東方鵺行記   作:タリオン

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 はいどうも、タリオンです。
 今回も更新遅くなりましたね。えぇ、もう悪びれてすらいませんよ。だってこれが今の私の全力だもの! とりあえず頑張って書いてみた結果がこれだよ!
 ……えー、少し取り乱しました。すみません。
 今回は、いつもより独自解釈……っていうか独自設定など多めです。あと一輪好きな人ごめんなさい。いつの間にかこんなことになってました。
 と、まぁ前置きはこんなもので、番外其ノ二をどうぞ。


番外其ノ二

 

 

 

 

 

 

 上を見上げれば、一日の始まりを告げる朝焼けが、私の心の中と反比例するかのように綺麗に広がっている。

 

 

 ここは地面から一町ほど上空。今は聖輦船に乗って飛行中である。非常に景色が良く、ちょっとした観光には最適なのだろうが、生憎今回はそんなものに構っている暇はない。

 現在、何をしているのかと言うと、上空から人を探しているのだ。しかし、かれこれ三日か四日は経っていて、船に乗っている人は皆揃って顔に疲労を浮かべている。かくいう私もその一人だ。

 あ、船に乗ってない人も一人居た。いつから居たのかは知らないけど、確か……えぇっと……雲居……七輪? だったっけ? まぁ、その命蓮寺の妖怪尼が、雲山っていう見越し入道を連れて空を飛び続けていた。でも石に疲れたのか、命蓮寺に帰ってしまったようだ。船に乗れば良かったのに。

 そろそろ船に載せている食料も底をつきそうだ。これ以上の長期戦はもう限界だろう。大体、あいつが見つからないのが悪いんだ。ナズーリンによれば、見つかってるのか見つかってないのか分かんない状態だし。よく分からないけど、その辺のことを説明するには少々時を遡らなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう少し船を北にずらしてくれるかな、船長」

 

 

「まっかせなさーい!」

 

 

 ムラサの言葉と共に船体が動き出したかと思えば、ピタリとその動きを止めた。いつも思うのだけれど、どうやってこんな微調整をしているのだろう。でも知ったところで出来るわけないし、しようとも思わないけどね。

 しっかし、

 

 

「反応を追ってきてここまで来たのはいいとして、着いてからずぅっと動いてないんじゃない?」

 

 

 船首にいるのはナズーリン。何とかっていう棒を持っているだけなんだけど、それで剣二の持ち物の反応を探しているらしい。

棒を持って棒立ち。うける。

 

 

「見つかるはずなんだけどね……聖、そっちはどう?」

 

 

「うーん、人っ子一人居ませんねぇ……妖精なら見えますが」

 

 

 船首の近くから身を乗り出して、下の方を見ているのが聖白蓮だ。こっちは魔法か何かで視力を強化して探している。森の上なのによく見えるらしい。

私でも見るのが厳しいというのに、平然とやってのける聖。憧れるなぁ。

……? 憧れるの前に、「そこにシビれる」って聞こえた気が……まぁいいか。

 そして私は索敵担当だ。妖力を薄く広くのばして、異質な力を感じるというだけの仕事なんだけど、成果は、

 

 

「妖怪一匹もいないね。かなりの範囲探してるけど、うんともすんとも言わないよ」

 

 

 そう、微かな妖力さえも感じられない。これは、はっきり言って異常だ。人間が存在する限り、妖怪なんて何処にでもいるものだ。ましてや、この狭い幻想郷の中で人間以外の存在を見かけないなんてことはありえない。特別な場所なら話は別だけど、こんな小さな森の中でも一匹や二匹くらいは居るはずだ。

 しかも、何故か少しだけ違和感を感じる。何か自分の感覚がおかしくなっているような……。

 

 

「……少しやり方を変えてみようか。船長、船を完全に止められるかい?」

 

 

「それじゃあ、風の影響を受けないように帆を畳まないとね。誰か手伝ってー!」

 

 

 ナズーリンは、少し考える素振りを見せた後、ムラサへと何かの指示を出した。すると、大きな帆が折り畳まれていく。それをしているのは、ムラサと……雲山? 何でこんなとこに?

