クリス先輩がこんなに可愛いわけがない! 作:TearDrop
どうも、TearDropです。
皆さん、クリスちゃんは好きですか?ーーー僕は好きです。
私立リディアン音楽院。
簡単に言えば、女子生徒が通う秘密の花園。そんな場所にやって来た少年ーーー佐倉律。自分の高校の経営難がきっかけで、交換留学生としてリディアンにやって来た律は、朝から笑顔を浮かべる。
律は家族にもあまり見せた事がない満面の笑みを浮かべていた。それを見た母親が一言。
「なに、等々彼女が出来たの?青春ねぇ。ちなみにどんな子?」
「ち、違うよ!彼女なんて出来てないし!」
「じゃあ何よ。律がそんな笑顔を見せる時は、何か良いことがあった時だけよ?」
「そ、それは……」
母親の言葉に、言葉を詰まらせる。
原因はただ一つ。先日、リディアンに交換留学生としてやって来た初日に出会った先輩ーーー雪音クリスに一目惚れしたからだ。
不器用ながらも心優しいクリスに惚れた律は、次の日の学校を楽しみにしていた。
「まぁ、何があったかは聞かないけど……急がなくていいの?遅刻するわよ?」
「えっ……あぁ!」
母親の言葉に、壁掛け時計に視線を向けると時刻は既に八時過ぎ。
急がなければ遅刻する時間帯。留学二日目から遅刻は流石に不味いと、律は食器に置かれていたトーストを平らげ、鞄を持って玄関に向かう。
「それじゃあ、行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃーい」
見送りの言葉を聞き、律はリディアンへ急ぐ。
通りすがる近所のおばちゃんや友人に挨拶をし、急ぐこと十数分。リディアンに辿り着いた律は、息を整えながらリディアンの門を潜る。
「ふぅ、何とか間に合った……二日目から遅刻は流石に不味いよね……」
「お〜い!」
教室へ続く廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられる。振り向くとそこに居たのはーーー
「ゆ、雪音先輩!」
「よぉ………なんでそんなに汗掻いてるんだ?」
「えっと、家を出たのが遅かったので……」
「ふ〜ん。まぁ、気をつけろよ。二日目から遅刻なんてカッコ悪いしな」
「は、はい」
隣を歩くクリスに視線を向けると、揺れるおさげからチラチラと見えるうなじに釘告げになる律。
そしてシャンプーの匂いだろうか、いい匂いが隣のクリスからしてくる。こうなってくると、唯の変態になってしまうと感じた律は自重する。
「そういやーーーー」
「は、はいっ!?」
「……そんなに驚くなよ。ったく……そういや、留学は三ヶ月って言ってたけど統合が決まれば一緒に通う事になるんだよな?」
「あっ、はい。うちの高校、経営難みたいで……リディアンが統合の話を持ちかけてくれたんです。本当は他の生徒を選ぼうとしてたんですけど、たまたま通りがかったのが僕で……」
「お前も大変だな……それじゃ、あたしはこっちだから」
「はい、それじゃあ……」
「………おい」
「はい?」
「まぁ、なんだ……三ヶ月だけど、精一杯楽しめよ。あたしも力になるからさ」
じゃあなと、律に告げるクリス。別れ際、少しばかり頰を赤く染めていたクリスを見て、律はその場にうずくまると心の中で叫ぶ。
(雪音先輩、可愛い……!!リディアンに来て良かったぁ!!校長先生ありがとうございます!最初は恨んだけど、今では感謝しかありません!!校長先生ありがとぉおおおおう!!)
