冒険者共   作:サバ缶みそ味

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 戦beat、ムラクモもチハヤも欲すぃ…嗚呼、茶熊もクリスマス、正月もあるというのに多々買いの日々は続くというのか(白目)

 


❖5 九条厄霊記④

「…そ、そんな、イサミに妖魔が取り付いているのですか!?」

 

 シャラクの言葉を聞いたシズクやコリン達は驚いた。まさか都を毒の霧で覆った穢れの大元が人の体の中に取り付いているとは思いもしなかった。シャラクは冷静に話を進める。

 

「ああ、そいつを退治すればイサミさんも元気になるし、都の毒霧も消える」

「成程、灯台下暗しってわけだねぇ。そりゃ気が付かないわけだよ」

「それで、その妖魔をどうやって退治すればいいの?」

 

 カスミはずっと唸るように考え込んでいるシャラクに尋ねた。ここまで巫女の力でさえも祓えなかった穢れを祓い、そして穢れをばら撒いた元凶を暴いたシャラクの事だから何かしら手は考えているはずだ。シャラクは腕を組んで首を傾げながら唸るように考え込み、ちらりとコリン達の方へと真剣な眼差しで振り向いた。

 

 

「‥‥わからん」

 

「‥‥は?」

 

 

 真面目な表情で「わからない」と答えたシャラクにコリン達は一瞬キョトンとした。しばらくの沈黙と静寂の間が流れたが、コリンが即座にシャラクの服を掴んで何度も揺らす。

 

「イヤイヤイヤ!?ここまできてわからんってどういうこと!?」

 

「あばばばば!?ちょ、お、落ち着いて!?」

 

 ぐわんぐわんと頭を揺すられながらもなんとかコリンを落ち着かせると困ったように頭を掻きながら話した。

 

「こういう場合は…体を小さくし、取り付かれた者の体の中に入って退治をするんだがなぁ」

 

 『大神』であれば道中で手に入る『打ち出の小槌』を使って体を小さくし、体内に入って取り付いてる妖魔と戦って退治をする、という流れなのだがここには『打ち出の小槌』もなければ体を小さくさせる術もない。このまま退治できずにいると毒の霧は広がり続け、病に倒れる人が増えづ付けるだけだ。何か別の方法はないかシャラクはずっと悩んでいた。

 

「シャラクにーに、その悪い妖魔っていうのはイサミさんの体の中にいるんだよね?」

 

 ふと悩んでいるとコヨミが不思議そうに尋ねてきた。

 

「ああ…そうなんだけどどうやって退治するか方法が思いつかなくてさ…」

 

「じゃあ…中で悪さをしてるのなら追い出すことはできないのかな?」

 

「追い出す…その発想は思いつかなかったな!」

 

 単純ではあるが一度も試したことない方法でもあり試みる価値はありそうだ。一体どういうことか、ついて行けてないコリン達は戸惑うが、シャラクは笑みを見せる。

 

「まだ望みはあるぞ。イサミさんを元気づけさせることができるのなら取り付いている妖魔を追い出せるかもしれん」

 

「ど、どいうことなのシャラク?元気づけさせるって…イサミは妖魔に取り付かれて病に倒れているんでしょ?」

 

「まぁ俺もどいう事かよく分かってないけど、本来ならばこの毒霧は全ての人をあらゆる病で冒し苦しめる力があるのだがその影響があまり出ていない…恐らくは、イサミさんが周りに影響が出ないように病に伏せながらも戦っているのだろうな」

「そうか…イサミは戦っているのですね…!」

 

 憶測かもしれないが確信はある。その証拠にずっと病に倒れているイサミに付き添っているシズクが影響が出ていないことだ。きっと彼女に妖魔の毒牙がから必死に守っているのかもしれない。

 

「穢れの大元である妖魔に取り付かれても尚、必死に抑えてるなんて…イサミさん、すごいな」

 

「そりゃあシズクもイサミも鬼退治の一族の末裔ですもの」

 

「へえー…鬼…って鬼ぃ!?ここいらって鬼がいるの!?」

 

 鬼がいる事にシャラクはぎょっとして驚くがカスミもシズクも当然であるかのように首を傾げる。

 

「都にはいないが‥‥アオイの島や他の島には普通にいるのだけど?」

「へ、へー‥‥こ、こわいなー。この世界コワイワー」

 

