「曜ちゃん頑張れー!」
今日は曜の水泳の大会の応援に千歌と共に来ている。
観客も中々の数だ。
「ほらはちくんも応援して!」
「……頑張れ」
「声が小さいよ!?もっと大きな声で」
「始まる前に言ったしいいだろ」
普段声出さないから妙に恥ずかしいし。
それよりも俺はあることを考えていた。それは、曜と大会が始まる前に話していたこと……
「八幡!もし大会で優勝したらご褒美欲しい!」
「ご褒美?高いものとかは無理だぞ」
「物じゃなくていいよ。んー……今は思いつかないや!八幡が考えておいて!」
「……まぁ分かった。考えとく」
「うんっ!それじゃあ行ってくるね!」
「おう…無理しない程度に頑張れ」
「ヨーソロー!」
「と言っても特に思いつかないんだけどな……」
「はちくん始まったよ!」
曜の本来得意なのは飛び込みだが、今回は泳ぎの大会だ。
それにしても曜は速い。どんどんライバルを追い抜いていく。
「あ!曜ちゃん1位だ!やったぁ!」
「八幡〜!千歌ちゃんー!」
曜がこちらに向かって手を振る。俺達もそれに呼応するように手を振り返す。
「やったねはちくん!」
「おう」
「いやぁ、すごかったよ曜ちゃん!」
「えへへ、ありがと!」
曜と千歌が楽しく話しているのを後ろからついていく。
「それじゃあまたね!曜ちゃん、はちくん!」
「またね!」
「おう」
先に千歌と別れ、再び俺と曜は歩き出す。
「ご褒美、考えてくれた?」
「考えたけど思いつかなかった。なにかして欲しいこととかないのか?」
「して欲しいことか〜……そうだ!」
「ちゃんと捕まれよ?」
「うんっ!」
「……あんまり抱きつかれても恥ずかしいんだが」
「落ちないためだよ!仕方ない仕方ない!」
曜の思いついたご褒美、それは俺と二人乗りをすることだった。
「この前小町ちゃんと二人乗りしてるの見て羨ましいなぁと思って!」
「こんなの別にご褒美じゃなくてもやるぞ?」
「いいの!なんか特別感あるし!」
「曜がいいならいいが……じゃあ走るぞ」
「うん!」
バランスを崩さないようにゆっくりと走り出す。
「風気持ちいいね!」
「そうだな」
「もうちょっとはやくして!」
「帰宅部にそんなこと要求するなよ……」
そう言いつつも力いっぱい漕ぐ。多少はスピードも上がっているだろう。
「八幡〜!」
「なんだー?」
「好き〜!!」
「……なんだってー?」
「大好き〜!!」
「聞こえなーい」
聞こえてるが恥ずかしくて思わず聞こえないふりをする。
大きな声で言うんじゃありません。
「八幡は〜?」
「……好きだぞ」
「聞こえなーい!」
「……好きだ!」
「えへへ〜!」
俺の返答に満足したのかさらに抱きつく力が強くなる。
俺達も随分立派なバカップルになったな。
でもそんな生活も悪くない。