ハイスクールD×D 魔王ルシファーの親友はルシファー   作:竜星

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第2話:魔王の妹

「はあ」

 

 今日から駒王学園に通うということになり、俺は制服にそでを通しながら盛大な溜息を吐いていた。

 

「準備してるみたいにゃ」

 

 開けられた部屋のドアの前では、すでに準備をすませた三人――グレイフィア、黒歌(くろか)白音(しろね)が待機している。当然だが、三人とも制服姿だ。

 俺は数日前までの冥界での自堕落な生活を思い返していた。懐かしいと思いながら、あの生活に戻りたいと心底願っている。

 

「早くして下さい、ウィルさん」

「置いていかれたいのかしら?」

「それ、いいね」

「そんなことするはずないでしょう」

 

 冗談を言うような人物ではないはずのグレイフィアのその言葉に返すと、睨まれた。置いていったのをいいことに、そのまま家で自堕落な生活をするだろうことは見抜かれている。

 生活を徹底して管理すると言っている以上、俺を置いていくようなことは絶対にしない。してくれれば、俺としては助かるが。なんせ、これじゃ自由が本当にない。

 この家での家事担当はおおむねグレイフィアが請け負っている。俺と黒歌は家事など興味もなく、ただ居座っているだけのような存在だ。白音は時折、手伝おうとするが、グレイフィアが自分でやってしまう。

 グレモリー家の元メイド長様は最強だ。いろんな意味で。

 グレイフィアが担当していた分のグレモリー家の仕事についてだが、同じくメイド長だったリーシアに引き継がれている。

 メイド長が二人体制というのも珍しい気もするが、リーシアなら問題はないとグレイフィア当人も言っていた。ただでさえ仕事の多い姉に押しつけるような形になったことを、心苦しく思っているようではある。

 それに関しても問題ないと俺は思っていた。リーシアは仕事好きとまでは言わないが、あればもっと持ってきて欲しいとさえ言うような人物。増えても何喰わない顔で仕事をするだけだろう。

 

「ウィルちゃん、早くするにゃ」

「分かったから急かすな」

 

 俺は鞄を片手に三人の待つ方に歩を進めて行く。

 

「たく、面倒くさい」

 

 俺が呟いたことを聞き取ったグレイフィアが耳を引っ張ってくる。

 

「痛い痛い。マジで痛いから止めて、グレイフィア」

「私の『王』である以上、しっかりしてもらわらないと困るわ」

「……分かった」

 

 俺はグレイフィアの王であるはずなのに、一生逆らえないような気がしてならなかった。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 俺とグレイフィアが編入させられたのは、偶然なのかどうか知らないが、サーゼクスの妹――リアス・グレモリーと同じクラスだった。あの野郎、仕組んだんじゃないだろうな。

 朝の授業が終わって昼休みになると、すぐさま俺のところにリアスがやってきた。

 

「初めまして。私はリアス・グレモリー。あなたのことはお兄さまから聞いているわ」

「初めましてリアス・グレモリー。俺はウィルフレッド・アルシエルだ」

 

 ルシファーであることは隠す必要がある以上、その名前を出すことはできない。かと言って姓を隠せば、色々と怪しまれる。そこで俺は『番外の悪魔(エキストラ・デーモン)』から適当な名前を拝借(はいしゃく)させてもらった。

 とは言っても、アルシエルも力のある悪魔。その名前はグレイフィアの生家ルキフグスやメフィストフェレスなどと同じように、かつての冥界では有名だった。同列の家格だったと言えるかもしれない。

 

「……アルシエル」

 

 そう小さくリアスが呟いた。やはりこの名前に無反応とはいかないようだ。

 リアスは俺の横に立つグレイフィアに視線を向けて挨拶を交わす。

 

「久しぶりね、グレイフィア」

「ええ。元気だったかしら?」

「見ての通りよ」

 

