冒険者共   作:サバ缶みそ味

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 帝国戦旗…アイシャ…めっちゃ欲しいです。ええ、ガチャは爆発しましたね (血涙)
 ゆ、諭吉召喚すべきかどうか‥‥グゴゴゴゴ


◎8 オーバードライブ紅蓮⑥

「それで?わざわざ私の部屋に来るほどの用事は何?」

 

 朝食を終えたリネアはやや呆れながら終始正座をしていたシュスイに尋ねた。彼女の説教を長々と聞いていたシュスイは待っていましたと言わんばかりに立ち上がろうとしたが足がしびれてしばらく転げまわる。

 

「こ、これを見て欲しい‥‥」

 

 シュスイは懐から昨夜製鉄所で撮った写真をリネアに渡した。写真にはコンクリートの床に赤い魔方陣が描かれているのが写っている。

 

「これは?」

「昨夜魔導書の密売者達がいた製鉄所の地下室で見っけたんだ。これがどういったもんかよく分からなくてさ、確かめてもらいたいんだ」

「うーん…紋様からしてかなり古い術式の魔方陣ね。召喚系の魔法かと思うけど…って、今製鉄所って言わなかった?」

「そうだけど?…あっ、やべ」

 

 リネアはむすっと頬を膨らませジト目でシュスイを睨む。シュスイはごまかそうとわざとらしく口笛を吹きながら視線を逸らした。

 

「昨夜、製鉄所の方で魔導書の密売者がいるって通報があったと聞いたのだけど、もしかしてシュスイがやったの?」

「あ、あっはっはっは‥‥え、えーと、まあ、そだね。なんかこう噂があったみたいだからいるのかなーって興味本位で…」

 

 笑って話を逸らせないか、ちらりとご機嫌を伺ってみれば更に眉をひそめてこちらをジト目で睨み続けていた。

 

「もう!そういうのは危ないし、勝手にやるんじゃなくて私に言ってからやってよね!」

「で、でもさ魔導書密売に評議員のゲルハルトが関与しているって情報も得られたんだぜ?それにリブリの魔導書盗難事件とそいつが関係しているかもしれない」

「あのゲルハルトがリブリの魔導書盗難事件に関与…?」

 

 シュスイの話を聞いたリネアはプンスカと怒るのをやめて深く考え込んだ。クーリアの魔獣の事件と並行して調査していたが意外なところから手掛りを得た。もしかしたら二つの事件は何か関連しているのかもしれないとリネアは考えた。そんな彼女を他所にシュスイはやれやれとくたびれたようにため息をついた。

 

「まあ、ゲルハルトが遺跡で魔法実験しているのだけどそれと関係しているのかもしれないし今のところよく分からないんだけどなぁ…」

「えっ?遺跡で魔法実験…?」

「あ、やべっ」

 

 こちらは手掛りなしと疲れ気味に思わず呟いた愚痴にリネアはピクリと反応した。口が滑ってしまった事にシュスイはハッとしたがリネアはずいずいとこちらに迫る。

 

「シュスイ、それってどういう事?というかどうしてそういった情報を持ってるの?」

「り、リネアさん、か、顔が近い…!」

「え?あ、ご、ごめんなさい、つい…」

「おっけーおっけー、全部話すから落ち着こう、な?」

 

 観念したシュスイは()()()()()()()()()を話した。評議員のゲルハルトは遺跡で遺跡内に込められている魔力、ソウルの力を利用した実験を秘密裏に行っている事、ゲルハルトが主導を握っているのだが、今に至るまで成功しておらず功を焦っている事を話した。

 

「とまあ俺が噂で聞いたのは()()()()()こんなもんだ」

「そんなことが‥‥じゃあ効率を良くする方法を見つけるためにリブリの魔導書を大量に盗んだ、とシュスイは考えているのね?」

「そんなとこだな…」

 

 そうだしても腑に落ちない。成功させるためにリブリから魔導書を盗みだす必要があったのか、何を召喚しようとしていたのか、ますます分からない。それに時間もない。いずれゲルハルトが遺跡で魔法実験を行ってしまい、遺跡内のソウルが漏れ出す高密度な発生現象が起き、シナリオ通り最悪の状況になる。

 

「この事は警吏の人達にも伝えておくわ。ありがとう、シュスイ」

 

 リネアは微笑むと、立ち上がり出掛ける支度をしだした。

 

