問題児達と亡霊の姫君《ゴースト・プリンセス》   作:NI☆WA☆KA

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 1話じゃ余り分からなそうなので、急ぎで2話を書いた後悔はしていない。

 ただこのキャラの設定に関わる疑問やらは、ネタバレになる危険性があってコメントしずらいので辞めて下さい。

 書かんでも読んでくださればいずれ公開しますので、お願いします。


第2話 外道の虎と亡霊

 ────箱庭二一〇五三八〇外門・内壁

 

 飛鳥、耀、ジン、ペッカートゥム、三毛猫の四人と一匹は石作りの通路を通り、箱庭の幕下に出た。

 

 三人と一匹の頭上に眩しい光が注ぐ。そして目の前に広がる光景に飛鳥と耀そして三毛猫の二人と一匹は感動したように瞳を輝かせる。

 

『お、お嬢! 天幕の中なのに、御天道様が見え取るで!』

 

「⋯⋯本当だ。外から見た時は内側何て見えなかったのに」

 

 そう呟く耀を見たペッカートゥムとジンは微笑ましそうに見詰めるとジンが口を開く、

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんです。そもそもあの天幕は太陽の光を直接受けれない種族の為に設置されてますから」

 

 飛鳥はそんな人達にピクリと眉を上げ皮肉そうに言う。

 

「それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

「え、居ますけど」

 

「まぁ他にも幽霊とかも住んでたりするよ」

 

「⋯⋯。そう」

 

 飛鳥は複雑そうな顔をする。実際幽霊にしてもそうだが、共存出来るとは思えなかった。

 

 それから四人と一匹は〝六本傷〟の旗を掲げるカフェテラスに座る。

 

 店の奥から猫耳の少女が注文を取るために素早く飛び出してくる。

 

「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」

 

「えーと、紅茶二つと緑茶を一つ。あと軽食にコレとコレと」

 

『ネコマンマを!』

 

「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね 」

 

 ⋯⋯ん? と飛鳥とジンが不可解そうに首を傾げる。その光景を面白そうに眺めるペッカートゥムは口を開く。

 

「この三毛猫が注文したのさねぇお嬢さん」

 

「えぇ、確かにそこの旦那さんから注文されました」

 

 そんな二人を見た春日部耀は驚いたように目を見開く。

 

「三毛猫の言葉が分かるの?」

 

「私は便利な通訳がいるからねぇ⋯⋯」

 

「私は猫族なんでそりゃあ分かりますよー。お歳のわりに随分と毛並みの良い旦那さんですし、チョッピリですがサービスさせていただきますよー」

 

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鍵尻尾やな。今度機会があったら甘噛みしに行くわ』

 

「やだもーお客さんったらお上手なんですから♪」

 

 そんな一連の光景にペッカートゥムは苦笑いを浮かべる。

 

 猫耳娘は長い鍵尻尾をフリフリと揺らして店内に戻った。

 

 そんな猫耳娘を見送った耀は嬉しそうに三毛猫を撫でる。

 

「⋯⋯箱庭ってすごいね、私以外に三毛猫の言葉が分かる人に二人も会えたよ」

 

『来てよかったなお嬢』

 

「ちょ、ちょっと待って。貴方ひょっとして猫と会話が出来るの?」

 

 動揺した声の飛鳥に、耀はコクリと頷く。そんな中ジンは質問する。

 

「ひょっとして御二人は猫以外でも意思疎通は可能ですか?」

 

「あーあたしは条件次第だから何とも言えないけど⋯⋯大抵の動物となら大丈夫だねぇ」

 

「私は、生きてるなら誰とでも」

 

「それだとあそこの野鳥とも会話は可能かしら?」

 

「えっと⋯⋯鳥だと雀や鷺や不如帰くらいだけど⋯⋯ペンギンが行けたからきっとだいじょ」

 

「ペンギン!?」

 

「う、うん。水族館で知り合った。他ならイルカ達とかも友達」

 

 耀の声を遮るように飛鳥とジンは声を上げる。

 

 空をかける野鳥ならともかくまさかペンギンが出るとは思わなかったのだろう。

 

「し、しかし全ての種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁はとても大きいですから」

 

