ハイスクールD×D 魔王ルシファーの親友はルシファー   作:竜星

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第1部第1章:ディアボロスのいる学園
第1話:明星の女王


「サーゼクス様。失礼いたします」

「グレイフィア。どうかした?」

「少しお話が」

「……分かった。それで何かな? まあ察しはついてるんだけどね」

 

 私はまっすぐと今の主を見る。しかし、この方は自分にとっての主ではない。真に仕えるは、ただ一人のみと昔から決めていた。

 それはグレイフィアとしてであり、悪魔ルキフグスとしてでもある。真に仕えるべきはルシファー、その血を継ぐ者だ。

 姉は常識を逸した大恋愛の末、サーゼクス様――当代のルシファーの眷属となり、妻となったが私は違う。

 サーゼクス様は良き魔王であることは間違いない。これは私も否定することはできない事実だ。しかし、この方は私が仕えるべきルシファーではなかった。

 この方は今の冥界ではルシファーであっても、やはりその出自は悪魔グレモリー。こればかりは覆すことはできない。

 

「私をあるべき主のもとへ戻して下さいませんか? 前々から言っていたこととはいえ、勝手な申し出だとは思っています」

「いや、別にいいよ。私はウィルからキミを預かっていたにすぎないからね。私の直属として、及びグレモリーのメイド長としての任も解こう。でもグレモリーのことはこれからも気にかけてあげて欲しい。任を解いたことは父上にも報告しておく」

「ありがとうございます」

 

 私は深く頭を下げて感謝を示す。義理の兄でもある魔王に。

 

「グレイフィア。ようやくキミが進むべき道が見えてきたね」

「はい。サーゼクス様には感謝しています。私の主を動かしていただいたのですから。あなたに動かしていただけなければ、あの方はこれからの何百年、何千年、あるいは死ぬまで今と変わらない生活をしていた可能性もあります」

「私たちもウィルの今の状況を打開できないかと思っていたからね。上級悪魔になるためならば、何とかなるかもしれないと勝手な期待と、淡い希望に賭けて見たんだけど、案外うまくいくものだね」

「まあ。あの方は結構単純なところもありますから」

「だからこそキミという『女王』が必要になるかな?」

「はい。私は全力で主を支えます。それでは要件は以上ですので、これで失礼させていただきます。今までお世話になりました、サーゼクス様」

 

 もう一度頭を下げて、私はサーゼクス様のもとを後にした。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 サーゼクスから駒王町を拠点として活動するように言われた俺だったが、いささか状況が変な方向に向かっているように感じていた。

 用意されていた城とまでは言わなくとも、それに近い規模の家に用意されていたのは制服。そして一枚の手紙がテーブルに置かれていた。

 

『やあウィル。言い忘れていたから手紙という形で報告させてもらう。キミはリアスたちと変わらない年代の姿を好んでいるようだし、学校に通ってみるといい。リアスたちにもキミのことはすでに伝えている。頑張ってくれ』

「サーゼクスの野郎」

 

 俺は怒りを滲ませながら手紙を握り潰した。

 学校なんぞに行ってられるか。俺は人間界でも基本的には自堕落な生活をすると決め込んでいるんだ。功績を上げるにしても、それを行える事件でも起きない限りは動くつもりはない。

 部屋の床が輝き、ルキフグスの魔法陣が展開される。

 

「げ」

 

 俺は魔法陣から現れた人物を見て、そう呟いてしまった。

 

「ウィルフレッド様。げとは何ですか?」

「一応聞かせろ、グレイフィア。お前、サーゼクス直属で、グレモリーのメイド長だろ。何で此処に居る?」

「簡単です。サーゼクス様に頼んで、双方の任を解いていただきました」

 

 サーゼクスめ。俺が一番嫌がることを心得てやがる。グレイフィアが任を解かれたということは、俺に同行するということだ。そうなれば、俺の自堕落な生活は終焉を迎える。

 

「帰れ」

「それはできません。昔に交わした約束を果たしていただきます」

「約束?」

「はい。私――グレイフィア・ルキフグスをあなたの『女王』にして下さい」

 

