ハイスクールD×D 魔王ルシファーの親友はルシファー 作:竜星
第6話:悩める魔王の妹
「……んぁ」
俺が目を覚ますと、眼前には大きな塊が二つあった。
グレイフィアは俺に抱き着くようにして眠っている。まだ目を覚ます気配はない。
「これはチャンスか」
眠っているのをいいことに、俺は眼前で寝息と共にゆっくりと上下するグレイフィアの極上の胸を揉みしだく。相変わらず最高の揉み心地。
「は、ん、んぅ」
眠っているとはいえ、どうやら胸を揉まれてグレイフィアは感じているようだ。それが俺の行為をさらにエスカレートさせる。
ネグリジェの上から揉みしだいていた俺だったが、調子に乗って生乳へと手を突っ込んでいく。そして優しく撫でまわした後、胸の先端を探り当てて摘まむ。
「ん、んぅ――っ!」
摘まんだだけで艶のある声が漏れてくる。俺は指の腹で転がし、更に強く摘まんでやった。
「ふ、あ……んっ、は……あぁ……んっ」
感じているグレイフィアの姿を見るのが楽しくなってしまった俺が、右手を下へと伸ばそうとした時だった。
その手を掴まれる。
「何をやっているのかしら、ウィル?」
顔を真っ赤に染め上げたグレイフィアが聞いてくる。
「いや、なんだ。揉み心地のいい胸が目の前に無防備に晒されてたからつい、な」
「あなたって人は……」
「あれ。怒らないのか?」
「怒りたいところではあるけれど、心地いいと感じてしまったのも事実。今回だけは許してあげる。でも、次やったらどうなるかわかってるでしょうね」
「……はい。気を付けます」
普段のグレイフィアであれば、問答無用で魔力による攻撃を加減なしに俺へと放ってきていたことだろう。
こんな行為に耽っていた俺が、それを避けられる可能性は万に一つもなかったはずだ。それを考えれば、今回は命拾いをしたと言っていい。
しかし本当にグレイフィアの胸の揉み心地は最高だ。もっと堪能していたかったというのが正直な気持ちだが、あれ以上続けていたら歯止めが利かなくなっていたかもしれない。
俺だけでなく、おそらくグレイフィアも。そういう意味では、いいタイミングでグレイフィアが止めてくれたことを喜ぶべきか。
あのままだと、やることをヤっていた可能性は十分にある。というか、絶対にヤっていた。グレイフィアほどの極上の女が、あんな無防備な姿を晒していれば、欲望を抑えることなどできるはずもない。
「でもまだ起きるには早いわよね。ねえウィル。また私を抱きたくなったのかしら。もう随分とご無沙汰だったものね。あなたが堕落的な生活をしていたせいだけど」
「お前ほどのいい女を抱きたくない男はいないと思うぞ。寄ってくる男は今も昔も多いんじゃないのか?」
「どうかしらね。ただ言えるのは、私は今も昔もあなただけを愛しているということよ。口にしないと、あなたは気付いてくれそうにないからね」
「そんなことはないんだけどな。お前の気持ちは知ってた。お前も俺の気持ちには気づいてただろ」
「ええ。私のことを愛してるのでしょう」
俺たちは長い悪魔人生の中ではじめて、互いの気持ちを打ち明けた。
体を重ねたことはあったが、気持ちの確認はしたことがなかった。順序としてはいささか逆になってしまったが、まあ気にしても仕方ない。
「ねえウィル。抱きしめてもいいかしら。あなたの温もりをもう少しだけ感じていたいの」
「当たり前だ」
俺はグレイフィアの背中に手を回し、ギュッと少し強いくらいに抱きしめる。グレイフィアも俺の背中へと手を回す。
「こんなところ、とてもじゃないけどあの子たちには見せられないわね。一緒の部屋で暮らしてるだけで、攻撃してきたくらいだからね」
「見せつけてやるのも面白いと思うけどな」
「それ、本気で言ってる?」
「どうだろうな」
そんなことを二人して話していると、枕元で大きな音を立てて目覚まし時計がけたたましく鳴りはじめた。
「残念ながら、ここまでのようね。あなたは兵藤さんの修行があるでしょう?」
「ああ。お前は朝食の準備がな」
「ええ。残念だけど。ねえウィル。最後に一つお願いを聞いてもらえるかしら」
「聞けることであれば」
「キスをしてもらえないかしら。ソフトなものでいいから」
「わかったよ。女王様」
言って俺は抱き合っているグレイフィアの唇を奪う。
一秒ほどの短いキス。それでも互いの愛を感じることができた。
「あの子たちに奪われるようなことにならないようにね。特に黒歌は隙あらば、奪いかねないからね」
☆☆☆☆☆☆
堕天使騒動の翌日からの約一ヵ月間。俺は毎日、親友の妹の最弱な下僕こと、イッセーを鍛え続けていた。