「ぬ?どっか行くのか?警吏の所?」

「いいえ、原理学部の先輩の友人の誕生日パーティーに行くことになってるの。知らない人のパーティーには興味なんだけど、どうしてもってわけだから仕方なしに行かなきゃいけないのよねぇ…」

 

 リネアはくたびれたように肩を竦めて苦笑いをした。誕生日パーティーと聞いて、もしやと察した。彼女が向かうそのパーティーにレクトが無理やり連れてこられているはずだ。

 

「‥‥なあ、そのパーティーとやらに俺もついてっていい?」

 

___

 

 向かったパーティー会場は思った以上に豪勢な場所で行われていた。アプリの画面ではひと気のないテーブルにゴージャスなシャンデリアだけの殺風景だったが、視界に映るは豪勢な料理に琥珀色に輝くシャンパンタワー、派手なドレスにかっこよく決めた皮のジャンパー等々、想像以上に派手かつ豪華なものだった。

 

「パリピな雰囲気かと思ったけどやべーなこれ。ちょっとタッパーに詰めてたぬきちにも食べさせてやろっと」

 

「いやなんでタッパーを持ってきてるのよ…あれ?何かしらこの歌?」

 

 何やら音痴で面白おかしな歌が聞こえてきた。内容的には、歯ブラシマンが歯を磨いて虫歯にならないようね!

みたいな歌のようだ。

 

「ねえ、あそこのステージで歌ってるのって…レクトよね?」

 

 リネアが引きつったような苦笑いをしてステージの方を指さす。チンピラの様ななりをした学生の前にあるステージでレクトが歌っているのが見えた。レクトが所謂『歯ブラシの歌』を歌い終わるとドッと学生たちの笑い出した。聞こえるは明らかに楽しそうな笑い声ではなく嘲笑の声。そんな声にレクトは只々苦笑いしたままであったがリネアとシュスイがいる事に気づくと気まずそうに苦笑する。

 

「はあ…見てられない…!」

 

 レクトの様子を見たリネアは呆れて肩を竦め、彼のだらしなさに居ても立っても居られなくなりステージへ向かおうとした。

 

「このシーンはいつ見てもいいもんじゃねえな…」

 

 しかし、彼らの様子を見ていち早くシュスイが動いていた。

 

__

 

(シュスイとリネア、なんでこんな所にいるの…!?)

 

 先輩の誕生日パーティーになぜ二人が来ているのかレクトは戸惑っていた。何時からいたのか、まさか『歯ブラシの歌』を聞かれていたのか正直先輩達に笑われるよりも恥ずかしい。

 

(ああ、そうか…まあ、いい見世物だもんね…)

 

 レクトは察した。自分は学園では成績は一番下、誰からも笑われる身分だ。こんな余興を見に来て笑いに来たのだろう。それならば楽しんでくれたのならいいかとレクトは自分を蔑むように笑った。

 

「おいレクト‼もうちょっとシャキッとしな!」

 

 レクトは大声で呼ばれたと同時に思い切り誰かに尻を叩かれた。ビクリと跳ねて振り返るとサングラスを額にかけてエレキギターを持ったシュスイがいた。

 

「シュ、シュスイ!?というかそれどこから持ってきたの!?」

「今の俺は歯ブラシの精霊の相棒、歯磨き粉の精霊だ!あとギター弾けねえけどな!」

「じゃあ何で持ってきたの!?」

「うるせー!ギターなんかやめてやるよー‼」

 

 レクトにツッコミを入れられてシュスイは所かまわずギターを叩き壊した。それ以前に歯磨き粉の精霊の乱入に誰しもがポカンとしていた。

 

「ああっ、ギターがっ!」

「ダイジョーブ。そこにいる先輩のギターだから」

「大問題だよ!?」

 

「ちょっとあんた達‼漫才している場合じゃないでしょ‼」

「え、ちょ、リネア!?」

 

 今度はリネアがプンスカしながらステージへと乱入してきたことにレクトは更に混乱する。

 

「レクト!あたしが本当の歯ブラシの歌を歌ってあげるから見てなさい!」

「ええええっ!?」

 

 レクトは驚くしかなかった。まさかリネアが即興で作ったおかしな歌を歌うとは誰しも思いもしなかった。

 

「何ぼさっとしているの。あんたも歌うのよ!」

「また!?」

 

 いきなりふってきてレクトは戸惑うが、シュスイがポンと肩を叩いてニッと笑った。

 

