「ねぇ八幡」
「ん?」
「明日どうする?」
「明日?……なんかあったか?」
「……」
「怖い怖い、無言で睨みつけるな……毎年やる必要あるか?」
「あるよ!」
「ほら、逆にありがたみが無くならないか?」
「無くならない!」
明日は曜との交際記念日だ。毎年どこかに出かけたりしている。
あれだよな、クリスマスだからリア充共がいちゃいちゃしててうざい。
(……やっぱり毎年同じことばかりだと八幡も慣れてきちゃってるのかな。一緒にお出かけは嬉しいけど……)
「ま、とりあえず店探しとくわ」
「う、うん」
「……ちょっと俺出かけてくる」
「どこ行くの?」
「あー……ちょっとな」
「ちょっとって?」
「お、お花を摘みに?」
「それ男の人が言うセリフじゃないし」
「と、とにかく行ってくる。少ししたら帰ってくる」
「あっ、ちょ」
ふぅ……さすがに行き場所は言えんな。言ったら台無しだ。
「……すみません、この前頼んだ……」
「おい起きろ」
「んー……」
「寝ぼけて抱きつくな」
「八幡抱き心地いいもん……」
「お前の抱き枕になった覚えはない」
「いたっ!……もうっ……おはよう」
「おはようさん。……曜、今日なんの日だ?」
「昨日言ったじゃん……8周年でしょ?あとクリスマス……」
曜はまだ眠たそうに目を擦りながら答える。
「違うな」
「……え?何かほかにあったっけ?何かの発売日とか?」
「……0周年」
「え?」
俺はポケットから昨日受け取ってきた指輪を取り出す。
「……頼りないし目も腐ってるし甲斐性もないが……俺でもいいか?」
「……へ?へ?」
曜はまだ理解が追いつかない様子だ。結構恥ずかしいから早くしてくれませんかね心臓ばくばく。
「……つ、つまり?」
「……結婚してくれ」
「……」
「お、おい曜?」
「ばかーっ!!」
「うおっ!?な、なんだよ?」
「い、いきなりだよ!いきなりすぎだよ!ムードもへったくれもないよ!起きていきなりなんて!」
「いやむしろムードいい時なんて緊張しすぎてプロポーズできん。……返事聞いてもいいか?」
「……わ、私でいいの?」
「いや今更だろ」
「だ、だって!可愛げないし嫉妬ばかりするし、あとあと……」
「俺はお前しかいない」
「うぅ……も、もうほんとに離れなくなるよ私。ずっと一緒なんだよ?」
「離す気ないから安心しろ」
「……ふ、不束者ですがよろしくお願いします」
「おう」
「……ね、ぎゅーってしていい?」
「いやもうしてるじゃねぇか」
「うん……八幡」
「なんだよ」
「……好き」
「おう」
「大好き」
「おう」
「愛してる」
「お、おう」
「……八幡も言ってよ」
「恥ずかしいわ」
「夜は言ってくれるのに……」
「生々しいなおい」
「……よしっ!私用意するね!今日はどこ行こっか!?」
「急にテンション高くなったな……まぁ適当に回ろうぜ」
「そうだね。のんびりの方が私たちらしいかも」
「……あ、あと曜、正月実家集まりいくか?」
「行く!小町ちゃんにも会いたいし!」
「わかった伝えとく。あと俺も愛してるぞ」
「……あれ?八幡今なんて言った?ねぇ!」
「さぁな」
「ねぇってばー!」