遊戯王転生?(タイトル未定)   作:モフモフ好き

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おかしい、気がつけばモンスターワールド編が前編後編会わせたらDEATH-Tを超える文章量になっていた。
何を言ってるかわからねぇと思うが、気がついたらこんな分量になっていた。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

というわけでモンスターワールド後編です、原作とは、微妙に違ったエンディングになりますのでご容赦ください。


激突!闇と闇、モンスターワールドの恐怖!(後編)

「も、もう一人の、遊戯?」

「そうか! 遊戯の心がこっちの世界に閉じ込められて、代わりにもう一人の遊戯がバクラの奴と戦っているんだ!」

「頼むぜ遊戯! 俺達の命はお前に預けた! ゾークを倒してくれ!」

「ああ」

「ご主人様が二人!」

「これが、もうひとりの僕……」

 

 ゾークが迫る中、こうして初めて遊戯さんたちは顔を合わせたんですね。

 そして、裏遊戯さんと話し合う私達。

 こうして面と向かって話すのは皆初めてなんだよね。

 

「お前たちの為に、俺は戦う! だから皆も俺に力を貸してくれ! 忘れるなよ、敵を恐れぬ勇気と、結束の力を」

 

 そう言って、裏遊戯さんは見えなくなってしまった。

 そして始まる、ゾークとの戦いが!

 

 

 ここからこちら側のダイスロールは全て裏遊戯さんが振ることで進行することに。

 

 

「不覚にも傷を追ったゾークだが、ほとんどダメージはない、それどころか冒険者たちは事態をさらに悪くしてしまった」

 

 裏バクラが宣言すると、ゾークの肉片が蠢き出す。

 

「みろ!ゾークの肉片が!」

 

 そして、ゾークの肉片から二体のモンスターが生み出された!

 始まる戦い、だがゾークは戦線を離脱、ゾーク城にて待つと言い残し去ろうとする。

 

「逃げる気かゾーク!」

「俺と戦いたければ俺への憎悪の炎を消さぬよう、城までたどり着いてみせよ!」

 

 そう言い残すと空を飛んで去っていくゾーク、後は残された二体のゾークのしもべだけ!

 

 

「野郎、なんとしてもゾーク城にたどり着いてみせるぜ! そして貴様をぶっ倒す!」

 

(城之内さんは元々入り込んでたような感じだったけど、今のところ私たちは完全にマスターのシナリオ通りに動いているみたい。だけど、私みたいな異分子がいるとどうなるか……、うん、宣言通り、全力でいきましょう!)

 

 そう考えてる間に、遊戯さんと裏遊戯さんが連続クリティカル対策の話し合いをしてこれからそれを実行するようです。

 

「ファンブルを振れば、そのキャラクターは本当の死を迎えることを忘れるなよ」

 ここぞとばかりにプレッシャーを掛けに来る裏バクラ。

 だがそれをなんでもないように受け流してダイスを振る裏遊戯さん

 

「ふっ」

 ダイスは盤面をくるくる周り00、ファンブルとは真逆のスーパークリティカルヒットが炸裂する!

 

「スーパークリティカル、戦士の気合切りが炸裂する!」

 

「うぉりゃあぁぁぁ!」

 

 戦士のハイパー気合切りが炸裂する!(彼は聖戦士ではない!)

 

「さっすがもうひとりの遊戯!」

「おいおい、俺も褒めろよ!」

「ナイスですよ! 城之内さん!」

 

 そしてこのスーパークリティカルヒットはもう一体のモンスターにも精神的なダメージを与えたようで、モンスターテイマーの攻撃に。

 そして残ったゾークアームドラゴンを対象に洗脳を試みる!

 

「ゾーク城にたどり着くまでに少しでも戦力を増やさなきゃ! ハンドパワァァァ!」

 

 そして裏遊戯さんがダイスを振る、だけど一度10の位を示すレッドダイスが8を示すが、そこのもう一方のダイスが8のダイスを弾き飛ばして目を変えた!