まぁいいけど、それによって船が完全に止まった。先ほどのような揺れがまったくなく、まるで陸地を歩いているような感覚だ。

 雲山たちが帆を畳むのに四苦八苦しているとき、ナズーリンは何やら地図を机の上に広げて準備していた。この地図は、この辺り一帯の上空から見た地図で、ナズーリンが一人で夜に作っていたものだ。そして、ぺんでゅらむ、とか言う振り子みたいなものを地図の上にぶら下げた。

 

 

「どう、何か分かった?ナズー……」

 

 

「なっ!?」

 

 

 私も驚いた。何故って、手を動かしていないのに振り子が揺れているからだ。縦から横に。横から斜めに、と不規則に揺れ動いている。それも結構大きくだ。

 ただ、ナズーリンは私よりも大げさに驚いていた。何かあるのだろうか。

 

 

「えっと、これは……?」

 

 

「やられた。森の中に結界みたいなものが張られているようだ。違和感の原因はこれだったか……」

 

 

 ナズーリンは心底悔しそうな顔で呟いた。

 

 

「じゃあ、見失ったの!? あいつは無事なの!?」

 

 

「正確には見つかっているのだけど、反応している場所が分からない状態なんだ。移動しているのかも、ある一点に留まっているのかも分からない」

 

 

「そ、それじゃあ見つかってないのと一緒じゃない!」

 

 

「結界さえ無くなればなんということはないけどね……強度を見たところ、かなり高位の妖怪か、妖獣によって張られたものだろう。なんとかするには少々厄介な相手だ。目標に結界から出てきてもらうしか、見つける方法はない」

 

 

 なんてことだ、そんなことではこの場所まで来た意味がまったくない。本当に面倒な場所に行ってくれたものだ。でも、反応がある、ということは……

 

 

「あいつは無事なんでしょ? ぺんでゅらむってやつは反応してるんだし」

 

 

「いや、そうとも言えない。私が探せるのはあくまでも『物』だけなんだ。そして、探せるのが『物』だけということは、持ち主がどこにいるかは分からないということだ。最悪、探し物だけが残っているという可能性もある」

 

 

「無事かどうかも分からないって……何か方法は!?」

 

 

「自分たちで行くにしても、迷ってしまうことには変わりなし、鼠を使ってのダウジングもあるにはあるが、生き物を探すのには向いてない。空まで結界の影響が届いてるから空でも感覚が狂わされることには変わりないだろう。……残念ながら、手詰まりのようだ」

 

 

「そんな……」

 

 

「ただ、この結界のせいで下級の妖怪はあまり近寄ってきていないらしい。妖怪は感知出来なかったんだろう?」

 

 

「そりゃまぁそうだけど……」

 

 

「ならばまだ安全な確率は高い。上位の妖怪は、勝手に人間を襲うなんていう馬鹿な真似はしないだろうからね。聖も妖怪か人間か、何でもいいから見えるかい?」

 

 

船の縁にいた聖は、大きく体を乗り出して下の方を見つめながら言った。

 

 

「いや、依然として変わりませんねぇ。妖怪も見えません」

 

 

「ほら、聖からも妖怪がいないことを確認できた。それに、もうこの船に居るのは限界だ。食料も、もうほとんど無い。ここに留まって泥臭く探すよりかは、まず命蓮寺に帰って体勢と作戦を立て直すべきだと私は思うが、どうする?」

 

 

 確かにナズーリンの言う事はもっともだ、だけど……。いや、まだここに残って探すことはただの私の我儘か。現に今は待つことだけで、何もすることが無いじゃないか。闇雲に探すだけでは見つかる道理はない。ここで無駄な時間を過ごすよりかは……

 

 

「……帰ろう。一度帰って、もう一度ここに来よう!」

 

 

「よし、話はまとまったね。それじゃあ船長、一旦命蓮寺に引き返してくれるかい?」

 

 

その問い掛けに、ムラサは少し困惑顔で答えた。

 

 

「いいの? まだ見つかってないみたいだけど……」

 

 

「いいんだ。一回帰って作戦を練り直さなければいけないからね。それに……」

 

 

 ナズーリンが何か言いかけたとき、グゥ~、とお腹の鳴る音が聞こえてきた。それも全員のお腹から。

 

 

「……皆、お腹空いてるだろう?」

 

 

 その瞬間、皆がどっと笑い出した。さっきあんなに迷っていたのが嘘のようだ。

 けれど、笑ってばかりじゃいられない。早く準備してまたここに戻ってこなければ。

剣二はまだ大丈夫そうだけど、何が起こるか分からない。こうしている今でも妖怪に襲われているかも……。

 いや、そんなことはない。私は私の全力を尽くすだけだ。それでダメだったら仕方ない。というよりも、こんなに頼もしい仲間たちがいるのだから、見つけられないはずはないんだ。

 だから今は命蓮寺に戻る。戻って最高の状態で此処に来るんだ。そうすれば、次こそは見つけられる。絶対に。

 私の決意と呼応するかのように、船は動き出した。この速度ならば直ぐに着くだろう。次の目的地は、とりあえず現時点では命蓮寺だ。

 

 

 

 

 

 

 

 命蓮寺に戻ってからしばらく経って、私は驚くべき体験をすることになるのだけれど、それはまだ先の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~おまけ~

