曜日和   作:リヨ

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映画のネタバレ含むのでまだ見てないという方は見ない方がいいです。
かといって別にイタリア行く訳ではありません。


映画特別編 誰なんだ!?

 

 

 

「はちくん緊急事態だよ!」

「どした」

「よ、よよよ曜ちゃんが知らない人と歩いてる!」

「……友達じゃないのか?」

「男の子なんだよ!」

「な……んだと」

 

 

 

 

というわけで千歌に言われた場所にやって参りました。目の前には曜と見知らぬ男が1人。

……っていうかなんでほかのメンバーも集まってんのこれ。

 

「ね?」

「いや、あれだろ、親戚だろ」

「いとこ、とか?」

「いとこって結婚できるって聞いたわよ?」

「……」

「よ、よしこちゃん!はちくん気絶してるよ!」

「わ、私のせい!?」

「でも誰なんだろう?」

「弟ずらか?」

「うーん、弟いるなんて聞いたことないけど」

「これはあとをつける必要があるな」

「あ、はちくん復活した」

 

曜に限ってそんなこと……

 

「八幡くん、汗すごいわよ?」

「ハハハ何言ってるんだ梨子。気の所為だ」

「目もすごく泳いでるわよ」

「天に帰れヨハネ」

「なんか私だけ扱い雑じゃない!?」

 

結局正体もわからないので引き続き尾行を開始する。

 

「2人とも楽しそうだね」

「ねぇ八幡くん、これを機に私の方に乗り換えるって言うのは」

「梨子ちゃん静かに」

「はい」

「やばっ!曜が振り向くわ!」

「みんな隠れて!ほらはちくんも!」

「お、おい」

 

……一言言っていいか。何だこの隠れ方は。ルビィや花丸はその辺の物陰に隠れてるだけだが、俺の体勢がとりあえずきつい。ヨハネが上に乗ってるせいで余計に。

 

「おいヨハネ重い」

「なっ!お、重くないわよ!ばか!」

「いって!抓るな!ばれる!」

「2人とも静かに!」

 

「……??」

 

 

 

 

 

「はぁ……結局誰かわからなかったね」

「こうなったら直接聞いてみるずらか?」

「それでもしよからぬ答えが返ってきたらどうするのよ」

「……俺には小町がいるし」

「はちくんダメだよ!現実から目を背けちゃ!大丈夫曜ちゃんがそんなことするわけないよ!」

「そ、そうだよな」

「信じよう!」

「おう」

 

 

 

 

 

 

「新年会?」

「そう!お母さん達がね、八幡も連れてきたらって」

 

あの日から数日、結局分からずじまいのまま年末が迫っていた。

そんなある日、曜から電話が掛かってきた。なんの用かと思えば突然そんなことを言われた。

曜の家族や親戚が集まる中俺一人って……

 

「いや部外者の俺が言っても仕方ないだろ」

「えー?……でも八幡は恋人だし部外者じゃないでしょ?」

「……結婚してるわけでもないしやっぱり」

「じゃあ……する?」

「な、何言ってんだまだ俺たち高校生だぞ」

「高校生じゃなかったらいいの?」

「……その、なんだ、まぁ……あれだよ」

「ごまかした」

「とにかく俺はいい」

「……私は八幡と新しい年を迎えたいな」

「……はぁ、ほんとにいいのか?」

「!来てくれるの?」

「まぁ……いいぞ」

「やった!ありがと!みんなにも伝えておくね!」

 

曜は喜んでるようだが、俺は不安でしかない。前のあの日のこともあるし。

そんな不安も無くなる訳もなく、当日を迎えた。

 

 

「あけましておめでよーそろー!」

「「よーそろー!!」」

 

え、なに、ヨーソローって渡辺家では公認の挨拶なの?

 

 

「君が八幡くんだね?」

「は、はいどうも……って」

「ん?」

 

渡辺家が盛り上がる中俺は隅の方で大人しくしていると、誰かに話しかけられた。そんなことより驚きなのはその話しかけてきた人物。

先日曜と一緒に歩いていた男だ。

 

「ぼくは渡辺月。よろしくね」

「お、おう……よろしく」

「……どうしたの?僕の顔じっと見て」

「いや……曜とはどういう」

「いとこ同士なんだ。学校も一緒になるかと思ってたんだけど千歌ちゃんっていうお友達の所に行っちゃって」

「そ、そうか」

「あれ、月ちゃんもう話してたの?」

「あ、曜ちゃん。曜ちゃんの初めての恋人だしどんな人かと思って」

「八幡はひねくれてるけど優しいんだよ!」

「……あはは!そうなんだ!」

「……余計なこと言うなよ」

「だって本当のことだもん!私はそんな八幡が大好きだからね!」

「アツアツだねぇ」

「月ちゃんは彼氏とかいないの?」

「ぼく?いないいない。生徒会長の仕事もあるしね」

「……ちょっと待て、彼氏?」

「うん?」

 

ということはこいつは所謂同性愛者なのか。それなら変な心配はいらないが……

 

「……一応言っておくけど一人称ぼくだけど女だからね?」

「……まじで?」

「まじで」

「……はぁぁぁぁぁあ」

 

あのバカ千歌の勘違いだったのか。なんか疲れた。

 

「どうしたの?」

「あー、いや、まぁなんでもない」

「……何か隠してるでしょ」

「もう解決した」

「なら言って」

「……」

 

 

 

 

「ぷっ!あはは!そういうこと!」

「もう……私が八幡以外の男の人と歩くわけないじゃん」

「いや、千歌のやつがそう言うから」

「まぁ良かったじゃん、何も無くて」

「それはまぁ……」

「愛されてるね、曜は」

「そ、そうかな?えへへ」

「八幡くん、曜のこと泣かせちゃダメだよ?」

「……それは無理だな」

「なんで?」

「嬉しい時に泣くかもしれないだろ」

「……ふふっ、そうだね。悲しませちゃダメだよ!」

「それなら約束する」

「もう、月ちゃん親みたい」

「生徒会長だからある意味親みたいじゃない?」

「学校違うじゃん!」

「まぁまぁ細かいことは気にしない!それより2人とも、ご馳走無くなっちゃうよ!」

「そうだった!ほら八幡食べよ!」

「おう」

「あ、言い忘れてた」

「なんだ?」

「耳貸してっ」

「……なんだよ」

「……私も愛してるよ」

「っ!ごほっ!」

「さー!いっぱい食べるぞー!」

 

ったく……曜といると心臓に悪いな。

まぁでも……こういう賑やかなのもいいかもな。


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