曜日和   作:リヨ

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18話

「〜♪」

「なぁ渡辺さんや」

「どうしたの?」

「………なんでうちのキッチンで料理してるわけ?」

あの濃厚な1日から1週間ほど過ぎた。

朝起きるとキッチンで渡辺が料理してるから驚いたわ。

「そこのテーブルのメモに全部書いてあるよ!」

メモ…?あ、これか。どれどれ…

お兄ちゃんへ☆

小町はお友達の家に遊びに行ってきます!あ、泊まりだから!

でもお兄ちゃんのことも心配だから、曜さんにお兄ちゃんのお世話を頼みました!

二人きりだからってイチャイチャしすぎないようにね!

それでは行ってくるであります(`・ω・´)ゝ

 

…………なにこれ。

「比企谷くん朝ごはんできたよ〜!」

「…え、マジでこれ?」

「うん!頼まれたからにはしっかりやるよ!」

「……いや、渡辺に悪いしいいよ」

「もう来ちゃったし気にしないで!予定もなかったし!…嫌だった?」

「嫌とかじゃなくてだな………はぁ。わかったよ。というかお世話って何するんだよ?」

「んー、ご飯作ったり…洗濯物したり…」

「…俺の下着とかは自分でやるからな?」

「う、うんっ!それくらいわかってるよ!」

「まぁならいいけど…とりあえず食うか」

「召し上がれ!」

「いただきます………っ!…めちゃくちゃ美味い」

「ほんと?良かったぁ!」

「渡辺料理もできるんだな…」

「花嫁修業してるから!」

「ぶっ!…そ、そうか」

誰の花嫁?とか無粋なことは考えないぞ。

「そういえは、どう?このエプロン!新しく買ったんだ!」

「…似合ってるぞ」

「ありがとっ!…あ、裸エプロンとかの方が良かった?」

あー、もうこの顔。からかおうとしてるのが丸わかり。

やり返すか。

「…そうだな。裸エプロンの方が見たい」

「っ!?ご、ゴホッ!な、ななな!」

顔真っ赤ですね。まぁ俺がこんなこと言うなんて有り得ないしな。

「……じょうだ」

「…………」

俺が冗談だと言おうとすると、渡辺はおもむろにエプロンをとり、服を脱ぎ始め…

「お、おい!?」

「は、恥ずかしいけど…比企谷くんが見たいなら…」

「す、ストップ!冗談!冗談だから!」

もう渡辺の下着がチラチラ見えてる。

「…冗談?」

「…渡辺がからかってきたからやり返そうと思っただけだ」

「…バカっ!」

渡辺は拗ねてリビングを出ていってしまった。

「…ちょっとやりすぎたか」

 

「おーい、渡辺さーん」

俺は渡辺の機嫌を直すために俺の部屋まできた。というかなんで俺の部屋にいるんだよ。鍵もかけてあるし。

「…」

返事はない。ただの屍のようだ。

「あー…すまん、やりすぎた」

「…」

返事はない。ただの屍のようだ。

「…出てきてくれないか?」

「…」

返事はない。ただのしかば(ry

「……デートでも行くか?」

「……………行く」

ゆっくりと扉が開き、渡辺の小さな可愛らしい顔だけがちょこんと出てきた。

「…じゃあ用意しろ」

 

 

「…」

「…まだ拗ねてるのか?」

外に出たはいいものの、渡辺はいつものテンションじゃない。

「…たまには映画でも見るか」

「…」

返事はな(ry

「…ん?なぁ、あれ…」

視線の先に迷子らしき女の子がいた。ママー!と叫んでいる。

「あ、おい」

渡辺も気づいたのか、その子の近くまで向かう。

「どうしたの?迷子?」

「うぅっ…ママとはぐれちゃった…」

「大丈夫!お姉ちゃんがママのところに連れてってあげる!」

「…ほんと?」

「うん!ほら!悲しい時はこうするんだよ!ヨーソロー!」

渡辺、それはお前だけだ。

「ヨーソロー…?」

「そう!元気が出るおまじないだよ!ヨーソロー!」

「ヨーソロー…ヨーソロー!えへへ!」

どうやら女の子は元気が出たみたいだ。

「じゃあ、探しに行くか」

 

 

「…」

「ねぇねぇお姉ちゃん!お姉ちゃんはどうしてあそこにいたの?」

「ん?そこのひねくれたお兄ちゃんとデートしてたんだよ」

「デートっ!じゃあ2人は結婚してるの!?」

「け、結婚はちょっと早いかな…」

そこでチラチラこっち見ないで。

というかさっき拗ねてたが、もう直ったのか?

