冒険者共   作:サバ缶みそ味

8 / 29
 茶熊学園の3学期が来るようですね…ワクワクすっぞ!

 3学期の登場キャラ‥‥オスクロルさんが来そうな気がする。いや、もしかしたらルカかレインか…いや、今年こそルーシーが来てほしいなぁ(切実


▲4 貴石のアステリズム③

見るからに白のようで豪勢であったリヒャルト・ゾーゲンの屋敷は大荒れであった。屋敷内の広間では護衛兵達が剣や斧を持って侵入者を始末するために勇ましく振るう。

 

 そんな護衛兵達の猛攻を翡翠色と空色の双剣を持った金髪の長いポニーテールをした、白と鮮やかな装飾のドレスを着た女性、ルーンナイト序列六位、エスメラルダは軽々と交わしていく。

 

「そんな攻撃、当たらないわよ‼」

 

 エスメラルダは全ての攻撃をかわし終えると翡翠色の刃と空色の刃を振るう。護衛兵達にはエスメラルダの剣は目にも映らぬ剣閃に見えた。防ぐ術も成す術もなくあっけなく次々と倒されていった。

 

「がはっ‼ば、化け物め…」

 

 一人の護衛兵が苦し紛れにエスメラルダに向けて罵声を飛ばして倒れた。そんな護衛兵にエスメラルダは肩を竦めてため息をついた。

 

「…失礼しちゃうわね。子供、食い物にする方がよっぽど化け物じゃない」

 

 お金目当てにロビンに近づき、遺産を我が物にして彼を亡き者にしようとしたリヒャルト・ゾーゲンを許せなかった。エスメラルダはロビンを助ける為に刃を振るう事を決めた。護衛兵達の残りの数を確認し、一気に片付ける事に取り掛かることにした。

 ふと、すぐ近くで派手な銃声と同時に赤いバラの花弁が散っているのが見えた。

 

「ルビィったら…またキレちゃったのね」

 

 エスメラルダはやれやれと苦笑いしつつ軽くため息をつく。ルビィは少し怖がりだけども真面目でしっかりしてて、キレると暴走とまではいかないがめっぽう強い可愛い後輩である。

 

 

 

「もう嫌ぁぁぁぁぁっ‼休暇なのに‼休暇なのにぃ‼」

 

 

 赤い軍服の様な服装をした金髪で宝石のような瞳の女性、ルビィは涙目になりながら叫びながら愛銃であるフライクーゲルを乱射する。リヒャルト・ゾーゲンの家令、ルドルフは赤い宝石のような弾丸を必死に防いでいた。

 

「ぐっ…なんだこの女…!?先ほどまでとは違う力を…っ!」

 

 ルーンナイト狩りの経験のあるルドルフにとって怖がりながら戦うルビィは相手にはならなかった。しかし、事態は急変、ルビィが涙目になった途端に急に強くなった。想像以上の力にルドルフは抵抗すらできなかった。

 

「折角の休暇なのにっ‼どうしてこんな強くて怖い人と戦わなきゃいけないの!うわああああんっ‼」

 

 ルビィの愚痴のような叫び声にエスメラルダは苦笑いをする。少し暴走気味だけれども今のルビィならあの手練れの男を倒すことができるだろう。エスメラルダは次にサフィラの方へ視線を向けた。サフィラはロビンのこめかみに銃を押し付けているリヒャルトをじっと睨んでいた。

 

「こ、これ以上動くな!このガキを射ち殺すぞ‼」

 

 リヒャルトは次々に護衛兵達を倒していくエスメラルダに、家令を圧倒的しているルビィに、そしてこちらをじっと睨みつけているサフィラに向けて叫んだ。こちらには交渉の材料があるし、人質がいる。それでも尚彼女達は止まることは無かった。唖然とするリヒャルトにサフィラはため息をついてダーツを取り出した。

 

「なんだ、そのダーツは?そんなオモチャで銃と戦うのか?」

「‥‥試してみる?」

 

 サフィラの一言にエスメラルダは彼女が怒っている事、そしてサフィラがダーツを持ったのを見てすぐに決着が付くことを確信した。この勝負はすぐに終わる。

 

 サフィラはダーツを持ったまま何処を狙うか目で確かめる。

 

(ロビン君のこめかみに銃を押し付けてる‥‥)

 

 この状況は一発で仕留めなければロビンの命が危ない。サフィラは集中して狙いをさらに絞る。

 

