東方鵺行記   作:タリオン

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 あけましておめでとうございます! タリオンです。
 年末年始がこんなに忙しいとは……。しかも冬休み明け早々にテストとかマジキチなんですけど。
ま、私の事情は置いておくとして、本年度も宜しくお願いします。
 長引いたからといって本文は増えませんが、今回は正月仕様でほのぼのとした話になっております。それでは、第二十話、どうぞ。


第二十話

 

 

 

 

 

 やぁ……どうも、夜鳥剣二だ……。

 

 

 今回は話せないが、昨日の晩に色々あってね、今はちょうど藍さんと一緒に病んでいるところさ……。橙だけが「どうかしたの?」的な表情で見てくるのだが、流石にお前が元凶だ、なんて言えやしない。ただその可愛さにより、俺の心の清涼剤となってくれるので、その辺りはよしとする。チラリと横目で藍さんを見ると、あちらもあちらで橙を心の清涼剤としているようだ。若干目つきが危ないことには目をつむっておこう。

 

 

 さて、気を取り直して、今日も張り切っていこう。

 といっても、今日は特に何もすることがないので、日向ぼっこでもするか、刀をいじるか、マヨヒガの中を散策するか、ぐらいしか選択肢がない。

 

 

 脳内会議をした結果、日向ぼっこをすることにしました。わーわードンドンパフパフー。

 マヨヒガ散策をするとでも思ったか! 残念、今回はアクション無しだよ!!

 いや、ちゃんとした理由もあるんだよ? マヨヒガの中ってスゲー広いんだよね。多分幻術が何かの類いでそう見せられてるだけなのだろうけど。そんで、マヨヒガを現代の言葉に直すと、迷い家になる。その名の通り、偶然ここへ迷いこんだ人が目にする家って訳だ。

 つまり、これが何を意味するのかというと、ここをよく知らない人がさらに迷ったら、もうもとの場所には戻っては来れないってことだ。

 でもそんなリスクがある代わりに、マヨヒガの日用品を持って脱出できたら幸運が訪れる、なんていうリターンもある。その幸運は些細なものから人生を変えてしまう程に大きなものまでピンキリがあるらしいけど、まぁ要は生きて帰って幸せになるか、それともそこで野垂れ死ぬかは運次第ってことだ。

 そんな危ない賭けに俺が乗るかと言われれば、否と言う他ない。あーハイハイ、つまらない男ですいませんでしたー。てかそもそも迷い家自体にはとっくのとうに辿り着いているのだから、これ以上深入りする必要はまったくと言っていいほど無い。

 あと、刀については、昨日一昨日と無理をしすぎたのか霊力がすっからかんなので、今日はお休みだ。

 という訳で、今は縁側にて日向ぼっこ中であります。

 

 

 フハァ~……気持いい~……。

 

 

 最近は肌寒くなってきたが、今日はかなり天気がいいので、太陽の光の具合とたまに吹く風が実にいい感じのハーモニーを奏でている。

 あ、唐突に睡魔が襲ってきた。こいつはかなりレベルが高いな。ぐっ、瞼が! 瞼がものすごい力で閉じられようとしている! と思っていたら閉じてしまった。あーあ。

 どうでもいいが、元から皆には糸目とか言われていたので、目を閉じていても外から見ればいつもとまったく変わらないらしい。なんじゃそりゃ。自分では普通だと思ってるんだけどねぇ。

 しかし眠い。もうこのまま夢の世界に旅立ってもいい……よね……? そんじゃ、今回はこれで終わりってことで。おやすm

 

 

「あ痛ぁ! コラー!! 何すんのさ!」

 

 

 はぁ、どうやら容易に夢の世界へはいけないようだ。さて、我の眠りを妨げるのは何処の何奴なのだろうか。顔をお見せ願いたいな。

 

 

「あ、夜鳥……って怖いよ! なんか後ろにどす黒いオーラが出てる! 笑顔が黒いよ!」 

 

 

 チッ、橙だったか。他人だったら家の場所を聞いてそこまで送った挙句に、飴をあげて迷い家まで戻ってきていたのに。え? ドS(親切)? そりゃどうも。

 

 

「……んで、そんな大きな声で怒ってどうしたんだ?」

 

 

「あ、寝てたの? ごめんごめん、ちょっとそこの猫達が言うこと聞かなくてさ」

 

 

 どうやらこの辺りに住む猫と争っていたらしい。顔にできた生傷がそれを物語っている。しかし、猫「達」? どうみてもそこには一匹しか見えないのだが?

