ハイスクールD×D 魔王ルシファーの親友はルシファー 作:竜星
「ほら、ベッドへ行きなさい。私も支度するから」
俺を急かしながら、リアスは俺をベッドへ押し倒した。
止めるべきかとも思ったが、このまま流されるのも悪くないとくだらない思考が過る。が、すぐにグレイフィアの顔が脳裏に浮かぶ。
一瞬にして、俺の全身から血の気が引いていく。
そんな俺のことなど知ったことではないとでも言うかのように、リアスは服を脱ぎ出す。
バッ! とスカートを床に脱ぎ捨てて下着姿をあらわに晒す。
まだ男を知らないだろう純白の乙女らしい穢れなき白い下着。普段制服に隠れている部分もあらわとなっている。
「おいリアス! これはどういうことだ!」
何とかこの状況を覆せないかと思考を巡らせるが、打開案は一向に浮かばない。
バサッ! と、ついには上着まで脱ぎはじめるリアス。
制服の上からでもわかっていたが、白く豊かに実った双丘に、キュッとくびれた腰回り。スラッとした脚線美。ムチムチの太もも。悪くない体つきだ。
と、まじまじとリアスの体を観察している状況ではない。
下着を身に着けただけの姿となったリアスが、ベッドに押し倒された俺の上にまたがってくる。
「ウィル、私ではダメかしら?」
「ダメではないが、いろいろと面倒なことに……」
「いろいろと考えたのだけれど、これしか方法がないの」
状況から鑑みるに、リアスが抱えている問題を察することができない俺ではなかった。
だからと言って親友の妹を抱くというのは、いささか問題が大ありなわけで。
もっと言えば、それを知ったグレイフィアが凄く怖いから、できれば抱かないに越したことはない。
これほどに瑞々しい極上の体を堪能したいという気持ちは、もちろんあるわけだが。
「既成事実ができてしまえば文句もないはず。身近でそれができて、なおかつ文句を言えないような相手はウィルしかいなかったのよ」
確かに俺が相手となれば、サーゼクスやその親父も簡単には口を出すことはできないだろうな。
サーゼクスはもちろんのこと、その親父とも面識はある。正体まで知られているほどだ。
「祐斗やイッセーではダメ。祐斗は根っからのナイト。絶対に拒否するわ。イッセーなら喜んで受けてくれるかもしれないけれど、まだまだ足りない部分が多すぎるわ。あなたならすべてが揃っている。文句なんてないはず」
馬乗りになっているリアスの尻と太ももがあたっているのは、俺の大事な部分だった。こんな極上の女を前に、元気にならないはずもない。どうしよう。
「あなたもその気みたいだし」
やっぱり元気になってるの気付かれてた。
ブラのホックが外される。解放され、自由になった双丘がぶるんと揺れた。先端のピンク色の部分がすでに隆起している。
リアスが俺の腕を掴み、自分の胸へとあてがった。柔らかい。勝手に指が動き、リアスの胸を揉んでいた。
「ウィルははじめて? それともグレイフィアと経験があったりするの?」
「どうかな」
「まあどちらでもいいわ。私ははじめてだけれど、無事に最後までことをなすことができればいいの。さあ、あなたも服を脱いで」
リアスが俺のズボンに手を伸ばして脱がそうとした時だった。
カッ! と再び魔方陣が床に描かれる。今度は誰が現れるかと予測したが、この状況誰でも最悪に違いない。
「……一足遅かったわけわね……」
魔方陣から現れたのは、考えうる限り最悪に最も近い人物の一人だった。
銀髪のメイド服を着た女。グレイフィアの実姉であるリーシア。グレイフィアにでも連絡されたら、まじで殺されかねない。
俺たち二人をリーシアは交互に確認する。
「こんなことをして破断に持ち込もうとしたわけですか」
相変わらずの淡々とした口調。見た目が見た目なだけに、メイドの時のグレイフィアを思い出してしまう。
「こんなことでもしないと、お父様もお兄様も私の意見を聞いてはくれないでしょう」
「ウィルフレッド様。一応、お尋ねしますが、このことを我が妹は知っておられるのでしょうか?」
俺は顔を背ける。
知っていないと言っている行動だとは承知しつつも、口にできなかった。
それがまずかったのか、リーシアは通信でグレイフィアをこの部屋へと呼んでしまう。ちょっと何してくれてるんですか。そんなことしたら俺、殺されるんだけど。
「すぐに来るそうですよ。ウィルフレッド様」
だから俺、お前に何か怒られるようなことしましたっけ。まったく記憶にないんですが。
「こんな男に
