東方鵺行記   作:タリオン

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 どうも、タリオンです。
 なんで、なんで冬休みに入っても尚忙しいんだ……! こんなの聞いてないぞ! というかいつもより忙しい気がするのだが!?
 要するに投稿遅れてすみませんでしたってことです。ハイ。
 それでは、ヒイヒイ言いながら書き上げた第十九話、どうぞ。



第十九話

 

 

 

 

 

 よぅし、一晩かけて仕上げた秘密兵器を発動しますか!

 

 

「スペルカード発動!! 破砕「金城鉄壁」!!」

 

 

 抱え落ちは絶対に避けたいから、惜しむことなくスペカ使っていくぜ!

 

 

 スペルカード宣言と同時に刀にお札を押し付ける。こうすることにより、昨日死にそうになりながらもつぎ込んだ、お札の霊力を刀に供給することが出来る。

 さて、このスペカの概要を説明しよう。

 まずはいつも通りに盾を展開する。ただ、いつも通りとは言ったが盾はこちらの方が断然分厚く、大きい。今回は機動隊の使うシールドみたいな形だ。具体的な形をイメージすると形が作りやすいことを最近知ったので、今はフル活用している。

 

 

 ちょっとばかし盾にイメージを使った細工をして、準備完了だ。

 ね、簡単でしょ?

 

 

 見上げると橙は少し訝しげな顔をしていたが、気にしても仕方ないと判断したのか、すぐにいつもの笑顔に戻った。余裕だねぇ。

 

 

 そろそろ弾幕がこちらに到着するので身構えて待っておく。

 すると、ビシビシと音が鳴って結構な衝撃がきた。これ絶対生身で受けたら悶絶するレベルの威力だよね……? そうでなくとも、すりむいたときくらいの痛みはありそうだ。

 本人は全然本気を出していないようだけど、実際本気出したらどんな感じになるんだろう……非常に気になるが、取り返しがつかなさそうなので怒らせるのは止めておこう。

 でも被害がこちらに及ばないのなら凄く見てみたい(外道)。

 

 

「ホラホラ、防いでるだけじゃ私は倒せないよ!」

 

 

 ま、それはさておきこのスペカ、ただ防ぐだけだと思ったら大間違いだ。このスペカの真骨頂、とくとお見せしよう。

 

 

 しばらく降り注ぐ弾幕を防いでいると、ピキピキと音をたてて盾にヒビが入ってきた。橙のスペカの時間が終わりに近づくにつれ、そのヒビは広がりを増していく。ちょうど薄いガラス板に亀裂が入るように。

 

 

 

 ……あり? こんなハズじゃなかったような?

 

 

 

 慌てていると、橙がこちらをニヤニヤして見てくるのがよくわかる。クソッ、外道め! さっき外道なこと考えてた俺も人のこといえないが!

 橙のスペカの最終波が迫ってくる。弾幕と盾がぶつかり合うと、さらに盾のヒビが広がり、端まで到達してしまった。これ以上喰らったら、盾がブッ壊れてピチュること間違いなしだ。

 

 

 ちょ、ちょっとまってタンマタンマこんなはずじゃ……アッーーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………なんてね。

 

 

 盾は確かにブッ壊れたが、それによって撒き散らされた盾の破片が、橙の弾幕を相殺しながら勢いよく前の方向へ飛んでいった。

 

 

「うわっ!」

 

 

 流石にこの展開は予想していなかったのか、橙は驚き、少し硬直していた。が、ギリギリでグレイズしながらも全ての弾幕を避けてしまった。

 うぅむ、元々弾消しと初見殺しを主軸において作ったスペカだからなぁ。弾数もそこまで多くはないし、バラ撒きだから、妖怪の動体視力と身体能力があれば流石に避けられるか。改良の余地ありだな。

 余談だが、金城鉄壁ってのは実在する四字熟語で、たしか守りが固いという意味だったと思う。したがって盾が砕けてしまうこのスペカは根本から矛盾していたりするのだが、そこに突っ込んだらおしまいなのであまり触れないでほしい。

 

 

 さて、これで俺はスペカを一枚使用した訳だが、相手は既に二枚使っている。出し惜しみしても仕方がないし、もう一枚使ってしまいたいと思う。

 

 

「連発だ! スペルカード、狙撃「一発必中」!!」

 

 

