冒険者共   作:サバ缶みそ味

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 ▲のマークはシュスイとは違う転生者達の視点の話になります。


▲1 3匹が駆ける

シュスイが船出をした島から遥か彼方に離れた場所にある無人島。無人島故、そこにはこの島に生息している生物、魔物しかいないはずだった。島の浜辺に人の姿があった。一体何処から現れたのか、この島に住まう生物たちには分からない。

 

「‥‥」

 

 それは青みのかかった銀髪で海の様に青い瞳、赤いフード付きのシャツの上に青いコートを羽織り、紺色のズボン、厚みのあるブーツを身に着けた青年だった。その青年は呆れたようにため息をつく。

 

 彼の視線の先には彼とは別の人間が二人ほど、拳を交えて喧嘩をしていた。一人はポニーテールの一本結びの金髪で碧。、黒のサングラスをかけ、逞しい肉体を見せるように上半身裸でその上に黒のコートを羽織った背の高い青年。もう一人はその男よりも背は低めで、白いシャツの上に黄色のフード付きのローブを羽織り、上げた金髪で赤目で目つきの悪い青年であった。

 

 お互いの拳がぶつかり合い、どういう訳かぶつかるたびに衝撃と振動が響き渡る。そのせいかこの島に住む生物たちは怯えてしまっているようだ。二人の喧嘩を見兼ねたのか銀髪の青年はその二人の間に入って二人の拳を止めた。

 

「はいはい、そこまで。いつまで経っても埒が明かないよ」

 

「おいおい、止めるんじゃないぜ。吹っ掛けてきたのはあっちなんだからよ?」

 

 サングラスの青年は口を尖らせながらも文句を言うが、納得しているようですぐに拳を降ろした。しかしもう一方の目つきの悪い青年は未だに怒っているようだ。

 

「納得いかねって‼お前そんなイケメンボイスじゃなかったろ!?と言うかお前の姿ってどう見てもジョニーじゃねえか!ナンパでもすんのかコラ‼」

「それならお前も人の事言えないぞ?なんだ?どう見てもカラーを変えたテルミじゃないか。お前の持ちキャラだし、この世界を征服するつもりか?」

 

「だーから、喧嘩はお終い‼せっかく3人一緒に転生できたんだから文句はなしだって!」

 

 ぐぬぬとお互い睨み合う二人を銀髪の青年は止めに入る。二人は必死に止めは言ってくる銀髪の青年に苦笑いをした。

 

「それもそうだな…折角転生したんだ。人生楽しまないと。喧嘩してる場合じゃあねえ」

「しっかしまー…あれが天使のミスだなんて思いもしなかったぜ」

「ホントだよ。思い出すたびにぞっとするね…」

 

 転生者である3人はあの時のことを思い出しぞっとした。死ぬ前の世界、所謂前世では3人は同じ大学のクラスで幼稚園からの親友であった。授業が早く終わり、その帰り道、3人は今夜は鍋にしようと思い付き食材を買いに出かけていた。

 

 その途中、一人がお金を下ろすのを忘れていたため、近くのコンビニへ振り下ろしに行こうとしていた。しかしそれが運命の悪戯だったようだ。その道中、道路に飛び出して白い猫を助けた青年が大型のダンプカーに轢かれたのを目の当たりにした。最悪な事にそのダンプカーは止まることなく猛スピードで歩道に乗り出し勢いは止まらないままこっちに向かって来たのだった。3人は強い衝撃を受けて、死んだのであった。

 

「死ぬっていう感覚は無かったが、死んだと聞いてびっくりしたぜ」

「確かに、そしたらビルス様そっくりの神様が出てきたからドッキリかと思ったな」

 

 その神様曰く、天使の計算ミスで死ぬべきではない人を何人か出してしまった。その詫びとして自分達が望む世界へ転生してやろうと言ってきたのだ。

 

「そんでどこの世界に行こうか揉めたよねー」

「俺はグランブルーファンタジーがよかったぜ…」

「別に俺はこの成りになれるならどこでも良かったぞ?」

 

 何処の世界に行くか話し合いジャンケンで決めた結果、この白猫プロジェクトの世界へと行くことになった。

 