 グレイフィアは元グレモリー家のメイド長。そしてリアスの義理の姉に当たるリーシアの妹であり、兄サーゼクスの直属でもあった。

 当然、リアスとも面識はあっただろう。グレイフィアは気にかけていたはずだ。どれほどの関係なのかは俺には知る由もないが。

 

「それで何か用か?」

「ウィルフレッド・アルシエル君。今日の放課後、時間は空いてるかしら?」

「残念。これから先、時間が空いてる時はないんだよ。困ったものだ」

 

 なんてことを俺が言うと、グレイフィアが言う。

 

「リアス。心配いりません。ウィルは基本的に暇ですから。用事があれば、何なりと申しつけてやって構わないわ」

「そ、そう。分かったわ。じゃあ今日の放課後、旧校舎まで来てもらえるかしら? もちろん、グレイフィアも同行してもらえるわよね?」

「ええ。私はこの人の『女王』ですから」

 

 適当なことを言った俺の頬をつねりながらグレイフィアが言う。

 早く放してくれと抗議の意味も含めて視線を送る俺だが、グレイフィアはリアスと向かい合って話していることもあってまるで気付いていない。いや、これは気付いてないふりをしている。

 

「なんで。俺、そんな所に行く用なんてないんだが」

 

 つねられながら、面倒くさいことを避けようとして言う俺の頬がより一層強くつねられる。

 

「痛い痛い痛い。マジで痛いからグレイフィア。本当、お願いだから放して」

「分かったわ。でもきちんとして」

「分かりました」

 

 俺とグレイフィアのやり取りを見ているリアスは、呆然とこの景色を眺めていることしかできていない。

 おそらくだが、リアスの知るグレイフィアと、目の前の人物が同一だとは思えないのだろう。当然だ。何たって、グレイフィアは俺にだけはまるで態度違うんだからな。本当、もっと優しくしてくれてもいいと思うんだよ。

 

「たく。それでどうして俺は、その旧校舎に向かわなければならないんだ」

「あなたに早く会わせときたい人たちがいるのよ」

「お前の眷属か?」

「まあ、それもなのだけど。私と同じ上級悪魔」

「ああ。セラフォルーの妹か」

「ええ。私たちは互いにお兄さま――サーゼクス・ルシファー様から、あなたのことを聞かされていたから。編入してきた時に面会しておきたいとソーナも言っていたわ」

 

 正直俺は、セラフォルーの妹がどんな人物なのか想像もつかない。姉が姉だ。グレイフィアが対極のような人物と言っていたが、それでも内心一緒だったらどうしようと考えてしまう。

 四大魔王全員とは良好な関係ではあるが、唯一セラフォルーのノリだけにはついていけない。正直、向こうは微塵も思ってないかもしれないが、俺はセラフォルーを苦手としている。

 

「分かった」

 

 短く俺は返した。

 魔王の妹二人との面会。七面倒くさいことであるのは間違いないが、縄張りに居座らせてもらうからには変に盾つことだけはしないようにしておく必要はあるだろう。

 まあ、それも結局、此処を拠点にして欲しいとサーゼクスに頼まれたからではあったが。

 

「じゃあ放課後に旧校舎のオカルト研究部の部室でね。あ、部室までは私が案内するから心配しないでね」

「それは助かる」

 

 完全に興味なさげな声音で俺は答えた。

 リアスが離れて行ったのを確認して、ようやくグレイフィアは俺の頬から手を放した。少し遅すぎやしないかとは、とてもじゃないが言えない。

 

「魔王お二人の妹との面会。あなたが面倒だと思っていることは分かってるわ」

「さすが俺のことをよく理解してるな」

「当然でしょう。どれだけの時間をあなたと過ごしてきたと思っているのかしら」

「生まれてからほぼずっとだな」

「ええ。でもウィル。どうしてアルシエルの名前を出したのかしら? あなたが自分の姓を隠したのは正解だと思うわ。でもアルシエルは……」

「仕方ないだろ。思いついた名前がアルシエルだったんだから。多分、昔挑んできた馬鹿野郎のせいだろうな。それでアルシエルなんて名前が思い浮かんだんだろ」

 