 この宣言で、橙はかなり動揺していた。無理もない、連続でスペカ使うのなんて6ボスかExボスくらいしかいないもの。ゲームの中での話だけどな。でも動揺しているのは非常にありがたい。注意力が薄れるから、そこを利用させてもらおう。

 

 

 俺は刀を構えると、腰のヒネリとかなんやかんやを総合させて、渾身の突きを繰り出した。別に剣道なんかをやっていた訳ではないので、完全に素人の突きになってしまったが、肝心なのはそこではない。大切なのは、突きを放った直後、刀の切っ先から大玉くらいの弾丸が勢いよく放たれたことだ。

 ちなみに、弾の形はロケットランチャーの弾を採用してある。理由は特にない。強いて言うとするならば、ロマンだろうか。

 しかし、そんなことはどうでもよいと言うかのように、放った弾は霊力の雲を撒き散らしながら橙に向かって進んでいく。ちょうど飛行機雲のような感じだな。かなり細いが。

 橙はといえば、当たり前だがそんな真っ直ぐに自分へ向かってくる弾をみすみす受けるようなマネはしない。そこそこの速度の弾を、身をひねって最小限の動きで避けた。

 うん、ここまでは予想通りだ。問題はここからなんだが……

 流石に一発だけというのには橙も警戒しているのか、常に避ける体勢を崩さない。

 

 

 うーむ、拙いな……気づかれるか?

 

 

 ふと違和感を覚えたのか橙は後ろを振り返る。普通であれば、まず間違いなく被弾するような行為だが、今回に限ってはそうでもなかったようだ。

 橙は体を一瞬硬直させたあと、回転するようにその場から脱出。その瞬間に、橙のいた場所を、さっき空の彼方に飛んでいったはずの弾丸が通過する。

 

 

 そう、このスペカには、弾丸が相手を追尾するという特殊効果がある。

 しかし放てる弾は一発、正確に言えば自動追尾ではなく手動追尾、一回目さえ避けてしまえば次からは絶対に被弾しない、などという欠点のオンパレードなので、使いどころが大事なスペカでもある。

 ちなみに、分かる人には分かると思うが、「宝永四年の赤蛙」の完全下位互換とも言う。なんでこんなスペカ作っちゃったんだろうね。深夜のテンションと言えばそれまでなのだが。

 

 

 無駄だと分かりつつも弾を橙に追尾させる。さっき「手動」と言ったのは、霊力でできた雲を伸ばして、俺の意思で相手を追尾させるからだ。どうでもいいが、雲には触ることができる。鉄みたいにカッチカチだけど。

 

 

 橙も、一度避け方が分かればもう楽なもので、ヒョイヒョイと跳ねるように避けていく。うーん、軽やかだ。

 

 

 しばらく追尾させていると、札の分の霊力が切れそうになったので、スペカを終了した。橙も、もう先程のような動揺は見せていない。勝てる確率がかなり下がってきた気がするな。

 俺が仕掛けてこないと判断したのか、橙は余裕を含んだ表情でこちらを見て、スペカを宣言した。

 

 

「もう終わり? でもちょっとあなたのこと舐めすぎてたかも。ちょっと本気出してみるから頑張って避けきってみてよ。方符「奇門遁甲」!」

 

 

 は? いま何つった? 奇門……遁甲……ってまさか……

 

 

 聞き慣れないスペカの名前にしばし呆然としていると、前二つのスペカとは比較にならないほど夥しい量の弾幕がこっちに殺到してきた。

 

 

 うわあああああああああああ!! これLunaticのスペカじゃねーかああああ!! NormalからいきなりLunaticとかバカじゃねーの!? Hardすら避けられないのにこんなのできる訳あるかぁ!!

 

 

 いや待て、落ち着け、俺にはスペカがある!! 抱えるのだけは御免だぞ! たしか懐に最後の一枚が……って、焦ってうまく取り出せん! このっ、このっ……っしゃあ!