「そんなことじゃ、お前の目指す地点に辿り着くなんて夢のまた夢だぞ」
早朝四時に呼び出し、片道10キロのランニングに100本ダッシュとワンセット300回の各種筋力トレーニングを終わらせて今、俺たちは家の地下訓練場にいた。
イッセーは「ぜーはー、ぜーはー」と息を荒げて床に寝転がっている。が、そんなことを俺は許さない。
「おい、イッセー」
「……はい」
「何を休んでるんだ、お前は」
「え?」
「基礎訓練は終わったが、今日からは実技もある」
言って俺は握った拳をイッセーの前に突き出す。
「……まさか、ウィル先輩と戦えって言うんじゃないですよね」
「ん? 何を当然なことを言ってる」
「無理ですって!! 先輩の強さなら知ってるんすから。俺なんかが勝てるわけないじゃないですか!!」
大声で喚き、大袈裟なアクションを起こして訴えてくるイッセー。
それに対して俺は鼻で笑う。
「何がおかしいんすか」
「いや。まさか最弱悪魔筆頭とも言えそうなお前が、俺に勝とうとしてたのかと思うとな」
「……ぐ」
「勝つ必要はない。慣れろ」
「え?」
「お前は俺との戦いに慣れろ。そうすれば貴族連中の悪魔にも大敗するなんてことはなくなる。力をつければ、勝つことだってできるようになる。まず最弱のお前が身に着けるべきは、どんな速い攻撃でも捉えることのできる目と、避けることのできる体の軽快さ。目を養っても、体が対応できないんじゃ意味がないからな」
「……てことは、俺は受けるだけってことですか」
「まあ、最初のうちはそういうことだ。攻撃や竜の帝王の力は追々だな。じゃあはじめるぞ」
言って俺はイッセーとの距離をたったの一歩で詰めると、握った拳で軽く殴ってやった。
変な呻き声を上げ、イッセーは訓練場の壁へと吹っ飛んでいく。
「まじかよ」
かなり力を加減していたにもかかわらず、だだっ広い地下訓練場の壁まで吹っ飛んで行ってしまった。俺が想像していた以上に、イッセーは弱い。
今日までは完全に基礎能力向上に向けていて気付かなかった。
「いててて」
「イッセー。お前、本当にくそ弱いんだな。俺は悲しくなってきたぞ」
「酷いっすよ。これでも俺、頑張って強くなろうとしてるんすから」
身体を震わせているイッセーは、ギュッと力強く拳を握ってガッツポーズを取ると声高く宣言する。
「俺はハーレム王になる!!」
「……ハーレム王ね」
俺は耳の穴をほじりながら、それを聞いた。
「なんすか、その反応」
「いや、お前がハーレム王ってのはどうかと思ってな。憧れるのはお前くらいのガキなら当然なんだろうが、面倒くさいぞ」
「何言ってんすか。美女や美少女に囲まれるなんて、男としてこれ以上の幸せはないっすよ」
「まあ、お前がやりたいなら止めはしないが。ハーレム王になりたいなら、なおさら強くならないとな。女ってのは、いつの時代も強い男に寄ってくるもんだ」
「先輩みたいに?」
「不本意ながら。俺は寄ってこられなくてもいいんだが。やっぱ俺って強いから、女が寄ってくるんだよな。無駄話はこれくらいにして、再開だ」
俺は再び拳を一撃放つ。
とてもじゃないが、今のイッセーには回避することなどできないだろう。それをわかっているからこそ、俺はかなり手加減をしてやっている。
悪魔の子供でも避けられる程度の攻撃だ。だというのにイッセーは、この攻撃をまともに喰らって壁へと吹っ飛んでいく。
この程度の攻撃を避けられないようでは、いくら『神器』を持っていても力を発揮しきることはできない。
いくら強力な『神器』を持っていようと、所有者が弱ければ宝の持ち腐れ。だからせめて今のイッセーには、敵の攻撃を避ける技術を早々に身に着けてもらいたい。
しかしこればかりに時間を費やすというのもいささかなものかと思う。だから、この程度のステップは早々に突破してもらいたい。
そうは言ってもこの体たらくでは、相当な時間を費やすことになるのは間違いなかった。
何度も何度も、俺はイッセーへと攻撃を繰り返す。その度にイッセーは面白いほどに吹っ飛ぶ。
こんな修行を大方一時間くらい続けたが、この日のイッセーは当然のように一発も避けることができず、壁にぶつかり続けてボロボロになっていた。
☆☆☆☆☆☆
二人が修行を終えるのを待ち構えていたかのように、俺の家にリアスとアーシアが訪ねてきた。
どうやらイッセーに何か用事があったらしい。何だったのかは俺の知るところではないが、イッセーにとってはいいことのような気がしている。根拠なんてもちろんない。
いつものように面倒くさい学校へと行き、放課後はリアス眷属兼オカルト研究部と過ごす。
