もし、フリーザ様が美女でその部下になれたなら幸せになれるのでは? 作:かなりあ
フリーザ軍本拠地
そこから少し離れた岩石に囲まれた山
そこでは1人の戦士が涙の代わりと言わんばかりに怒りを撒き散らしていた
彼は誰からもエリートと認められる程の家系と実力を持っており、いつかはこの宇宙を統べる者になるとまで期待されていた
しかし、現実はどうだろうか?
自分を王子だと尊敬していた兵士達も
自分を厳しくも見守ってくれた父も
共に戦ってきた屈強な戦士達も
その殆どが知らぬ間に消えていたのだ
彼が惑星ベジータに残っていようが、いまいが
その結果は変わらなかっただろう
ただ、彼の中には何も出来なかった
何も知らなかったと言う
気持ちの悪い物が心の中を渦巻いているのだ
そして、彼は気づいた
この気持ちこそが王子として自覚しなければならないものだったのだと
そして、彼は決意した
王子として、エリートとして
必ず奴を打ちのめすことを
ーー少し離れた場所
「おいおい、あんなに荒れたベジータ初めて見たぜ」
「そうだな、アイツにも思うところがあるんだろう」
ナッパが呑気に話しかけて来るのでうんざりしながら適当に返事をした
こいつは、いつもと変わらずベジータの強さだけを見ている
俺達の故郷が壊されたって言うのにだ
俺も別に悲しんでいる訳ではない。俺達は戦士だ。いつかは戦いの中で死んでいくのだ。それが早まっただけ。
最後まで、アイツに...クソ親父に勝てなかったのは心残りだが...
「お、そう言えばラディッツ。お前の弟はどうなんだよ。確か地球って辺ぴな惑星に飛ばされたんだろう?」
「心配などしていない。いくら子供だろうがサイヤ人だ。地球人如きに殺される事は有り得ん。」
はっ、そうかよ。とナッパは言い残し、基地へ戻って行った。
カカロットは、クソ親父とババアがポッドで地球へ向かわせた。
俺には、地球の制圧を任せたとか何とか言っていたが、きっとアイツには分かってたんだ。だから、俺をベジータに同伴させ、カカロットを地球へ送った。
「ちっ、最後まで気に食わない野郎だ」
もう少しベジータの様子を見ていようかと思っていると、先ほど飛んでいったナッパが戻ってくるのが見えた。
「ラディッツ、フリーザがお呼びだぜ。」
幼いサイヤ人が乗ったポッドが発着場に着いた。
この報告を受けて私は会議を抜け、確認しに来た。
別にいつ争い出すか分からない、退屈な会議を抜け出したかった訳では無い。
理由はこれが想定外の事だからだ。
サイヤ人共を消す時に、もし誰かが生きていればその事がベジータに伝わってしまう。
そうなれば、多少なから私の計画に遅れが生じてしまう。
その為に誰もポッドを使っていないことまで確認したと言うのに、ここにポッドが着いたということは他にも惑星の外へ逃げたサイヤ人が居るかもしれないという事だ。
「全く、面倒な事になりましたね...」
「フリーザ様!ラディッツとナッパが今こちらに向かっております!」
「そうですか、報告ありがとうございます。」
ラディッツを呼んだのにも理由がある。
確かラディッツには幼い弟が居たはず、つまりその周りに居たサイヤ人にも見覚えがある筈だ。
それが分かれば生き残りがいるのか、判断が付きやすい。
「それにしても、どうやってここまで辿り着いたのか。本当に逃げたサイヤ人が居たならならわざわざここに送る必要はないでしょうしね....」
ラディッツ達より一足先に着いた私は考えるより見た方が早い、と早速会うことにした。
部下が銃を向けている先には、ほんの5歳程の少年が混乱した様子で立ちすくんでいた。
殺気を向けられているにはあまりに落ち着いている様子を見ると、少し嫌な予感がしてきた。
「皆さん、一旦銃を下ろしなさい」
「「はっ!」」
警戒を解く為に武器を下げさせ、目の前まで歩んでいく。
こうすれば、私が味方だと勘違いしてくれるだろう。
「大丈夫ですか?貴方、名前は?」
「....」
「おっと、すみません。名乗るなら自分からですね。私の名前は、フリーザ。以後お見知りおきを。」
「え...フリーザ....?」
ようやく喋ったと思いきや、一層混乱した顔をするようになった。
私がフリーザだと言うことを知らなかったのだろうか?
この年齢だ。顔が知られてない事もあるかも知れない...
「ほ、本当に貴女がフリーザ様なのですか?」
「えぇ、そうですよ?何か不思議な事でも?」
会話できたと思ったら、また考え事。
一体何を考えているの分からない。
「あ、あの...!!フリーザ様!」
「えぇ、次は何でしょう?」
「私を是非...フリーザ軍に入れてください!」
「えぇ、もちろん...はい?」
フリーザ軍に入りたい...?
本当に私の事が分かっているのでしょうか...
と、考える暇もなくラディッツ達が到着したようなので一旦任せることにした。
ラディッツには、正体を探れ、危険因子なら任せる。とだけ命令しておいた。
奴らも今私に歯向かう訳にはいかないはず。まぁ、仲間に引き入れる可能性もないが、見た所ただの子供だ。危険はないでしょう。
そう確信して、私はまたあの億劫な会議へと向かうのであった。