そしてガチャの当たらなさよ‥‥(白目)
「‥‥」
何もないような暗い空間の中、俺は目の前にあるドアを撫でるように触れる。そしてこれまでずっと溜め込んでいたかのように大きなため息が出た。
「‥‥長かった‼」
本当にどれくらいの時間が経過したのだろうか。10年?100年?いや…もっと、もっと長い年月が過ぎた様な気がする。
「その扉を開けてくぐればお前が望んだ白猫とやらの世界に行けるぞ」
すぐ近くに破壊神ビルス様そっくりの神様がどや顔して腕を組んでいる。そうだ。この世界に行くためにこの傲慢な破壊神野郎とずっと修行というか…ずっと戦っていたような気がする。
最初は酷かった。デコピンで体の半分が吹っ飛ばされたり、指一本当たっただけで骨が砕かれたりと一方的だった。死後の世界だから体が引き裂かれようが、消し炭になろうが、すぐに復活できた。
『超手加減してるのにこのざま?』と半笑いで言われた時はすっげえむかついた。それでも尚、諦めずに挑み続け、ウイスさんそっくりの天使さんにも稽古つけてもらったりでやっと組手ができるようになって、そこからだんだんと慣れて行って…天使さんから『あなた、次の神様になってみませんか?』とか言うし、なんかもうドラゴンボールの世界に行くんじゃね?って思えてきた。
「まあ何度も挑んでくるところは飽きなかったし、それなりにできたと思うよ…ボクには勝てないけどね!」
うぜえ…このドヤ顔してるビルス様マジでうぜぇ…!ここまでうざかった神様っているだろうか?多分いると思うけど、俺的にはよく神様やれてるよなって思える。というか、普通の神様じゃなくて本当に破壊神か軍神の類じゃねって思うよこれ。
「約束通り、お前には特典を授けよう…えーと、イメージした容姿と能力だったな」
ビルス様そっくりの神様は呟くと手をこっちに向けてきた。間違えて破壊されそうなんだけど!?そう不安だらけで身構えている俺だったのだが、ビルス様そっくりの神様の手から目を瞑ってしまうほどの眩しい光が発せられた。
「うおっまぶしっ」
「いつまで目を瞑っている。もう終わっているぞ」
呆れた声を聞いて恐る恐る目を開けて見ると、目の前に鏡が。鏡に映る自分の容姿は大いに変わっていた。紺色の制服よりの軍服にその上に羽織っているマントのような外套、銀の刺繍が飾られている軍帽。さらりとした短めの黒髪に朱色の瞳。そして左腕に銀のガントレット…パーフェクトだ。
「‥‥よりにもよってなんで軍服なんだ?」
「いやー…帝都物語の軍服とかかっこいいなーって思ってさ」
「‥‥顎を長くしたいの?」
「ちゃうわ‼」
ストリートファイターのベガみたく顎長くしたくねえから‼ツッコミはそこまでにして軽めのストレッチをして体のコンディションを確かめる。うん、体が軽いしとても馴染む。あと少し身長も伸びた?能力の確認は‥‥あっちの世界に行ってから確認するか。おや?そんな事を考えていたらウイスさんそっくりの天使さんがにこやかに現れたな。
「シュスイさん、忘れ物ですよー」
天使さんはにこやかに二振りの刀を投げ渡した。も、もうちょっと丁寧に渡してください…
特典に武器も欲しいって言ったらあのビルス様そっくりの神様は『あっそ、自分で作れば?』とバッサリと切り捨てられ、そこのにこやかにしている天子さんと一緒に刀鍛冶をする羽目に。一体何本の刀があのファッキン破壊神に破壊されたことやら…1000本目が折られた時はマジで泣きそうになった。結局折られることなく耐えたのはこの二振りの刀だけ…よく頑張ったよ。二振りの刀を褒めて、腰へと提げる。
「ん?シュスイ…?名前を変えたのか?」
「ええ。『シュスイ・モンド』、彼が考えた自分の新しい名前だそうですよ」
もうかつて自分がいたあの世界には戻ることは無い。新しいスタートを切るために名前も変えて進んで行こうと考えた。勿論、本当の名を捨てるつもりも忘れるつもりも無い。ビルス様そっくりの神様は興味なさそうに鼻でふーんと鳴らす。
「ま、別にどうでもいいけど。さて、これでお前は特典を手に入れお前が望んだ世界へと転生する。だが、これだけは覚えとけ」
ビルス様そっくりの神様は低い声色と相手を目で射殺す程の殺気を放って睨み付けてきた。神様に鍛えられたとはいえ、今発せられている殺気には背筋がぞくりとした。今まで本気じゃなかったのかよ…!?
「その力で世界の破壊者になろうが、救世主になろうが、ボクには知ったこっちゃない。だが、その力を持つのならばそれ相応の責任があることを絶対に忘れるなよ?」
「ああ…わかってるさ」
ビリビリする威圧に耐えながら俺は頷く。力を持つ者にには持つ者としての責任とやらがある。使い方だけは絶対に間違えない、すでに覚悟は完了さ。
「ま、お前の場合は問題は無さそうだがな‥‥さあ、話は終わりだ」
ビルス様そっくりの神様は指をパチンと鳴らす。するとガチャリと扉のカギが外れ、ゆっくりと開きだす。開いた隙間から眩い光が漏れていた。
「ここからはお前達の冒険する世界だ。行ってこい」
「神様、天使さん。ありがとう。行ってきます」
「ふん‥‥戻って来てボクにまた戦いを挑んでくるんじゃないぞ?」
「行ってらっしゃい、シュスイさん。そちらの世界でも楽しんでくださいなー」
俺は笑って頷き、扉を開けた。漏れていた光は薄暗いこの空間を包み込むように強く輝きだす。
さようなら、元いた世界と俺を大事に育ててくれた家族
さようなら、死後の世界
さようなら、
こんにちは、彩られる世界
こんにちは、白猫プロジェクトの世界
こんにちは、重力
「うそおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
扉を開けたら白い雲、青い空って思ったら物凄い勢いで落ちてるんですけど!?いやいやいやいや!?これスカイダイビングってレベルの高さからの落下じゃないよ!?重力に逆らえず落ちてってるよ俺!?
え、なに!?俺死ぬの!?空から落ちて叩き潰された蛙みたいになるの!?スタートしてすぐに死亡とかシャレになんないんだけど!?トランスフォーマーコンボイの謎みたいにスタート直後に死亡とかじゃねえんだぞこれ!?
ちくしょおおおおおおおっ!こうなるんだったら舞空術を習得すべきだった!これドラゴンボールじゃね?とか思って遠慮するんじゃなかったぁぁぁっ‼
転生者第一号はシュスイ・モンドさんです。
服は帝都物語の加藤保憲、若しくは終わりのセラフっぽい軍服…顎は長くありません
名前のモデルは必殺仕事人から中村主水。主水と書いて『もんど』って読みます。しゅすいでもかこいいと思う(コナミ感)