ハイスクールD×D 魔王ルシファーの親友はルシファー   作:竜星

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第12話:明星VS不死鳥

 広場の中へ入ると早々、俺は視線の先にリアスの姿を捉えた。

 いきなりのことに参加した悪魔たちの視線が俺へと向き、驚いたような表情をするものが続出する。談笑していた悪魔たちが、一瞬にして動揺を隠せずにざわざわと騒ぎはじめた。

 視界に届く距離にいたグレモリー眷属たちは、この異様な動揺に戸惑いを見せている。

 そんな中、パーティに参加している悪魔の一人がポツリと呟いた。

 

「まさか……。『明星の光明(ルシファー・オブ・レイ)』……っ!」

 

 かつての俺の異名が呟かれ、ざわざわとした会場の喧騒はさらに増していく。

 それを完全に無視して、俺はリアスへと視線を向けた。

 

「迎えに来てやったぞ、リアス」

 

 リアスとの距離はかなり離れていたが、それでも涙ぐんだのはわかった。赤いドレスを身に纏っているリアスは、両の手で口元を抑えている。

 この状況から解放されるかもしれない。その希望が持てただけでも、リアスにとってはかなり嬉しいことなのだろう。

 俺がリアスとライザー・フェニックスと思われる男のもとへと歩いていこうとする。

 

「おい、貴様! ここがどこだと――」

 

 衛兵が俺を止めようとするが、そんなことできるはずもない。

 

「――黙れ!」

 

 邪魔しようとした衛兵たちは、俺が魔力で重力を発生させたことで床へと屈することとなった。指一本すらも動かせず、床に這い蹲っている。

 それでも俺を止めようとする意志は消えておらず、鋭い目で睨みつけていた。

 そこへイッセーとアーシア嬢ちゃんを除く、オカルト研究部部員全員とシバが集ってくる。

 

「先輩。ここは僕に任せてください!」

「……ウィルさん。遅いです」

「待ちくたびれたにゃ」

「あらあら、やっと来たんですね」

「ウィル。今回は他の女のために戦うことを許してあげるわ。存分に暴れてきなさい」

「ウィルフレッド様。ご武運を」

 

 白いタキシード姿の祐斗。白いドレスを着た白音。黒歌は妹とは対照的な黒い和服姿。黒歌とは少し違った豪華な黒い和服を着た朱乃。白銀の豪華なドレス姿のグレイフィア。そして黒いドレスを着たシバ。

 全員が俺の前に並び、衛兵の相手をしようとする。

 

「礼は言わんぞ。一人で蹴散らせた」

「わかってるわ。あなたはリアスを救うことだけに専念しなさい」

 

 俺は礼も言わずに、グレイフィアたちが開けた道を堂々とした足取りで進み、リアスとライザーのもとへと辿り着く。

 

「貴様! どこの誰かは知らんが、こんなことをして許されると思っているのか!」

「許してもらう必要なんてない。ただ一つ、お前に言っておく」

「……」

「お前はリアスに相応しくない。それとお前にリアスの処女はやらん!」

「……ッッ!」

 

 何とも形容しがたい表情でライザーは目元を引きつらせている。この表情、なんか面白いな。

 

「あ、これだと一つじゃなく、二つお前に言ったことになるな」

「どういうことだ、ライザー?」

「おい、リアス殿。これはいったい?」

 

 急展開に身内や関係者たちは困惑した表情を隠せず、リアスとライザーを問い質そうとする。

 

「これは私が用意した余興ですよ」

 

 広場の一番奥にいたサーゼクスとノランが歩み寄ってくる。

 

「お兄様」

「ご説明いたしましょう。薄々と勘付いていらっしゃる方々もおられるご様子。彼の名は、ウィルフレッド。私の親友であり、かつて冥界全土にその名を知らしめた悪魔です」

「ではやはり……」

「はい。この者は『明星の光明』と謳われたウィルフレッド・ルシファー当人で間違いありません」

 

 その宣言に会場中がどよめく。事実を知らせていなかった、リアスをはじめとするグレモリー眷属の面々も驚きを隠せない様子だ。

 

「どういうつもりですかな、サーゼクス殿! 魔王ルシファーたるあなたが、なぜ旧ルシファーの一族の一人と通じておられる! その者たちはかつて、三大勢力間の戦争を続行させようとして、我らとの内戦を引き起こした張本人ではありませんか!」