 俺は古い記憶を辿った末に思い出した。

 幼少の頃、確かにそんな約束をしていたことを。あの頃はまだ、俺も若かった。自堕落な生活がこれほど快適とも思っていなかったな。

 

「まさかとは思いますが、私との約束を反故にしたりはいたしませんよね?」

 

 グレイフィアが俺に迫ってくる。すごいプレッシャー。

 

「……どうしても『女王』にしないとダメか?」

 

 恐る恐るグレイフィアに聞いた。

 

「はい。約束を反故にするというのであれば、相応の罰を受けていただくことになります。たとえ相手があなたであったとしても、容赦はしませんので」

 

 その言葉に血の気が引いた。殺される。何となく、そんな予感がした。

 

「分かった」

 

 俺は『女王』の駒を取り出し、それをグレイフィアに差し出さざるを得なかった。悪魔って言ったって、自分の命は大事。こんなところでメイド兼古馴染みに殺されるなんてごめんだ。

 

「ウィルフレッド様。私――グレイフィア・ルキフグス。あなたの『女王』の駒を受け取らせていただきます」

 

 言うと、グレイフィアが手にしていた『女王』の駒が漆黒の輝きを放ち、その胸の中に沈んでいった。

 

「これで晴れて、私はあなたの『女王』です」

「……そうだね」

「何か不満でも?」

「いえ。まったくございません。ただ、俺の生活の自由だけは保証してもらう」

 

 珍しく笑顔になったグレイフィア。それが逆に怖い。

 

「何を仰いますか。あなたは上級悪魔になり、その後には魔王となっていただかなくてはなりません。今までのような生活の自由を許すとでも思っておられるのですか?」

「すみませんでした」

 

 俺は床に額まで突けて、土下座をして謝った。絶対にグレイフィアには逆らえない。今までもそうだったが、これからは更にそうなるだろうと俺は予見した。

 

「それよりもあの二人は一緒ではないのですか? 今は学校ですか?」

「ああ。サーゼクスの妹に預けてたのは知ってるんだよな?」

「ええ。ウィルフレッド様が自堕落な生活をしたいがために、あの二人を誰かに預けてくれないかとサーゼクス様に相談され、その結果リアスお嬢様に託されることになったんですよね?」

「大正解なんだけど、俺が自堕落な生活をしたいがためってのは違うぞ。俺が自由になりたかったからだ」

「一緒ですよね?」

「……そうだな」

「眷属にはなっているのですか?」

「聞いた限りだと、眷属にはなってないようなことを言っていた。しかし、俺が人間界に来たって情報をいち早くサーゼクスの妹から聞いて、昨日はすっ飛んで俺の家に引っ越してきたからな」

「それは……騒がしくなりそうですね」

「まったくだ。それに自由まで奪われて、俺はどうしたらいいのか。それより、これ知ってたのか?」

 

 俺はグレイフィアにテーブルの上の手紙を見せる。すると即答で答えが返ってきた。

 

「もちろんです。私が知らないと思っていたのですか?」

「やっぱりか。まさかお前も通うことになってるのか?」

「サーゼクス様に監視のためにもそうしたらどうかと言われました」

 

 監視だと。サーゼクスの野郎、この俺の自由をとことん潰す気か。親友だと思ってたのに。これじゃ、サーゼクスも俺の敵認定せねばならなくなってしまう。

 

「それでどうするって答えたんだ? 今のお前は二十代の姿だろ? さすがにそれで学生は――」

 

 きついと言おうとしたら、凄い怖い目で睨まれた。

 

「何か?」

「……何でもありません」

「一応、十代の頃の姿に変えて編入するということになりました」

「それで俺やお前の学年はどうなるのか聞いてる?」

「はい。リアスお嬢様たちと同じ三年生ですね。後一年だけですから耐えて下さい。それとリアスお嬢様の他に、セラフォルー・レヴィアタン様の妹君のソーナ・シトリー様も在籍されておられます」

「セラフォルーの妹。あれの妹って、どんだけお転婆なんだろうな」

「ご心配なく、対極に位置するような方なので」

「それは良かった」

 

 テーブルの上にコーヒーの入ったカップを置いたグレイフィアが言う。

 