(動きを止める、手を狙う。止めを刺す‥‥一瞬で)

 

 何処を狙うか、どうやって仕留めるか、照準が定まった。ならば先手必勝。

 

「今っ‼」

 

 サフィラはダーツを投げた。二つのダーツはリヒャルトの目にも止まらぬ速さで飛んでいく。飛んでいく先は一本はロビンのこめかみに銃を押し付けている手、そしてもう一本はリヒャルトの腹部。投げたダーツは外れない。このままリヒャルトに直撃‥‥するはずだった。二つの銃声と共にダーツは軌道を反れて弾かれた。

 

「外れた…っ!?」

 

 ダーツが外れたことにサフィラは驚愕し目を見開く。今まで自分が投げたダーツが外れることは無かった。今初めて外されたのだ。

 

「いやー‥‥危なかったですね、リヒャルトさん」

 

 聞き覚えのある声にサフィラはピクリと反応した。そして声のする方へと目を向けると驚きと絶望で静止してしまった。

 

「そんな‥‥君は…!」

 

 忘れるわけがない。今そこにいるのはあの時の宿屋で出会ったフード付きの赤いシャツに青いコートを着た、クオンで間違いなかった。リヒャルトはクオンが来た途端に安堵と勝利を確信したかのように一息ついた。

 

「遅いぞ用心棒‥‥さっさとこいつらを仕留めろ」

 

 リヒャルトの命令にクオンはため息をつき、六連装大経口リボルバー『ブルーローズ』をホルスターにしまうと背負っている大剣『レッドクイーン』を引き抜いてサフィラの方へと切っ先を向けた。

___

 

「サフィラのダーツを弾かせた…!?」

 

 エスメラルダはサフィラの投げたダーツを防いだクオンに驚きを隠せなかった。この戦いはすぐ済むと思っていたがまさか用心棒を雇っていたとは思いもしなかった。

 

「はやく手助けしなきゃ…!」

 

 恐らくあの用心棒は本気で掛からないと勝てる相手ではない。エスメラルダはサフィラのアシストをしようと向かう。

 

「ひゃっはぁぁぁっ‼ここは通さねえぜーっ‼」

 

 するとどこからともなく喧しい声が響くとエスメラルダの行く手を遮るかのようにレイジが駆けてきたと同時に蹴りをお見舞いした。エスメラルダは双剣で防ぐが震動が体に響いた。

 

「っ‼もう一人、用心棒がいたのね!」

 

 エスメラルダの振るう双剣をレイジは軽々と躱す。横へ薙いだ一閃をレイジはバックステップで後ろへ下がると足に力を入れて一気に迫る。突然の速さにエスメラルダは咄嗟に双剣を振るうがレイジはひらりと避けて懐へ迫った。

 

「‼しまっ…」

「バァァァンナッコォォっ‼」

 

 れイジは拳に気合いと闘気を纏わせ正面へかっ飛びストレートパンチをぶち込んだ。エスメラルダは双剣で防ぐことができたが、衝撃は抑えることはできず壁へとぶっ飛ばされてしまった。

 

「くっ‥‥‼」

 

 ダメージを受けつつもエスメラルダは立ち上がり双剣を構える。そんな彼女の様子にレイジは不敵な笑みを浮かべて拳を鳴らす。

 

「おぉー…あんた強いだろ?これは楽しめそうだぜ‼」

「少し厄介ね‥‥」

 

 エスメラルダは苦虫を嚙み潰したようにレイジを睨む。

 

__

 

「うわあああん‼怖いぃぃぃっ‼」

 

 ルビィは涙目で一心不乱に銃を乱射する。折角の休みなのに、折角のリゾートなのに、どうしてこんな怖い思いをしなきゃならないのか、どうしてこんな強い人と戦わなきゃいけないのか、訴えるかのように撃ち続けた。

 

 彼女が放った赤い宝石のような弾丸はルドルフに直撃しようとした。しかし、『シャリンッ』と何かが斬れた金属音がしたと同時に弾丸が全て斬られ赤いバラの花弁が散った。

 

「っ!?」

 

 突然の事にルビィは泣き止み、びくりと止まった。彼女の前には逞しい肉体美を見せるかのような上半身裸の上に黒いコートを着た、鍔の無いの杖のような刀剣を持ったサングラスをかけた男、ジークが立っていた。

