「お兄ちゃんおかえりー」
「おう。悪いけどこの後また出かけるから」
「そうなの?どこ行くの?こんな時間から」
「…祭り」
「あーそういえばあったね。…ん?………お兄ちゃん、今、祭りって言った?」
「あぁ」
「だ、誰と行くの!?まさか1人じゃないよね!?」
「…友達だよ」
「お兄ちゃんに友達なんているわけないでしょ!もしかして女の子と!?」
「……まぁ一応そうだが」
「ひゃっほーう!お兄ちゃんにも春が訪れたー!」
「今は夏だぞ小町」
「お兄ちゃん!これはチャンスだよ!告白だよ!」
「待てなんで俺が恋心を抱いてる前提なの?」
「え?違うの?」
「なわけないだろ。ただのクラスメートだ」
「ふーん…?誘ったのどっち?」
「俺が誘うと思うか?」
「ふむふむなるほど……お兄ちゃんもやる時はやるね!」
「俺は前からやる時はやる男だぞ」
「まぁ普段がやる気無さすぎだからねー」
「もしかしてその格好で行くの?ダメだよ!小町がこーでねーとしてあげる!」
「それを言うならコーディネートな」
「比企谷くーん!はぁっ、はぁっ…ふぅ。ごめんね、待った?」
「別に対して待ってないから気にするな」
渡辺は普段と違い、後ろで髪を結んでいる。格好も青の浴衣だ。
「…これ、どうかな?今日のために選んだんだけど…」
「……可愛いと思うぞ」
「っ!そっか!えへへ!ありがとう!行こっか!」
「お、おい、なんで手つなぐの」
「えー?だめ?じゃあ腕!」
「やめなさい」
「ぶー…もうっ、早く行こっ」
「なんで不機嫌になるんだ…」
「比企谷くんがヘタレだからだよ!」
「今頃知ったのか」
「えぇー…まさかそんな反応されるとは思わなかったよ」
「ほら、早く行くぞ」
「あ、待ってよ!」
「りんご飴美味しいー!」
「花火は見るのか?」
「もちろんだよ!でも場所空いてるかな?」
「さぁな…」
俺達はどこか空いてる場所を探したが、どこにも見当たらなかった。
「そこのボーイ&ガール!」
そこに突如現れた金髪美少女。俺たちと同じくらいの年っぽい。
「な、なんですか?」
「もしかして花火見る場所探してるのかしら?」
「えぇ、まあ」
「じゃあ私の取っておきの場所を教えてあげるわ!カモン!」
「…どうする?」
「行ってみよ。もしかしたら穴場の場所かも」
「わぁ!ここなら綺麗に見れそう!」
「でしょ?」
「どうして俺たちに?」
「そうね…懐かしかったから、かしら!」
「懐かしかった?どこかで会ったことありました?」
「あったかもしれないしなかったかもしれないわね♪」
「どっちですか…」
「今はそんなことより、デートを楽しみなさい!チャオ〜!」
「デートじゃありません…っていない」
「比企谷くんもこっちきてごらんよ!すごい景色!」
「はいはい。……おぉ、結構すごいな」
「ね!あの人に感謝しなきゃ!」
そして、少し待つと花火が打ち上がり始めた。
「わぁー!すごい綺麗!」
「写真撮るか」
「…ねぇ、比企谷くん」
「なんだ?」
「来年もこうして、私達は一緒にいるかな?」
「唐突だな。そんなのクラス変われば分からんだろ。まぁ二クラスしかないが」
「…来年もまた夏祭り行きたいね。2人で」
「………まぁ、行けたらな」
「うん。次は比企谷くんから誘ってよ!」
「えー…」
「あからさまに嫌な顔したね……待ってるからね!」
「……善処する」
「比企谷くん!」
「今度はなんだ?」
「ヨーソロー!」
「…」
「…」
これはやり返せということだろうか。
…まぁ人いないしいいか。
「…ヨーソロー」
「…ぷっ!あはは!比企谷くん似合わないね!」
「…もうおうち帰る」
せっかく勇気だしてやったのに。
「ご、ごめんごめん!…私、決めた!」
「なにを?」
「比企谷くんを倒します!」
「え、何怖い」
「覚悟しててね!」
「……よく分からんが、御手柔らかに頼む」
「ヨーソロー!」