「でもどうやって探そうか?」

「確かそこのショッピングモールに迷子センターあったろ」

「そっか。じゃあそこにいこっか!」

 

 

「それじゃあお願いします」

「はい」

俺たちは迷子センターに行き、迷子の女の子を預けて別れようとするが…

「お姉ちゃんいっちゃうの…?」

「……比企谷くん」

「…別に俺は構わんぞ。子供も好きだし」

「わかった!よし!じゃあお姉ちゃん達とお母さん来るまでお話しよっか!」

「うんっ!」

 

「お姉ちゃんはお兄ちゃんのどこを好きになったのー?」

俺だけ帰ればよかった。何の話が始まるかと思ったら恋愛話。

なんだこの羞恥ぷれい。

「えー?んー、昔と変わらずひねくれてるけど優しいところ…かな?」

「一言余計な気が……ん?昔と変わらず?」

「あはは、やっぱり覚えてないよね。私と比企谷くん、昔会ったことあるんだよ?」

「…え、うそ、まじで?」

「マジマジのマジだよ。あれは…まだ4歳とかだったかな?私旅行でディスティニーランドに行ったんだよ。で、そこで迷子になったの。

周りの人はチラチラ見たりはするけど助けてくれなくて…そこに比企谷くんが現れた」

「全然覚えてないぞ…」

「まぁ小さい頃だし仕方ないよ。…それでね。比企谷くん、どうしたの?って話しかけてくれて…」

 

〜〜〜〜〜

「どうした?」

「ひっく…迷子になっちゃったの…」

「……泣くな。俺がお母さんのところまで連れてってあげるから」

「ううっ…ほんとに?」

「ほんと。…ほら」

「…?」

「手…繋ぐと安心する。…って妹が言ってた」

顔真っ赤にして可愛かったなぁ。比企谷くん。

「…うんっ!」ギュッ

それで比企谷くんはゆっくり手を引っ張ってくれて…

「…名前」

「え?」

「名前なんていうの」

「…わたなべよう」

「わたなべ…よう…覚えた。俺ひきがやはちまん」

「ひきぎゃや?」

「ひきがや」

「ひきぎゃ……はちまん!」

「…まぁそれでもいいけど」

「はちまんも迷子なの?」

「俺そんなにドジじゃない」

「私がドジみたいじゃん!」

「…俺も母さんとか妹とかと来たけど…向こうが迷子になった」

「…はちまんじゃなくて?」

「…俺じゃない」

その時は信じたけど、今思えば比企谷くんも絶対迷子になってたよね。

「はちまんはどこに住んでるの?」

「ここから結構ちかいとおもう。わたなべは?」

「ようって呼んで!」

「…ようは?」

「私ねうちうらってところ!」

「うちうら?聞いたことない」

「んー、あのね!海があって!緑もいっぱいあるの!」

「へぇ〜。じゃあこことは真逆だな」

「そうだ!こんどあそびにきてよ!」

「んー、暇だったらいいよ」

「約束ね!」

「…約束」

〜〜〜〜〜〜

 

 

「ってことがあったの」

「お兄ちゃん優しいね!」

「…俺そんなことしたかな」

「照れてる〜」

「照れてないから。頬をつつくな頬を」

「ふたりとも仲良し!私もね!とっても仲のいい男の子いるの!」

「そうなの?」

「うん!将来結婚するの!」

「…ふふっ、そっか。良かったね」

「うんっ!えへへ!」

「まな!」

そこへ親御さんらしき人が現れた。

「あ!ママ〜!!」

「心配かけて…!ありがとうございました。この子の面倒見てくださって…」

「いえいえ!楽しかったから気にしないでください!」

「お姉ちゃんお兄ちゃんまたねー!」

「ヨーソロー!」

俺も手だけ振り返す。

「…あ、もう外も夕方だね」

「…どうする?」

「ご飯とかもあるし帰ろっか」

「いいのか?」

「うん。ほら帰ろっ?」

…まぁなんか機嫌も直ったっぽいしいいか。

 

 

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