「お忘れですか。かつて私たちが旧魔王の一族との内戦に勝利できたのは、このウィルフレッド・ルシファーが私たちに途中からとはいえ協力してくれたからだということを」

「左様です。あの時、我が主が現政府軍に協力しておられなければ、私を含めた六臣を含め多くの実力者が揃っていた魔王軍に勝利するという結末は訪れなかったでしょう。サーゼクス様たちがいれば、多くの旧魔王一族を倒すことは可能だったかもしれませんが、我が主だけは例外です。それは内戦を生き抜いた方々であれば、存分に理解されておられるのでは?」

「……ノラン殿」

「皆様が旧ルシファー一族である我が主――ウィルフレッド・ルシファーを危険視する気持ちは理解することもできます。しかし、これだけは断言させていただきます。この方はサーゼクス様と志を同じくする者です。冥界や現四大魔王様方に牙を向けるようなことはありえません。今や冥界で最上級悪魔となったかつての六臣の五人、彼らを代表してノラン・アガリアレプトが保証させていただきます」

「この件について意見がある方はまた後日、直々に私が話を伺わせていただきます。久しぶりに『明星の光明』の力が見たくて、このような余興を準備させていただきました」

「サーゼクスさま! そのような勝手は!」

 

 慌てふためく悪魔がいるが、それをサーゼクスは気にした様子もなかった。

 

「いいではないですか。この間の『レーティングゲーム』、実に楽しかった。私も会談しながらではあったが、観戦させてもらった。しかしながら、ゲーム経験のない妹が、フェニックス家の才児であるライザー君と戦うには少々分が悪かったかなと」

「……サーゼクス様は、この間の戦いが解せないと?」

「いえいえ、そのようなことは。魔王の私があれこれ言ってしまったら、旧家の顔が立ちますまい。上級悪魔同士の交流は大切なものですからね」

 

 本当に相変わらず喰えない奴だ。あんなことを笑いながら言ってやがる。

 

「では、サーゼクス。お前はどうしたいのかな?」

 

 紅髪の男がサーゼクスに問う。

 サーゼクスとリアスの実の父親――ジオティクス・グレモリー。

 ジオティクスは一瞬だけ俺に視線を移すが、すぐにサーゼクスへと向き直る。

 

「父上。私は可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたいと思うのですよ。明星対フェニックス。これほどの好カードはなかなか見られるものではありません。最高の催しだとは思いませんか? 星に譬えられるほどのかつての魔王の一族と伝説の生物。この戦いで会場を盛り上げる。これに勝る演出はないと思いますが」

 

 口調こそ軽いが、どこか他に有無を言わせない迫力がサーゼクスにはあった。だからか、周囲の者たちは黙り込み、反論しようとはしない。サーゼクスが俺を捉える。

 

「我が親友――ウィルフレッド・ルシファー。ライザー、リアスと私の前でかつての明星の輝きと、その力を今一度見せてくれないかな?」

 

 ライザーが不敵に笑う。

 

「ふん。いいでしょう。サーゼクス様に頼まれたのなら断れるわけもない。このライザー、身を固める前の最後の炎を、明星相手に勝利という形でお見せしましょう!」

 

 ライザーは背から炎の翼を羽ばたかせながら言った。

 

「ウィル。君が勝った場合の代価は何がいい?」

「サーゼクス様!?」

「なんということを!? 相手はかつての魔王の一族ですぞ!」

「彼も悪魔なのですから、何かをさせる以上はこちらも相応のものを払わねばならないでしょう。かつての魔王の一族であればこそ、敬意を払うべきだと私は思いますが。さあ、ウィル。君は何が望みだい? かつての爵位かい? 君が望めば、一つだけ叶えてあげるよ」

「かつての爵位などいらん。俺が望むのは一つ。あいつらの主であり、俺の仲間。リアス・グレモリーを返せ!」

 

 俺は指で背後のグレモリー眷属を指差して言う。その言葉にサーゼクスが笑んだ。

 

「わかった。それが望みであるならば、勝利した暁にはリアスを連れて行けばいい」

「礼は言わんぞ」

「わかってるよ、ウィル」

 

 ライザーと俺――ウィルフレッド・ルシファーの対決が決定した。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 会場の中央に作られた戦闘フィールド。