こんな男に妹は操を捧げてますけどね。それはもう、これ以上ないってくらいの抱き心地でしたよ。と、その時の感想を心の中で吐き捨てた。
リアスに対してはグレイフィアとの
リーシアは床に脱ぎ捨てられた衣服を拾い、リアスに上着をかけると、俺を
本当にどうしてこんな不当な扱いを、リーシアから受けるのか謎だった。可能性を一つ挙げるとすれば、長い間自由を満喫していたことだろう。だが、それを
「あなたはグレモリー家の次期当主なのですから、無闇に殿方へ肌を晒すのはお止めください。ただでさえ、事の前なのですから」
やはりそういう話の流れらしい。今の俺が首を突っ込む理由は一つとしてなかった。
グレモリー家からすれば、俺は完全な部外者。この話に首を突っ込むべき人間ではない。だから二人の話の成り行きを見届けることにした。
「リーシア。あなたがここへ来たのはあなたの意志? それとも家の総意?……それとも、お兄様のご意思かしら?」
珍しく年相応の反応を見せるリアス。不機嫌とまでは言わないが、若干へそを曲げているのは間違いない。眷属たちの前ではまず見せない反応だ。
「全部です」
リーシアが即答した。まあ、リアスが挙げたすべて揃いでもしなければ、わざわざサーゼクスの『女王』であるリーシアが人間界に出向いたりはしない。
仮にサーゼクスが
即答されて諦めたのか、リアスは深いため息を吐く。
「そう。お兄様の『女王』であるあなたが直々に来るのだもの。そういうことよね。わかったわ」
脱いだままの服をリアスは着ていく。そして俺を視線に捉えて言う。
「ごめんなさい、ウィル。さっきまでのことはなかったことにしてちょうだい。私も少し冷静ではなかったみたい。今日のことはお互い忘れましょう」
「ああ。別に構わないが」
とは口にしても、こんな濃い出来事を忘れることなどできるはずもなかった。
「リーシア。私の根城に行きましょう。話はそこで聞くわ。朱乃も同伴でいいわよね?」
「『
リーシアが言い終えた時、部屋に来訪者が現れた。姉からの通信で駆け付けた、我が『女王』ことグレイフィア。その表情は見た目的には普段と変わらないものの、ただならぬ雰囲気を放っていた。
「ウィル。今夜は迷惑かけたわね。本当にごめんなさい。どうにかグレイフィアから生き延びてね」
それだけ言うと、リアスはリーシアと共に魔方陣の中へと消えていった。リーシアは消える前、俺に対して頭を下げていた。
残ったのは俺とグレイフィアの二人だけ。
「いろいろと聞かせてもらうわよ、ウィル」
「……ああ」
☆☆☆☆☆☆
俺はどうしてリアスとあのような状況に至ってしまったのかを、
「なるほどね。まあ、そんなことだろうとは思っていたわ」
「ってことは、お前はリアスの事情をかなり詳しく把握してるってことだな?」
「つい最近まではサーゼクス様の直属兼グレモリー家のメイド長の一人だったわけだしね」
言われて納得した。そんな人物であれば、リアスの事情を知らないのは逆におかしい。
「気付いてるだろうとは思うけど、リアスに縁談があるのよ。それをリアス本人は嫌がってるの」
「相手は?」
「フェニックス家の三男、ライザー。知らない?」
「聞いたこともない。フェニックスの名前はもちろん知ってるが」
不死鳥などとも称される家系。不死の力などを持つ『七十二柱』に連なる一角。今の冥界の中では有力の力を持っているはずだ。
だからと言って俺が戦うとなれば、負ける気などまったくしない。
「そのライザーって男、もしかして問題児だったりするのか?」
「……他家の人間を悪く言うようなことはしたくないけど、正直あまり好きになれる相手でないのは確かね。女癖が悪いというより、かなりの女好きね」
「イッセーの強化版みたいな奴か」
何となくのイメージを俺は口にする。
どうせ手当たり次第にいろんな女に手を出しているのだろう。こういったタイプは、眷属も女で固めているはずだ。グレイフィアが好きになれないと言った理由が何となくわかる。
「少し違う気もするけど。そうなる未来も考えられるわね。まあ、リアスが主なら問題ないとは思うけど」
「そんな手当たり次第に女に手を出すような相手、リアスはあまり好きそうじゃないからな」
多分それだけじゃないとは思うが。おそらく、性格的にもあまり好まれる人物ではないのではと、俺は予測している。会ったことがない分、予測することしかできない。
「そもそもの問題として、決められた相手と結婚するということをリアスが拒んでいるのよ。自分が好きになった相手と結婚すると言って」