「イッセーがアーシア嬢ちゃんと暮らすのか?」
「ええ」
他の部員が来るまでの間、俺とグレイフィアはリアスと話し込んでいた。どうでもいいような雑談から、イッセーの修行の進行具合など話題は様々だ。
そんな中で、リアスからアーシア嬢ちゃんとイッセーが一緒に暮らすという話が飛び出す。
「大丈夫なのか? あのイッセーだぞ」
「何を心配しているのかわかってるつもりよ。そうなってしまった時は、まあ悪魔なのだから仕方ないと受け止めてあげるべきじゃないかしら。私は二人の主なわけだしね。それに欲望に忠実で実にいいことでもあると思うし」
「主のお前がそんなことを言うか」
「イッセーの異常なまでの性欲はどうしようもないことだと思うわよ。それを抑える方法なんてないし、悪魔が欲望を制御するというのも変な話だと思わない?」
「まあな。けど意外と大丈夫かもな。イッセーは性欲バカではあるが、襲うような覚悟があるかはわからんからな。実際に襲うような真似はしないかもな」
「……」
リアスは俺の言い分に肯定も否定もしなかった。
下僕としてから一か月も経っているのだから、性格を把握できていないということはないはずだ。あんな単純バカならなおさら。
「しかしあいつはどうにかならないのか。ハーレム、ハーレムとうるさくて仕方ないんだが。今日なんて、ハーレム王になるとか豪語してた」
「まああの子の夢のようだから、それは仕方ないんじゃないかしら」
「それですませるのか。一回、本気で黙らせてやるかな」
「ウィル。そんなことをすれば、兵藤さんが死んでしまうわ」
「だろうな。俺が軽く殴っただけで、数百メートルも吹っ飛ぶ奴だからな。あれは笑えるぞ」
軽いノリで俺は話しているが、どうも今日のリアスは少し暗い気がした。
話の受け答えはきちんとしているが、どうにも何かを考えこんでいるような雰囲気がある。それもかなり重い内容である予感がしていた。
しかし本人が話してこない以上、俺がむやみやたらに首を突っ込むことでもない。何より、面倒ごとにはできるだけかかわりたくなかった。
貴族の家というのは、いろいろと問題を抱えているもの。それはルシファーの家も例外ではなかった。冥界の辺境へと追いやられた今も、それまでも問題だらけだ。
あんな息の詰まるような家に長居したいと思うものは正常じゃない。だから俺は昔、義弟を逃がしてやったわけだ。あのままだと壊れていたはずだ。今はどこで何をしているのやら。
「……」
「ウィル。どうかしたの?」
「いや、別に」
俺も考え込んでしまっていたらしく、心配したようにグレイフィアが声をかけてきた。
「それよりグレイフィア。リアスの様子がおかしいけど、何か心当たりあったりするか?」
リアスに聞こえないようにグレイフィアに問う。
「まあ心当たりがないわけじゃないけど、知らなくてもいいことよ。面倒ごとは嫌いでしょ?」
「まあな」
やっぱり結構な面倒ごとのようだ。
他人の面倒ごとを処理する余裕がないわけではないが、俺は基本的に自由を求めている。そんなことで時間を潰されるのはごめんだ。
「リアスもいろいろと大変なのよ。サーゼクス様が魔王となったことで、グレモリー家の次期当主となったわけだからね」
「そうだよな。サーゼクスの息子はまだ幼いしな」
「ごめんなさい、二人とも。少し考え事をしてしまっていたようね」
俺たちがこそこそと話しているうちに復活したリアスだったが、その言葉はどこか無理をしているように聞こえた。
だからと言って俺たちにしてやれることはない。協力を申し出てくれば、手を貸すのはやぶさかではない。
「そろそろ他の部員たちも来る頃ね」
「たく、無理しやがって」
俺は隣に座るグレイフィアだけに聞こえる程度の声音で呟いた。
☆☆☆☆☆☆
夜のオカルト研究部部室。
とっくに部活としての活動時間は終了していたが、リアス眷属たちの悪魔としての仕事は今の時間帯こそが活動時間だ。
普段なら家に帰ってゆっくりするところだったが、どうにもリアスの様子が気になった俺は、珍しく部室に居残っている。
俺が帰らないと言ったところ、グレイフィアをはじめとした眷属たちも残ると言い出した。
家に残っているシバには、帰りが遅くなるという旨の連絡をすでにすませている。
部室にはイッセーとアーシア嬢ちゃんを除く全員が揃っていた。暇というわけではないだろうが、今日はたまたま仕事が入っていないらしい。
イッセーたちはと言うと、二人で仕事と称したデート中だ。
「ただいま戻りました」