「そうなんだ」

 

「そう⋯⋯春日部さんとオリギナーレさんは素敵な力があるのね羨ましいわ」

 

 困った耀に頭をかく耀。対照的に飛鳥は憂鬱な声と表情で呟く。

 

 そんな飛鳥を見て耀はそんな飛鳥を見て何か言おうとするとペッカートゥムが口を開いた。

 

「そんなに素敵でも無いよ()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あ、え? お、オリギナーレ?」

 

「ペッカートゥム出いいよ長ければペッカーでも構わない」

 

「あ、うん⋯⋯それよりペッカーの力って?」

 

「余り言いたくは無いねぇハッキリ言って呪い見たいなものさ」

 

「⋯⋯呪い」

 

「ん? どうしたんだい? お嬢ちゃん?」

 

「飛鳥でいいわオリギナーレさんただ自分の力もある意味だと呪い見たいなものに思えただけよ」

 

「そうかい⋯⋯それじゃあ飛鳥も私の事はペッカートゥム出いい」

 

「あの⋯⋯久遠さん?」

 

「春日部さんも飛鳥でいいわよ」

 

「う、うん。それで飛鳥は?」

 

「私? 私も呪い見たいに酷いものよ。だって」

 

「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君ではありませんかぁ」

 

 品の無い上品ぶった声が話を中断させる。四人は声のした方向を見ると、そこにはピチピチのタキシードを着た大男がいた。

 

 ジンはその大男を見て顔を顰める。

 

「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」

 

「は! 名無し風情が。聞けば新しい人材を呼び寄せたそうじゃないか。コミュニティの誇りを奪われてよく未練がましくコミュニティを存在できたものだ────そう思わないかな? お嬢様方」

 

 ガルドと呼ばれた大男は四人が座るテーブルの空席に勢いよく腰掛ける。飛鳥と耀は愛想笑いを向ける中、ペッカートゥムは明らかに睨みつけている。

 

「失礼だけど、同席をするならまずは氏名を名乗って一言そえるのが礼儀では無いかしら?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ〝六百六十六の獣〟の傘下である「烏合の衆の」コミュニティのリーダーを⋯⋯まてやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!」

 

 ジンの横槍にガルドは、口が耳元まで裂けて肉食獣の牙とギョロリとした瞳の姿に激変し、ジンを睨みつける。

 

「口を包め小僧ォ⋯⋯紳士で通っている俺でも許せねぇ事はあるんだぜ?」

 

「嘗て森の守護者だった貴方にでしたら経緯を評しましたでしょうが、今の貴方はこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「ハッ、そう言う貴様は過去の栄華に縋る亡霊だろうが」

 

「はい、ストップ」

 

 険悪な二人を飛鳥は手を上げて遮る。

 

「事情はわからないけれど、貴方達が仲が悪い事は分かったわ。それを踏まえて質問するのだけど───」

 

 飛鳥はジンを鋭く睨む。

 

「ねぇ、ジン君。ガルドさんが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況を説明して頂けないかしら」

 

「そ、それは」

 

 ジンは言葉に詰まった。そして言いよどむジンを見計らってペッカートゥムが口を開く。

 

「ウチのコミュニティは今、国で言う国旗と国名が無い状態なんだよ」

 

「────っ!? ペッカートゥムさん」

 

 ペッカートゥムの言葉にジンは思わずテーブルの上に乗り出す。

 

「ジン⋯⋯これ以上隠しても相手を不審に思わせるだけだ。ならいっその事説明したほうが賢明さ」

 

 そう少女はジンの目を真剣な目で見詰める。ジンはそんな彼女に何も言えぬまま椅子に座り直す。

 

「そう、それで?」

 

「それ以外にギフトゲームに参加出来る人材は黒ウサギとジン、そして私以外はいないむしろ他はギフトゲームに参加すらできない年端も行かない子供達だけさ」

 

「⋯⋯そう、でも何故?」

 

「私が入ったのはもう既にジンのコミュニティがノーネームになってた時だから余り知らないんだけどねぇ。確か箱庭で天災とされる修羅神仏〝魔王〟の持つ箱庭の特権〝主催者権限《ホストマスター》〟で強制的にギフトゲームをやらされて潰されたらしい」