 

「だ、誰…っ!?」

「そう泣くことはないぜ、レディ。折角のカワイイ面が台無しだ」

 

 ジークは口説きながら笑顔でルビィに近づいた。

 

「ひっ…こ、来ないでぇぇぇっ‼」

 

 ルビィは怯えながら銃を乱射した。しかし、弾丸は当たることなくジークの前で全て斬られていく。目にも止まらぬ居合斬りで弾丸を斬りながらルビィへと近づく。そして目の前まで近づくとジークは手をルビィの顎下に触れ、クイッと顔を上げさせて笑顔で微笑んだ。

 

「怖がることはねえ‥‥泣くなら俺の胸で泣きな」

「ふぇっ!?えっ?えっ!?」

 

 突然口説いてくるジークにルビィは戸惑った。ジークは他の護衛兵達やルドルフとは違い怖くなかった。それがどうしてなのかルビィは混乱する。

 

__

 

「二人とも無茶苦茶しすぎだよ‥‥」

 

 暴れるエイジに、口説いているジークにクオンは肩を竦めてため息をついた。しかしこちらも事態を片付けなければならない。クオンは戸惑っているサフィラを見つめた。

 

「クオン、どうして君が‥‥!?」

 

 サフィラは絶望と戸惑いの様子でクオンを見つめていた。クオンは答えず無言のままレッドクイーンをサフィラへと向ける。

 

「いいぞ‼そいつらを殺せ‼そうすれば報酬は今までの倍にしてやる‼」

 

 クオンの後ろではロビンのこめかみに銃を押し付けているリヒャルトが勝ち誇ったようにクオンに向けて叫んでいた。クオンは無言のまま、後ろを見る。彼が見つめる先は雇い主のリヒャルトではなく、ずっとこっちを見ているロビンであった。ロビンは目を潤わせながらクオンを見つめていた。

 

「お兄ちゃん‥‥」

 

 不安の眼差しで見てくるロビンにクオンは目を瞑って大きく息を吐いた。もうやる事は決まっていた。

 

「ぼさっとするな‼さっさと始末しろ!報酬か?もっと報酬が欲しいのか?ならば望みの額を払ってやるぞ‼」

 

 リヒャルトの怒声にクオンはどうでもいいかのようにため息をつく。

 

「わかりました‥‥それじゃあさっさと片付けます」

 

 クオンが動くことにサフィラは身構えた。しかし、クオンはそれは気にせず話を進めた。

 

「その前に一言言わせてください‥‥お世話になりました」

「は?それはどういう意ry‥‥ほぶぅぅっ!?」

 

 クオンは勢いよく後ろに向くと同時にリヒャルトの顔面に思い切り拳をぶつけて殴り飛ばした。

 

「えっ‥‥?」

 

 クオンの行動にジーク以外、全員が動きが止まった。クオンはそんな事は気にもせずにロビンの下に歩み寄ると優しく微笑む。

 

「怖がらせてごめん。もう大丈夫だよ」

 

「‼お兄ちゃん‥‥!」

 

「貴様…どういうつもりだ‼」

 

 ロビンの安堵した表情とは反対にルドルフはクオンを睨みながら怒声を飛ばした。

 

「そのまんまですよ。用心棒、辞めます。騙して子供を殺して遺産を我が物にしようとする連中とこの子を守る為に戦う彼女達、どっちが正しいってのは一目瞭然でしょ‥‥まあ元より彼女達の味方になるのは最初から決まってたことですから」

 

 クオンはロビンを連れてサフィラの下へ歩み寄る。サフィラは未だに混乱していたが、クオンは申し訳なさそうに微笑んだ。

 

「サフィラ…ごめんよ。償う為に許してもらう為に寝返ったわけじゃない。ロビン君を守るために、ロビン君をお姉さんの下へ無事に帰す為に共に戦わせてくれ…!」

 

 クオンの真剣な眼差しに、彼が自分達目当てに、報酬欲しさに、私欲のためにこちらへ寝返ったわけではないことを悟った。サフィラは微笑んで頷きクオンの手を握った。

 

「クオン…君が本気でロビン君を守りたいのが分かったよ。一緒にロビン君を守ろう…!」

「‼‥‥ありがとう」

 

「この裏切り者がっ…‼」

 

 怒れるルドルフはクオンに向けてナイフを投げた。しかし、クオンに向けて飛んだナイフはジークの剣に弾かれた。

 