「律、何してるデスか?」
「遅刻するよ?」
そこを通りすがった切歌と調が声を掛けなければ、危うく遅刻する所だった。
◇◇◇◇
リディアンの授業は、音楽の授業が多い。
と言っても普通の高校と同じで一般教育もある為、音楽に特化しただけではないらしい。
授業が潰れ、各自自習と黒板に書かれていた。
律は家から持って来ていた小説を読んでいると、ふと視線を隣の切歌に向けた時だった。
何やら切歌がう〜んと唸っており、何事かと思い切歌の机に広がっているノートに視線を向ける。
どうやら宿題に手詰まりの様子だった。調はそんな切歌の様子に気付いていないらしく、切歌に声を掛ける事にした。
「暁さん、宿題手伝おうか?」
「本当デスか!?」
「う、うん。何処が分からないの?」
「ここなんデスけど……」
ノートを見せてもらうと、数学の問題がそこに広がっていた。
それを見て、律は苦い顔になる。律は元々数学が苦手な方であり、テストの成績も真ん中な方だった。
「どうデスか?」
「う、う〜ん……僕も数学得意じゃないからなぁ……僕も手伝うから、一緒にやろうか」
「ありがとうデス!」
律は切歌に近づき、ノートに視線を向ける。こんなに女子に密着した事がない律は、少しばかり照れながら切歌にアドバイスしていく。
それは切歌も同じようで。リディアンは女子生徒ばかりが通う学校。
男と言えば風鳴司令か緒川、藤堯、そしてドクターウェルぐらいしかいなかった為、男の子とどう接していいのか分からないのだろう。
少しドギマギしながらも、共に宿題を片付けていく二人をジーっと見つめる調の視線が、二人を突き刺していた。
◇◇◇◇
「おぉ〜……これがお手製お弁当デスか!」
「凄く美味しそう……!」
昼休み、律は切歌と調と共に昼食を摂っていた。
母親お手製の弁当に、興味津々の二人に苦笑いを浮かべる律。
「あはは……母さんがそれを聞いたら喜ぶと思うよ。少し分けようか?」
「いいんデスか!?」
「う、うん」
「それじゃあ……」
「いただくデース!」
切歌と調が律の弁当箱からおかずを一つずつ取り、それを口に運ぶ。
味わいながら食べる二人を見て、笑みを浮かべていると、ふと視線を上に向けた時だった。
上の階を通るクリスと目があった。笑みを浮かべながら手を振るクリスに照れながら、手を振り返す。それだけで幸せな気持ちになる律であった。
「そういえば、律の学校はどんな感じなんデスか?」
「えっ、僕の学校?」
「私たち、リディアンしか知らないから、他の学校がどうなってる聞きたい」
「う〜ん……聞いても面白くないけど、僕の学校は共学で男子と女子入り混じって勉強してるんだ。まぁ、今日みたいな自習があると友達同士で喋ったりスマホ弄ったりとかしてるけど……」
「そ〜なんデスね……一度でいいから律の学校に行ってみたいデス」
「でも、統合が決まれば一緒だよ、切ちゃん」
「でもまだ、統合が決まった訳じゃないよ。三ヶ月の間に結果を残さないと統合出来ないし……」
「そうデスか……難しい話デスね」
「本当に理解してる、切ちゃん?」
「し、してるデスよ〜!」
ツッコミを入れる調に、弁解する切歌。その光景を見て、本当に二人は仲がいいんだなぁと思う律。
それから、三人は談笑しながら昼食を楽しんだ。そして時は過ぎ、放課後の教室。切歌と調からサヨナラと声を掛けられ、サヨナラと返す。
帰る支度をし、教室を出ようとした時だった。
「よぉ、もう帰るのか?」
「雪音先輩……はい。雪音先輩も今帰りですか?」
「まぁな。後は家帰って勉強して飯食って寝るだけだし。まぁ、最近はノイズも出ないし楽っちゃ楽なんだけどよ」
「そういえば、雪音先輩と暁さん達って確か……」
「そう。S.O.N.Gに所属してるシンフォギア奏者。ちなみに、卒業生の風鳴先輩もシンフォギア奏者だ」
ーーーーS.O.N.G。
Squad of Nexus Guardiansの略称。
特異災害対策機動部二課は、制御不能となったシャトル救助の一件の後、 正式に国連直轄下にて、超常災害対策機動部タスクフォースとして再編成される事となったと、何処かのニュースで見た事がある。
「最近は仕事もひと段落してきてるし、今はこの平和な日常を謳歌するさ」
「なんだか、大変ですね」
「そりゃあ、お前もだろ。急に交換留学生に選ばれちまって。まぁ、気長に頑張れよ。ほら、帰ろうぜ」
「あっ、は、はい!」
廊下を歩くクリスの横に並ぶ律。横目にクリスを見つめながら、心の中で考える。
(自分より年上だけど、この人は自分の何倍も頑張ってるんだろうなぁ……僕も頑張らなきゃなぁ)
考えさせられる一日。
楽しい一日を過ごしていく為、みんなと仲良くなりたいなと思う。そして、クリス共。
如何でしたでしょうか。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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