GATE~ヴァンツァー、彼の地にて、斯く戦えり~   作:のんびり日和

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14話

伊丹達がイタリカに到着してから数時間が経過し、時刻は深夜3時を迎えようとしていた。その頃東門に居た農夫達は度重なる襲撃に疲れがピークに達しており、立ったまま居眠り仕掛けていると突然目の前に矢が降ってきた事に驚いた。

 

「しゅ、襲撃だぁ⁉」

 

そう叫び声が上がり、周りにいた民兵達は直ぐに武器を持ち応戦すべく立ち向かった。東門の指揮を執っていたノーマは、下に居た者達に大声で指示を飛ばしていた。

 

「敵襲‼ ピニャ殿下に伝令‼ 敵は東門から接近‼」

 

その知らせは直ぐにピニャの元に届いた。

 

「東門だと!?」

 

そう叫び、自身が学んできた戦術プランが大きく崩れ去り、すぐさま東門へと向かった。東門は既に悲惨な状態となっていた。多くの民兵達が矢を放ち、架けられた梯子を斧で叩き壊すなどしているが、明らかに戦力の差が出ていた。門の内側には馬防柵を設け、其処では入られた時の為に民兵達を待機させていた。すると端の方で武器を持った女性達が話していた。

 

「み、緑の人と砂の人は一体何処にいるの!?」

 

「わ、分からないわよ!」

 

そう話しており、ピニャはギュッと馬の手綱を握りしめていた。

 

「……あの者達は来ん。わらわが南門に置いてしまったから」

 

そう呟き、自身の頭で練った作戦がこうも簡単に崩れ去ったことに悲観していた。すると近くに居たハミルトンが「あぁぁ……」と声を漏らすのが聞こえ、顔を上げると城門上で民兵達を指示していたノーマが、盗賊団の一人の剣で貫かれていた。

 

「敵将の一人を打ち取ったりぃ!!!」

 

そう叫ぶと門の外から歓声が上がり、そして門がこじ開けられた。そして多くの盗賊達がなだれ込んできた。互いに睨みあう。すると盗賊団の一人が女性の死体を持って来た。

 

「さて、この女の亭主は何処に居るんだぁ?」

 

男はニタニタと笑みを浮かべながら女性の髪を掴み上げ、民兵達によく見える様に持ち上げた。

 

「み、ミシェル!?」

 

民兵の一人がそう叫び、柵をくぐり抜けようとしたが周りの者達が男を行くんじゃないと止めた。

 

「行くんじゃない! 行けば殺されるぞ!」

 

「くっ‼」

 

亭主の男性は死んだ妻殺したかもしれない男を睨んだ。

 

「そうだなぁ、折角だ。返してやるよ」

 

そう言い突然剣を取り出し、女性の首を斬り捨て首だけを亭主の方へと投げた。男性は転がって来た妻の首を拾い上げ、怒号をあげ剣を持って策を抜けて行った。それにつられてか何人もの民兵達も柵を抜け、向かった。

 

「いかん、行くんじゃない!」

 

ピニャの制止も聞かず、民兵達は盗賊団の元へと向かった。

その頃、東門で戦闘が起きているのを確認した伊丹達は動けずにいた。するとロゥリィの様子がおかしい事に気付いた。

 

「…だ、だめぇ。可笑しくなっちゃうぅ!」

 

そう叫びながら体をくねらせるロゥリィ。伊丹達は一体何が、と思いレレイに聞いた。

 

「レレイ、ロゥリィの奴どうしちまったんだ?」

 

「彼女はエムロイの使徒。戦場で散った魂は彼女の体を通ってエムロイの元に召される。その魂が体を通り抜ける際、魔薬的感覚に陥る」

 

「ま、魔薬って媚薬の事か?」

 

ロゥリィの様子に流石に不味いような雰囲気が出ており、ダンは直す方法が無いか聞く。

 

「どうやったら止まる?」

 

「戦場に行けば、自然と解消される」

 

そう言われ、どうする?と伊丹に目線を向ける。伊丹は未だに東門から応援が来ない事に判断を迷っていると

 

『伊丹二等陸尉』

 

突然ヴァンツァーに搭乗しているカズヤが、声を掛けた。その際、普段さん付けなのを自身の階級で呼んだことに何らかの指示を出すと思い顔を向けた。

 

『貴方とダン中尉、そして富田、栗林二等陸曹はロゥリィと共に東門に向かい、味方に敵位置の誘導を。残った者は南門の警備に着いて下さい』

 

そう指示を飛ばした。カズヤが指示を飛ばしたのは、この部隊の中で一番階級が上の為後々問題が起きた際は自身が責任を負うつもりでいる為だった。

 

「了解です」

 

伊丹はカズヤの指示に従い、栗林にロゥリィを立たせるよう指示した。

 

「ロゥリィ、もう少しの辛抱だからね」

 

そう声を掛けた瞬間、栗林の袖を掴みそのままの勢いで門から飛び降り常人では考えられない走りで駆けて行った。

 

「は、はえぇ」

 

桑原曹長そう声を漏らした。

 

「俺達も向かうぞ!」

 

そう言い伊丹達は、高機動車に乗り込み東門へと向かった。伊丹達が向かったのを確認したカズヤは次の指示を飛ばした。

 

『恐らく東門が突破が成功すれば残りの門にも攻撃をすると思います。自分は西門に向かうので、皆さんは此処で警戒態勢を維持していてください』

 

「分かった。……カズヤ、奴らに目に物を見せてやれ」

 

アイリッシュはそう言うと、カズヤはえぇ、分かってます。と返し西門へと向かった。

西門には数分で到着し、カズヤは西門の様子を見るとやはり盗賊団の一部が攻撃をしていた。カズヤはすぐさま安全装置を解除し持ってきたセメテリーを構えた。

 

「お前等が大人しく故郷に帰ってさえいればこんなところで命を散らさずに済んだんだ、悪く思うなよ」

 

そう言い引き金を引いた。セメテリーから装填されていた15㎜砲弾が立続けに放たれ、門を攻撃していた盗賊団達に命中していった。命中した箇所は地面が抉られその場にいた兵士は肉塊になるか、体の一部が消し飛んだ。

 

「きょ、巨人だぁ!!??」

 

「な、な、なんで此処に居るんだよ!? 人間並みの知能があるとでも言うのかよ!」

 

「と、兎に角に、逃げぎゃぁぁ!!?」

 

逃げようとし始めた盗賊団にカズヤは、躊躇なく攻撃を加えた。脅威となりえる芽は早急に摘み取らねばならない。もしまた逃げればこの連中はこの街、もしくは他の街や村をまた襲うかもしれないからだ。西門に迫っていた盗賊団はものの数分で壊滅した。すると西門の城壁上から、大声をあげる女性が居た。

 

「巨人さぁ~ん! ありがとうございますニャ‼」

 

そう言い手を振っていたのは返り血の付いたメイド服を着たペルシアだった。手には小さなナイフが握られていた。カズヤは声を掛けようと思ったが、自身の声をだしたら色々不味いのではと考え、ヴァンツァー用ショットガン『キャッツレイ』を持った手を掲げ上げ東門の方へと向かった。その際に城門上にいたペルシア以外のメイドや民兵達が手を振りながらお礼を言っていた。




次回予告
伊丹からの報告を受け、既に攻撃を受けていると報告を受けた第4戦闘強襲団。そしてイタリカに接近し、攻撃を開始した。
次回
戦場を蹂躙するヴァルキュリーと巨人
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