 否応なく俺たちは周囲の視線に晒される。グレイフィアやリアスたちは、サーゼクスとノラン共々関係者席へと座り、他の悪魔同様に戦闘を見守っていた。

 その近くにはフェニックスの一族らしきものたちの姿もある。まあ関係者である以上、当然と言えば当然だ。

 戦闘フィールドで対峙する俺たち。ライザーは相手がルシファーの一族と知っても、勝てる自信があるのか余裕の表情だ。

 

「開始してください!」

 

 この戦いを仕切る悪魔が告げた。

 

「お前がどれだけ強く、どんな力を持っているかは知らない。それでも風と炎を司る我がフェニックスは不死。いくら明星と称された魔王ルシファーだろうと、それを殺すことはできまい」

「御託はいいからかかって来いよ」

 

 俺は手招きして挑発する。

 青筋を立てたライザーはその手に自身の三倍はあろう巨大な炎の塊を形成していく。

 

「歴史の敗北者。それがかつての魔王の一族だ。我がフェニックスの力が、敗北者に劣るはずもない!」

 

 炎の塊が俺へ放たれる。

 

「まあ悪くない攻撃だ。が、俺に通じるとでも思ったか」

 

 俺は掌に小さな炎の球体を作り出す。

 ライザーもまさかこんな小さな炎の魔力であの大きさに対抗するつもりはないだろうと思っているはずだ。しかし、その小さな球体を迫る炎の塊へとぶつける。

 普通に考えれば、ライザーの炎が勝ると誰でも思うだろう。が、結果は俺の放った小さな炎がライザーの炎を一蹴した。

 

「な……っ!? ありえん! あの程度の炎に俺の――フェニックスの炎が劣るはずがない!」

「ライザー・フェニックス。お前は自分の力を過信しすぎだ。俺が格の違いというものを教えてやろう。かつて『明けの明星』と謳われた初代魔王ルシファー。その末裔として、伝説に謳われるフェニックスに最大の敬意を表し、全力を以て相手させてもらおう」

 

 六対十二翼の黒翼を羽ばたかせ、俺は上昇する。

 

「観衆諸氏に、そしてライザー・フェニックスに見せよう。俺の力というものを!」

 

 滞空した俺は、右手を地上で警戒しているライザーへ突き出した。

 俺の右手の前に粒子が集束していき、カッ! と眩いほどの星の輝きにも似た何かが(きら)めく。そして俺の突き出す右手の前に形成されたのは、悪魔の中では唯一俺だけが持つ光の力で構成された極大の球体。

 

「さあ、不死鳥フェニックス! この力に正面から抵抗する覚悟はあるか?」

「ありえん! どういうことだ! 俺と同じ悪魔であるはずの貴様が、どうして光などという忌まわしい力を行使できる!」

「そんなこと知るか。これは俺が先天的に持つ、悪魔としては他に例がない唯一無二の力。――喰らっとけよ、ライザー・フェニックス!」

 

 極大の光の球体がライザーのいる地上へ勢いよく迫っていく。

 戦闘フィールドの外に目を向けてみると、サーゼクスとリーシア、グレイフィア三人による強力な防御結界が張られていた。

 この場にいる大半の悪魔の防御魔方陣で身を守ることはできないという三人の判断だろう。それは間違っていない。実際、かつてサーゼクスの防御魔法陣を突破したほどの攻撃だ。

 他の悪魔の防御魔方陣で防ぎきることなどできようはずもない。

 危険を察知したライザーはというと、炎の翼を展開して俺のいる空へと逃げてきた。

 俺の放った光は地面に触れると、圧縮されて米粒ほどに小さくなる。直後、凝縮された力が一気に膨張して光が弾けた。その威力は凄まじく、グレイフィアたちの結界にひびを入れるほど。

 地面には大きなクレーターが穿たれ、威力の凄まじさを物語っている。

 

「おいおいおい。不死鳥フェニックスともあろうものが、まさか攻撃の回避を選ぶとはな」

 

 その言葉を受けたライザーは、憎々しげに俺を睨みつけてくる。

 ライザーの体が虹色のオーラに覆われていく。そのオーラからはかなりの魔力を感じられた。

 

