小説家は魔法使い   作:燃え尽きた灰

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初めて書いた短編。巧く纏められたかな?


小説家は魔法使い

在るところに一人の男がいた。彼はなんのことはない典型的な二十歳過ぎればただの人と揶揄されるような人間だった。

ある程度の才能はあったのだろう。しかし、子供の未熟な精神でその「ある程度」の才能に驕らず、周囲から誉め続けられてなおたゆまぬ努力を続けられるだろうか。

自分の才能なんて大したことはない、と気づいたときにはもう既にすべてが終わっていたのだ。少なくとも、彼はそう思ってしまった。そして、そのただ単に周りに比べて要領がいい、それだけの才能ですら無駄にしてしまった。

そのことに気づいたとき、彼は愕然とした。そして、過去の傲慢で小さな才能に胡座をかくだけだった自分に絶望した。だからだろうか、彼は強く「やり直したい」と願ってしまったのだ。それかいったいどういう意味を持つかを深く考えもせず。

 

◇◇◇

 

彼はその記憶を持ったまま、赤ん坊になっていた。ただ、記憶は所々抜けていて、自分がなぜやり直しを願ったか、どういう人生を過ごしたかは覚えていなかった。

そして彼は成長した。元々の記憶がある彼は試験では毎回高得点を出していた。体も小さい頃から運動をしていたお陰で、運動神経もよかった。しかし彼はここまでで良い、と現状に満足してしまった。そしていつしか努力することを忘れてしまった。そしてまた、彼はどこで選択を間違えたのだろうと考えるようになっていた。努力はしたと思っていた。才能も比較的ある方だと思っていた。なのに彼が子供の頃馬鹿にしていた彼奴(あいつ)は今や順調に出世を重ね、勝ち組といってもいいだろう。しかし、奴に比べて自分は就職に失敗したあげく、フリーター。彼はなぜ、自分はと思った。

そんなある日のこと、彼は唐突にすべてを思い出した。ああ、今回もまたなのか、と思った。しかし彼は諦めなかった。次こそは、と思った。

 

◇◇◇

 

「そうして彼は何度も繰り返すうちにこの世界はおかしい、狂気的だと思った...? ありきたりな設定ですねぇ。もう少し捻りを入れられませんか?」

 

「はぁ、考えてみます。」

 

「世界が狂気的なのは当たり前じゃないですか。そこに気づかず発狂したら面白そうじゃないですか? ありきたりな設定の世界なんて、今時流行りませんよ。小説家なら奇抜で面白いものを考えないと。」

 

◇◇◇

 

長い夢を見ていた気がする。彼はそう思った。どこまでも白い、二人の男がなにか会話をしている夢だった。会話の内容は理解できそうでできず、彼はもどかしく思った。

それからも彼は彼が願う度、赤ん坊に戻り、人生をやり直した。

もう、何回繰り返したかも覚えていない。そんなとき彼は唐突にこの夢を思い出した。そして彼は、二人の会話を理解した。いや、()()()()()()()

二人の会話を理解した時、彼の中の何か大切なものが切れる音がした。彼は()()()()()()()。自分の人生は、こんな卑劣な狂人達の玩具だったのか、と彼は自らの人生に絶望し、自らの人生を玩具として扱った彼ら二人、いや、それらを呪った。

彼は気がつくと、すべての記憶を保ったまま赤ん坊に戻っていた。もう、彼の精神は限界だった。彼は、自らに暗示を掛け、彼の人格および記憶を封印した。

そして赤ん坊が成長し、青年となった頃には彼ら二人を消滅させるという願いだけが残った。

幸運にも、青年には退魔師、神薙としての才能があった。

青年はあの二人が所謂神という存在だと知った。

そして順調に神薙として力をつけた青年は、彼らを封印、もしくは消滅させるために神界へと渡った。彼は、自分の神薙としての実力に酔っていた。しかし彼が神界へと渡ると、忽ち捕まってしまった。彼ら神は青年の襲撃を事前に察知し、罠を用意していたのだ。

 

「いいサンプルが手に入った。これで研究がはかどるぞ。」

 

彼らは言った。青年には意味がわからなかったが、自らの行く先を思って絶望した。

 

◇◇◇

 

「ショートショート、こんな感じで完成でいいですか?」

 

俺はとある高校の文芸部の一部員。今日は生徒会誌に文芸部が載せる短編の締切日前日。

 

「いいんじゃないかな。ただ、最後の部分を変えたらもっといいと思うよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

俺は小説を読むのは大好きだし、書くのはもっと大好きだ。いつかはプロの小説家のような小説を書きたい。そう思いながら、書いた小説を保存した。

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