(言われても普通できないよ……そして机に肘を何度もぶつけていた裏バクラさん、これは流石にマナーが悪いよ)

 判定は02、クリティカル!よって手玉ハンド出現! それにしても、コネコネされてるのに気持ちよさそうな声も出している……脳みそこねこねコンパ(それ以上はいけない!)

 ではなく、ふつうにあの手玉ハンドのマッサージは気持ちいいのだろうか……。

 

「パウゥゥ♪」

 現れたのは赤いドラゴン。真っ黒な身体から一転、赤色に変わりました。

 実はマッサージではなくて、手もみ洗いだった? 闇の力は手もみ洗いで落とすの!?

 

「かわいい~」

「よし、これで新しい仲間が加わったぜ!」

「お前も今日から心を入れ替えろよパウ」

「わかってるよ、俺も新しいご主人様のために戦うぜ!」

 

 そこからは裏遊戯さんのダブルヒットの解説で、イカサマをバラされた裏バクラは

「これからは手の中から滑り落とすようにしてダイスを振ることとする、ダイスに回転を加えることは一切禁止としよう」

 ダブルヒットができないように、ダイスを振る時のルールを明言した。

 

 これで連続クリティカルを、技術面では封じたことになる。

 これが普通のゲームだったら、リアルラックは知らんとなるわけだけど。

(裏バクラにはまだ、アレがあるんですよね)

 

 

 それから暫くゾーク城を目指して道なき森を進むことに。

 しかし、命をかけた戦いになり、それで疲労した精神はつい癒やしを求めてしまいました。

 

「あの、遊戯さん、少しいいですか?」

「鈴音ちゃん、どうしたの?」

「その、少し触ってもいいですか?」

 視線でパウとポキーの二人に視線を向けてしまった。

 

「パウ?」

「ポキ?」

 

「その、ゲームの中じゃないと触ったりとかできないだろうから……」

 闇のゲームでゲームの中に入った今ならば……、多分、この時は少し疲れてたんだと思います。

 遊戯さんも初めての闇のゲームでは僅か数ターンでダウンして裏遊戯さんに後を託してましたし。

 

「う~ん、そうだね、ゾーク城につくまでもう少しかかるだろうし、その道中ならいいんじゃないかな?」

「パウ!?」

「あ、じゃあ私も!」

「ポキ!?」

 

 私につられて杏子さんもポギーを抱っこし始める、私はパウに抱きついてみた。

 

「よくよく考えれば野蛮な杏子はともかく、鈴音はまだ小学生だったんだよな、遊戯と並んでると違和感が無かったせいで忘れてたが」

「そういやそうだったな、普段しっかりしてるイメージが合ったせいで忘れてた」

「どうせ私は野蛮だよ……あ~、でもこの子すごく抱き心地いい~♪」

「ポキー♪」

「あ~、これがドラゴンの抱き心地……♪」

「パ、パウ!?(どうしていいかわからず視線で助けを求める)」

「ごめん、暫くそのまま背中に乗せてあげて」

 

 杏子さんに素直に抱かれるポキー、抱きつかれてどうして良いかわからず、遊戯さんに助けを求めるパウ、そして、ごめんっと手を合わせて謝る遊戯さん。

 だが、自然と場の張り詰めた空気が少し薄らぎ、少しだけ暖かくなっていた。

 そのせいか自然と口からは陽気で、ほんの少しだけ元気がでてくるような曲を歌いだしていた。

 

 道中をパウに乗せてもらったお陰で精神的にも身体的にもだいぶ癒やされました。

 

 

 

 

 

 

 しばらく森を進むと、ついにゾーク城が見えてきた。

 

「これがゾーク城! 闇を支配する、ゾークの根城……」

「よし、これから乗り込むぞ! 皆覚悟は良いな!」

「「「「うん!」」」」

「気をつけるポキ!ゾークは城に罠をはって待ち構えてるはずだポキ!」

 ポキーの注意喚起も入り、決意を新たにゾーク城に乗り込もうとする。

(原作だと、確か怪しげな塔に入って罠にかかったんだよね? ポキーは泣いていいんじゃないかな?)