「謝らせてもらおうか。明星の名を軽視したことを。それとここからは、悪いが手加減はしないぜ! お前はバケモノだ! すでに悪魔をも超越していると言っていい。しかし、俺は不死鳥フェニックスだ! リアスの前でお前を散らしてやるッ!」

 

 咆哮を上げ続けるライザー。背中の炎の翼が大きさと勢いを増した。炎が全身に渦巻き、会場の熱量を急激に上昇させる。

 会場にはこの上なく頼もしい三人による結界が張り巡らされている。何も気兼ねすることはない。

 

「火の鳥と鳳凰! そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身で受けて燃え尽きろッッ!」

 

 火炎を纏ったライザーが高速で迫ってくる。その姿はまさに火の鳥そのものだ。

 翼から生み出される業火の塊が迫りくるが、それを防御魔方陣一つで防ぎきる。しかし炎を防ぐことはできても、熱までは無理だった。

 王族衣装が熱によって溶かされ、所々に穴が開き始める。ライザーを蹴りで戦闘フィールドの壁へと吹っ飛ばす。

 

「お前の持つ熱は悪くない。が、こんなものか、ライザー・フェニックス」

「…………」

「今の攻撃がお前の最強だとするなら、俺には到底及ばん」

「これが歴史の敗北者、ルシファーの力だというのか……ッ」

「まさか。ルシファーが全員俺と同じだけの力を持ってるわけないだろ。ルシファーは他の魔王の一族と比べて頭一つ抜けた力を持ってるが、その中でも俺は特別だ」

 

 全力で相手をすると豪語した俺だったが、今のところ遊びがかなり入っていた。そうでもなければ、この程度の相手にここまでの時間を要することもない。

 

「さてライザー・フェニックス。そろそろ終わらせてもらおうか」

 

 立ち上がったところだったライザーとの間合いを一気に詰めた俺は、みぞおちに全力の拳を叩きこんで再び壁へと押し付ける。

 生半可な威力ではない拳の圧力で、骨の(きし)む音が俺の耳に届く。

 ライザーの体の触れている壁にもひびが入り、今にも戦闘フィールドを破壊しかねない状況になりつつあった。

 

「がは……っ!」

 

 ライザーの口から血が吐き出される。

 

「遊びは終わりだ。本気の本気でお前の心を圧し折ってやるよ」

 

 俺の全身を黒と銀が混ざり合ったようなオーラが包み込む。

 今まで勝利しかしてきたことのない男だ。ここまで一方的に叩き潰されるのは初めての経験だろう。その内心にどれだけの恐怖が渦巻いていることか。

 

「さあ再生して立ち上がれ。まだ何も終わってない」

「……ッ!!」

 

 全身を包むオーラを右の拳に一点集中させる。

 この一発ですべてを決める!

 それを察したのか、ライザーは表情に恐怖の色をにじませた。

 

「ま、待て! わ、わかっているのか! この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!? 歴史の敗北者がしゃしゃり出て台無しにしていいようなことじゃないんだ!」

「知ったことか。お前はこの婚約が組まれた本当の理由、裏に隠されたグレモリーの思惑を知らない。そんな男にごちゃごちゃ言われたくないな! それにな。仲間が悲しんでた。女が涙を流した。それで十分なんだよ。俺が拳を揮うには!」

 

 膨大なオーラが集束した拳がライザーの腹を抉る。力一杯に俺は拳を叩き込んでいく。ライザーの体が触れていた壁が崩壊し、拳の勢いも殺されることなく吹っ飛ぶ。

 宙を舞うライザーは受けた一撃で意識を失ってしまい、体勢を整えることすらできない。グレイフィアたちの結界に激突し、ようやくライザーの体は地へと倒れ伏す。意識も失い、もう立ち上がる力などない。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 俺はリアスのもとへと歩き出す。

 金髪縦ロールの少女が俺の前に立ちはだかる。推測に過ぎないが、おそらくライザーの妹といったところだろう。

 俺は名も知らぬ金髪縦ロールの美少女の頭に手を乗せて言った。

 

「兄貴に伝えとけ。お前に戦う意思があるなら、今回の俺の横暴な振る舞いに文句があるなら、いつでも俺のところに来い! 俺はいつでも相手になってやるってな」

「…………」

 

 なぜだか知らんが、ライザーの妹の顔が赤くなったような気がする。まあ気のせいだろう。

 

