曜日和   作:リヨ

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34話

あの後なんとか話を強制的に終わらせ、修羅場をくぐり抜けた。

そして学校も終わり、今日はどうやら歌詞作りをするそうなので俺も同行することになった。

ちなみに場所は高海の家。

家にやってきたのはいいのだが…

「…おい桜内、いつまで俺の背中に隠れてるんだ」

「だ、だって…!あ、あれなんとかしてよ!」

高海と曜は家へ入っていってしまった。一方俺達は、桜内が原因で家に入れずにいる。

どうやら桜内は犬が苦手なようだ。

「寝てるっぽいし大丈夫だ。行くぞ」

「ほ、ほんとに?ほんとのほんとよね?」

「ほんとほんと」

「ワンっ!」

期待も虚しく、桜内が目の前を通る瞬間、犬が吠えてしまった。

「ひぃぃぃいい!」

「え、おい首引っ張るな苦し…!」

 

 

 

 

 

「大丈夫?八幡」

「死ぬかと思った…」

桜内に首を引きずり回されて一瞬天国が見えた気がする。

「ご、ごめんなさい…あはは」

「じゃあさっそく歌詞考えよーう!」

「俺はダメージを受けたから寝」

「ないよね?」

「…はい」

くそ、そのまま終わる頃まで寝てようかと思ったのに。

曜さん、そんな怖い目で見ないで。

「どんな感じがいいんだろう?」

「まずは方向性は決めないとな。ロック系とか和風とか、恋愛ソングとか」

「んー、恋愛かぁ…曜ちゃん!」

「わ、私?」

「だって曜ちゃんが1番恋愛に近いじゃん!」

「んー…まぁそうだね」

おい、こっちを見るな。一緒に考えなきゃいけなくなるだろ。

それで絶対恥ずかしいこと言わされて恥かくだけだ。目に見えてる。

「あれだ。お前らのデビュー曲なんだしどっちかって言ったら今の気持ちを表現した方がいいんじゃないか?」

「というと?」

「スクールアイドルへの気持ちとかだよ」

「おー!なるほど!さすがはちくん!」

「もっと褒めろ」

「スゴイスゴーイ」

なんか高海に棒読みで言われると腹立つな。

「ということで、俺はスクールアイドルへの気持ちとかは分からんから参考にならんな。よし帰」

「っちゃだめだよ?」

「痛い痛い腕痛いから曜さん」

 

 

歌詞も無事完成し、俺と曜は高海家を後にした。

「八幡かえろうとしすぎ」

そう、俺はあのあと5回ほど逃亡を試みたが無駄だった。

「お前な、女子3人と男子ひとりだぞ?精神が持たんわ」

「みんなが一生懸命考えてる時に1人で興奮してたんだー」

「待って違うから。俺を変態扱いしないで」

「…上手くいくかな?ライブ」

「…できることをするしかない。たとえどんな結果になってもだ。後悔はない方がいい」

「…うん、そうだよね。よーし!頑張るぞー!ヨーソロー!」

「その調子だ」

「ほら八幡も!」

「は?」

「ほら早く!」

「…ヨーソロー」

「…ぷっ、あはは!」

もうやだ。この子。

 


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