「安心しろ!俺たちには信じる仲間が! 遊戯がついてる!」

 ここは、私も一言言うべきかな

「城之内さん、もう一人の遊戯さんがついているからって安心しちゃ駄目、私達もちゃんと注意しておかないとうっかり罠にかかる可能性もあるんだから。 もう一人の遊戯さんだけに負担かけないようにしないと、ね」

「鈴音ちゃんの言うとおりね、私達も気をつけましょ」

「確かに、すまねぇ遊戯!」

「いいさ、それだけ信頼されてるわけだからな」

 

 

 そして道中パウに乗せてもらっていたのでちゃんとお礼をするのは忘れない。

「ここまでありがとうね、パウ」

「へへん、いいってことよ♪ いい歌も聞かせてもらったからな」

 何やら頬を赤くしながら頬を掻くパウ。

 

「堕ちたな」

「ああ堕ちたな」

「堕ちたわね」

「堕ちたみたいだね」

「堕ちたポキね」

 

「どういう意味だ~!」

「?」

 

 ゾーク城手前で、赤き竜の咆哮がこだました。

 

 

 

 

 それからまるで僕達を招くかのように跳ね橋が降りてきた。

 ゾーク城に乗り込むと、城の分解ジオラマが開閉し、城の内部がはっきりと分かるようになった。

 

『さぁ冒険者たちよ、城への道は開かれた!』

 

「よし!いくぞ!」

「「「「「「おお!」」」」」」

 

『冒険者たちの城への侵入を確認、キャッスルフィールドオープン!』

 

 

 そして開かれたフィールドは、言ってしまえば玉座の間と言えばいいような場所になっていた。

 

 ラストクエスト! ゾークを打ち倒せ! がはじまった。

 

 

 だが辺りを見回してもゾークの姿はない、どこかに隠れているのだろうか?

 そして見回していると、怪しげな塔が一つあり、そこを調べようとする城之内さんたち。

 欠けたレリーフが掘られた台座があるけど、流石に入ろうとするのはまずい。

 こういう時探索職がいると危険なところはまずその手の事に長けたキャラが調べるのがいいんだろうけど、残念ながら私たちはほぼ戦闘職なんですよね。

 

「入ってみようぜ!」

「ちょっとまって、この台座何かな? 妙なマークも気になるし」

「ただのレリーフだろう? だが、確かに妙だな?」

「確かに、あのマークは何か意味があるはずだ……」

 

 突撃しようとする城之内さん、だけどさっき言った注意が生きたようで、すぐに入ることはしなかった。

 では、介入させてもらいます。

 あの瞬間まで、なんとしてもアイテム欄に用意した切り札を持っていきたいので。

 

「多分だけど、罠じゃないかなって」

「罠?」

「ほら、このレリーフ」

 指で指してから

「このレリーフ、切れてるけど本来はもっと上に何か書いてあってあったんじゃないかな? 多分数字なんだろうけど」

 

 そしたらもう裏遊戯さんが

「そうか! みんな中に入るな! おそらく上から何かが降ってくるトラップだ!」

 裏遊戯さんが皆に注意をするとさっと、塔から離れる。

 

「ちっ、もう少しで罠にかかるところだったのに……忌々しい吟遊詩人め」

 舌打ちをしてからもうバクラさんの仮面をかぶる気がない裏バクラはゲームを進行させる。

 

「冒険者が罠に気づいたため、隠れていたゾークが出現する! 奇襲成功確率40%出現確率は99%」

 だが残念ながら、ダイス目は41と、成功には至らず、そのまま戦闘に突入!

 

 

「素早さなら冒険者のほうが上だ! 奇襲に失敗したのなら冒険者たちの5回連続行動だ! 行くぜバクラ! まずは吟遊詩人の支援呪歌! ダイスロール!」

 

「私の歌を聞けー!」

 出た目は04、クリティカル!