「それでどうされますか? 転入は明日以降ということですが、今日の御予定は?」

「寝る」

「却下です。ウィルフレッド様の生活管理は私が徹底いたしますので、それをお忘れなく」

「じゃあどうしろと?」

「夕食の買い出しにでも付き合っていただけませんか?」

「こんな真昼間から?」

「だからこそです。あなたはいつ買い出しに行くものだと思っているのですか。あなたの好きなものを作りますから、付き合っていただけませんか? あの二人が戻ってくるまでに終わらせておきたいでしょう?」

「仕方ないな」

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 近くのスーパーで夕食の食材の買い出しを終えた俺とグレイフィアは、カフェに立ち寄って息抜きをしていた。

 人間界のとある界隈以外の街中ではメイド服は不自然と判断したのか、今のグレイフィアは私服姿。だが、普段以上に着飾っているように思える。

 これについて聞いてみるべきかと思案するが、怒られそうな気がしたために断念した。

 グレイフィアは口調も公私で変わる。メイド服を脱ぎ、ただのグレイフィア・ルキフグスに戻った彼女は、俺に対しても対等な物言いになっている。が、メイドの時も含めて俺は抑圧されているという事実を否定できない。

 

「ウィル。どうかしたのかしら?」

「別に」

 

 紅茶を飲んでいた手を止めて聞いたグレイフィアの問いに、俺はそっけなく返した。

 グレイフィアは紅茶とチーズケーキ。俺はコーヒーとチョコレートケーキをそれぞれ頼んでいる。それらを食べて飲んでと時間を潰していた。

 

「それならいいのだけど」

 

 グレイフィアはかつてルシファー家に仕えていたルキフグス家のお嬢様だっただけあって、食べる仕草一つが上品だった。好意の有無に関係なく見惚れてしまう。

 

「綺麗だ」

 

 俺が言うと、グレイフィアは顔を真っ赤にしてらしくもない挙動不審さを見せた。手をジタバタさせている。とてもグレイフィアだとは思えない。

 

「な、何を言ってるの」

「いや。食べる仕草が綺麗だなと思って」

「……そういうこと」

 

 グレイフィアは俺の発言を何か勘違いしていたようだ。

 何をどう勘違いしたのかはおおかたの予想はできる。グレイフィアは綺麗だと思う。昔からの付き合いだからこそ、成長と共に否応なく感じてきた。

 昔から俺に対して容赦ないところはまったく変わってないんだが。いや、更に増しているくらいだ。

 

「グレイフィア。それ一口くれ」

「え?」

 

 赤面しながら、グレイフィアは俺の申し出に戸惑っている様子だった。そして小さく言う。その言葉は俺に聞きとることはできなかった。

 

「……間接キス」

 

 まじまじと持っているフォークに視線を落とす。何かを考えていた様子だったグレイフィアだが、意を決したようにチーズケーキの一部をフォークに差し、俺に差し出してきた。

 

「……口、開けて」

 

 俺は口を開けて、グレイフィアがケーキを食べさせてくれるのを待つ。

 そんなやり取りをしている時に唐突に思い至る。これではまるで恋人のようではないかと。考えもなしにくれと安易に言ったことに対して俺は反省した。

 

「うまい」

 

 グレイフィアはまるで年端もいかない初々しい少女のような表情をしていた。

 

「まったく。人の気も知らないで」

 

 そっぽを向いて小さく呟いたグレイフィア。

 少し俯いて赤面した姿の破壊力と言ったらとんでもない。襲ってしまいたくなるほどだ。

 衝動を抑えるためにも俺はコーヒーを一口呷ると、少しの間瞑目してグレイフィアを見ないように心がける。

 しばらくして心が落ち着いてから、俺は再びグレイフィアを見た。目の前には俺と同じように落ち着いて、いつも通りに戻ったグレイフィアの姿があった。

 小さく咳払いしたグレイフィアが俺を見て言う。

 

「ねえウィル。少し話が変わるのだけど、聞いてくれるかしら?」

「何だ?」

「私、あの二人に嫌われてるのかしら?」

「どうしてそう思う」

 