 

 

「いやいや、よぉく見てみなよ。隠れてるだけだから。ホラ」

 

 

 と言われて橙が指をさした方向を見ると、なるほど確かに猫が一匹隠れていた。しかしお前らいままで何処に隠れていたんだ? まったく気づかなかったぞ?

 橙が言うにはまだまだいるらしいので、しっかり目を凝らしてよくよく見てみると、そこらじゅうにいるわいるわ、たくさん見つけることができた。その数十七。むしろ今まで気づかなかった俺ェ……。それから一匹ずつに目をやっていくと、気づかれて観念したのか、十七匹全員がワラワラとでてきた。

 

 

「おおおおお?」

 

 

「ね、そこらじゅうにいたでしょ?」

 

 

 出てきた猫は一斉にこちらのことを見上げてきた。いや、俺何もするつもりないから。別に観念しなくてもいいよ? というか俺何かしたっけ?

 そう思いながら困った顔で猫を見ていると、思いが伝わったのか、自分の立ち位置へと戻っていった。

 

 

「どっから湧いてでたんだか……」

 

 

「元々この家にはこれくらいの数がいたけど?」

 

 

 え、そうだったのか。ということは今まで気づかずに過ごしてたってわけか。こいつ等……できるッ!!

 とか言いたかっただけなんだけどね。原因もわかったことだし、今度こそ夢の世界に誘われようかな。

 

 

「じゃあ俺そこの縁側で寝とくから、あんまり物音は立てないように頼むわ」

 

 

「守れるようには努力するよ」

 

 

 ということは守れない可能性大ってことなんだろうな。でもこっちは泊めてもらってる身だから、多少のことは我慢我慢。それに俺は少しのことじゃ動じない。こちとら伊達に何回も野宿していないのさ。

 橙にそう言った後、頭を掻きながら移動して縁側にゴロリと寝転んだ。おおう、この床の冷たさが何とも言えないな。夏も気持ちいいけど、春や秋もいい。ただし冬、てめーはダメだ。

 

 

 てな訳で、寝ようか……と思ったのだが、これが中々眠れない。ちくせう。

 しかも、後ろでは気をつかって音をたてないようにしているのだろうが、ゴソゴソとしていては余計に気になってしまう。一回気にすると異常にそれに集中してしまうという、よくあるアレだ。

 しかし、せっかく気をつかってもらっているのに、今更「あ、別にうるさくして平気だぞ?」言うのもなんなので、逆に後ろに集中してみることにした。外向いて目も閉じているが、大体のことは想像できるので精神統一して音を聴き、俺の類い稀なる妄想力を駆使して、起こっていること実況していこうという魂胆だ。

 まずは集中だ。如何なる音も聞き逃さないという気持ちで臨む。コラそこ、無駄遣いとかいうな。

 ……お、動きがあったようだ。この一定のリズムで聞こえる、小さな足音は猫だろう。聞いたことのある俺が言うのだから間違いない。そして橙にも動きが、立とうとして……座ったな。大方、猫に挑発でもされたのだろう。ていうかなんだコレ、スゲー想像が広がる。

 

 

 そして精神統一してから数分後、橙は後ろで猫と元気に追いかけっこをしています。えぇ、ものの数分でしたよ。ま、予想はしてたけどねー。少し早すぎる気もしたけど。

 そのまま外側を向いている必要はなくなったので、寝返りをうつ。と、目の前にドアップで猫の顔があった。

 

 

「おぉう!?」

 

 

 猫は意に介さずこちらを見る。まるで「何があったんです?」と言わんばかりの不思議そうな表情だ。コノヤロウ、可愛いじゃねぇか。あまりに可愛かったので、俺のテクニックを使って猫をいじり倒すことにした。

 まずは喉元からだ! フハハハハ! 今まで味わってきた気持ちよさをを超越するそれに倒れ伏すが良い!

