写輪眼を発動し、神威空間へと向かう。
両親にも、人柱力となるための封印術の準備をお願いして万全の準備をした。
「<神威!>」
『小娘…!ここはどこだ!?俺様は自由に空を飛んでたはずだぞ?さっさと出しやがれ!』
神威空間へ入ると、七尾・重明がイラついたように話しかけてきた。
「神威空間のなかだよ。それと、私は小娘じゃなくてうちはハルカ。貴方の名前は?」
『…は?なんでお前に俺様が名乗らねばならんのだ。』
唐突な自己紹介に毒気が抜かれ、落ち着いて喋り始めた七尾。
「だって、あくまで七尾ってのは見た目の特徴でしょう?人間は相手を認識するのに名前を呼ぶ。
貴方にも…人間が勝手に…しかも適当に付けた名ではなく、本当の名前があるんじゃないの?
私、貴方と友達になりたいの。友達の名前を知るのは大事よ?」
『…
おめぇ、変わってんのな。尾獣である俺様と友達とか…普通はビビって人柱力でも近づいてきた人間はいねぇ。』
「そう?普通だと思うけれど…でも、とてもいい名前だと思うわ、重明。
そういえば、滝隠れとか言っていたけれど、どうしてここまで来てたの?」
『滝隠れの奴らがマヌケにも封印術の書き換えを失敗したからな。
緩くなっていた所を逃げ出したんだよ。
こうして晴れて自由の身になれたから外を出歩いただけだ。』
「そう…重明は、人柱力に封印されていたの?」
『んや、でっけぇ巻物だ。どうせなら、人柱力の方がマシだったかもな。
人間にこき使われる事になるのは、どちらでも対して変わんねぇ。それ自体には少しイラつくが、人柱力を通してでも自由を感じられるだろうからな。
ったく、ラッキーセブンなのに付いてねぇ…俺様が巻物如きに負けるとは。』
「…なら、私と一緒に来る?」
『…は?』
「私が人柱力になるから、自由を取り戻してみる?
どうせ貴方は、人間に見つかれば討伐隊が組まれてしまう。
だけど、貴方の大きな体を隠せる場所なんてない。
私は人柱力になれば、友達の力を借りて強くなれる。
貴方は尾獣化する事で空を飛べる。
…どう?一蓮托生、一心同体の友達。」
『しょうがねぇ、なってやるよ。友達に。
俺様もここに閉じ込められるよりはマシだ。』
「ありがとう、重明。」
「ハルカ、いいんだな?後戻りは出来んぞ。」
話が一段落したあと、父がそう忠告してきた。
「はい。真っ直ぐ自分の言葉を曲げない。それが、私の忍道ですから。」
借り物の忍道だがな!
「そうか、では…始めよう。」
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『ハルカ、空飛びてぇ…変わってくんね?』
「分かった、人に見つからない様にね。」
『この俺様が、そんなめんどくせぇヘマする訳ねぇだろ?』
その言葉に些か不安が募るが…何も言わず、尾獣化して重明に体を明け渡す。
重明は、無駄な殺しもしないし暴れもしない。
その軽い口調からは考えられないほど合理的な判断をするため、そんな無駄な事はせずに空を飛ぶのを楽しむ方がいいと言う結論に至っていた。
だが、人間はそうではない。
尾獣が近くにいるという恐怖を押し殺すのは、難しい。
そして封印され、人間不信になり暴れ、それを見た人間に危険視され封印される。
そんな無限ループを尾獣達は繰り返してきた。
長い時間を掛けて人間不信は憎しみへと変わってしまう。
重明もその道を辿ってきたが、一周まわって人間なんて小さいアリはどうでもいいと割り切った。
そんな風に割り切れたのは、重明の性格のお陰だろう。
私が9歳になり、転生者だと言うことや、重明が生きてきた中で出会った人間の事などを話しているうちにただ1人の友達であり兄妹でもある、切っても切り離せないパートナーとなっていた。
無限ループって、怖くね?