 それはもう遠い昔の話。

 サーゼクスやセラフォルー。現四大魔王と出会うよりも前の話だ。

 まだ俺の生活も己自身も堕落していなかった頃の話。

 その男は急に勝負を挑んできた。圧倒して決着は着くと思っていた俺だったが、その男は意外に手強く本気を出させられるほど。今でもその時の光景は鮮明に覚えている。

 あの男は今、どこで何をしているのだろうか。不意に気になってしまう。どこかで野垂れ死んでいるかもしれないな。

 

「やめだやめだ」

 

 俺は大きく伸びをした。

 

「昔のことを思い出しても仕方ない」

「私としては昔のあなたに戻ってもらいたいわ」

「だから女王になったのか?」

「どうかしら」

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 早くも放課後。

 俺とグレイフィアはリアスに連れられて、旧校舎にあるオカルト研究部の部室に向かった。

 

「最初に言っておくけど、今から行うのは私たち『王』と『女王』のみの面会。他の部員の紹介はまた後になることを覚えておいてちょうだい」

「ああ」

 

 オカルト研究部の部室に入ると、そこは異様な景色だった。

 部室の中央には魔法陣。そして至るところに悪魔文字が書き込まれている。

 幾つかあるソファの一つには、二人の少女が座っていた。間違いない。あれがセラフォルーの妹であるソーナ・シトリーとその『女王』。

 更にもう一人。盆にお茶の入った六つのカップを乗せて現れたポニーテール少女。おそらくはリアスの『女王』だ。

 俺たちに気付いたポニーテールの少女が、リアスに声をかける。

 

「あら部長。そちらが?」

「ええ。グレイフィアとは面識あるわよね。まあ姿を少し変えているけど」

 

 そういえばグレイフィア。ずっとこの姿のままでいるつもりなのだろうか。と、俺は疑問に思った。

 

「紹介させてもらうわ。この人が魔王サーゼクスさまが駒王町に派遣されたウィルフレッド・アルシエル」

 

 その姓に反応を示す三人娘。リアスと似たような反応だな。

 メガネをかけた少女がソファから立ち上がり、俺に振り返って挨拶してきた。

 

「初めまして。私はシトリー家の娘、ソーナ・シトリーです。姉がお世話になっているようで」

「初めましてソーナ・シトリー。お前の姉には困ったものだ」

「心中お察しします」

 

 ソーナも姉のことで色々あるのだろう。

 しかし言葉を多く交わさなくても分かる。ソーナはセラフォルーとまるで違う。それだけは確かだ。

 

「紹介させてもらいます。私の『女王』――真羅椿姫(しんらつばき)です」

 

 隣の少女を俺に紹介してきた。

 ソーナ同様にメガネをした美女と言って差し支えのない少女だった。まあ、この場にいる全員が、美女と言って差し支えない少女たちではある。もちろん、男の俺を除いてだ。

 

「初めまして」

「初めまして」

「じゃあ、こちらの紹介をさせてもらうわね」

 

 言ってリアスは俺たちのもとから離れ、自身の女王であるポニーテール少女の隣へ移動してから言う。

 

「一応、教室の方で私の自己紹介はしたけど、改めて。グレモリー家の娘、リアス・グレモリーよ。私の隣に居るのが『女王』の姫島朱乃(ひめじまあけの)

「よろしくお願いしますわ」

「俺の紹介はリアスがしてくれたから省かせてもらう。俺の後ろに居るのが、グレイフィア・ルキフグス」

 

 俺が紹介すると、ソーナがグレイフィアに挨拶した。

 

「お久しぶりです、グレイフィア様」

「様は着けなくてもいいわ。今の私たちは同じ学園の同期生。普通に呼び捨てで構わないわ」

「分かりました」

「お前ら。知り合いだったのか?」

 

 俺が聞くと、答えたのはグレイフィアでもソーナでもなかった。

 