 

 

「発動!、閃……h」

 

 

 懐から顔を上げると、目の前がキラキラ光ってたんだ。まるで花火のようにね。それで、あぁ、これは橙の弾幕なんだなって気づいたときには、既に眉間に鱗型の弾幕がクリティカルヒットしていた。

 目の前に火花が散った(物理的に)。顔面に並のパンチを喰らったぐらいの衝撃が俺を襲う。気を抜けば倒れてしまうだろう……が、ここで踏ん張り、体勢を整える。俺はまだやれるぞ! と、顔を上げたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前にさっきの数倍くらいの光が見えました☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 肩、腹、足、腕、とにかく体の至るところに着弾した。一発一発の威力はさほど高くはないものの、これだけの量だとまったく違ってくる。集団リンチされてるみたいだ。橙は弾幕を放つのを既に止めていたようだが、その前に放っていた弾幕はまだ残っているので、これでもかという程喰らってしまった。

 そして止めに頭に一発をもらい、俺は意識がシャットダウンしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつけば俺はどこぞの館の中を走っていた。それはもう、凄まじい速さで。

 

 

 そんで、何でかは知らんが、弾幕が飛んできた。走り続けても絶対逃げられないと踏んで、その場で必死に避けるのだが、流石に精神と体力の限界が訪れてしまう。

 諦めんなよ!! どうしてそこで諦めるんだよそこで!! ダメダメダメダメ諦めたら!! ウオォォ!! 俺は避けきって見せる! 俺は…………俺はぁぁあああ!!!

 

 

「イ゙ェアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわァ!?!?」

 

 

 ハッ!? 俺は一体……?

 

 

「やっと起きたかー。いやぁ、無事で良かったよ。あれは流石に私もやりすぎちゃったよね、ごめんごめん」

 

 

 あー……そういや俺、橙にフルボッコにされたんだっけ。というか本当に生きてて良かった。弾幕ごっこで死亡とかシャレにならん。まぁ、フルボッコにされたといっても、目立った傷も見当たらないし、気絶していただけなら万々歳だ。

 

 

「ところで、さっきからうなされてたけど、何かあったの?」

 

 

「少し悪い夢を見ていただけだ。気にしなくていいよ」

 

 

 何故呪いの館だったんだろう。俺の深層心理はどうなっているんだ。意味不明過ぎるぞ。

 まぁそれは置いておくとして、

 

 

「結局負けちまった訳か、残念だ。それで、何すればいいんだっけ?」

 

 

「マタタビ!!」

 

 

「あぁ、そうだったな。よし、取ってくるからちょっと待ってて」

 

 

 しかし、猫ってやっぱりマタタビ好きなのかね。一応持ち歩いてるだけで、あんまり使ったことないんだよね、マタタビ。個人的にはねこじゃらしを振っている方が好きだ。あのじゃれてくるときの体勢がたまらん。可愛すぎて死にそうになる。

 

 

 さてと、どこにカバン置いたっけな。藍さんに聞いてみっか。てか今どこにいるんだ?

 

 

 ……いた。部屋のすごい隅っこにいた。けど、なんか暗いオーラを発している。うん……ここまでスルーしてきたけど、これはもうスルーできないよな。

 意を決し、どす黒いオーラを纏う(ように見える)藍さんに話しかけてみた。

 

 

「あのー……?」

 

 

「負けて……しまったな……」

 

 

 負のオーラを一層強くさせた藍さんは、こちらを光の消えた目で見てきた。うわ、これ相当キてるな。藍さんに一体何があったんだ……?

 

 

「それがどうかしたんですか? 少し悔しかったですけど修行不足な俺が妖怪に勝てるなんて思ってませんでしたから。これはしょうがないかなぁ、と」

 

 

 実際かなり強かったし。正直、初見殺しのスペカが外れた時点で勝てる見込みはほぼなかったからね。あとは悪あがきでしかなかった。

 

 

「では何故……何故、よりにもよってマタタビを」

 

 

「たまたまカバンの中にあったからですが?」

 

 

 どうやらこの一言が止めだったらしい。藍さんはがっくりと肩を落とし、台所へと向かっていった。そして去り際に一言。

 

 

「悪酔いした酔っ払いほど面倒な相手はいない……」

 

 

 藍さんが立ち去ったあと、俺はその場に立ち尽くして、台所の方を見ていた。どうしよう。この後の展開が予測できてしまった。

 これは悪いことをしてしまった。もうかける言葉が見つからん。そして俺の身が危ない。割と本気で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと、夕食時にマタタビによって悪酔いした橙に、色々させられたり言われたりして俺と藍さんは病んでしまうことになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 




 最近執筆速度がダダ下がりです。アイデアは割とあったりするんですけど、私の力不足でうまく表現ができません。毎話一万字以上書き上げて、一週間に一回以上投稿する作者様マジ尊敬します。
 それでは。
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