 

 

 

 

 ここは白玉楼。私の仕える主人が住む、冥界の中心地。

 今日も今日とて炊事、洗濯、お庭の整備などやることが目白押しである。幽々子様は、剣二さんが白玉楼を出て行ってから、非常に暇そうだ。たまには剣の稽古をしてほしいのだけれど……私が言ってもまったくの無駄であろうことは、既に自明の理だ。ハァー……。

 剣術指南役としての立場が失われつつあろうとしていることは、とりあえず置いておき、今は何をしているのかというと、部屋の片付けをしている。の、だが。

 

 

「おかしいなー、この辺りに置いてあったはずの地図が無くなってる……」

 

 

 そう、地図が忽然と姿を消しているのだ。あれは藍様に渡そうと思ってとっておいたのだけどなぁ。

 と、頭を抱えているところに、いつもの着物を身に纏った私の主人、幽々子様が通りかかった。

 

 

「どうかしたの? 妖夢」

 

 

「いえ、この辺りにあったはずの地図が無くなっているのですけれども……って、また饅頭食べてるじゃないですか! 今日の朝あれだけ食べておいて、まだ食べますか!?……まぁいいです、それより、地図のことについて何か知りませんか?」

 

 

「あぁ、あれなら剣二に渡したわよ?」

 

 

「……え?」

 

 

 何を言っているのだろうか。冗談は、その食欲だけにして欲しいのですけれども。

 

 

「だから、渡したの。あれってマヨヒガへの地図だったでしょ?」

 

 

「ちょっと待ってください、あの地図がほぼ地図としての役割を果たさないことを知っていてですか!?」

 

 

「そうよ?」

 

 

 また面倒なことを……。処理するのはすべて私だというのに、分かった上でやっているのだろうか。

 

 

「あぁ……直ぐに剣二さんの所に行かないと……きっと今頃迷っているはず」

 

 

「その必要は無いわ」

 

 

「は?」

 

 

 一瞬面食らってしまった。

 

 

「マヨヒガっていうのはね、迷った人が辿り着く場所なの。そのまんまね。だから本当に正式な地図なんて存在しないし、あれぐらいの地図がちょうどいいのよ」

 

 

「では、蔵にあった地図は……」

 

 

「当然の如く正確なものではないわよね。逆にあの地図だったらあの子はたぶん字が読めないだろうし、結局どっちの地図を持って行っても同じだったはずよ」

 

 

 幽々子様、そういうことが分かっているんだったら先に言ってください。

 

 

「……幽々子様がそう言うなら間違いは無いのでしょうが……やはり心配なものは心配ですよね」

 

 

「大丈夫よ、あの子ならきっとマヨヒガまで辿り着くわ」

 

 

 何が根拠でそういうことが言えるのだろうか。

 

 

「そうですかね?」

 

 

「じゃあ、剣術の修行は何のためにしていたの? そのためじゃなかったの?」

 

 

「でも付け焼刃ですしねぇ。正直言って、後は剣二さんの吸収力に任せるしかなかったです」

 

 

 それに、これといったことは教えていないし、稽古と言ってもただの模擬戦だったしねぇ、たったこれだけの経験で今後が何とかなるとも思えない。

 

 

「うーん……まぁ、何とかなるはずよ。後で藍にも伝えておくわ」

 

 

「あ、それなら安心ですね」

 

 

「幻想郷にとって剣二が問題無いこともわかったし、後は藍がなんとかしてくれるでしょう……」

 

 

 その時、幽々子様が何か呟いたような気がした。気のせいだろうか。

 

 

「何か言いました?」

 

 

「いいえ、何も言っていないわ。さぁ、問題も解決したところで、今日のおやつを……」

 

 

 うーん、何か聞こえた気がしたんだけど……って、それより!!

 

 

「ダメです。さっきも食べておいて言ってるんですか!」

 

 

 本当に、この人の胃はどこか遠い場所にある謎の空間にでも繋がっているんじゃなかろうか。

 

 

「むぅー、妖夢のケチー」

 

 

「ハァー……」

 

 

 また買い置きしているお菓子がいつの間にか無くなってそうで怖い。もう今度から買わないでおこうかなと思う今日この頃。

 

 

 まだ少し剣二さんのことは気掛かりだったが、藍さんが居れば大丈夫だろう。

 というか、今はそれよりも剣二さんが来たことで減った、危機的状況にある食費をなんとかしないと、と、今日の晩御飯の献立を真剣に考え始める妖夢なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 春休みが近づいているから小説が書けるじゃないですか、ヤッター!
 でも私らのクラスだけ春期講習があるじゃないですか、ヤダー!
 はい、つまりそういうことです。
 それでは、また。
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