る日が来るとは思いも

「ど、どう…かな?頑張って選んでみたんだけど…」

「うっ……に、似合ってると思うぞ」

おれの地の文を長くして煩悩を消し去る作戦失敗。

メタ発言?知るか。そんなこと言ってられん。

正直直視できないんですけど。いや、露出高いとかそういうことではないが。スカートはめっちゃ短いけど。寒くないのかな。

「あ、ありがとう。…えへへ!」

え、なにこの可愛い生き物。これは戸塚にも劣らないサンシャインだめだ!戸塚と比べるなんて!そうだ、戸塚のこと考えよう。

…あー、癒される。

「じゃあ…いこっ?」ギュッ

「お、おい手…」

「で、デートだし…ダメかな?」

「……まぁデートだしな」

だめだ、戸塚考えても今の状況打破できない。

 

「見て比企谷くん!パンさんあるよ!」

「お前パンさん好きなのか…」

「可愛いじゃん!……あ!これ良いなー!」

「ほ、ほう…」

渡辺が手にしていたのは…戦闘服を着ているパンさんだった。

いや怖いわ。物騒だな。なんか銃持ってるし。

なに、あなたのハートを撃ち抜くぞぉ!とかいうの?

「…それ欲しいのか?」

「んー、でも高いからこっちの小さいのにする」

「…待ってろ」

 

「ほら」

俺は買ってきた商品を渡辺に渡す。

「こ、これ…」

「欲しかったんだろ?」

「で、でもこんな高いもの…」

「安心しろ。今俺の財布は潤ってるからそれぐらい大したことない。

……それにデートだしな。こういうのは男が奢るもんだろ?知らんけど」

最近は割り勘が普通らしいしな。まぁ初デートだしいいだろう。

「…ありがとうっ。大事にするっ」

「…あぁ」

「次どこ行こっか!」

 

 

 

 

俺達はその後も色んなアトラクションに乗ったりした。

柄にもなく今日は良く笑っている気がする。

「えへへ!お揃いだね!」

だが今は帰りたい。理由は俺の頭だ。俺と渡辺の頭には某ネズミキャラクターのカチューシャがある。

ほんとにリア充みたいじゃないですか。恥ずか死ぬ。

「…そろそろか」

まぁしかしこれで帰ってしまっては目的は果たせない。

いよいよ決戦だ。

「渡辺、もうすぐイルミネーション始まるけど見に行くか?」

「そうなのっ?行こ!」

心臓の音が激しくなってる。今から俺は告白するのだ。告白するのなんて中学以来だな。あの時は割とすぐ言えた。

でも今回はそうもいかなそうだ。

きっと今まで本気で人を好きになったことはなかったんだろう。

でも今のこの気持ちは本物であると確信できる。

身体中の震えは止まらないし、手汗もすごいし、心臓もバクバクだ。

「わぁ…!綺麗!」

「……あー、渡辺」

「なにー?」

渡辺はイルミネーションに夢中でこっちも向こうとはしない。

これで言って聞こえなかったとか言われたら死ぬぞ俺。

「………………好きだ」

「うん!私もイルミネーション好きだよ!」

「あーいや、そうじゃなくて…………渡辺のことが好きなんだ」

「そうそう、渡辺のことが………………………へ?」

「だ、だから………嫌でなければ恋人に…なってほしい」

言った。言ってしまった。もう今頭の中は真っ白だ。周りの声も聞こえない。

「……」

俺は静かに相手の答えを待つ。結果がどうであれ、後悔はない。

「……」

しかし、いつまで経っても返事は来ない。まさかの無視?聞こえてないの?

「あー、渡辺?」

「は、はいっ!?」

「うぉ!」

「ど、どどどどうして!?」

「どうしてって………好きになったんだから仕方ないだろ」

というかクリスマスの日にいきなり俺がデートなんかに誘ったら勘づかれてると思ってたんだが…案外渡辺は鈍感なのかもな。

「……ずるいよ」

「は?」

「こ、こんないきなり!心の準備ができてないよ!」

「いや、この状況だったら多少分からないか?」

「分からないよ!…こういう経験ないもん」

「それは俺もないが…まぁ渡辺は鈍感なんだな」

「それ前千歌ちゃんにも言われたけどそういう事だったんだね…」

「……そ、それで、返事聞いてもいいか?」

「…………わ、私も比企谷くんが好き!大好きだよ!」

「お、おう…」

「え、えっとだから…その……ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いします」

「こ、こちらこそ………俺達、付き合うってことでいいんだよな?」

「う、うん」

「そうか。………あ、あとこれ」

俺はポケットから小さい箱を取り出す。

「開けてもいい?」

「あぁ」

「………こ、こここれって、け、け結婚指輪!?」

「ぶっ!?…それはさすがに飛躍しすぎだ。…ピンキーリング?ってやつだ」

「ピンキーリング……もしかして比企谷くんも?」

「あ、あぁ。お揃いがいいって聞いたからな」

「…つけてくれる?」

「あぁ…」

「……わぁ!…似合う?」

「似合ってると思うぞ」

「えへへ!ありがとうっ!今日は今までで1番素敵な日だよ!」

「…俺もだ」

「でも…比企谷くんにばっかりしてもらって悪いな」

「別にそんなことないだろ」

「そうなのっ。………じゃあ……っ」

一瞬、唇に柔らかいものが触れる。

「っ!?……お前」

「えへへ、しちゃった。……さ、さぁ!イルミネーション楽しもう!ね!」

渡辺は今のをなかったことにしようとしてるのか、恥ずかしいのか、

話題を変えようとする。

「……そうだ渡辺」

「なに?…っ!」

俺はお返しと言わんばかりに一瞬唇を重ねる。

「っ…お返しだ」

「う、うぅ…こ、こんなの比企谷くんじゃない…」

「…まぁ、今日くらいは、な」

「……これからよろしくね?」

「…あぁ。こちらこそ」

「えへへ!ヨーソロー!」

今日は俺たちにとって最高の思い出となった。

 

 

 


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