「リアス、帰るぞ」

「……ウィル」

 

 俺は隣に佇む懐かしい顔に視線を移す。

 

「久しぶりだな、ジオティクス。悪いが、あいつらの主、そんでもって俺の仲間でもあるリアス・グレモリーを返してもらう。異論はないな?」

「……」

 

 清々しい顔でジオティクスは笑むだけで、一切の言葉を放つことはなかった。

 サーゼクスとリーシア、ノランの姿はすでにない。

 俺は六対十二翼を羽ばたかせると、リアスをお姫様抱っこする。そして冥界の空へと飛び立った。

 

「そういえば、リーシアからこれ使うように言われてたな」

 

 俺はリーシアから預かった魔方陣の描かれた紙を使った。すると、紫色の冥界の空に何万という数の花火が次々と打ち上げられていく。

 

「なんで花火だよ……。安直すぎるだろ、サーゼクス」

 

 夜空を彩る花火。それを背に宙を舞うかつての魔王ルシファーと、現ルシファーの妹。観衆はどのような思いで俺たちを見ているのだろうか。

 今回の件はサーゼクスとノランの思惑通り、すぐに冥界に知れ渡ることになるはずだ。どうしたものか。

 結構な時間が経ち、俺は冥界の空を眺めながら飛び続けていた。

 

「バカね。こんなことして。それにルシファーってどういうこと?」

「……まあ、そういうことだ。隠してて悪かったな」

「別にいいわ。気軽に言えることでもないものね。だからと言ってアルシエルを名乗ったのもどうかと思うけどね」

「それについては同意見だ。あの時、たまたま過った名前だったんだよ」

 

 リアスは安堵してるように思える。これで晴れて自由の身というわけではないが、婚約という重荷からは解放された。それだけでリアスにとっては十分だったのだろう。

 

「しかしどうするかな」

「どうするって?」

「いや。俺の存在を知られた以上、これからは俺に平穏な暮らしはないだろうなと思って」

 

 俺が言うと、リアスはクスッと小さく笑った。何かおかしかっただろうか。

 

「ねえウィル。グレイフィアがいる以上、あなたに平穏な暮らしはないんじゃないかしら」

「…………仰る通りで。面倒だな」

「私を助けたことを後悔してる?」

「いや、それに関してだけは断言してやるよ。後悔なんて微塵もない。俺は助けたかったから動いたんだからな。お前が求めれば、俺は何度だって救ってやるよ」

「まったく、あなたという人は……」

 

 リアスを抱えていて体を自由にできない俺の唇が塞がれた。

 突然のことに正直驚いた。リアスからキスされている。

 いくら助け出したからって、こんな褒美を貰っていいものだろうか。

 

「ふふ。私のファーストキスよ。日本では女の子が大切にするものらしいわよ」

「……知らなかったな。てか、俺なんかでいいのかよ。俺はサーゼクスとそんなに歳変わんないんだが」

「いいのよ。悪魔の間で年の差を気にしてたら埒が明かないと思うわよ」

 

 確かに。

 

「それとウィル。私の処女も欲しければあげるわよ」

「……いや、それは…………っ。マジでグレイフィアに殺されるから、できれば勘弁してくれ……」

 

 今回リアスを助け出すことは認めてくれたが、処女を貰い受けるとなれば殺されかねない。まあ本心では是非とも貰いたいという気持ちもないこともなかったが。

 

「ウィル。本当にありがと」

 

 いつもの笑顔がリアスに戻っている。結果として、リアスの問題が解決できた。それで十分だった。




第12話です。

フェニックス編は今回の話で予定通り完結することができました。

本編はもうちょっと派手にいきたかったです。後、自分の相変わらずのネーミングセンスのなさにどうしたものかと思っています。
主人公の二つ名。もうちょっといいものはなかったのかと、反省しております。
最初からフェニックス編で主人公の正体を明らかにしようとは思っていたので、そのあたりも予定通りにできました。

次の聖剣編はできれば、もう少しだけハーレム要素を出していきたいと思っています。グレイフィアだけじゃなく、猫姉妹などの他のヒロインとももう少し絡ませていきたいです。
物語の進行よりも、少しだけ関係の進展をメインに置けたらなと思っています。

次の投稿予定は4月27日土曜日の朝7時予定ですが、もしかしたら少し期間を開けるかもしれません。
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