「安心しろ、俺も歌ってやる。リネアも俺もお前を惨めな思いにはさせねえよ」

「…あ、ありがとう、頑張ってみる」

「よっしゃ…さあレクト、リネア!ノリノリで歌うぞ‼心、ぴょんぴょんry」

「うん、シュスイ、歌詞間違ってるよ…」

 

 リネアとシュスイと共に面白おかしな歯ブラシの歌を歌う事になったが、最初に一人で歌った時とは違い、惨めな思いはしなかった。それよりもこんなに楽しい気分になるのは初めてだった。

 

 時折、シュスイがリネアの唄声を聞いて『あぁ^~、心がピョンピョンするんじゃ^~』と呟いていたがどういう意味かはレクトにはよく分からなかった。

 

__

 

 気が付けば誕生日パーティーはお開きに入っていた。参加していた生徒達はぞろぞろと会場から出て帰ろうとしていた。

 

(そろそろか‥‥)

 

 流れはレクトの先輩がリネアに二次会を誘おうとするがリネアはそれを断りレクトと二人で出掛ける。シュスイは頃合いを見計らってこっそりと出て行こうとしていた。

 

「なあ、二次会行くだろ?そんな使い捨て歯ブラシは捨てちまえよ」

 

 シナリオ通り、チンピラな輩がリネアに声を掛けた。画面では同じ面だったが実際に見て見ると明らかに下心見え見えな面をしている。そんなエロゴリラみたいな顔になるのは仕方ない。リネアは声も可愛いし、スタイルもいいし、衣装もエロイし、スタイルもいいし。

 

(下心バレバレな面してんなぁ。まあ断られるのがオチってもんだ…さてさて、シュスイ・モンドはクールに去るぜ…)

 

 後は二人で楽しんでくれればいい。自分は出しゃばることはせずにそのまま去ろうと会場から出ようとした。レクトの先輩の誘いにリネアはニッコリと笑顔で首を横に振った。

 

「残念だったわね。これから歯ブラシの精霊と歯磨き粉の精霊とデートに行くの」

「ほへっ!?」

「はいぃぃぃっ!?」

 

 レクトが驚くのはまだしも、まさか自分も含まれている事にシュスイは驚きの声を上げた。引き返して急ぎ足でリネアに歩み寄る。

 

「ちょ、り、リネアさん!?それって俗にいうフタマタってやつではありませんか!?」

「ほら、行きましょ!」

 

 リネアはシュスイとレクトの腕を掴んで引っ張り、ルンルン気分で会場を出て行く。レクトは混乱して慌てふためいているし、リネアは楽しそうだし、シュスイはされるがままに連れて行かれるしかなかった。

 

「あの…その、えーと…」

「な、なあリネアさん?こういうのは…あー…」

 

 レクトは未だに混乱しており、シュスイはどう説得しようか考えていた。そんな二人にリネアはジト目で睨む。

 

「あたしじゃ不満かしら?」

「そ、そんなことないよ‼」

「そのようなことあろうはずがございません」

「不満なんか、あるわけないわよねー!」

 

 リネアは楽しそうに笑顔を見せてピョンピョンする。なるようになるしかないとシュスイはやれやれと肩を竦めた。

 

(リネアって、意外と大胆だなぁ…)

 

 シュスイは彼女の意外な性格に只々関心する。実際に話したり一緒にいたりしないと分からない事もある。後は楽しんだもの勝ちということでシュスイも乗ることにした。

 

「確か…美味しいクレープ屋があるらしいな。食いに行こうぜ!」

「ナイス!それじゃあそこへ行きましょうか!」

 

 二人はノリノリで歩きだすが、レクトは何故かどこか遠い目をしていた。明日雨が降るのではないかとか明日絶対先輩にゴミ箱に入れられると呟きながらガクブルしていた。

 

 クレープ屋で3人でクレープを買って食べたり、ぬいぐるみが沢山売られている店やどこか観光めいたお土産屋に行ったりと街中を歩き、色々な店へ立ち寄ったりした。レクトは最初はどうしたらいいか迷っていたが、リネアやシュスイと一緒にいるうちに楽しくなってくれたようだった。

 

「ふー…なんだかいい気分だわ」

 

 リネアは背伸びして疲れを解す。気が付けばもう日が暮れており、長い事3人で歩き回ったようだ。

 