「いい感じなお二人に水を差すたぁ、そいつは野暮だぜ?」

「なっ…貴様もか!」

「クオンは俺達の大事なダチだ。共について行くのは当り前さ」

 

 ルドルフがナイフを構えてジークに襲い掛かる。しかしジークに向けて振るったナイフは空を切り、ジークは既にルドルフの横を通り過ぎていた。いつ刀を抜いていたのか、ジークは刀を回して鞘へと納めた。

 

「見惚れてな‥‥」 

「がっ!?」

 

 ジークが刀を鞘へと納めたと同時にルドルフの体に剣の一閃が迸る。痛々しい短い悲鳴を上げてルドルフは倒れた。

 

「ハッピーエンドの条件は、ハンサムが勝つことさ。さてと‥‥へぇい、彼女!これ終わったら一緒に飲みに行かない?美味しい酒の出るバーを知ってるぜ?」

「えっ?えええっ!?わ、私ですか!?」

 

 ジークはかっこよく決めるとすぐにルビィを口説き始めた。こんな状況でも口説いてくるジークにルビィは混乱していた。

 

「‥‥」

「‥‥」

 

 離れて奮戦していたエスメラルダとレイジはこの状況に無言のまま見つめ合っていた。多少気まずい空気が流れていたが、エスメラルダがジト目で尋ねてきた。

 

「‥‥で、あの人達は味方になるっていうのだけど、貴方はどうなの?」

「あー‥‥うん、俺、あいつ等のダチだし‥‥だ、ダメかなぁ?」

「…いいんじゃない?貴方のような暴れん坊が味方になると心強いし」

「そうだよな!っしゃあぁぁっ‼もうひと暴れするぜええっ!」

 

 レイジは颯爽と護衛兵達へと向かって行き戦っていった。そんな大暴れしているレイジにエスメラルダは苦笑いをする。

 

「何と言うか…単純すぎる人ね」

 

 こうしてルーンナイトの下にクオン、ジーク、レイジが味方に加わりあっという間に片付いてしまった。

 

___

 

「二人とも、忘れ物はない?」

 

 リヒャルト・ゾーゲンの屋敷での騒動から翌日、クオン達3人は港にいた。用心棒を辞めた3人はこの島に長居する必要がないというわけで次の島へと移る事にした。路銀には余裕があったので少し大盤振る舞いをして飛行船に乗ることにしたのだ。

 

「おう!忘れ物はねえっていうか…そんなに荷物とかねえけどな‼」

「‥‥クオン、彼女達に会わなくていいのか?」

 

 ずかずかと乗り込むレイジとは裏腹にジークは彼女達に何も言わずに去ることにクオンは後悔はないのか尋ねた。クオンは笑って首を横に振る。

 

「いいんだ。俺達はただ出しゃばっただけだし、後の事は大丈夫だよ」

 

 ルーンナイトの彼女達なら今頃、無事にロビン君をロビンのお姉さんの下へ帰しているだろう。それに、その後は別の任務に赴くことになっているし、会うことは無い。

 

「まあ…一期一会ってやつだ。きっとまた会えるさ」

「そうだね。というか、一番寂しがってるのじゃジークじゃないの?」

 

 戦いが終わった後もジークは何度もルビィに口説いていたし、誘っていた。そんなジークは図星なのか口笛を吹きながら視線をそらしていた。よっぽどルビィと別れるのが寂しいのだろう。

 

「うん大丈夫‥‥まだまだ美女はごまんといるんだ。頑張れ俺」

「下心だだ洩れだよ‥‥」

 

「おおーい!早く乗ろうぜー‼飛行船とか中すげーし‼」

 

 レイジが楽しそうにこちらに催促する声を掛けてきた。まだまだ出航には時間があるが、ここに何時までもいる理由もない。クオンとジークは頷いて飛行船へと乗ろうとした。

 

「クオン‼待って‥‥‼」

 

 ふと、クオンを呼ぶ声が聞こえてきた。声のする方へと振り向くとサフィラがこちらに向かって走ってきているのが見えた。

 

「サフィラ‥‥!?」

「ふ、ほら行ってこい」

 

 驚くクオンにジークはにやけながらクオンの背を押し、自分はそそくさと飛行船へと乗り込んでいった。追いついたサフィラは咳き込みながらクオンに微笑んだ。

 