「ええ。ソーナは私と幼い頃から一緒に遊んでた親友なの。だからグレモリー家に来ることも多かったから、そこで面識があるのよ」

「そういうことか」

「立ち話もなんだから、座ってちょうだい」

 

 俺たちはそれぞれソファに腰掛けた。リアス、ソーナ、椿姫の三人が俺と向かい合うように座っている。俺と同じ側のソファにグレイフィアと朱乃が座っていた。

 さっそくグレイフィアが入れられていたお茶を一口、口にした。

 

「おいしいわ」

「それはありがとうございます」

「さて。聞かせてもらおうか、俺を呼び寄せて面会する理由を。わざわざ顔合わせだけのために呼びつけたなんて言わないよな?」

「だったらどうする?」

 

 妖しい笑みを浮かべたリアスが、俺に言う。

 

「早々に帰らせてもらう」

「それは困るわ。私たちは魔王サーゼクス様からのお言葉をあなたに伝えるために来てもらったの。まあ、顔合わせという意味合いもあったけどね。伝えるだけなら、教室で私が言うだけでも十分だったわけだしね」

「そうだな」

「顔合わせの意味があったことも分かってもらえたと思うから、これから魔王サーゼクス様からの伝言を伝えるわね」

 

 俺はわざわざリアスから伝えられなくても、サーゼクスが連絡してくるか、あの手紙に書いておけと思っていた。

 それならこんな面倒なことに巻き込まれずにすんだのではないかと。

 

「『キミにはリアス、及びソーナのサポートを任せる。これは冥界に居る時にも言ったことだから、念頭に置いているものと思っている。それともう一つ、サポートするにあたり、リアスやソーナと極力行動を共にしてもらいたい。どちらと行動を共にしてもらっても構わない。二人が協力を必要としていると言えば、その時は快く受けて欲しい』と仰ってられたわ」

「……あの野郎。マジで俺に自由を与えないつもりか。次、会ったら一発殴ってやる」

「ウィル。それはやめるべきよ。サーゼクス様の言っていることの方が正しいのだから。あなたはただ働いたりしたくないだけじゃないかしら? それは私も許さないわ」

 

 俺に言ってから、グレイフィアはリアスとソーナに目を配った。

 

「二人とも。ウィルを存分に働かせてあげて。もう何十年もずっと自堕落な生活をしていた人だから」

「分かったわ」

「分かりました」

 

 グレイフィアの言葉に、リアスとソーナは了承していた。俺の意見を言ったところで、グレイフィアに一蹴されてしまう。ここは黙っておくべきだ。

 

「それでリアス。私とあなた、どちらの側に置いておくつもりですか?」

「そうね。あなたの方となると生徒会だけど、とてもじゃないけど向いているとは思えないわね」

「それは私も感じていました。そうなると、自由度の高いあなたのオカルト研究部ということになりますか?」

「ええ。仕方ないけど、そういうことになるわね」

 

 二人がそんな話をしているが、どちらも厄介者を受け持つのはあまりしたくないという風だ。

 俺はそこまで厄介者じゃないと思うぞ。

 

「それじゃウィルフレッド・アルシエル君。あなたはこれから私のオカルト研究部の部員ということになるからよろしくね。グレイフィアも一緒に入るのよね?」

「ええ。この方の管理は私の役目だからね」

「くそ。どいつもこいつも横暴だ。こんなことなら、サーゼクスから『悪魔の駒』なんか貰わず、冥界の辺境で過ごしているんだった。いや、今からでも遅くないか?」

「そんなこと許さないわ。それに、これはあなたが選んだ道でしょう」

 

 そう言われたら言い返すこともできない。

 選んだのは俺自身。まったく、誤った選択をしたものだ。

 

「さて。これで一応、この面会の目的を果たしたことになるのだけど、これからどうする?」

 

 リアスは俺ではなく、隣のソーナに声をかける。

 

「私は用事が終わった以上、ここで失礼させてもらいます」

「そう。わかったわ」

「では。私たちはこれで」

 

 俺たちにそれだけ告げると、ソーナは椿姫を伴って部室を後にした。

 