 辺りからBGMが流れ出し、冒険者たちに活力を与える!

 

「続けて戦士、魔銃士、魔法使いの連続攻撃!」

 

「うぉりゃあぁぁぁ!」

「サンダーグレネード!」

「見習いデスブレイズ!」

 

 続けて三人の攻撃は連続クリティカル!

 リアルのTRPGでもサイコロチェックが入りそうな連続攻撃をきめ、そこに追撃のビーストテイマーの攻撃!

 

「ビーストテイマーの追撃! ダイスロール!」

 そして出目は08、クリティカルヒットを叩き出す!

 

「トドメだ! ビーストアタック!」

 

 

 だが、それでもゾークは倒れていなかった。

 

「ボクを卑怯者と罵るかい? だがこのゲームの世界は全てマスターであるボクが全て作り上げたものさ!

 ボク自信が掟! ボク自身が支配者! ボク自身が神なのさ!」

 

 う~ん、TRPG知らない人が聞いたら誤解を受ける発言ですね。

 少なくとも全てではないよね、舞台やシナリオは用意したけど、ルールやデータはこのゲームデータを作った人たちだよね。

 少なくとも、その神を名乗るバクラ自身も、モンスターワールドのルールに縛られてることになる。

 

 思わずボソッと「自分も縛られてるくせに」っとつぶやいてしまった、バクラの高笑いで聞こえなかったみたいだけど。

 

 その後は原作通り、マインドダイスを使って00、スーパークリティカルヒットを出して冒険者たちを一掃しようとした。

 

『ゾーク暗黒魔法! ダークカタストロフィー!』

「フフフ、今のゾークの攻撃は例えHP50以上あっても一瞬で0にするパワーが有る、冒険者は死んだな」

「みんな!?」

 

 胸を抑える裏遊戯さん、そして勝ったと思って勝ち誇る裏バクラ。

 だが、その勝ち誇った顔はすぐに驚愕の色に変わった。

 なぜなら誰も死んでないからです。

 

 なぜならそれは。

 

「み、みなさん、生きてますか?」

 体全身、あちこちがものすごい激痛が走ってますがなんとか生きてます。

 事前にかけておいた呪歌が効いたみたいです。

 

「くっ、なんとかな」

「へ、平気よ、このぐらい!」

「だが、ヤバイ状態なのは事実だな。 俺達より鈴音は大丈夫なのかよ?」

「私は途中でパウがかばってくれたから……、ありがとうパウ」

「だけど、まだ生きてる、生きているならどこかで必ず反撃できるはずだよ!」

「無事ポキ?」

「ガウ~、なんとかな~」

「みんな!」

 

「なぜだ!なぜ生きていられる!?」

「簡単な話ですよ、私が歌った呪歌は、生命の讃歌、1度だけHPが0になるような攻撃をHP1で耐えれるようにする支援呪歌です」

 

 それを聞いて、驚愕の色にそまる裏バクラ。

「GM、あなたは自分を神だと言ったが、あなた自身もモンスターワールドのルールに縛られているんです!」

 

 そして、裏バクラの気をこちらに引いてる間に、裏バクラの左手はドンドンキーボードを叩いてる。

 

「なぜだ……、なぜ、なぜ!? ムッ!?」

 そして、その間に戦士の攻撃がクリティカルヒット!

 ゾークの左目に突き刺さる!

 

「もう一度言うぜ、ゲームは終わっちゃいない!」

 

 

 

 

 

 そして始まる最終決戦、左手をノートパソコンから引き離す裏バクラの行動に裏遊戯さんが違和感を感じた。

 

 そして次の手番は杏子さんとゾークが同時に手番を迎え、ダイス勝負に。

 皆の思いを込めて振る裏遊戯さん、そして勝ち誇った顔でダイスを振る裏バクラ。

 

「俺の出目はスーパークリティカルだ!」

「フフ」

「何がおかしい?」

「お前の目は節穴か? ダイスをよく見てみろ」

 

 そこには、裏遊戯さんが09、裏バクラが10というダイス目、スーパークリティカルではなかった!