 まさか鬼の存在があるとは知らなかった。願わくば、その鬼は虎柄のパンツ一丁の筋骨隆々ではなく、某英雄的ゲームのような可愛らしい者であって欲しいとシャラクは心の中で願った。そんな事を考えている間に今度はシズクがシャラクの服を掴んで必死な表情で何度も揺らした。

 

「それでシャラクさん…!どうすればいいのですか…‼」

「あばばば!?し、シズクさん、落ち着いて…‼ほ、ほら、病は気からっていうじゃん?なんかこう‥‥精が付くものを食べさせるとか?」

 

「なるほど‼よし、待っていろイサミ、必ず助けてやるからな‥‥‼」

 

 シズクはそう言うと颯爽と部屋から飛び出していった。アッと今の事でシャラクは呆然としていたが今度はコリンがシャラクを引っ張った。

 

「ぼさっとしてる暇はないよ!あたし達も食材を集めに行くよ!」

「えぇっ!?俺もやるのかいな!?」

 

 方法は他にもあるかもしれないが、言ってしまったからにはやるしかない。仕方なしにシャラクはコリン達と共に食材集めに乗り出した。

 

___

 

「と、いう訳で食材を集めてきたのだけども‥‥」

 

 都中を駆け巡って食材を集め、厨房を借りていざ調理に取り掛かろうとしていた。シャラクは目の前ある食材に半ば引きつった笑みを見せた。

 

「山芋に牡蠣に卵にウナギに‥‥スッポンて、マジやん…」

 

 元気が付くどころか別の意味でも精が付きますね!と言いたかったが間違いなくコリンから鉄拳制裁が下るので心の中で言うことにした。そしてシャラクはシズクのすぐ傍に置かれている菰樽に目をやる。

 

「あの、シズクさん?これって酒、ですよね…?」

「ええ、お神酒です」

「いやお神酒て!?大丈夫なのこれ!?」

 

「大丈夫ですよ、シャラクさん。それにほら、酒は百薬の長っていうじゃないですか」

 

「いやそれは適度の飲酒だからね!?全部使ったらアウトだから!?」

 

「シャラク、シズクもイサミも酒は必要不可欠なの。こればかりは仕方ないわ」

 

 カスミの言い分によれば二人はお酒を飲まなけばいけない体質らしい。あれこれと事情があるようなのでシャラクはそれならば仕方ないと認める事にした。

 

「よし…シャラクさん、後は私にやらせてください!」

 

 シズクはふんすと張りきると、両手に包丁を持ち、調理に取り掛かった。シズクに上へと投げ出された野菜は空中でバラバラに斬られ、ウナギは何故かいつの間にかぶつ切りに、そしてスッポンは『見せられないよ!』が表示される程の流血沙汰に。その光景にシャラクは半ば引いた。

 

「…え?調理…?あの、包丁を二本持って?」

「そりゃあ、シズクはクロスセイバーだからねぇ」

「いや意味が分からないのだけど‥‥ていうかシズクさんて料理できんの?」

 

「「「さあ‥‥」」」

 

 コリン、カスミ、フローリアが声を揃えて首を傾げるので確信した。あれは料理名得意な人の手が加わっても絶対にとんでもない物が出来上がるに違いない。果たしてイサミがそれを食べて無事でいられるのだろうか不安になったがもう止める事はできない。とりあえずシャラクはイサミに取り付いている妖魔が何かしないだろうか見張りに向かって待つことにした。

 

(‥‥イサミさん、なんかごめん‥‥)

 

__

 

「おまたせいたしました…!」

 

 それから数時間後にシズクがナベ掴みで土鍋を掴んで持ってきた。彼女のドヤ顔からしていいものができたのだろうが、鍋の蓋で閉じられているのにもかかわらず隙間から出てくる湯気とそのにおいからして明らかにヤバいものができたというフラグがビンビンに立っていた。コリンもコヨミも涙目になりながら鼻をつまんでいる。恐る恐るシャラクはシズクに尋ねた。

 

「してシズクさん…?その料理は…?」

「はい、雑炊です♪」

 

 シズクは笑顔で土鍋の蓋を開けた。湯気と共に見えてきたのは紫色の固形物。精が付くものとして集めたスッポンやウナギなどの食材が跡形もなくなっていた。

 