「さて。ウィルフレッド・アルシエル君。あなたはもう少し部室にいてもらうわ。部員にもあなたを紹介させてもらうわ」

「それはいいんだが。そのフルネーム呼びはやめてくれ。ウィルフレッド。もしくはウィルで頼む。親しい奴はだいたいがウィルと呼んでる」

「そう。じゃあウィルでいいかしら?」

「ああ」

 

 俺たちはオカルト研究部の部員が揃うまで待つことになった。

 その間、リアスと朱乃はグレイフィアと昔話に花を咲かせていた。俺はと言うと、居心地の悪さを感じざるを得ない。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

「全員揃ったわね」

 

 リアスが言った。俺とグレイフィア、そしてリアスと朱乃を除いて、この場に居るのは黒歌と白音、そして二人の男子生徒。

 一人は美少年といった雰囲気を醸し出す金髪の少年。もう一人は整った顔立ちこそしているが、イケメンと言えるほどではない。何というか独特の雰囲気を持った茶髪の少年だ。

 

「ウィルちゃん。朝ぶりにゃ」

 

 黒歌は俺の所まで来るなり、自分の頬と俺の頬をくっつけてすりすりしていた。妹である白音は膝の上に座ってアイスキャンディを食べている。

 その光景を見ている茶髪の少年は羨ましいと小さく呟いていた。

 

「リアス。早速で悪いんだが、お前の眷属を紹介してもらえるか?」

「そうね。まずは金髪の男の子の方だけど、『騎士(ナイト)』の木場裕斗(きばゆうと)よ」

「初めまして。木場裕斗です。よろしくお願いします」

「そして隣の子だけど、『兵士(ポーン)』の兵藤一誠(ひょうどういっせい)よ」

「どうも。兵藤一誠っす」

「初めまして。俺はウィルフレッド・アルシエルだ」

 

 しかしさっきから兵士のガキ――兵藤一誠から妙に視線を感じる。何だというんだ。

 

「おい小僧。さっきからなんだ? 俺に妙な視線を送ってきやがって。俺は男に興味はないぞ。熱い視線を送ってくるな」

 

 俺が言ってやると、兵藤一誠も言い返してくる。

 

「俺だって、男になんか興味ないっすよ!! ただ――」

「ただ?」

「羨ましくて」

「どういうことだ?」

 

 それに答えたのは頬をすりすりしていた黒歌だった。

 

「イッセーちんはハーレムが夢なんだにゃん。私たちを見て、小さなハーレムに見えてるんじゃないかにゃ」

「なるほど。ハーレムね。まあ、悪魔だったら、それくらい目指さなきゃな。まあ、俺はそれほど興味もないけど。寄ってくるなら、拒みはしないが」

 

 その言葉に目ざとく反応した三人の少女。

 

「それは本当かしら?」

「本当かにゃ?」

「本当ですか?」

 

 え、何? お前たち、何をそんなに反応してんの? と、俺は疑問に思った。

 

「そういえばウィル。黒歌と白音はあなたがお兄さまに預けて、そこから私の手に託されたんだったわね。まあ、それも最近知ったことなんだけど。それまではお兄さまが死にかけていた二人を拾ったと聞いてたからね」

「まあ、そうだ。お前に預けたのは悪かったとは思ってないからな。謝りはしない」

「それはいいわ。私もこの子たちと過ごして楽しかったからね」

「それは良かった」

「それよりもこれからの話をしましょうか」

「そうだな」

 

 (なご)やかというほどではなかったが、ある程度(ゆる)めだった雰囲気が一瞬にして変わった。誰もがそれを感じたのか、言葉を発することを躊躇(ためら)っている。

 

「ウィル。あなたの力を見せてもらえないかしら? 一応、サポートをしてもらう以上、私たちはあなたの力を知っておきたいの。そこで上級の悪魔から来た私の仕事なんだけど、あなたに任せてもいいかしら?」

