カルデアで送るベル・クラネルの日常   作:自堕落キツネ

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復刻してますし、ノリでつい書いてしまいました


Wイシュタルとカジノ

「バカな!!あれがイカサマでは無いだと!?」

 

「はい。恐るべきことに彼は純粋な幸運であれを成しているようです」

 

「「もっと、もっとよベル!!ジャンジャン稼ぎなさい!!」」

 

「ま、まだですか?イシュタル様~」

 

とある国のカジノにて、色違いのドレスを着た二人のイシュタルが、目の前で積まれていくチップに高笑いをしながら、集まってきた周りの視線を気にしているベルに更に稼げと指示を出す。

 

さて、こうなった原因とは何か。と問うならば、それはベルの物語に関係する。

原作『ファミリア・クロニクル episode:リュー』において、ベルはカジノのルーレットで大勝ちしている。

それ故か、カルデアでの遊戯の一種としての賭博全般において無類の強さを発揮してしまうのだ。

具体的には

ポーカーならば配られた時点で「ロイヤルストレートフラッシュ」が完成しているなど、手札で勝負する物は開始時点でほぼ完成しており、

ブラックジャックではハートとスペードのジャックをスプリットしたらハートとスペードのエースで二つのブラックジャックが完成(作者のゲーム内での経験)したり、

ちんちろりんでは親の出目が「五」、子の一人目が「ピンゾロ」次と自分が「奇の見」(前の人と同じ出目になる)になったり(こちらも実体験)ととにかく賭け事に強い。

そのため、ベルはカルデア内での賭博全般を自粛していたのだが、それを聞きつけたイシュタルに引っ張られ、カジノでの荒稼ぎへとなってしまった。

どうやらイシュタルは何かの目的を持って荒稼ぎをして(させて)いるようだ。決して、このお金で大量の宝石を買い占めるのでは無いようだ。

ベルにも詳しくは明かされていないが、それが「カルデアの為になる」と断言されたために積極的ではないが協力はしたようだ。

 

 

 

――――――――――

 

 

「「~♪それじゃあベル、お疲れ様。私達はこれから用があるから………」」

 

鼻唄混じりに満面の笑顔でカルデアへと帰ったイシュタル達は、()()を進めるべくベルと別れ自室へと向かおうとしていた。が、

 

「む?そこに居るのは駄女神(イシュタル)とベルではないか」

 

「やぁ、ベル君」

 

「おはようございます。神イシュタル、クラネルさん」

 

廊下の向こうから現れたのはギルガメッシュ(術)とエルキドゥ、概念礼装「献身の巫女」のシドゥリであった。

 

「「げぇ、ギルガメッシュ、それにエルキドゥまで。あぁ、おはよう、シドゥリ。って、ギルガメッシュ、あんた今変なルビ無かった?」」

 

「おはようございます。ギルガメッシュさん、エルキドゥさん、シドゥリさん」

 

「フン、ベルよ、何故お前が駄女神(イシュタル)なんぞと一緒に居る?」

 

「そうそう、早く離れた方が良いよ」

 

「え、えぇ~っと」

 

顔を合わせてすぐにイシュタルをディスる二人に冷や汗を流すベル。

 

ギルガメッシュとエルキドゥはベルを気に入っているため、イシュタルと居ることをよく思っていないようだ。

何故二人がベルを気に入っているのか。

これもベルの物語に関係している。

(ゼウス)に育てられ(ヘスティア)の眷属となり(へファイストス)の鍛えた武器を装備しているのは気に入らないが、

(アポロン)の眷属を打ちのめし(ヘルメス)の描いた英雄への筋書きを断ち切り

そして何よりも、世界がそもそも違い神の権能を使えないとはいえ、美の女神であるイシュタルの魅了をはね除け、『美の女神』の顔に無自覚に泥を塗ったのが理由である。

 

初めてその場面を読んだ時は二人とも珍しい程に大笑いしたそうだ。

 

 

ベルがイシュタルにカジノへと引っ張られた事に、ベルを連れていった事に理解はしたが、何を企んでいるのかと訝しんでいたが、どうせ失敗するだろうと判断した。

 

「フン、駄女神(イシュタル)よ。貴様が何をするつもりかはどうでもいいが、(おれ)に余計な手間をかけさせるなら、分かっているな?その時は貴様に貧乏神の呪いをかけるからな」

 

だが、念のためと釘を刺してはおくようだ。

 

「「大丈夫よ。私達が失敗なんかするわけないじゃない」」

 

「ハ、どうだかな」

 

「「今に見てなさい。吠え面かかせてやるわ」」

 

余裕綽々に見下すギルガメッシュとその態度が気に入らないイシュタル、二人のやり取りにオロオロしているシドゥリとベル、ニコニコと見ているエルキドゥというやや混沌とした(カオスな)空間に、偶然遭遇したマスターが乱入する。

 

「やっほー、て、どうしたの?廊下(こんなとこ)で」

 

「なに、いつものことだ(イシュタルが何かやらかす前兆)」

 

「あぁ、いつものことね(単なるじゃれあい)」

 

認識に齟齬が有るのに気づかずに、会話は進む。

 

「じゃ、私はマシュと約束があるから!」

 

ガシッ「へっ?」ピューーー「ホワァァァァ!?」

 

わざわざ魔術で強化してベルを連れていったマスターに、残された五人は微笑ましく思う。

 

「では行くぞ。エルキドゥ、シドゥリ」

 

「そうだね」

 

「はい、ギルガメッシュ王。失礼します、神イシュタル」

 

「「あ、うん、じゃぁねシドゥリ」」

 

すぐに別れ、それぞれの行き先へと向かう。

 

イシュタルがこの後何をするのか。その結末までを見たギルガメッシュが堪えきれずに笑い声をあげるまで後数分。




ギルガメッシュ(術)とエルキドゥはマイルームボイスでは会わない雰囲気でしたが、このカルデアではベルが「サーヴァントにとっては一時の夢のようなもの、なら友達と会っても悪いことじゃない」みたいなことを言って説得した感じで納得いただければ。

読み返してみて、「拉致」は止めておきました。
配慮、というよりは文字のイメージがなんとなく違ったので。

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