GATE~ヴァンツァー、彼の地にて、斯く戦えり~ 作:のんびり日和
第3合同偵察隊がイタリカから戻って来た夕方頃、伊丹は避難民達が住んでいる仮設住宅へと来ていた。
辺りをきょろきょろと見渡しつつ、通りすがる避難民達に会釈をしながら歩む伊丹。そして目的の人物を見つけたのか、手を挙げながら声を掛ける。
「テュカ、ちょっといいか?」
「あ、伊丹。どうかしたの?」
洗濯ものを入れた籠を持ったテュカ。テュカは近くにあったベンチに伊丹と共に座る。
「実は明日、門の向こうに行くことになってな」
「門の向こうって、確か伊丹達が住んでいるニホンと言う国だっけ?」
「そうそう。それでテュカが良いなら日本に来て欲しいんだ」
「ニホンに? どうして?」
「国会って言う、まぁ、この世界で言う元老院に報告しに行くんだけど、ヒト以外が住んでいる事や、この世界の文化とかは伝えて欲しいと思ってな」
「行くのは私だけなの?」
「いや、通訳としてレレイも一緒に行くぞ」
「そっかぁ。お父さんなんて言うかな?」
「どうかしたのか?」
「うぅん、それに行ったら伊丹は嬉しい?」
「俺、というか遠征団皆が喜ぶかな」
そう言われテュカは笑みを浮かべコクリと頷く。
「分かった。皆が喜ぶなら行く」
「そっか。それじゃあ「ちょっとぉ~」えっ?」
突如近くの仮設住宅の扉が開きロゥリィがひょっこりと顔を出す。
その顔は不満げな表情であった。
「なぁに楽しそうな事を、私抜きで話してるのかしらぁ?」
「ロ、ロゥリィ…」
ロゥリィの登場に伊丹は顔を強張らせる。その訳はロゥリィを連れて行こうものなら何をしでかすか分からないからだ。その為伊丹は大人しいテュカとレレイだけを連れて門に行こうと考えていたが、あっさりと計画はパァとなってしまった。更に運が悪いのか
「儂も、行きたい」
「はぁ?」
別の仮設住宅の扉が開き今度はカトーまで現れたのだ。
その後2人を何とか特地に残そうとしたが、ロゥリィが「奇跡、使うわよ?」とハルバート片手に伊丹に交渉[物理]をして一緒に行くことになり、カトーは避難民達の傍に居ないといけないと伊丹の説得で何とか特地に残って貰えることになった。
その頃カズヤはパーツ交換を終えたゼフィールに乗り込み、前回のイタリカ防衛線での戦闘記録を纏めたり、システムメンテナンスを行っていた。
「ゲイツさん、このシステムこれでOKですか?」
「ちょっとお待ちください。……はい、これでOKです」
「それじゃあシステムメンテナンスはこれでOKですね。後は「おぉ~い、カズヤ!」ん? レナード整備長、なにか?」
「お前さんにお客さんだぁ!」
機体の足元付近から大声でカズヤを呼んだレナードに、カズヤは「お客さん?」と首を傾げつつ格納庫の入口へと顔を向けると其処には
「あれ、ペルシアさん?」
気付いて貰えたからか、手を振りるペルシアにカズヤは一体どうして此処に?と疑問が浮かぶも、兎に角向かうかと思い機体から降り、タラップを使って地面へと下りペルシアの元へと向かう。
「ペルシアさん、どうして此処に?」
「はい、実はロゥリィ様からお聞きしたのですが、伊丹様とレレイ様達が門の向こうへ行くとお聞きして、もしかしてカズヤ様も門の向こうに行かれるのかと思い此方に伺いに参った次第ですニャ」
「あぁ、なるほど」(伊丹さん、レレイとテュカは連れて行くだろうなと思ってたけど、まさかロゥリィも連れて行くのか。……何も起こらなきゃいいけど)
ペルシアの話を聞き、カズヤは心の中で無事に日本から帰って来れるかな?と不安な気持ちになりつつも、頷く。
「えぇ、実は俺も日本に行くことになっています。日本の国会って言う場所で色々と話をしに行かないといけないので」
「そうですか。あの、その事で実はお願いがありますニャ」
「お願い、ですか?」
「はい。その二ホンと言う場所に私もお供させていただきたいのです」
「日本にですか?」
カズヤの問いにペルシアはコクンと頷く。
「理由をお聞きしても?」
「はい。遠征団の皆様には多大な恩がございますニャ。ですので、イタリカでの事など皆様のご勇姿をしっかりとニホンの元老院の皆様にお伝えしたいからですニャ」
「なるほど。……ちょっと待って下さいね、伊丹さんに聞いてみるので」
ペルシアの真剣な表情でのお願いにカズヤは少し悩んだ表情を浮かべた後、伊丹に指示を仰ごうと思い伊丹に連絡を入れる。
「あ、もしもし伊丹さん? 実は明日の日本に戻る件なんですが、ペルシアさんも連れて行ってもいいですか? はい、彼女も遠征団の活躍を伝えたいと言ってまして。はい。…了解です、伝えておきます。では失礼します」
伊丹との電話を終え、スマホを仕舞いペルシアの方に顔を向ける。ペルシアの表情は先程までとは変わり少し不安そうな表情を浮かべていた。
「伊丹様はなんと?」
「伊丹さんからは大丈夫とのことです」
「そうですかニャ。良かったです」
伊丹から許可が下りたと聞き、安堵の表情を浮かべるペルシア。
「それじゃあ明日昼前に出発なので、3日分の衣類の準備をお願いします。それと当日富田さんと栗林さん、ダン中尉がレレイ達を迎えに行くので一緒に来て下さい」
「畏まりましたニャ。それとご無理なお願いを突然して申し訳ありませんニャ」
「別に構いませんよ。それじゃあ、自分はまだ仕事が「おい、カズヤ」レナード整備長、何か?」
仕事に戻ろうとしたカズヤにレナードが不機嫌な顔で声を掛ける。
「お前さんの仕事はもう終わりだ。機体整備は俺達整備班の仕事だ。さっさと帰れ」
「いや、しかし「さっさとそのお嬢さんと一緒に飯でも食いに行け」ですが「うだうだ言ってねぇで、さっさと行け! スパナでしばくぞ!」 い、イエッサーー!」
何処からともなく取り出し大きなスパナで脅され、カズヤは冷や汗を流しながら、大声で返事を返しながら敬礼し、ペルシアと共に格納庫を後にし食堂へと向かうのであった。
次回予告
参考人招致に呼ばれている伊丹とカズヤは、レレイやテュカ、そしてロォリィとペルシア。そして護衛の富田と栗林、ダンと共に門の前で集合していた。
すると其処にピニャ達を連れた柳田が。
そして12人は遂に門の向こうへと渡る。
次回
参考人招致part2