「でもそこから大変だったなぁ」

「だな。あの神様、ケチだぜ。特典が欲しいか聞いてきたくせに欲しいならなら挑んで来いとか」

 

 転生する前にそれぞれ欲しい特典を聞くと、欲しいのならば力尽くで挑んでくるがいいと言ってきてそれぞれ別々の場所で修行をすることになった。長きに渡る修行を行い、それぞれの特典と容姿を手に入れるとその場で同時にこの世界へ転生という事になったのであった。

 

「けど、青空からスタートって強引すぎると思うんだよね。死ぬかと思ったよ」

「そうか?俺は楽しかったぞ?」

「ああ!人生初めてのスカイダイビングでめっちゃエキサイティングできたぜ‼」

 

 まさかの青空から落下スタートとは思ってもおらず、銀髪の青年は終始悲鳴を上げて落下していったようだが、残りの二人はとてもご満悦の様子であった。ぶれない二人に銀髪の青年はため息をついて肩を竦めた。

 

「さて、思い出に耽るのはここまでにして…それぞれ特典ももらって名前も変えたんじゃねえのか?俺は名を改め、ジークと名乗る。得物はこの刀だ」

 

 サングラスの青年ことジークはドヤ顔で鍔のない杖の様な刀剣を見せた。それを見た目つきの悪い青年はジト目で睨んだ。

 

「まあお前の持ちキャラだしそんな気がしたぜ。特典はそのモデルとなった人の能力とあとなんかその他だろうな。んで、俺は名を改めてレイジだ。見たまんま悪そうな奴の身なりだが、特典はストリートファイターやKOF、龍虎の拳からカイザーナックルまで、俺が知ってる格ゲーの全キャラの格闘能力や身体能力等だ」

「で、女の子の体を掴んでしつこい投げをするんだな?」

「しねえよ!?これを手に入れるのに歴代格ゲーキャラ達と1000人組手とかしたんだからな‼めっちゃ死にまくったんだからな!?」」

 

 ニヤニヤとするジークにレイジはヤッケになって怒り出す。また喧嘩しそうになったので銀髪の青年が苦笑いをして止めに入った。レイジはムスッとしたまま銀髪の青年の方に視線を向ける。

 

「そんで、お前はどう名乗るんだ?」

 

「俺は…えーと、まだ決めてなかったなー。レイジにジーク…俺はクオンって名乗ろうかな。それから特典は…」

 

 特典を言おうとしたが、エイジとジークはにんまりとしてクオンの話を遮った。

 

「あー、みなまで言うな。もう見た目で分かるって」

「どうせお前の好きなゲーム、デビルメイクライのキャラの能力でも貰ったんだろ?見た目もネロまんまだぜ?」

「ま、まあそうだけどさ…流石にバレバレかー」

 

 クオンが笑いだすとジークとレイジも共に笑いだした。しばらく島中に笑い声が響く。最初にジークが笑いを終えて本題に入りだした。

 

「さてとそれぞれの自己紹介も終わったことだ。これからどうする?」

「そりゃあ勿論‼俺より強い奴に会いに行く!」

「エイジ、前世よりも脳筋になったんじゃねえか?」

「ああん?ジーク、面白いジョークだなおい?」

 

 またしても喧嘩になりそうになっているレイジとジークをクオンが止めに入った。これで何度目の喧嘩かとクオンは肩を竦めた。

 

「エイジ、まずは冒険家ギルドに行って冒険家にならなきゃ。この世界は冒険するのが一番さ」

「おっ、面白ろそうだな!じゃあまずは冒険家になるってことで行こうぜ!」

 

 クオンの提案にノリノリになるレイジだが、ジークはちっちっちと指を振った。

 

「クオン、確かに冒険家になるのはいいことだ…だが、一つ問題がある」

「それって何?」

「それは…金額だ」

 

 首を傾げるクオンとレイジにジークはさらに話を進めた。

 

「この世界にはギルドがあってそこで何でも依頼をこなす冒険家になるために登録がある。だが、それにはライセンスの登録料やら発行費用といった費用が掛かる。資格を取るためにゃ結構高額な値段が要求される」

 