 俺はグレイフィアがそう思っているだろう理由に見当がついていながら、あえてこの質問をぶつけてみた。

 

「あの二人。私と会う度に敵意を向けてくるのよ。嫌われているかもしれないと勘ぐってしまうのは当然でしょ」

「確かにそうかもしれんが、嫌われてるってことはないから安心しろ」

「本当かしら?」

「ああ。俺が保証してやる。あいつらは嫉妬してるだけだよ、お前に。あいつらが出会うより、ずっと長い間俺と過ごしてきたお前にな」

「それってあの子たちはあなたに恋愛感情を抱いているということなのかしら?」

「違うだろ。愛は愛でも家族愛だと思うぞ」

 

 言った俺の言葉に、グレイフィアは納得いかないという表情を浮かべていた。

 

「まあよしとしましょう。嫌われていないなら、一緒に住む分にも問題はないでしょう」

 

 その言葉に俺は冷や汗を流した。何となく予感はしていたが、本人からその言葉を聞くまではどこか安心していた。

 

「……え。お前、あの家に一緒に住むの?」

「当り前なことを聞かないでもらえるかしら。ウィル。あなたは私がどこで生活すると思っていたの? あなたの生活を管理する以上、あの家以外の選択肢はないわ」

 

 そのグレイフィアの言葉を聞いて、俺の心は絶望に支配された。プライベート空間くらいは自由があるかもと淡い期待を寄せていた俺にとって、その言葉は死の宣告に等しい。

 そんな俺の気持ちなど知らないグレイフィアは、紅茶を飲んでいた。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

「帰ったにゃ♪」

 

 勢いよく玄関の扉が開け放たれ、我が家の家族であり、居候でもある二人――もとい二匹が返ってきた。

 リビングのドアが開けられ、俺に向かって一直線に人影が飛びついてくる。

 わがままボディをした黒髪の美女。黒歌だ。そのまま黒歌は俺に抱きつき、耳たぶを甘噛みする。

 

「ただいまにゃ、ウィルちゃん」

「おかえり黒歌」

「ウィルさん。ただいま帰りました。にゃん」

 

 遅れてリビングに入ってきたのは、黒歌の妹の白音。手招きのような動作をした白音の可愛さはすさまじいものだ。

 ロリ体質の人間でなくても、心を打たれる。

 

「おかえり白音」

 

 二人は同じ家に居るもう一人の人間――いや悪魔の姿に気付いた。そして言う。

 

「にゃ。どうして此処にこの女が居るにゃ」

 

 警戒心を丸出しにする黒歌。同じように白音もグレイフィアの姿を見て警戒心を高める。

 

「二人とも久しぶりね。元気だったかしら? これから私も此処で暮らすことになったからよろしくね」

「にゃ、にゃにいいいいいぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

 黒歌の絶叫がリビングに響く。俺は抱きつかれている状況だったこともあり、鼓膜が破れるかと思った。

 俺を鋭い視線で見てくる黒歌。

 

「どういうことにゃ。どうしてあの女が此処で暮らすことになったにゃ」

「……俺の『女王』になったからだ」

 

 俺は頬を掻きながら、言いにくそうに黒歌に伝えると、絶望感に打ちひしがれていた。

 演技ではなく、本当に泣いて床に手を突いている。

 

「それ、本当かにゃ?」

 

 目に涙を溜めた黒歌が震えた声で言ってきた。

 

「……ああ」

 

 それを聞いた黒歌は、さらに絶望感が増したように見える。が、ゆらりと不気味に立ち上がり、俺を見下ろしてきた。その目が凄く怖い。

 

「ウィルちゃん。私よりも先に、どうしてこの女を眷属にしちゃったのかにゃ?」

「……昔の約束を果たせと脅されて?」

「ウィル。脅したなんて人聞きが悪いわ。私は昔の約束を果たしてもらっただけよ」

 

 黒歌がグレイフィアを威嚇(いかく)する。それを鋭い目つきで見下ろすだけで威圧しているグレイフィアに敵わないと(わきま)えたのか、黒歌は白音のもとに駆けていって泣きついた。

 

「白音。あの女には敵わないにゃ。まさに悪魔にゃ」

「よしよし。姉さま」

 