チラシ配りというデートを終えた二人が部室へ戻ってくる。
「あらあら、お疲れさま。今お茶を淹れますわ」
二人を出迎えた朱乃は言うと、お茶を淹れにいった。
「やあ、夜のデートはどうだった?」
爽やかなイケメンスマイルで、直球に祐斗が尋ねた。
まあ二人のことだから、聞くまでもなく答えはわかる。
「最高に決まってんだろ」
親指を立ててそう息巻いてくるイッセー。
予想通りの答えをありがとう。
「……深夜の不純異性交遊」
「こらこら。そういうことは黙っておくことだろ」
俺の膝の上に座って、アイスキャンディーをなめている白音が言い放った。
「部長、ただいま帰還しました」
イッセーが報告するが、リアスは心ここにあらずといった様子だった。深いため息まで吐いている。
これは本当に深刻そうだ。
「部長、ただいま帰還しました!」
声を少し大きくしてイッセーが再び報告すると、ハッとしたようにリアスは我に返った。
「ご、ごめんなさい。少しボーっとしていたわ。ご苦労様、イッセー、アーシア」
少しではないだろと内心で思いつつも、俺はそろそろ潮時かと思っていた。
最初からわかっていたことだが、ここにいつまで俺がいても、してやれることは一つとしてない。逆に邪魔になる可能性もある。なるべく早く撤退するに越したことはない。
膝の上に座る白音の頭を撫でてやると、猫耳がかわいらしくぴくッと反応した。
「グレイフィア。白音。黒歌。俺たちはそろそろ帰るか」
「了解にゃ」
他の二人を代表するかのように黒歌が答えた。
それを耳ざとく聞き取ったリアスが言う。
「あら帰るの」
「ああ。長居して悪かったな」
「別に構わないわ。じゃあ、また明日」
「ああ。お前らも仕事がんばれよ。特にイッセー。明日も朝の修行忘れるなよ。遅れたら、メニュー三倍に増やすからな」
「……はい」
弱々しいイッセーの答えを聞くと、俺たちは魔方陣で自宅へ飛んだ。
☆☆☆☆☆☆
自宅へ戻って家族全員でグレイフィアの作った食事を食べ終えると、俺は先に風呂へと入って自室へ戻った。
今頃、グレイフィアは食事の片づけ。シバはそれを手伝い、猫姉妹は仲良く揃って風呂を堪能している頃だろう。
さてこれからどうするものか。このまま眠ってしまうのも一つの手だ。最近、ずっとグレイフィアが隣で寝ていることもあって寝不足気味。悪魔と言えど、さすがにそろそろ睡眠不足を解消しておく必要はあるだろう。
それとも他に何か適当なことをするか。と言って、何かするようなこともない。ここはおとなしく寝ておくか。
そう考えに至ったところで、気配を感じて机と向き合って座っていた俺は部屋の床に視線をやる。
カッ!
床に光が走った。光は円状に展開し、紋様を描き出す。それは俺のよく知っているものだった。グレモリー眷属のもの。
俺の部屋に魔方陣で飛んでくるような奴がいるとは考えにくい。とすれば、こっちにいるリアスの眷属ではなく、冥界から直接家のものがとも思ったが、それこそありえなかった。
部屋が強烈な光に支配され、人影が現れる。
女のシルエット。それも紅の髪の――。
「リアス……」
誰が来ても予想外だったとはいえ、一番ありえないと思っていた人物だった。
部室にいた時と同じく、何か考え込み、思いつめたような表情を浮かべている。
俺を視界に捉えるなり、ずんずんと詰め寄ってきた。そして思いもよらないことを開口一番口にする。
「ウィル。私を抱いて」
「……え?」
思わず、そんな間抜けな音が口から出た。
思い詰めた女はとんでもない行動を取る。そこまで大変なこととなれば、考えられる可能性は限られていた。
しかし聞き間違いだった可能性もまだ残っている。
次に放たれた言葉は、ダメ押しとなった。
「私の処女をもらってちょうだい。大至急よ」
おいおいまじか。
そんな言葉しか出てこなかった。
第6話です。
お久しぶりです。
他の小説の執筆もなのですが、プライベートでもいろいろとあって書く時間をあまり確保できませんでした。
別の小説を書いてる時、煮詰まった場合などに息抜きとしてやろうと思ったものなので、これからもしかしたら更新頻度がかなり遅くなる可能性があります。
次いつ投稿するかも正直、自分でもよくわかりません。
すぐに投稿できるかもしれませんし、かなり時間が空くかもしれません。
本当に申し訳ありません。
この章から先は当初思っていたのと、随分違う形で進んでいくかもしれません。
リアスはじめ、ほとんどのヒロインを主人公がイッセーからかっさらっていくような展開になる予感がしています。
次の更新、できるだけ早くしたいとは思っています。