「そんなばかな!」

「いくぜ、魔術師の先制! 魔術ルオナ!」

 

 こうして全員のHPが全回復する、だがこの後ゾークの反撃がくる!

 

「全員に命中確率80%だ! 死ねぇぇ!」

 

 だが、右手でダイスを振ろうとしたら左手がダイスを投げ、そのダイス目は99!

 ファンブル!

 

「ぐおぉぉぉぉぉ!」

 

 ゾークは自身の攻撃で自爆してしまう。

 

 だがそこで裏バクラが豹変。

 城のジオラマの突起部分に自らの左手を突き刺し

「ぬああぁぁぁこの左手めぇぇぇ! これで思い通りにはさせんぞ獏良了め!」

 

「なに!? 今獏良了と言った!?」

 

 裏遊戯さんや他の皆も今の発言で、いまここにいる裏バクラが本当の獏良了でないことを確信した。

 

 そして裏遊戯さんはゾークにハンドパワーを試みた。

 

「馬鹿め、このゾーク様を仲間にしたいならレベル100万にでも……なに!?」

 

 そして傷ついた腕から現れたのは白魔導士バクラ:レベル13

「みんなありがとう! ボクを助け出してくれて……僕は白魔道士のバクラ、皆の仲間に加えてほしいんだ!」

 

 こうして新しい仲間が加わったのです。

 

 そして続けて魔銃士の攻撃! だけど今度の威力は今までと桁違いの威力が有りました。

「僕の魔法でやつの防御力を下げたんだ」

 

 そして追い詰められた裏バクラは、ついに最終手段に打って出た。

 

「これがゾークの最終形態だ! 攻撃力も防御もレベルアップ!」

 ゾークの身体がメキメキと音を立てて変形し、胸から何かを射出しそうな形態に変化した。

 

「このターンはゾークの先制! 攻撃命中判定!」

 そして振られたダイスは00!? スーパークリティカル!?

 

『ゾーク・インフェルノ!』

 ゾーク最大の攻撃が冒険者を襲う、だがここに白魔道士バクラさんが

「皆はやらせない! 白魔法シャイニング・シールドレベル13!」

 

 バクラさんが攻撃を防いでくれたけど、それでも私達全員が満身創痍の状態に。

 回復させようとする杏子さん、だけど回復する力があるなら、残りの全てをゾークにぶつけてほしいと頼むバクラさん。

 

 そして、切り札をきったゾークに、最大の弱点が露呈する。

 

「ゾークの魔法攻撃の射出口! あの奥の目が弱点だ!」

 だが無情にもその射出口がドンドン閉じていく。

「危ない危ない、射出口を見破られたときはヒヤヒヤしたが、閉じてしまえばお前らの攻撃などどうにでも……なに!?」

 

 そこにポキーが射出口に突入、射出口が閉じるのを身を挺して防いた。

 

「「「「「「ポキー!」」」」」」

 

「さぁ、今のうちにボクごとこいつを吹き飛ばすんだ! みんな、こんな僕を仲間にしてくれてありがとう……」

 

「「「「「「ポキー……」」」」」」

 

「短い冒険だったけど、これでお別れポキ」

 

 だけどねポキー、ここにいる皆は……

 

「だがな、俺達は共に戦った仲間を見捨てない! 犠牲になってぜってぇさせねぇよ!

 悪の心に仲間の命を代償にする価値なんざ、これっぽっちもねぇからな!」

 

 

 そして、モンスターテイマーの攻撃

「まっててポキー、すぐに助け出すから!」

 

「行くぜ! ビーストテイマーの攻撃!」

 ダイスの示す数値は02、クリティカル!

「手玉ハンド・ジェットストリーム・パンチ!」

 出現した手玉が拳を握り、ゾークの弱点をうち貫く!