「けほっ、けほっ‥‥何も言わずにどこか行くなんてずるいよ、クオン」

「サフィラ…どうしてここまで…」

 

 驚いているクオンにサフィラは息を整えてから答えた。

 

「うん…どうしても聞きたいことがあって」

「き、聞きたい事?」

「クオン‥‥どうして君はボク達を助けてくれたんだの?」

 

 その問いにクオンは戸惑った。それは自分達がこの世界の事を、白猫の世界で起きる出来事を、物語を知っているからだと言うわけにはいかない。クオンは考えて、深く考えて、悩みながらも考えて答えた。

 

「それは‥‥助けたい、って思ったからかな」

 

 多少くさくても、寒くても構わない。自分が素で感じた事思った事で答えた。そんなクオンにサフィラは優しく微笑んだ。

 

「やっぱり…クオンは優しいね。あのさ‥‥実はクオンが敵として対峙した時、本当は怖かったんだ。戦いたくなかったって思ったよ。でも、クオンがボク達を助けてくれた事、一緒に戦ってくれた事にボクは…」

 

 サフィラはそう伝えつつ、クオンにギュッと優しく抱きしめた。

 

「嬉しかったんだ‥‥どうしてか、分からないけど、心の底から嬉しかったんだ。ありがとう、クオン」

 

 クオンの手はどこへ行ったらいいか分からず固まっていたが、その両手はゆっくりとサフィラの背中へと抱きしめるように動いた。

 

「‥‥サフィラ、また会えるかな…?」

「‥‥分からない。ルーンナイトは常に任務に駆り出され、戦い続けてる」

 

 貴石の国、センテリュオのルーンナイト達は常に任務に赴き休みのない戦いをしている。このクロン島に来たのは貴重な休暇を得て一休みしに来ただけ。この島から出ると彼女達は再び任務へと赴く。もう出会うことは無いのかもしれない。

 

「でも‥‥きっと、きっと必ずまた会えるよ」

 

 サフィラは嬉しそうに微笑んだ。彼女の微笑みにクオンはドキリとした。お互い少し顔が赤くなっているのは何となくわかる。クオンは口を開いて話そうとした。

 

「おーいクオン‼早くしねえとジョカ行きの飛行船が出ちまうぞーっ‼」

 

 この時間の終わりを告げるかのようにレイジが大きな声で呼んできた。気づけばもう出航する時間だ。飛行船からももう間もなく出航する放送が流れている。

 

「‥‥もう、行かなきゃ」

「うん‥‥」

 

 クオンとサフィラはこの時間を惜しむかのようにゆっくりと離れる。クオンは去り際にサフィラに微笑んだ。

 

「またね、サフィラ…」

「クオン、またね」

 

 互いに手を振り、クオンは飛行船へと乗り込んだ。船内ではレイジがニヤニヤしながら、ジークはふっと笑って待っていた。

 

「おいおい、いつの間に良い関係になってんだ?アマイなコノヤロー」

「クオン、またすぐに会えるさ」

 

「二人とも‥‥ありがとう」

 

 クオンはニッと笑って声耐えた。彼らなりに励ましてくれているのは分かっていた。ジークとレイジは自分以上に不器用だから。

 

___

 

「‥‥」

 

 サフィラは無言のまま、空へと飛んでいく飛行船を見送っていた。

 

「こっそりついて行ってもよかったのに」

「私達で任務はやっておきますよ?」

 

 そんなサフィラにエスメラルダとルビィは苦笑いしつつ歩み寄る。サフィラは笑顔で首を横に振った。

 

「大丈夫。ボクもルーンナイトだし、ちゃんと任務は受けないと。それに…きっとまた会えるから」

 

 どうしてかわからないけれど、そんな予感がしていた。予知とか預言とかではないのだけれども、自分にはそう感じている。

 

 彼らはジョカへ向かうらしい。彼らの旅路が楽しいものであるとサフィラは願った。

 

「ところで、あの3人組、ジョカ行きの飛行船に乗ったと思ってるようだけど‥‥あれ、氷の国行きの飛行船だっていつ頃気づくかしら…?」

「えええええっ!?」

 

 彼らの旅はどうなることか、少し心配になってしまった。

 




 貴石のアステリズム編は2話で終わるかなと思ったら結構続いた‥‥(白目
 3バカは今度は氷の国へ…はてさてどうなりますことやら(他人事
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。