 白音は姉の黒歌の頭を撫でている。それで癒されているのか、黒歌は人間モードから妖怪モードに変じた。耳と尻尾が生えて、それを震わせている。

 黒歌と白音は猫又の妖怪。その中でも最強とされる種族――猫魈(ねこしょう)の生き残りだと本人たちから聞かされた。

 ちなみに黒歌と白音の二人は、随分と前に死にそうになって倒れているところを俺が助けたことで出逢っている。それからの付き合いになる。

 黒歌が俺に目を配った。

 

「ウィルちゃん。『女王』の駒をその女に使っちゃったなら仕方ないにゃ。だったら私にも駒、頂戴」

「私にも下さい」

 

 黒歌と白音は揃って手を出してねだってくる。

 どうしたものかと思い、俺は一応グレイフィアに視線で助けを求める。すると、グレイフィアは小さく溜息を吐いた。溜息を吐くほどのことと、思わずツッコミたくなる。

 

「ウィル。これはあなたが『(キング)』として決めるべきことよ。それでも提案をさせてもらえるなら、眷属にしてもいいのではないのかしら。二人ともそれだけの力は持っていると思うわ」

「黒歌。白音。お前たちを眷属にする」

 

 二人はその言葉に歓喜の表情を浮かべるが、次の言葉で一変する。

 

「だが今すぐにじゃない。お前たちを今すぐに俺――真のルシファーの眷属としての責任を負わせるべきじゃないと思う。だからもう少し待ってくれ。だが、これだけは分かって欲しい。お前たちを眷属にしたくないから言ってるわけじゃない。もう少しだけ辛抱してくれってことだ」

 

 黒歌と白音は俺の正体を知っている数少ない人物でもある。

 サーゼクスはおそらく俺のことを妹であるリアスには今の時点では伝えていないはずだ。それは二人も一緒だろう。俺のことを話してはいても、ルシファーであるということだけは隠しているはずだ。

 今の段階では俺が真のルシファーの血族であるということは、あまり多くの人物に知られるべきことではない。かつてサーゼクスがそんなことを言っていた。

 上級悪魔にする準備を進めていると言っている以上、冥界の上役たちにも俺の存在と先代ルシファーの血筋であるという事実は知らされているだろう。

 しかしルシファーの血族というだけで争いの火種になりかねない。その力を利用しようとする者が近づいてくる可能性は大いにある。逆に消し去ろうとする者も居るだろう。

 ルシファーは争いを引き起こしかねない。今は表舞台にルシファーは一人――サーゼクスだけで十分だ。

 

「わかったにゃ。じゃあ近いうちに絶対眷属にしてにゃ」

「してください」

「わかってる」

 

 俺はグレイフィアに目配せする。

 

「これでいいと思うか?」

「ウィルの選択であるなら、私が口出しすることではないわ」

「それもそうだな」

 

 ちょこんと俺の膝の上に白音が座る。どこか満足気な表情をしていた。

 

「此処が一番落ち着きます。ウィルさん、絶対にわたしたちを眷属にして下さいね。してくれなかったら許しませんから」

 

 白音は上目遣いで俺を見てきながら言う。それに俺は頷くことしかできなかった。

 

「じゃあこの話は終わりだ。そろそろ夕飯にするか?」

 

 その後、俺たちは四人で卓を囲って夕食を共にした。予想していたことではあったが、黒歌と白音――二人の食欲は相当なものだった。俺とグレイフィアは二人の喰いっぷりに舌を巻くことしかできなかった。




はじめまして。
あとがきをプロローグでは書き忘れていたので、1話から書けていけたらと思います。

まずは女王となるグレイフィアを獲得です。
そしてほぼ眷属確定の猫妖怪姉妹。どのタイミングで眷属とするかはまだ未定です。できる限り早めにしたいとは思っています。
キャラが原作と若干改変されてたりしますが、そのあたりは大目に見てもらうしかないです。

これからも頑張っていこうと思っているので、できれば応援してやってください。

投稿用とは別に他の小説も書いてるので、そちらで更新が遅くなる可能性もあります。そのあたりはご容赦ください。

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