曜日和   作:リヨ

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20話

結局眠れませんでした。無理に決まってるだろ。俺にそんな耐性はない。こいつはこいつで気持ちよさそうに爆睡しやがって…

「んっ…?…比企谷くん…おはよぉ」

「…おはよ」

「…ふわぁぁ……」

「よく眠れたか?」

「うん…」

まだ渡辺さんは寝ぼけていらっしゃるようだ。

「ほら、朝飯食べようぜ」

「はーい…」

 

 

「まさか…比企谷くんがこんなに料理上手なんて…!」

「ふっ、俺は伊達に専業主夫目指してないんでな」

「……」

「無言で冷たい目をしながら俺を見るな。なんか傷つく」

「だって専業主夫って…」

「……とりあえず今日どうする?夜には小町帰ってくるらしいが」

「んー、せっかくだし小町ちゃん帰ってくるまで一緒に居てもいい?」

「まぁ別に構わんぞ」

「えへへ、やった。そうだ!どこか出かけようよ!」

「昨日出掛けたからいいだろ」

「そんなこと関係ないのっ!ほらほら!早く用意して!」

「しかもこんな朝っぱらから行くのかよ」

今日は家でゆっくり過ごそうと思ってたんだが…

まぁいいか。こいつが楽しそうにしてるなら。

だが、俺はここで渡辺を止めるべきだった。まさかあんなことになるとは思いもしなかった…

 

 

 

 

 

 

 

「出発進行!ヨーソロー!」

「で、どこ行くんだ?」

「水族館とか!」

「あー、まぁいいんじゃないか?定番っぽくて。俺まだ行ったことないしあそこ」

「でしょ!ほら!早く行こっ!」

「そんな走ると危ないぞ」

「大丈夫大丈夫っ……!?」

この地域はお世辞にも人口が多いとは言えない。だからその分事故も少ない。きっと俺達も油断していた。

渡辺が横断歩道をはしゃぎながら渡っていると、いきなり車が信号無視して突っ込んでくる。

「っ!渡辺っ!!!」

俺は全力で駆け出す。間に合え…間に合えっ!!俺はどうなってもいいから…!!

「ひ、ひきがやく……」

「渡辺っ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ…!!なんでこうなった…!」

俺の願いは届かず、渡辺は車に突き飛ばされてしまった。

今は病院。検査を受けている。

事故のあと、突き飛ばした張本人とあった時、俺はブチ切れて相手に暴力を振るいそうになった。警察の人に止められてなかったらどうなっていたことか。

「はちくん!!!!」

「高海…」

「曜ちゃんは!?曜ちゃんは無事なの!?」

「今検査受けてるところだ」

「曜ちゃん…!ぶ、無事だよね?」

「そうであることを願うしかない…」

丁度高海が到着した時、検査が終わったのか医師が出てきた。

「先生!」

「……とりあえず命に別状はありません。骨折は少しありますが1ヶ月もあれば充分でしょう」

「よ、良かった…!!」

「ただ……少し頭の方に強い衝撃を受けているようで…後遺症かなにかが残るかも知れません」

「後遺症…?」

「目を覚ましてからでないとまだわかりませんが…とりあえず今は、彼女のそばにいて上げてください」

 

 

 

「……」

俺は自分が許せない。なぜあの時助けられなかった…!

ひたすらそのことだけが許せなかった。俺が代わりになってれば…!

「は、はちくん、後遺症って言っても大したことないよね?」

「…わからん。何も無いことを祈るだけだ。……俺ちょっと飲み物買ってくるわ」

 

 

「くそっ…」

「あ!比企谷くん!」

「…松浦」

「曜は!?無事!?」

「とりあえず命に別状はない。今から戻るところだからついてきてくれ」

 

「高海、もどっ……!目覚ましたのか!」

「あ!はちくん!果南ちゃんも!うん!今丁度…」

「曜…!良かった無事で!」

「曜ちゃーん!!良かったよぉぉ!」

「え…?え…?………………………………あ、あなた達誰ですか?」

「………え?」

 

 

 

続く


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