「‥‥あの、シズクさん?ナニコレ?アート?」

「やだなもーシャラクさん、雑炊に決まってるじゃないですか」

 

 シズクは当たり前だと言わんばかりにニッコリと笑う。それは言うなればかわいそうな雑炊、或はもう雑炊ではなく寧ろダークマターに近い存在そのものであった。見るからにヤバイものを食べさせていいものか、精が付くどころか天に旅立ってしまうのではないか、止めるべきかと考えている間にシズクはその雑炊だったものを木製のレンゲで一口分掬い、イサミの口に運んだ。

 

「あ、ちょ、シズクさん!?それはやめた方が…‼」

「さあイサミ、これを食べて元気になってくれ…!」

 

 雑炊だったものを口に含んだイサミはそれをごくりと飲み込んだ。しばらくの間何も変化は見られなかった。

 

 

「‥‥ぐふっ」

 

 そんな声が聞こえるとかくりとイサミの首が横へ傾いた。

 

「‥‥あれ?イサミ?」

「ちょ、イサミさぁぁぁん!?だ、誰か回復の術とかない!?」

「大丈夫ですよシャラクさん、き、きっと上手すぎて気絶しただけですよ!」

「これ明らかに気絶じゃないよね!?気絶じゃなくて絶命しかけてるよこれ!?」

 

 精が付くどころか天に旅立ったのではないかとシャラクは焦った。これは色んな意味でヤバイ、どうにかして蘇生しなければとあたふたしていると突然イサミの体がビクンビクンと痙攣し始めた。

 

「おいいいい!?これぜったいヤバイって‼誰か、誰かザオリクを唱えて‼」

 

「よくわからないけど、ここは私が‥‥せいっ‼」

 

 カスミはお札を取り出すとイサミの腹に思い切りぶつけた。痙攣していたイサミの体が『∨』の字に曲がる。

 

「イサミさぁぁぁぁん!?」

 

 これは間違いなく会心の一撃、いうなれば決め手、イサミが元気になるどころか逆効果で済む問題ではなくなってしまったのではないだろうか。そんな事を考えている時であった、イサミの体から禍々しい程の気配と色のした緑色の霧の塊が飛び出した。

 

「あれは…‼うっそだろ…!?」

 

 突然の事でシャラクはギョッとしたが、霧の塊から感じる禍々しい気にあれがイサミの体に取り付いていた妖魔であることに気づく。そしてシズクの作ったあのヤバイ雑炊が効果が会った事にも驚いた。

 

「シャラク‥‥!あれが…」

「その通りさ、あれがイサミに取り付いていた奴だ!」

 

 霧の塊は禍々しい程の慟哭を上げながら天井をグルグルと飛び回り、窓から外へ飛び出した。ここにいると危険と見なし、別の人間に取り付いて逃れるつもりだ。シャラクも窓から外へ出て霧の塊を追いかける。

 

「追うぞ‼あれを倒さないと霧は晴れねえぞ‼」

 

「おのれ妖魔め…!逃がしはしません‼」

「ちょ、シズク‼ああもう…コヨミ、イサミを頼んだよ!」

「私も行く!フローリア、ここをお願い!」

 

 コリンとカスミはシズクと共に外へ飛び出してシャラクを追いかけていった。

 

__

 

「だああああっ‼あいつマジで速えぇ‼」

 

 ドタバタと走るシャラクはフヨフヨと飛んで逃げる霧の塊を追い続けていた。どこまで走ったかは分からないが、今は何処かの広場の道にいた。このまま追いかけっこをしてもらちが明かない。どうやって捕らえようかと筆を使うか、別の手を使うか考えているうちにコリン達が追い付いてきた。

 

「シャラク‼まだ捕まえてないの!?遅いじゃない‼」

「しゃあねえだろ!俺は徒競走は万年6位だぜ‼」

「自慢すな!というかあの霧の塊、大きくなってない!?」

 

 コリンはツッコミをいれつつ逃げている霧の塊が周りの霧を吸収しながら徐々に大きくなっている事に気づく。

 

「元々あれはすっげえ小さい妖魔だ。力を蓄えてるのだろうな!というか別の人間に取り付かれたらまたあのデストロイ雑炊を作る羽目になっちまう…!」

 

「あ、大丈夫ですよシャラクさん。たくさん作ってありますから‼」

 

「二重の意味でヤベエなオイ!?」

 

