白眼と写輪眼の姫   作:ココスケ

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その4

空を飛ぶ重明の中で、視覚を通して外の様子を見る。

 

『ハルカ、なんかあったのか?』

 

(いえ…なんだか漠然と不安があって…嫌な予感がする。)

 

それは…家を出てスグに気が付いた。

だが、嫌な予感はドンドン大きくなっていく。

 

(ごめん重明、変わって。家に帰って様子を見た方がいい。)

 

『そうだな、俺様もなんか嫌な感じはする。』

 

主導権が私に変わって尾獣化を解き、羽を出して高速で元きた方向へ戻っていく。

 

何も無いことを祈りながら。

 

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『こりゃ…酷いな。』

 

重明が口にしたのは、空からみた惨状であった。

 

家は崩れて木屑に変わり果ててしまっているが、今はそれは重要ではない。

父と母が瀕死になりながらも、100名を超すであろう忍と戦っていた。

 

…もう、戦うと言うよりも蹂躙に近い。

勿論、両親は強い。だが、物量には勝てない。1人倒しては傷を受け、1人倒しては傷を受ける。

傷は小さくとも、繰り返して行けば…。

もう、現時点でも致命傷になりうる傷を負っている。立っているのも不思議な位だ。

 

今助けようとも、両親は…恐らく、助からない。

神が言っていたのは、この事だろう。

 

(恐らくリーダー格の男が幻術を掛けて…)

 

父と母、私の目の数は決まっている。

こんなに大人数で押しかけても奪い合いだろう。

 

「白写輪眼っ!からの…神威!」

 

霧隠れの忍び全員の四肢を神威空間に送り、ダルマになった人間がそこかしこに転がった。

首を送り一瞬で命を経つ事も考えたが、後々水影やぐらが来た際の事を考えれば命だけ(・・)は取ってはいけない気がした。

 

白写輪眼の能力がチート過ぎて何も言えないが、重要なのは…虫の息になった両親。

 

「お父さま、お母さま!」

 

「ハルカ…か、無事で…良かった。

…重明、私達はもうダメだ。…だから、お前にしか頼めない。ハルカを…頼んだ。〝友達〟同士…支えあって…生きろ。」

 

「ハルカ、これから…辛いことがいっぱいあると思う…でも、貴女は…お父さんとお母さんの子供だから…大丈夫よ。」

 

2人が息も絶え絶えになりながら紡いだ言葉。

それを最後に、2人の体から力が抜け、心音も聞こえなくなった。

 

「あ…あぁ…お父さま…お母さま…」

 

精神年齢など、関係ない。

 

優しい母。頼れる父。

二人共修行の際は厳しかったが、私が身を守れるように慣れたのは二人のおかげだ。

 

 

どれほど泣いたのか分からない。重明は文句一つ言わず付き合ってくれ、折れそうな心は〝1人じゃない〟ということで支えられていた。

 

「っ!誰…!」

 

後ろから複数の気配を感じ取り、白写輪眼を発動させて柔拳の構えを取る。

 

霧の暗部と共に現れたのは、原作でも見知る…一番大好きだったキャラだ。

 

だが、今は現実だ。

敵かもしれない状況で警戒を解くほど能天気ではない。

 

「済まない…俺たちは、君の敵ではない。

俺は4代目水影、やぐらだ。コイツらを追って来たんだが…遅かったか。君は…」

 

『重明、いるんでしょ?

女の子にこの人は敵じゃ無いって伝えてよ。』

 

やぐらさんの肩から出てきたのは、3本の尾を持った亀。

三尾、磯撫だ。

 

『こいつは敵じゃ無くても、周りの人間が無害かどうかは知らん。

血継限界の眼を目的に両親を霧隠れの忍に殺されたばかりだからな。…こいつらもそうかもしれない状況で警戒を解くほど馬鹿じゃない。

特にハルカは白眼と写輪眼のハイブリッドで両方使えるからな。タダの写輪眼、タダの白眼よりも有用で高く付くだろうしな。』

 

『やぐらはそんな人じゃない!

水影さまとして頑張ってる人だ!』

 

『それは知らん。

俺はハルカの両親から守るように言われてるんでな。敵対しないとは言っているが、眼を狙わないとは言ってないしな。

こいつの眼はこいつのもんだ。それに、他人が奪って簡単に扱えるもんでもない。

こいつのうちはの血と日向の血、それからハルカの努力によって最大限に能力を引き出せるものだ。』

 

肩乗りサイズの尾獣達が、言い合いをしている。

この姿では人柱力である私からはあまり離れられないが、何も無い時はこうして肩で暮らす。

 

「磯撫の言うように、敵ではないし君の眼を狙うようなことはしない…と言っても、信じられないだろうな。

…お前ら、下がれ。」

 

「しかし、」

 

「部下をゾロゾロ連れていれば信じられないだろう。」

 

部下を下げた…。

いくらやぐらが人柱力だろうと、同じ人柱力であれば対して変わらないのに。むしろ空中を飛べ、血継限界とチートを持つ私の方が有利かもしれない。

 

「…済まなかった。俺が…しっかりしていれば…。」

 

そう言って、近づいてきたやぐらさんは私を抱き締めた。

やぐらさんの体が小刻みに震え、上から雫が流れてきた。

 

…泣いて、いる。

部下が勝手にやった事で自分は関係ないとシラを切るのは簡単なのに。

 

私は…そっとやぐらさんの大きく感じる体を抱き締め返す事しか出来ずにいた。

 

 

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