「なるほどね。そういうことか。あの親父やサーゼクスのことだから、リアスのそんな性格も重々承知しているだろうに。何より、そこまで急ぐ必要もないだろ」
「そうね……」
リアスは冥界はおろか、人間界でもまだ子供と言われる年齢だ。そう結婚を急ぐことはない。サーゼクスたちはそう思っていないのだろうか。
いや、サーゼクスが急かしてリアスを結婚させたがる理由が見当たらない。
「サーゼクスにも何か思惑があるってことか?」
「どうかしら。そこまで私は聞いてないから」
「しかしあのシスコン魔王が、妹の結婚を急ぐとも思えないんだが。ずっと結婚しなくていいとか言って、誰よりも早く反対しそうなのにな」
「そうも言ってられないのはサーゼクス様も承知なのだから、結婚に関しては許容するとは思うけどね」
まあ俺がどうこう考えたところで、どうしようもない。
リアスが相手のライザーのことを好きになれないのであれば、結婚するべきではないというのが正直な思いだ。絶対に後悔する。
この先、何千年と生きていく悪魔人生。ずっと好きでもない相手と添い遂げるなど苦痛以外の何物でもない。
種の繁栄のために自分を押し殺して結婚するのが悪いとは言わないが、今回はそれをリアスが拒絶しているのは明らかだ。
いくら親兄妹でもあっても、他人の人生を弄ぶべきではないと俺は思う。
実に人間っぽい考え方をしている自覚はある。
「あ~!! 本当にお家騒動ってのは、どこもかしこも面倒くさいことこのうえないな」
俺は天井を見上げながら零した。
「かなり話は変わるのだけど、いいかしら?」
「何だ、グレイフィア?」
「ウィルはルシファーの家に戻るつもりはあるの? それだけ確認しておきたくて」
「まさか。誰があんなクズの集まりみたいなところに帰るか。そもそも戻ったところで、俺にはあの家に居場所はもうないからな。それはお前もわかってるだろ。俺が内戦の時にしたことを、ルシファーの家どころか、他の魔王の家も許してないからな」
かつての内戦で俺は魔王政府軍の最重要戦力だったのは間違いない。だからこそ生き残りたちが、俺の行いを許すとも思えない。他にも俺に付き従ったグレイフィアはじめ、重要戦力たちのことも。
「そう。安心したわ。帰りたいなんて言い出したら、どうしようかと思っていたところよ」
「本当に怖いって。そもそも、あの内戦で魔王の家どころか、その配下の家もほとんどが断絶に近い形になってるだろ。帰る場所なんてないに等しいだろ」
「そうね」
魔王政府軍の一員として戦っていた当時、俺にいい記憶なんて数えるほどしかなかった。ろくでもない連中が集まる中、数人の信頼を置けるものたちといろいろと画策したことだけは今でも鮮明に思い出せる。
「いやー、あの頃があったから、俺は自由を求めてるのかもしれないな」
「そんなこと許さないけどね」
「……わかってるよ。それよりも昔話なんかより、今のリアスの状況がどう転ぶか、部外者の俺たちは見届けるしかない。どんなことになろうと」
おそらくはリアスとフェニックスの意見は対立している。何事もなく落ち着くとはとても俺には思えなかった。
☆☆☆☆☆☆
翌日の夜。
俺の家に来訪者があった。魔王サーゼクスの妻にして、『女王』。そしてグレモリー家のメイド長という肩書きを持つリーシア・ルキフグス。
俺と眷属とリーシアは、リビングのテーブルを囲っている。
今日はリアスに妙な刺激を与えまいと部活を俺と眷属は休んでいたのだが、どうやら事に進展があったようで、その報告にやってきたらしい。しかも、どうやら俺たちも巻き込まれてしまうようだ。
「単刀直入に申しますと、リアスお嬢様とライザー様がレイティングゲームを行い、この騒動に決着を着けることとなりました」
「それがどうして、俺たちにまで飛び火してくる。それがまったく理解できない」
「現在プロリーグで戦っておられるライザー様と、まだ成人しておらずデビュー戦を経験していないリアスお嬢様では実力差は明白です」
「当然だな」
「そこで魔王サーゼクス・ルシファー様はハンデとして、せめてリアス様の眷属増員をを特例として許可されました」
そこまで聞いて、話はだいたい理解できた。
「そこでウィルフレッド様眷属から、『戦車』二名を一時的にレンタルすることとなりました」
「つまりは黒歌と白音をレーティングゲームに参加させるということか」
「はい。一応拒否権はありますが、どうなさいますか? リアスお嬢様はウィルフレッド様さえよければ、レンタルを受けると言っておられます」
