曜日和   作:リヨ

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今年ラスト投稿


46話

 

曜の地獄の説教も終わり、さっそく海の家の手伝いを開始する。

皆それぞれ自分の担当につき、働く。俺?俺はほら……

 

「八幡さん、何帰ろうとしてますの」

「いやほら、俺することなくね?」

「八幡さんには曜さんと同じく料理担当ですわ」

「俺料理は得意じゃ」

「曜さんから妹さんと交互でご飯を作っていると聞きましたが」

 

あいつのお墨付きかよ……これは逃げ場がない。

 

「わかったよ……」

「わかればよろしいですわ。さっさと終わらせて練習ですわ!」

 

 

 

「見てはちまん!マリー特製シャイ煮よ!」

「いやなんだこのおぞましい料理は……何入ってんだよ」

「色々よ色々♪ちなみにお値段は10万円!」

「たけぇよ。どこの高級料理だ。誰が買うんだよ」

「いいからほらひと口食べてみて?」

「……ん、う、美味い」

「でしょ!」

「この見た目でこの味が出せるとはある意味天才だな」

「それほどでもあるわね〜!」

 

認めちゃうのかよ。まぁとりあえず値段は考えるとして味が問題なければ売れるかも。曜は普通に美味そうな焼きそばを作っている。

さて……

 

「おいヨハネ、お前何作ってる」

「だから善子!……ってあってた!……ふふふ、刮目しなさい!堕天使の涙!」

「……鞠莉、こいつをここから出せ」

「なんでよ〜!食べてみなさいよ!食べてみないとわからないでしょ!」

 

ふむ、一理ある。実際鞠莉のは美味しかったわけだし。

 

「じゃあひと口…………つっっっっつつつつ!!?!?」

 

声にならないほどの味が舌に襲いかかる。

甘さ、苦さ、辛さ、色々なものが凝縮されて恐ろしい味だ。

色々ないろを混ぜて黒を作ったあの感じ。とりあえず死にそう。

 

「は、はちまん!?曜〜!ヘルプミー!」

「どうしたの鞠莉ちゃん?八幡!?大丈夫!?」

「ふふふっ、どうやらこの堕天使の涙の魅力に取り憑かれてしまったようね」

「鞠莉ちゃん、八幡を運んで!善子ちゃんちょっと」

「え?よ、曜?か、顔が怖いわよ?ちょ、ちょっと誰かぁ!」

 

なんか周りがうるさいが……あ、ダメだ意識が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……ここは」

 

目を覚ますと辺りは真っ暗。部屋にいるのは分かったがなにやら腕に柔らかい感触が。

 

「いやなんでこいつら引っ付いてんの」

 

曜と鞠莉が両腕に抱きついていた。とりあえずゆっくりと離れる。

 

「かなり気を失ってたな……」

 

目も完全に覚めて今から寝る気にはなれないな。外でも出るか。

 

 

「寒っ……ん?」

 

海岸へ向かうと人影が2つ。

 

「何してんだ?」

「あっ、はちくん起きたんだ」

「大丈夫?色々あったみたいだけど」

「まぁ俺はほぼ気を失ってただけだからな……お前らこんな遅くに何かあったのか?」

「えっとね」

 

千歌から話の事情を聞く。

ラブライブの予選と梨子のピアノコンクールの時期が重なっておりどちらを選ぶべきかという話らしい。梨子はピアノコンクールに出るつもりは無かったらしいが……

 

「私はね、出て欲しいんだ。梨子ちゃんにとってピアノはとっても大切なものだと思うから」

「……」

 

梨子のピアノに対する想い。それは俺も少しくらいならわかる。

時々音楽室で弾いてるところも見たし。なによりピアノを弾いてる時の梨子は楽しそうだった。

 

「私ね思うんだ。また前向きに取り組めたらきっとそれは素晴らしい事なんだって」

「千歌ちゃん……」

「だから出て欲しい。ピアノコンクールに」

「……ほんとに、変な人っ」

「わわっ、梨子ちゃん」

「……出るよ、コンクール」

「っ!うん!私、待ってるから!」

 

今の梨子の目には確かな決意が宿っていた。どうやら決心したようだ。

 

 

……俺今回ほぼ何もしてなくね?

 


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