「この街に、まだ私の知らないところがあったなんてね!」

「ほへー、てっきり色々知ってると思ってたぜ」

「フィールドワークであちこち回ってるけど、店中とか中までは見てないからね。でも、今日は知ることができて楽しかったわ」

 

 リネアは頷いて楽しそうに微笑む。こちらも街中を色々と見て回ることができ、楽しむことができた。

 

「リネア…リネアはまだ魔獣について調べてるの?」

 

 リネアの笑顔を見てレクトはクーリアの魔獣の事を尋ねた。今日は彼女の意外な一面を知ることができた、レクトはそんなリネアがたった一人でクーリアの魔獣を調査している事が気になったのであった。レクトの問いにリネアは頷く。

 

「当たり前でしょ?フィールドワークだもの」

「じゃあ…ボクも一緒に…」

 

 たった一人で魔獣の事を調べているのならば色々と危険な事がある。レクトは自分の力が彼女の力になれないか考えていた。しかし、リネアはきっぱりと首を横に振って断った。

 

「あ、別にいいから。そういうの」

「で、でも…魔獣に襲われるかもしれないし…」

「足手まといはいりません」

「その…でも…」

 

 リネアにきっぱりと断られ続け、レクトはタジタジになりながらも何とか言おうとしていた。リネアの事が心配で力になろうと勇気を出して言おうとしている。

 

「今なら特典で俺もついてくるよ?もしもの事があるやもしれんし、俺達が力になるぞ?」

「そんなに助手はいりません」

「おうふ…」

「あ、あうう…」

 

 フォローのつもりが諸共玉砕されるとは…フォロー出来なかったことにシュスイはすまないとレクトに頭を下げた。

 

「心配しなくて大丈夫よ。あたし、それなりに腕が立つからね」

 

 リネアも意外と頑固だなぁとシュスイは肩を竦めた。説得するにはかなりの苦労を弄するかもしれない。もう少しだけ説得して見ようと試みようとすると、鐘が鳴り響いた。鐘の音にレクトは時計台の時計を見て時間を確認した。

 

「もうこんな時間か…帰らなきゃ。リネア、シュスイ、きょ、今日は楽しかったよ、じゃあね」

「レクト、またね」

「お疲れ。また明日」

 

 レクトは二人に手を振って帰って行った。夕陽が照らされているせいか、それとも気のせいか少ししょんぼりとしているように見えた。彼の背中が遠くなった頃にリネアがシュスイに微笑んだ。

 

「シュスイ、今日は付き合ってくれてありがと」

「いいってことさ。俺もじーっとしてられなかったからな」

「ふふ、自由気ままね…私もシュスイみたいに自由気ままに旅とかしてみたいわ」

 

 リネアは再び背伸びをして一息つく。そして先ほどとは違って真剣な眼差しで見つめた。

 

「…シュスイが言っていたとおり、ゲルハルトは遺跡で魔法実験をしていたことが分かったわ」

「もしかして…乗り込むのか?」

「ええ、明日に遺跡に取り締まりに向かうの。もしかしたら…クーリアの魔獣の正体がわかるかもしれない」

「…やっぱり、手伝うぜ」

 

 シュスイは静かに重く彼女に尋ねた。しかしリネアは優しく微笑んで首を横に振った。

 

「大丈夫。これはあたしの仕事…シュスイは意外と強いから全部頼っちゃうもの。それに、まだ冒険家じゃない貴方を危ない目に遭わせるわけにはいかないわ。だから、心配しないで」

「…そっか。でもあんまり無理すんなよ?」

「ふふふ、任せておいて。それじゃあ、また明日‥‥」

 

 リネアは優しく笑って帰って行った。シュスイは去り行く彼女の背中を見つめ、大きくため息ついた。

 

「いよいよ明日か‥‥」

 

 明日、この島で存亡を賭けた戦いが起こる。これから起こることも、この物語の事も知っているシュスイにとっては緊張するのも半分、どうにもできない自分にもどかしさを感じていた。

 

 もう時間がない。決断の時も迫っている。

 

 

___

 

「今日は…奴等が遺跡で魔法実験を行う日だな…」

 

 ネヴィルは写真立てに入っている写真を持って見つめながらつぶやいた。あの連中を始末するチャンスだ。ここでしくじるわけにはいかない。

 

「‥‥私が、私自身の正義でやらなければならないんだ…」

 