 そして手の中には救出されたポキーがいた!

 

「続いて戦士の攻撃!」

 01、クリティカル!

 

「いくぜ! とどめの一撃だ! 爆裂気合切り!」

 

 戦士の攻撃はゾークの身体を横薙ぎに一閃する!

 

「よっしゃ! ゾークを倒した!」

「いや、まだだ!」

 

 そう、下半身を失ってもまだゾークは生きていた。

 

「今のターンでとどめを刺せなかったのは致命的だ! 次のターンはゾークと冒険者は同時に攻撃のチャンスが有る」

 

「なんだって!」

「この場合お互いにダイスを振って先制を決める! 遊戯!これが最後のダイスロールだ!」

「受けて立つぜマスター! 俺たち全員の想いを込めたダイスロール!」

 

(頼む!)

(お願い!)

(ダイスよ、僕らの思いに応えて!)

(俺たち皆の思い、すべてを込める!)

 

 そして振られる4つのダイス。

 それが示すのは00、00!

 

「同じダイス目を出した場合GM側の勝利、ゾークもろとも貴様らを道連れにしてくれる!

 それにしても最高のシチュエーションだよ。

 勝利を確信した瞬間に敗北の地の底にまで叩き落されるんだから!

 最高だよ! 最高のゲームだった!」

 そういって高笑いを上げる裏バクラ。

 

 そして、精神をダイスに潜り込ませて、裏バクラのダイスを破壊しようとするバクラさん。

 

「これ以上大事な友だちを失いたくない! たとえボクの心が砕け散ろうともね!」

「させん! 貴様の心など俺の千年リングの力で追い払ってくれる!」

 

 力でバクラさんの心を吹き飛ばそうとする裏バクラ、だけど皆の心がバクラさんを支え、千年リングの力を打ち払う

 

「馬鹿な! お前らも心を移したのか!? なぜだ! なぜそんなことができる!」

 皆を代表して城之内さんが語る。

「できるのさ! 友を思う気持ちに不可能はねぇんだ!」

 そしてダイスを砕こうとするが、そこで私が待ったをかける。

 

「大丈夫だよ、もう一人の遊戯さんがスーパークリティカルを出してくれた時点で、私達の勝ちは決まったんだから」

 

「なんだと!?」

 

「まさかいざという時のために取っておいたアイテムとスキルが役に立つなんてね。

 バクラさんならわかるんじゃない? 妖精、吟遊詩人、そしてアイテム、妖精の贈り物」

 

「それは、もしかして!」

「ま、まさか!?」

「そう、種族:妖精の吟遊詩人は自身のダイスの目を一個ずらす能力があるの。

 だけど、妖精の贈り物を消費することで、この能力をGMのダイスに適用できる!」

 

 そしてGMのダイス目は01にずらされた!

 

「お、俺のダイスがあぁぁぁぁ!」

 

「マスター! お前のダイス目は01、よって俺達の先制だぜ!!」

 

 そして遊戯さんがダイスに皆の思いを込める。

 

「魔術師アンズと吟遊詩人ベルの合体攻撃!」

「鈴音ちゃん!行くわよ!」

「はい! 遊戯さん、パウの力を借ります! パウ、私に力を貸して!」

「あいよ!」

 そして繰り出される攻撃。

 

「ドラゴン! 目覚めの旋律!」

 紡がれる旋律がパウの眠った力を呼び覚ます、そして呼び覚まされた力がアンズさんの魔法と合わさる。

 

「喰らいなさい! 滅びのビックバンストリーム!」

 パウのブレスがアンズさんのファイナルビックバンと合わさり、ゾークの身体を跡形もなく、塵も残さないレベルで吹き飛ばした!

