どうしてこうなった。
男の禿げて眩しい程に輝いた後頭部を見ながら現実逃避をしてしまう。
「本当に申し訳ございませんでしたっ!」
「…とりあえず説明プリーズ。」
「わ、わたくしの…通販で新調したカツラを不注意で下界に落としてしまい、それが貴女に直撃してお亡くなりになりました。」
日本の女子大生、空から降ってきたカツラで死亡。
そんな記事が全国紙に乗るかと思うと死んでいるのにもう一度死にたくなる。
「色々つっこみ入れたいけれど…ハゲジジイはなんなの?タダの全裸の変態?」
「いえ、神です。」
「…ふざけんのも大概にしろよこのクソアマ。
こちとらNARUTOを1巻から最終巻まで不眠不休で再読破しようとしてたんだ。
47巻までしか読めなかったことでイライラしてんだぞ、アンタのせいで。神が露出狂であってたまるか。
私の神様像返せっ!」
「神(仮)です、本当に…それに、天界の決まりで服を着てはならないのです。
断じて私の趣味ではなく、上司の趣味です。
あ、そうだ。お詫びにそのNARUTOの並行世界に転生者として送りこみましょう。」
「上司ェ…。それに、あんなに死亡フラグ沢山の所に軽く送られても…」
「いえ、いくらでも特典を付けます。
母は白眼、父は写輪眼。両方の瞳術を使えるように致します。駆け落ちになるため、木の葉からは離れてしまいますが…。
永遠の万華鏡写輪眼を最初からお付けいたします。」
「あ、ついでに4代目水影の洗脳事件を無くすことって出来ない?
可愛い男の娘にあんな目に合わすのはちょっと…。あと、右目は天照で左目は神威がいい。それから、白眼との同時使用も可能に。
経験値も100倍にして?
…ついでに巨乳にして。」
「あ、はい。
その…たいへん言いづらいのですが、やぐらさんを助けると、バタフライエフェクト的なものが発生して、貴女の両親が亡くなってしまいます。」
「…どういう事?」
「やぐらさんが幻術に掛からない場合、良政を敷いた為に霧隠れでは血継限界への風当たりは弱まります。
そして、霧隠れの忍びの中に血継限界を力づくでも奪いに行きたいと思う人間が現れ、それが…」
「私?」
「はい。…どちらが宜しいでしょうか。
ただ、やぐらさんが霧隠れの忍の始末に来ますが。」
「やぐらさんが幻術に掛からない方で。」
男の娘は偉大である。
時として、男の娘は世界を360度変えることもある。
…あれ?
「かしこまりました。…では、行ってらっしゃいませ。」
--------------------------------------------------
「ふ、ふぇえええん…」
お腹空いた…その意思表示に泣き声を上げる。
転生して1週間。
母の目が白眼なのは慣れた。両親共に超美形なのも慣れた。
だが、赤ちゃんらしく泣くことと、羞恥プレイに慣れる事は慣れないし慣れたくもない。
「はいはい、ミルクをどうぞ…。」
優しい母が差し出した乳房を口に含み、あまり美味しくもない母乳を飲む。
(あんま味が好きじゃ無いけど…選り好み出来る立場でもないし、母乳を飲まないと健康に慣れないって言うしね。)
飲み終わってゲップをすると、満腹で眠気が出てきた。
私は素直に眠気に身を任せ、意識を手放した。