 この街を愛していた、あの人を愛していた。評議員の連中は魔法を規制を進めながら、裏で私腹を肥やしていた。そのせいでこの街は荒れ、そして愛する人を亡くした。この街を汚し大事な人を奪った奴等を許すわけにはいかない。誰にもできないのならば、力を得た自分がやらなければならない。

 

「‥‥行ってくる」

 

 ネヴィルは写真立てをそっと戻して出て行こうとした。

 

「あー…ネヴィルさん、ちょいっといいですか?」

 

 店を出ようとしたが、出入り口の前でシュスイがすまなさそうに笑って立っていた。

 

「シュスイくん…すまない、今日は急用で出掛けなければならなくてね。今日はお店はお休みなんだ」

「そ、そのー…ネヴィルさん、忙しいってのはよーくわかります。でも、少しだけ…ほんの少しでいいんです。俺の悩み事を聞いてくれませんか?」

「悩み事…?」

 

 不思議そうに眉をひそめているネヴィルにシュスイは何度も頭を下げた。

 

「すいません。そんな暇はないってのは、時間がないってのは分かます。けど、どうしてもネヴィルさんに相談したくて…!」

「‥‥分かった。話だけ聞こう。ここではなんだし、そこにかけてくれ」

 

 シュスイは時間をくれたことに深く感謝してカウンター席についた。話そうとした時、ネヴィルがコーヒーを淹れて渡してきた。

 

「…おっと、職業柄、こういったように人の悩みや相談を聞くこともあってね。癖が出てしまったよ」

 

 苦笑いしているネヴィルにシュスイも苦笑いし、本題に入ることにした。

 

「‥‥実は、俺の知り合いのことなんですけど…ちょっと喧嘩があったみたいなんです。話によると…喧嘩相手がその知り合いの大事な人にも手を出したみたいでしてね、知り合いはカンカンで落とし前つけるためにそいつらを殺めようとしてるんです‥‥」

 

 シュスイはコーヒーに一口もつけずに話をし、ネヴィルはずっと黙ったまま彼の話を聞いていた。

 

「そいつの気持ちはよく分かります。そいつがやることが正しいのかもしれません。でも、殺めちゃいけないと思うし、道を外してほくないんです。止めれば道を正せることができると思うんです…俺はどうしたらいいでしょうか…」

 

「‥‥シュスイくんにもそんな悩みがあったのは意外だったよ‥‥」

 

 シュスイの話を聞いたネヴィルは大きく息をはいた。

 

「シュスイくん、その知り合いは君にとって大事な友達かい?」

「…ええ、とても大事な友達です」

「その知り合いがやろうとしている事は、正しいのか正しくないのか判断は難しいかもしれない…でも、まだ道に外れていないのなら、まだ間に合う。大事な友達なら全力で止めてあげなさい」

「‥‥ネヴィルさん、ありがとうございます‥‥」

 

 シュスイは深く頭を下げた。今の話をしていたネヴィルの表情はどこか寂しさと後悔が見えた。クーリアの魔獣となった自分は多くの人を殺め、もう戻ることはできない。そう自覚していた。

 

「今日はしばらく店には帰ってこれない。シュスイくん、ゆっくりと休んでくれ」

 

 ネヴィルはそう告げると店を出て行った。人っ気のない店内で残されたシュスイとたぬきちはしばらくの間じっと座ったまま動かなかった。

 

「‥‥」

 

 シュスイは既に冷めてしまったコーヒーをぐいっと飲む。熱のないコーヒーはただただ苦みだけが強くあまり美味しくなかった。

 

「‥‥やるか」

 

 覚悟を決めたシュスイはガタリと席を立ち、たぬきちを撫でる。

 

「たぬきち、すまねえがここで留守番してくれ」

「キュキュッ」

 

 承知、とたぬきちは胸を張って尻尾を振った。シュスイは勢いよく店の外へと出て行った。外ではどこか遠くで騒がしい声と悲鳴が聞こえてきた。駆けつけている野次馬の話を聞くには火事の現場に赤い魔獣が出たらしい。

 

「もう始まってんな‥‥さて、行くとしますかね!」

 

 シュスイは肢に力を入れて勢いよく駆けて行った。出しゃばるとか自重するとか関係なく、自分がやらなければならない事をやることに専念した。




 本当にオーバードライブ紅蓮ってアメコミ的な展開ですよね (コナミ感)
 ちょっとスパイダーマンみたいで


 文章力、語弊力がなくてすいません‥‥ちょっとややこしい事になってるかも
 (´・ω・`)
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