 

 

「ニャーン……」

 

 

 いやぁー、やっぱり猫の毛並みは気持いいわー。触っていてクセになるな。友達の家でも触っていたから余計にその感触が思い出される。

 ……今は元気かな、あいつら。まだここに来てからほんの少ししか経っていないが、気になるものは気になる。

 あー、でもあいつらは俺が居なくても元気でやってるんだろうな、今とか「俺はッ! EXクリアするまでッ! リトライをやめないィィッッ!!」みたいなことをやってるんだろうなー。ダメだ、考えてて虚しくなってきたからもうやめよう。ホラ、こっちに来いよ、俺の心を癒してくれ、名も知らぬ猫よ。

 そんな俺の切実な思いが猫に届いたのか、身をこちらに寄せてきてくれた。本当、お前はいい奴だよ、さっき会ったばっかだけど。俺の胸の前で丸くなって、気遣うように見てきてくれた。あれ? 目から汗が……。

 

 

 しばらく猫を撫で続けていると、走り回っている橙はこちらの様子に気づいたようで、驚愕の表情を浮かべながら駆け寄ってきた。

 

 

「なんで数日前に来たばかりのあんたに服従してるの!?」

 

 

 ちょ、服従て。どう見ても服従してるようには見えないでしょうよ。というか、服従という言い方はもう少しどうにかならんものか。

 

 

「いやいや、少しだけ懐いた、というか対等に見てもらっただけさ。そんなに驚くようなものでもないよ」

 

 

「何日かかっても私の言う事なんて聞こうとしなかったのに……」

 

 

 うーん、言う事を聞かせること自体が難しいからな、猫は。犬なら、賢かったら聞くけど。

 

 

「まず猫ってのは他人の言う事を聞こうとしないからね。自分の仲間だ、なんていう意識はもったりするけど、言う事を聞こうとはしないよね」

 

 

「え、そうなの?」

 

 

「逆に聞くけど、自分はどうなのよ? 藍さんとか紫さん以外の言う事は聞く?」

 

 

「時と場合によるけど、基本的にはあんまり……」

 

 

「でしょ? だから言う事を聞かせるためには、主人となる人と従者との間……橙の場合で言えば術者と式神かな、の間には圧倒的な差がないといけないんだ。橙だって全力を出しても藍さんの足元にも及ばないだろう?」

 

 

 具体的には、鬼と天狗とか、閻魔と死神とか、親と自宅警備員とか。

 

 

「確かに、勝てたことは一回も……」

 

 

「つまるところ、自分自身を上まで持っていかないと、この猫たちは言う事聞いてくれないってことさ。ここの猫はそんじょそこらの猫よりも賢いみたいだからね、相当頑張んないといけないよ? それか式神の実力を落とすとかね。鼠なんかいいんじゃない? 猫は天敵だし」

 

 

「絶対やだ! 自分で頑張るからね! まずは私の実力を教え込まないと……って、そんなところに! 待てー!!」

 

 

 ……話聞いてたんだろうか。まずは自分の実力を高めるって言ったのにねぇ。お前もそう思うだろ? 猫よ。

 そう聞くと、猫はニャオン、返事を一つ返してくれた。ついに庭にまでフィールドを広げた猫たちの追いかけっこは、まだまだ終わる気配がありそうにない。

 

 

 

 

 結局、それが終わったのは三時間ぐらい過ぎた頃だった。橙は疲労困憊でもう動けそうになく、縁側で倒れ込んでそのまま寝てしまった。全力疾走し続けてたからなぁ。それにしても寝顔が可愛い。

 猫たちもかなり疲れたようだが、してやったり、といった顔で橙を見ていたので、問題はないと思う。それから、いつの間にか全員が縁側に集まって日向ぼっこをし始めた。何匹か橙の周りで寝ている奴もいる。お前ら本当は仲良いんじゃねぇの?

 そんなことを考え、苦笑しながら太陽を見上げた。若干光も柔らいで、少し肌寒くなってきたが、まぁ日が落ちる前に起きればいいか、と俺も縁側に寝転んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フゥー……平和だ。

 

 

 

 

 




 マジで書けない……。一週間に一回の更新も厳しいとかヤバイわー。最悪、二週間に一回とかになるかもしれませぬ。その時はごめんなさい。できるだけ頑張りますがね。
 それでは。
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