 

 ペッカートゥムは飛鳥にそう説明すると、便乗するかのようにガルドが口を開く。

 

「そうです! 故に今のジン=ラッセルのコミュニティは箱庭でコミュニティとして活動するに必要な名も旗印も、主力も無い、あるのは膨大な居住区画のみ! もしも新たにコミュニティを形成していれば、前コミュニティは有終の美を飾ってたでしょうが。今では名誉も誇りも無い名も無きコミュニティの一つでしか無いのです!」

 

「⋯⋯」

 

「そもそも考えて見てください。名乗る事が許されないコミュニティに何が出来るのでしょう? 商売? 主催者(ホスト)? ですが名も無き組織の信頼など皆無でしかない! ではギフトゲームの参加は? それなら出来るでしょう。ですが優秀なギフトを持つ人材は? 名も無きコミュニティに誰が集まると言うのでしょうか?」

 

「そうね⋯⋯誰も加入したいとは思わないでしょう⋯⋯それでガルドさんはどうしてそのような事を言い出したのかしら?」

 

 飛鳥の含みのある言葉に。ガルドは口角を釣り上げる。

 

「単刀直入に言います。もし宜しければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんでしょうか?」

 

「な、何を!?」

 

 ジンはテーブルを叩いて講義する。

 

 だが、ガルドはそんなジンを獰猛な瞳で睨みつける。

 

「黙れ、そもそもテメェの我が儘でコミュニティを追い込んで置いて、どの面下げて異世界から人材をよびだした?」

 

「そ⋯⋯それは」

 

「無知なら騙せると思ったか? その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わす気なら⋯⋯こっちも箱庭の住人として通すべき仁義があるってもんだぜ?」

 

 ジンはもはや何も言えなくなり俯いてしまう。それを見たガルドは再び飛鳥達に笑顔で向き合う。

 

「⋯⋯そう言う訳なのでどうでしょうか? 直ぐにとは言いませんし、コミュニティに属さずとも貴女達には三十日間の猶予がありますし、一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達〝フォレス・ガロ〟のコミュニティを観察して──」

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで間に合っているもの」

 

 は? とジンとガロは飛鳥の顔を窺う。

 

 彼女は平然とした態度でティーカップの紅茶を飲み干すと、耀とペッカートゥムに笑顔で話しかける。

 

「二人は今の話をどう思う?」

 

「私はもう所属してから三十日以上はいるから期限切れだしねぇ⋯⋯それにこいつのコミュニティに入るのは絶対にお断りだよ」

 

「別に⋯⋯どうでもいい。私はこの世界に友達を作りに来ただけ」

 

「あらそう。それじゃあ私が友達一号に立候補して良いかしら?」

 

 飛鳥は自分の髪を触りながら気恥しそうに耀に言う。

 

 耀はしばらく無言で考えた後、小さく笑って頷く。

 

「⋯⋯うん。飛鳥は私が知ってる女の子とちょっと違うから大丈夫かな」

 

『よかったなぁお嬢⋯⋯』

 

 三毛猫はホロリと涙する。ガルドはそんな中大きく咳払いして顔を引き攣らせながら二人に問いかける。

 

「失礼ですが、理由を教えて貰っても?」

 

「だから、間に合っているのよ。ペッカートゥムさんは既に所属済みでだし、春日部さんは聞いての通り友達作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」

 

「うん」

 

「そして私、久遠飛鳥は──裕福だった家、約束された将来も、おおよそ人が望みうる全てを支払って、この箱庭に来たの。それを小さな小さな一地域を支配してるだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと無礼に言われて魅力的に感じると思ったの? だとしたら自身の身の丈を知った上で出直して来なさい、このエセ虎紳士」

 

 ピシャリと飛鳥は言い切る、ガルドは怒りで体を震わせどう返すべきか思案するなか、ペッカートゥムが口を開く。

 

「それに私があんたを嫌うのは()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「────っ! それは⋯⋯ヒッ」

 

 ガルドはペッカートゥムの言動に問いかけ用として彼女の方に顔を向け青ざめる。

 

 それも仕方が無いだろう彼女の周囲には、血まみれの子供達が立っていたのだから。 

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