 確かに、前世の世界でも資格を取るために、資格の受講料や登録料、さらには試験の費用と思った以上に値段が掛かった。

 

「3人で一緒に登録するにはかなりの費用になるだろうな。それに、今の俺達にそんな金はない」

「ん?モンスターでもぶっ倒せばドロップすんじゃね?」

「レイジ、ここはもうゲームの世界じゃないんだよ…」

 

 ゲームのようにモンスターを倒してもお金は手に入るわけではない。手に入るとすれば、ダンジョンか遺跡にある宝箱でも探すしかないだろう。だからと言って宝箱探しでは途方に暮れてしまう。

 

「そこでだ。冒険家に登録できる為にも稼ぐ方法を思いついた」

「ジーク、その方法は?」

「…ネオンの島、ジョカへ行って一攫千金することさ」

 

 100億$の夜景、100億$のドリームと言われる娯楽の島、ジョカ。確かにその島に行けば一攫千金のチャンスがある。しかし、それができるのかとクオンはやや不安げにジークに尋ねた。

 

「それってカジノで稼ぐんでしょ?流石にそれは…」

「そう心配すんな、クオン。今の俺はグレートにラッキーな男なんだぜ?」

「クオン、先の事を気にしすぎだぜ。なるようのなるさ」

 

 ジークとレイジは互いにニシシと笑いあう。クオンは一息吐いて苦笑いをした。

 

「そうだね。冒険は楽しまなきゃ。じゃあまずはネオンの島ジョカへ行こう」

「よーし、100億$$$の歌姫ファルファラさんを拝みに行こうぜ!」

「っしゃあ‼俺よりも強い奴に会い行こうぜ‼」

「うん、二人とも?もう目的が間違ってるよ?」

 

 さっそく悪乗りしだす二人にクオンはため息をついた。前世でもツッコミ役をやったのだがこの世界でもやる羽目になるとは思いもしなかった。気を取り直してクオンは次の段階を考えだす。目的は決まったので次はこの島からどうやって出て行くかだ。ここは3人で筏か船を作るかと考えたクオンは二人に話そうした。しかし、肝心の二人はすでにその場所にいなかった。

 

「おーい、クオン!ぼさっとしてねえでさっさと行くぜー‼」

 

 レイジとジークはダカダカダカダカと上半身を微動だにせず、足だけを肉眼で捉えられないほどの速さで動かして海上を駆けていた。

 

「二人ともなんで十傑走りをしてんの!?」

 

「お前、海を渡るなら十傑走りが当たり前じゃないか?」

「どしたー?できねえのなら俺がおぶってやるぜー!」

 

 ジークとレイジはお前は何を言っているんだと言わんばかりにキョトンとしていた。あっちが間違ってるのかこっちが間違っているのかとクオンは混乱していたが、羞恥と遠慮を捨ててやむを得ずクオンも十傑走りをして二人に追いつき、3人でネオンの島ジョカを目指して海上を駆けて行った。

 

 

____

 

 帝国海軍特務少尉、カモメ少尉はこう語った。

 

「え、えっと…それは遠洋航海演習の事でした。遠方の方で何か走ってるのが見えたのでモンスターかと思い、望遠鏡で確認したんです。それはモンスターではなく‥‥人でした。3名ほど、上半身を微動だにせず足だけを物凄い速さで動かして海上を駆けていました。う、嘘じゃありませんよ!?目を疑ってもう一度望遠鏡で覗いたんですがやっぱり人が物凄い速さで海上を走ってたんです。こうダカダカダカって…人離れした感じでした。ゆ、幽霊だったのかなぁ‥‥わ、私?疲れてませんよ?た、確かに長い遠洋航海演習で少し疲れましたけど。ほ、本当に見たんです‼」

 

 

 そして帝国海軍特務少尉、カモメ少尉は日頃休まず務めていたということで1週間ほどの休暇を貰ったという。

 




 レイジはブレイブルーより、テルミさん、ジークはギルティギア、ジョニーをモデルに、そしてクオンはデビルメイクライ4よりネロみたいな見た目(コナミ感

 ▲ではこの3人がメーンの物語になります。▲のシュスイと出会ったり、一緒に冒険したりするときは◎▲と表記します…合流できたらいいなぁ…
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