 

「うわあぁぁぁぁぁ!」

 

 そして千年リングは外れ、机に倒れ伏す裏バクラ。

 いや、今の一撃で身体は元のバクラさんに戻ったはず。

 

「バクラ! バクラくん!」

 倒れたバクラさんに駆け寄るもう一人の遊戯さん。

 

 原作ではバクラさんの心はダイスと一緒に砕かれたけど、こっちでは砕けずに済んだから死んではいないはず。

 

「うっ……」

 

 

 本来のバクラくんが目覚め、闇のゲームが終了したからなのか、徐々に人形から肉体に心が戻ろうとしていた。

 

 

「皆さん、本当にありがとうございました。おかげでマスターである獏良了の心は守られました」

「バクラ、お前はどうなるんだ?」

「僕もマスターの中に戻ります、次にこの世界で皆と冒険する時は経験値をリセットして、皆と同じ、経験値のないレベル1白魔導士のバクラとして……」

 人形のバクラくんは最後に笑いながら「さよなら、みんな」そう言って、ただの人形に戻っていました。

 

「ご主人様」

「パウー……」

「二人共、僕達の仲間になってくれてありがとう!」

 

 遊戯さん達や私も笑って、ポキー達と別れを告げると肉体に戻っていました。

 

 こうして私達のモンスターワールドでの冒険は終わり、盤上の僕達がさっきまで入っていた人形は、今は動かぬその人形たちはどこか……そう、嬉しそうにしているようにみえました。

 

 

 

 

 

 それから後日、バクラさんはあの日の冒険の記録を新たに作成したジオラマに残していました。

 人形は全部一からフルスクラッチで作ったとか。

 でもそのジオラマは本当にすごい出来でした。

 

 遊戯さん、杏子さん、城之内さん、本田さん、バクラさん、ポキーにパウ、そしてパウにのって歌う私、ダイスをもったもう一人の遊戯さんの姿が。

 まるで誘ってるように見えました。

 

 

 

        『『『『『『さぁ、また皆で冒険をしよう!』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

              モンスターワールド編~fin




というわけで、作者が一番強いと思うTRPGのスキルはダイス操作だと思いました。
妨害系と悩みましたがストーリー的にはこっちかと。

実は、これ書き終わる前日、参加していたTRPGのキャンペーンが最終回だったので、ちょっとさみしい気持ちも込めて書いてしまった気もします。

皆さんもTRPGをする時は、PL、GMともども楽しくセッションしましょうね!

そして兄に二次創作書いてるのバレて、ちょっとこのモンスターワールドに関して意見交換したんですよね。
そして行き着いた結果は、PLに無理ゲーを押し付けて殺しにかかるクソGMと、バランスを取ってなんとかまともなセッションにしようとする神GMの戦いだったのではないかという結論に。
低レベルにバランス無視のゾークをぶつけたから、神GMはどうにかしてバランスを取るために高レベルNPCをプレイヤーつけることになったという話。



ここから下、モンスターワールド編完結後の一幕

バ「皆、こんどの休みにモンスターワールドやらないかい?」
遊「いいね! 今度はあんなひどいゲームバランスじゃなくちゃんとしたシナリオでやろうよ!」
城「え? あれ、ちゃんとしたシナリオじゃないのか?」
バ「当たり前だよ、あんなデスセッション、普通はやらないよ、殺意が高いとかそんなレベルじゃないもん」
杏「へぇ、なら今度はもっと楽しくやりたいな」
本「なら楽しみだな」
遊「なら、鈴音ちゃんも誘わなきゃね」
バ「楽しみにしててね、きっと楽しめるセッションになると思うよ」


 その後、誘われた鈴音が参加したセッションで鈴音が思ったこと。
(そうだよね、普通あんなにクリティカルが連打されるもんじゃないもんね)
 改めてそう思ったのだった。

 なお、表遊戯はここぞという時に裏に変わりクリティカルを出すことがあったとか。
 王様、自重してください。
 なお、その後キャンペーン化して一大冒険活劇になったとか……

 追記、その後、ポキーは遊戯さんに、パウは鈴音にプレゼントされ、取り外せるキーホルダーにしていつも身につけるようになったとか。

                  おしまい




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