夜調べ   作:ジト民逆脚屋

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はい、メモ帳からサルベージ!
今回はかなり読み辛いかも・・・
あと、地味に重要情報がポロリしてます。


夜語

○月×日

 

きょうもポロとさんぽにいきました。

ポロはさんぽがだいすきなので、いろんなところへさんぽにいきます。

もっとポロとさんぽしたいけど、おねえちゃんはゆうがたになったらかえってきなさいといいます。

 

わたしはもうすこしポロとさんぽをしたいけど、おねえちゃんがさいきんはあぶないといっていたので、ゆうがたになるまえにかえります。

 

 

 

 

○月□日

 

このまちのひとたちはゆうがたになるといえからでなくなります。

わたしにはなんでなのかわかりませんが、おねえちゃんもよるにはおそとにでたらダメだっていうので、わたしはよるはおそとにでません。

 

 

 

 

○月△日

 

ときどき、へんなひとをみます。

そのへんなひとは、ほんとうにときどきポロとさんぽをするこうえんにいます。

そのひとは、テレビででてくるたんていみたいなくろいぼうしをかぶって、ベンチにすわってパンをたべてます。

へんなひとだけどわるいひとではなさそうなので、けいさつにはいってません。

 

 

 

 

×月○日

 

きょうはあのへんなひとをみませんでした。

あのへんなひとが、おねえちゃんがいっていたあぶないひとかも。

 

 

 

 

×月△日

 

きょうもあのへんなひとはいません。

ポロはすこしさびしそう。おねえちゃんはダメっていってたけど、こんどあったらはなしかけてみようかな?

 

 

 

 

×月×日

 

きょうはあのへんなひととしりあいになりました。

きょうはすこしとおくにさんぽにいって、いつもよりおそいじかんにこうえんにいくと、あのへんなひとがパンをたべてました。

もうすぐばんごはんのじかんなのに、へんなひとはやっぱりへんなひとです。

きになってみていると、ポロがいきなりはしりだしてへんなひとのところにいってしまいました。

へんなひとはすこしびっくりしたみたいだけど、すぐにポロとなかよくなってました。

くろいズボンがポロのにくきゅうだらけになってました。

もうすぐ、よるになるのでへんなひとといっしょにかえりました。へんなひとは、わたしのいえのちかくにさいきんひっこしてきたらしいです。

へんなひとはへんなひとだけど、わるいひとではないみたいです。

おねえちゃんは、へんなひとをわるいひとだとおもってたみたいで、けいさつをよぼうとしていたけど、へんなひとがすこしおはなしすると、おねえちゃんはけいさつをよびませんでした。

へんなひとはへんなひとだけど、わるいひとじゃないのでだいじょうぶです。

 

 

 

 

△月○日

 

きょうもへんなひととポロのさんにんでさんぽしました。

へんなひとはよくパンやさんで、パンがいっぱいはいったふくろとジュースをかっています。

へんなひとはパンがすきみたいです。

へんなひとはポロとなかがいいです。へんなひとのズボンはポロのにくきゅうだらけです。

へんなひとはポロにとびつくのをやめてといってましたが、ポロはへんなひとがすきなのでやめません。

 

 

 

 

△月×日

 

きょうはびっくりすることがわかりました。

へんなひとはへんなひとじゃなくて、たんていさんでした。

たんていさんがいうには、たんていじむしょではたらいているだけで、たんていではないらしいです。

だけど、わたしにはむずかしくてわかりません。

たんていじむしょではたらいているなら、たんていさんじゃないのかな?

 

 

 

 

△月□日

 

たんていさんはあたまがいいです。

たんていさんのおうちには、いろいろなほんがたくさんあります。

おねえちゃんがわからないむずかしいもんだいでも、たんていさんはかんたんにといちゃいます。

たんていさんは、せんせいでした。

どんなにむずかしいもんだいでも、すぐにこたえてくれます。

おねえちゃんは、せんせいにいろいろなはなしをしているみたいです。

 

そういえば、せんせいはどうして、ときどきみぎあしをひきずっているのかな?

 

 

 

 

□月○日

 

さいきんはせんせいはいそがしいみたいで、さんぽをしていません。

すこしさびしいけど、おしごとならしかたないです。

 

こんどはまちはずれまでさんぽにいってみようかな?

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

ポロがいなくなった。まちはずれのトンネルまでさんぽにいったら、・・・いなくなっちゃった・・・

どうしたらいいかわからなくなって、おうちにかえると、おねえちゃんがまってました。

 

「ポロ、逃げちゃったの?」

 

わたしはなにもいえませんでした。

ポロはにげたんじゃなくて・・・

 

「私、探してくるね。何かあったら、先生の所で待ってて」

 

おねえちゃんはくらくなりだしたのに、ポロをさがしにいっちゃった。

くらくてこわいけど、おねえちゃんもいなくなるのはもっとこわいから、わたしはおねえちゃんをおいかけました。

だけど、くらくなったまちには、よくわからない〝ナニカ〟がたくさんいました。

その〝ナニカ〟は、わたしをみるとおいかけてきました。

はしりました。こわくてこわくて、むねがいたくても、はしりました。

あの〝ナニカ〟につかまったらダメ。

 

はしってはしって、クルマがすててあるあきちでおねえちゃんをみつけました。

おねえちゃんはくさむらをライトでてらしてさがしていました。

 

「おねえちゃん」

 

わたしがこえをかけると、おねえちゃんはおどろいてこっちをふりかえりました。

 

「ああ、びっくりした。追い掛けて来ちゃったの?」

「うん」

「ダメじゃない。ほら、一緒に先生の所に行こう」

「あのね、おねえちゃん。ポロは・・・」

 

あのとき、わたしがちゃんといえてたら、もしかしたらあんなことにはならなかったのかもしれない。

 

「・・・こっちに来て、後ろを見ちゃダメ」

「おねえちゃん?」

「ここに隠れて、目を閉じて耳を塞いでて、何があっても出てきちゃダメ」

 

おねえちゃんのいうとおりに、くさむらにかくれて、なにかのおとがきこえて、すこししたらきこえなくなって、くさむらからでてみたら、おねえちゃんがいなくなってて、ライトだけがおちてて、なにがなんだかわからなくなって、くらいみちをいそいではしって、せんせいのおうちにいって、せんせいがおしごとからかえってきて、おはなしをしてふしぎなことがあって、でもポロのことをいえなかった。

でも

 

「よし、お姉ちゃんとポロを捜しに行こう」

 

せんせいは、うそつきのわたしといっしょにきてくれるっていってくれた。

 

「せんせい、いっしょにきてくれるの?」

「任せなさい。今だけ私は探偵さ」

 

それでじゅんびをして、またあのくらくてこわいそとにいきます。

でも、もうこわいけどこわくありません。

 

「行こう」

「うん」

 

わたしはひとりじゃなくて、せかいいちのたんていせんせいがいっしょにいるから。

まってて、おねえちゃん。たんていせんせいといっしょに、いま、いくから。




〝私〟は昔に似たような体験をしているが、本人は覚えていない。

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