フェニックスは不死身だ。しかも聞けば、女ばかりとは言え眷属は十五人全員揃っているという。多勢に無勢。しかも経験値の差も大きい。純粋な戦力はわからないが、おそらく向こうが上と見ていい。
今のリアスの眷属は朱乃と祐斗、イッセーにアーシアの四人だけ。実際にはもう一人いるが、おそらくは出てこないと考えた方がいいだろう。
朱乃と祐斗はともかく、今のイッセーはまだ戦力として心許ない。アーシアは回復専門であるため、戦力としては役に立たない。
現にイッセーは感情のままに立ち向かって、瞬殺されたようだ。
今のままでは敗戦濃厚。だからと言って黒歌と白音が加わってどうにかなるとも思えなかった。個人的な意見を言えば、戦力を提供することを断る理由はない。
「黒歌。白音。お前たちはどうしたい?」
俺個人が勝手に決めてもいいが、一応は二人の意見も聞いておきたい。
「参加することに不満はないにゃ。というより、参加させてほしいにゃ!」
「同じく!」
二人は語気を強くして、俺に言ってくる。その目には強い意志が宿っていた。
状況などはリーシアが語ってくれている。だからこそ、二人はどうしてもリアスの力になりたいと思っているのだろう。
「わかった。……リーシア。俺の眷属から、『戦車』二名――黒歌と白音のレンタルを許可する」
「了承しました」
「ところでリーシア。非公式とはいえ、リアスのデビュー戦となるレーティングゲームはいつ行われるんだ?」
「十日後です。当日、ウィルフレッド様はVIPルームでの観戦となりますので、それもお忘れなく」
「ああ」
「それとリアスお嬢様からの伝言を承っております。明日から修行をするそうなので、同行してほしいとのことです。レンタルの成否にかかわらずとのことです。全員同行を希望しておられます」
「了解したと伝えておいてくれ」
答えると、リーシアは軽く頭を下げてきた。了解したとのことだろう。
しかし十日間の修行で、本当に不死鳥を超えられるかは判断しかねる。死ぬ気でやれば、あるいはとも思うが。そんな簡単な相手ではないはずだ。
それだけ不死鳥の能力は厄介極まりない。
まあ俺の力を以てすれば、倒すことは容易な相手だ。
「リーシア。お前はリアスに勝機はあると思っているのか?」
「回答を拒否させていただきます。私は今回、中立に立つべき立場にあります。ですので、そのような質問であっても、答えるべきではないかと」
「相変わらず、メイド仕様だとグレイフィア同様、堅物だな。本当に似たもの姉妹だ」
回答を拒否されたが、リーシアの答えはおおよそわかっている。俺と同じく、リアスたちに勝ち目はないと見ているはずだ。
不死鳥の眷属を何人かはリタイアさせることは可能かもしれない。しかし人数からしても、多くの眷属を犠牲にすることになるだろう。
今のリアスの力で、不死鳥を相手するのは
「まあいい。親友の妹に無様に負けられるのは、俺としては望むことじゃないからな。できる限りの協力を惜しむつもりはない。お前もだろ、グレイフィア?」
「ええ。義理の兄の妹に簡単に負けられては困るわ。徹底的に鍛えるつもりよ」
「……」
ほどほどにしてやれよと言いたいところであったが、俺も手を抜くつもりはなかったため、その言葉を飲み込むことにした。
「これで少し安心できますね」
小さく、リーシアが呟いたような気がした。
本当に小さく、悪魔の耳を以てしてもほとんど聞き取れないほど。本当に発したのかすら、わからないほどだった。
それでも何かを言ったのは確か。それが俺の聞き取った言葉だったかは、正直自信を持てない。
「リーシア。一つ聞かせろ」
「何でしょうか?」
「サーゼクスは何か企んでるのか?」
「それは本人に尋ねられてはどうですか? 当日、VIPルームにはサーゼクス様も来られますので。あなたをVIPルームに招くように言われたのも、サーゼクス様なのですから」
そう言って席を立ち上がったリーシアは、俺たちに一礼して魔方陣の光の中へと消えていった。
第7話です。
何とか時間を取ることができて、早く更新することができました。
煮詰まっている本命の別の小説が全然進んでいない状況ですけど…。
それはともかく、次回は修行編です。
教師は本作主人公と、グレイフィアとなると思います。
イッセーだけでなく、主のリアス含めた他のグレモリー眷属も修行することになります。
徹底的に鍛え上げれたらいいなとは思ってますが、どうなるか未定です。
では次回も、早めに更新したいとは思っています。
本命の方と両立して、書けるようになりたい。