カルデアで送るベル・クラネルの日常   作:自堕落キツネ

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ジャンヌ・ダルクと干し草のベッド

カルデアでは、マスターとマシュの休養とサーヴァント達との交流の為に、休養日を設定し、シミュレーションルームを開放している。

 

マスターは以前、ジャンヌとの雑談で「干し草の山で眠るのは抗いがたい魅力がある。」と話していたのを思い出した。

その為、今日のシミュレーションルームではのどかな村を再現していた。

 

「「「「はふぅ~。」」」」

 

ふにゃふにゃとした顔で干し草の山に寝転がる立香とマシュ、ジャンヌにベル。スカートは不用心なので女性陣はズボンを履いている。

ポカポカとした陽気と時折吹き抜ける風、このまま眠りそうな程穏やかで安らぎを得る空間に、立香とマシュは確かに抗いがたい魅力だと感じていた。

ベルは故郷の村を思い出し、幼い頃はこうして寝転がりながら、祖父に英雄譚を語ってもらっていたのを懐かしんでいた。

他の干し草の山にも生前を懐かしみ寝転がっている者や、動物達と過ごしている者が居る。

 

少し離れた所では、料理上手な面々が簡易キッチンで調理をしていた。

厚切りのパンに半熟の目玉焼きを乗せた『天空パン』や、温められた山羊のミルクと、トロリと溶けたチーズを乗せた黒パンの『アルプスセット』等々。美味しそうな香りを辺りに漂わせている。

尚、エミヤはフードファイターのような勢いで食べる剣、槍、槍黒、弓のアルトリアにせっせと料理を提供していた。助けを求める視線からは皆目を逸らし、それぞれの時間を楽しんでいた。

 

「アキレウスゥゥゥゥ!!」

 

「ちょっ、待て待て!?頼むからもうちょい昼寝させてくれぇぇぇ!!」

 

やや離れた所では、うたた寝していたアキレウス(Lv.50)がエルドラドのバーサーカー(Lv.90)に見つかり全力で逃げているが、マスターからの頼みで訓練の無い休養日は戦闘は非常時以外自重するようにしている。

強制的に彼女に我慢させるのは生前の因果から考えると困難なため、一時的な発散としてガチ鬼ごっこが唐突に開催されるのだが、こちらも下手に関わると怖いので皆視界から外している。

目の色が反転している彼女だがマスターの意見は尊重し、命を獲ることはしない。()()

 

 

───────────

 

 

「ふふ、本当は彼女にもこの気持ち良さを知ってほしいのですが、彼女はカルデア(ここ)には居ませんからね。」

 

「ジャンヌオルタさんですか?」

 

「えぇ。」

 

「きっといつか来てくれますよ。」

 

「えぇ、その時を楽しみにしてます。」

 

「………。」

 

「………ベル?」

 

ウトウトと眠気を感じながら会話を交わしていると、不意に会話が途切れた。

ジャンヌが覗いてみると、クカー、と眠っているベル。

その寝つきの良さに少々驚いたジャンヌだが、不意にイタズラを思いついたらしく、笑顔になるとベルに近寄り横から抱き着いた。顔をベルの髪に埋めるようにすると、髪の感触が心地良い。

ベルの顔はジャンヌの胸に埋まる形になり、起きたらどんな反応をするんだろう。

とワクワクしながら、ジャンヌも陽気に身を任せ眠るのであった。

 

ベルの目覚めが実に面白いことになったのは、言うまでもないことである。


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