「別に構わないが」

「それは良かったわ。仕事の内容だけど、はぐれ悪魔の討伐よ」

「はぐれ悪魔の討伐か。どうせ雑魚なんだろ。やる気が出ないな」

 

 俺は嘆息した。まだ若手のリアスに来るくらいだ。俺が楽しめるほどの実力ではないだろう。

 

「ウィル。気を付けて下さいね。あなたの実力なら問題ないはずだけど、随分と長い自堕落な生活で腕が鈍ってるかもしれないわ」

 

 グレイフィアに言われる。

 腕が鈍ってるとしても、はぐれ悪魔程度にやられるはずがない。そういう確信が俺にはあった。

 

「まあ気を付けるけど、心配いらないと思うぞ」

「そんなことは分かってるわ。念のためよ」

「ふふ。楽しみね。お兄さまの親友だというあなたがどれほどの実力を持っているのか」

「間違っても、お前たちより弱いということはないから安心しろ」

「正面きって言われると、ちょっとムカつくわね」

 

 リアスの目が妖しい赤い光を一瞬だけ放ったような気がした。

 

「まあ。力を見せるのはいいとして、つまりお前たちもはぐれ悪魔討伐に同行するってことでいいんだな?」

「ええ。私だけじゃなく、眷属も同行させようと思ってるわ」

「わかった。それとグレイフィア。それに黒歌と白音。お前たちは今回、一切の手出しを禁止する」

「最初から手出しするつもりないわ」

「私たちも手出しするつもりないにゃ。ねえ、白音」

「そうです。ウィルさんなら問題ないです」

「あのー」

 

 手を挙げながら、兵藤一誠がリアスに聞いた。

 

「部長。はぐれ悪魔ってなんですか?」

「あ? お前。そんなことも知らないのかよ」

 

 その言葉で、リアスが俺に言う。

 

「その子はまだ、悪魔になったばかりなの。悪魔のことも何も知らないのよ」

「なるほどな」

「ちょうどいいわ、イッセー。はぐれ悪魔について教えてあげる」

 

 リアスが兵藤一誠に説明をはじめた。

 

「はぐれ悪魔。それは爵位持ちの下僕としてもらった転生悪魔が主を裏切ったり、主を殺して主なしとなった者たちよ。悪魔の力は強大なのは分かるわよね。人間の頃とは比べ物にならないほど。その力を自分のために使いたくなる者も居るの。そういう主のもとを去って、各地で暴れ回っているのがはぐれ悪魔という存在よ」

「なるほど」

「よく覚えておくんだな、小僧」

「小僧って、そんなに俺と年齢変わんないじゃん」

 

 と俺に言ってくる。

 

「まあ、外見的にはそうだな。だがな、小僧。俺とグレイフィアはこの中に居る中ではかなり長い年月を生きている悪魔だ。言っとくが、俺やグレイフィアの生きてきた年数はお前の両親よりも長いからな」

 

 俺が言ってやると、兵藤一誠は凄い驚いている。自分の両親よりも長いと聞けば、当然かもしれない。

 

「ちなみにどれくらい生きてるんですか?」

「それ言ったら、グレイフィアに怒られそうだから内緒だ」

 

 わざとらしく、口に人差し指をあてがい、片目を瞑って言う。

 やってから思ったが、これは意外にキザっぽいかもしれない。

 

「じゃあウィル。今日の深夜に向かおうと思うからよろしくね」

「ああ」

 

 言って俺たちははぐれ悪魔の討伐に向かうことになった。

 はてさて、はぐれ悪魔の強さはどれくらいなのか。




第2話です。

今回は主人公が駒王学園に編入して、リアスやソーナたちと出会う話です。
原作主人公のイッセーとも出会いました。はてさてこれから先、どういう関係を築いていくのか。
オカルト研究部と生徒会とも関わり合っていくことになり、ハーレム要因も増えました。誰がハーレムに加わっていくことになるのか。
そろそろオリジナルキャラも出したいなと考えている今日この頃です。

次回もできるだけ早く投稿できればと思います。
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