GATE~ヴァンツァー、彼の地にて、斯く戦えり~ 作:のんびり日和
参考人招致当日、伊丹とカズヤは門前でテュカ達の到着を待っていた。
2人の格好はスーツ姿で、腕には厚手のコートを抱えていた。
伊丹は何度目か分からない携帯の時刻を確認する。集合時刻は11時なのだが、既に11時10分になろうとしていた。
「彼女達、遅いですね」
「そうだねぇ。もしかして時間にルーズなのかね、この世界の人達って」
「いや、単に時計が無いから、大雑把な時間しか分からないんじゃないですか?」
「だよねぇ」
そう言い伊丹は携帯をポケットに仕舞うと同時に高機動車が到着し、冬着の富田達とテュカ達が降りてきた。
「遅いぞぉ、お前等ぁ」
「すいません、支度に手間取りました」
富田の謝罪の言葉を聞きつつ、伊丹は到着したテュカ達の様子に目を向ける。
テュカは栗林に着るよう言われたのか、ハイネックのカーディガンを着込み若干暑がっていた。
レレイは何時もと変わらない服装。そしてロゥリィも何時ものゴスロリであるが、神官の象徴と言っていたハルバードには布で覆い巻かれていた。
「ねぇ栗林ぃ、これ取っていいぃ?」
「駄ぁ目! 向こうで刃物むき出しの状態は完全にアウトなの! 置いて行くのが無理って言うからそうしたんだから、絶対に外しちゃ駄目!」
そう強く言われ頬を膨らませふてくするロゥリィ。
そしてペルシアは何時ものメイド服に上からコートを羽織っていた。
「ペルシアさん、そのコートで大丈夫ですか? 向こうはこっちより寒いですよ?」
「お気遣い感謝いたしますニャ、カズヤ様。ですが、問題ありませんニャ」
「そうですか。もし寒かったら言って下さいね、厚手のコート借りて来ますから」
そう言いペルシアを気遣うカズヤ。
全員揃ったのを確認した伊丹はそれじゃあ出発しようかと声を掛けようとした瞬間、漆黒のセダンが伊丹達の前で停まった。
「すまん、すまん。遅くなった」
「ん? なんだ?」
降りてきた柳田に伊丹やカズヤ達は怪訝そうな顔を浮かべている中、柳田は車両の後部扉を開ける。すると降りてきたのは
「こちらのピニャ・コ・ラーダ殿下とボーゼス・コ・パレスティー侯爵公女閣下のお二人がお忍びで同行される。よろしくな」
とピニャとボーゼスが緊張した面持ちで降りてきたのだ。
柳田の軽い説明に伊丹は茫然とした表情を浮かべた後、柳田に詰め寄る。
「なんでこのお二人も何だよ」
「殿下は帝国との仲介役を買って出てもらうんだ。我が国やアメリカなど俺達の世界について知って貰うにはいい機会だ」
「だからってなんで俺達と一緒なんだよ」
「通訳出来る奴が極端に少ないからだよ」
そう言いながら柳田はポケットから分厚い茶色の封筒を伊丹に差し出す。
「狭間陸将からだ。娘っ子達の慰労に使えだとよ」
そう言われ何とも言えない表情を浮かべる伊丹。そして封筒を受け取ると、柳田はじゃあな。と言って車に乗って去って行った。
「伊丹さん、大丈夫ですか?」
「全然、大丈夫じゃねぇ」
「…ですよねぇ」
ずぅ~んと落ち込む伊丹に苦笑いを浮かべるカズヤ。
その後伊丹は気持ちを切り替え、テュカ達を連れて門へと向かう。
荷物検査を受ける傍ら、ピニャはそびえ立つ門の前で緊張した面持ちを浮かべていた。
(この門の向こうに、二ホンとアメリカと言う国があるのか)
そう思い、自らの気持ちの紐を再度引き締めるのであった。
次回予告
門の向こう、日本にやって来たテュカ達は自分達の国とは違う光景に目を奪われる。
そんな中、伊丹の傍にスーツ姿の男性がやって来た。
次回
参考人招致part3
短い小説になって申し訳ありません。