 まだあの雑炊が残っていることと、新たにそのジェノサイド雑炊の犠牲者が出てしまう恐れがあることに焦りを感じた。妖魔に取り付かれて雑炊を食わされる前に霧の塊をどうにかしなければならない。

 

「心配ご無用だよシャラク。あれは絶対に捕まえる」

「ん、コリン?それってどうやって…?」

 

「シャラク、悪いけど背中を借りるわね!」

「え、ちょ…ごべふっ!?」

 

 後ろから駆けてきたカスミがシャラクの背中を踏み台にして高く飛び上がった。弓を持ち、持っていた破魔矢を手に取り、霧の塊に狙いを定めて矢を引く。

 

「祓いたまえ、清めたまえ‼」

 

 カスミは弓矢を射ると破魔矢は桜色の光を纏い、霧の塊を貫いた。霧の塊から再び禍々しい慟哭が響き渡ると霧の塊の中からポロリと錆びた刀が落ちて地面に突き刺さる。

 

「あれは刀…?」

 

「油断はするなよ?こっからが本番だかんな…!」

 

 シャラクはごくりと息を呑む。前世の時では画面でこのシーンはよく見ていたが今は違う。間近で目の当たりにし、そして今自分が対峙しているのだ。ここにはあの白い狼はいない、この力を持っている自分がやらなければならない。

 

 地面に突き刺さっている錆びた刀が青く怪しく光始めると霧の塊は刀に吸い込まれていく。全ての霧の塊を吸い込んだその時、刀の前に何本もの刀や弓矢が突き刺さった鎧が現れた。胴鎧の中も、脚籠手の中も、籠手の中も、兜の中も空洞であるにも関わらず自我を持ち浮遊している。その鎧は錆びた刀を引き抜くと切っ先をシャラク達に向けた。

 

「我ガ名ハ『エキビョウ』―――コノ地ニ災厄ヲ撒キ散ラス者也!」

 

 エキビョウは禍々しい声を上げながら名乗った。やっぱりこの毒霧を撒き散らしたのはこいつかとシャラクは頷いていたがコリン達は初めて見るようでごくりと息を呑む。エキビョウは禍々しい声を響かせて話を続けた。

 

「アノ男ノ体ヲ操リ、都中ニ撒キ散ラシタル我ガ悪夢―――ソレヲ掃オウナドト、ツマラヌ真似ヲシテイル畜生共メ‼天下一ト誉レ高キコノ妖刀『金釘』ガ貴様ラノ血ヲ吸イタイト鳴イテオル‥‥」

 

 エキビョウは錆びた妖刀を構えて邪気を放つ。じりじりと感じられる邪気をシャラクは感じて少しは緊張しだしたが恐れるつもりはないと身構えた。

 

「サアサア撫デ斬リニシテクレル故、ソコヨリ一歩前ヘ出ロ‼」

 

「―――言いたい事はそれだけか?」

 

 シャラクよりも早くシズクが飛び掛り、腰に提げている二振りの刀を引き抜くとエキビョウに向けて振り下ろした。その速さに反応が遅れたエキビョウは吹き飛ばされて尻もちをつく。シズクは凛とした表情が一変、氷のように冷たい視線と殺気をこめてエキビョウを睨んだ。

 

「よくもイサミに取り付いて苦しめてくれたな‥‥‼その所業、絶対に許さない故覚悟してください‼」

 

「コノ―――無粋者メ‼」

 

 立ち上がったエキビョウはシズクに斬りかかろうとした。そのエキビョウの前に墨で書かれた『一』の文字が現れた。『一』の文字が消えたと同時に鋭い剣閃が迸る。エキビョウの鎧に傷はつかなかったが攻撃の手を止める事はできた。

 

「シズクさん、その調子だぜ!」

 

 シャラクが大きな筆を肩に担いでニシシと笑いシズクの横に立つ。

 

「あの金釘野郎はもう名前で負けてやがる。力を合わせて一気に退治してやろうぜ‼」




 長くなりそうなのでキリがいい所で切りました、霧なだけに(オイ

 フォースターでもいいからシズクさん、来ないかなぁ…

 遂に登場、『大神』よりエキビョウ。
 見た目と戦い方は何かとかっこいいのに‥‥霧隠れのせいで即倒されるという影の薄いボス…中ボスだし、シカタナイネ
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