2期から初めて見た人は4話からの展開を目を離さず見れるのだろうかと考え込むことが多くなってきた。
最後にラブコメっぽい展開に注意(関連タグ付けたほうがいいのかな)
2017/10/16 誤字などを修正
2017/10/18 一部抜けを修正
「……始まった」
樹海の中心、バーテックスに到達されてしまったら世界が終わってしまうとされる神樹様がある場所。その大樹の袂にある人の影があった。
「……バーテックス」
その女性は神影と三ノ輪夫妻の対談の時にいた銀髪の従者である。従者は瀬戸大橋と呼ばれる場所で起こっている戦いをその場から見つめている。
「……今回のお役目の勇者たちは本当に幼いな」
残された安寧の地を守るための少女たちのお役目、彼女にとっては数えるのをやめる程見た光景だ。今回選ばれた少女たちを見てそう評価し、まるで傍にいる誰かに語り掛けるように呟く。
戦いは勇者たちが水瓶座により劣勢な状況になっていた。
「……! 神樹様、感謝いたします」
その乱入者は従者にとっての目的の人物であった。静かに神樹へと感謝の言葉を述べる。まるで、それに応えるかのように神樹と呼ばれる大樹の葉が僅かに揺れた。
(もてる力を秘めた器は確かに託しました。……神樹と…恵みの元に暮らす四国の人々…勇者の事を頼みます!)
――――――――――
side:紺野勇
光が収まっていく。勇は目を覆った両手をゆっくりと下げると、目の前には色鮮やかな世界が映る。
「ここは……」
頭の処理を落ち着かせようと辺りを見渡す。スマホのアラーム音、そして表示されていた【樹海化警報】という文字。事前に大人たちから聞かされていたことを少しづつ思い出していく。
「ここが樹海か」
情報を整理し終わった勇は今度は状況を確認する。すると、樹海の根に覆われていない大橋を見つける。大橋を渡る大きな両側に水球がついた異質な巨大物体とそこへ向かう3人の人影がいた。
「いけない。出遅れてる!」
勇はここでのやるべき事をすぐに理解し、行動に移した。スマホを見ると樹海が展開された際の専用の画面になっていた。そのアプリの一つをタップし起動する。
(これが敵と戦うための力…!)
光に包まれると着ていた服装が特殊な装束へと変わり、右手にはボウガン、左手には小型の板のような盾が現界されており、同時に体に力が漲る。その感覚を確かめるかのように左手を何回も握ったり離したりする。
「……行きます」
勇は大橋に向かって地面をけり跳んだ。軽く蹴ったつもりだったが思ったよりも高く飛んでしまったことに驚きを隠せなかったが、敵に察知されるのもまずいので跳び過ぎないように低く調整して跳ぶ。それでもあっという間に大橋へと辿り着いたが、3人の勇者と呼ばれる少女は巨大な存在と相対していたが苦戦しているようだった。
「――― 動いてないと危な ―――」
へたり込んでいる青の勇者に赤の勇者が両肩に手をかけ揺らし喝を入れているところに敵が攻撃を放った。
「くっ…!」
自然と勇は行動を起こしていた。大橋へと向かう最中に敵と勇者たちの戦いは見ていたのでその特性は分かっている。飛んできた水球は青の勇者の矢を絡めとってしまうほどの弾力性を誇る。ボウガンに専用のマガジンを装着し装填、両手でもち構えると引き金を引く。
「「(!?)」」
突如飛んできた矢に少女2人は驚いていた。水球へと精確に命中すると矢尻に刻まれた溝が真っ赤に光りごぼぼと音を立てて水球が蒸発した。
(よし!)
勇は敵に対してボウガンで狙いをつけ警戒しながら勇者たちの元へと駆け寄る
「神樹様に選ばれた勇者たちですね? 大丈夫ですか?」
青と紫の勇者が困惑した表情で見つめているも声をかける。勇者たちに目立った怪我などがないようだ。
「なんで…なんでなんだよ」
振り向いた赤の勇者に勇も狼狽した。なぜなら彼にとって、その勇者は見覚えがある少女だったのである。
「え……銀、銀なのか」
「勇、どうして!?」
―――――――――
side:3人称
「どうしてここにいるんだよ!?」
銀が勇に詰め寄ってくる。疑問に感じるのは当然だと勇も思っていたが、ぐいぐいと押してくるような勢いだったため少し後ずさるものの、その目的について話す。
「えっと、お役目の時が来たから、神樹様に選ばれた勇者たちと一緒に戦うために……」
「アタシたちと? ……あ、もしかして安芸先生の言っていた。アタシたち以外にお役目に加わるっていう」
「そうなるね。君、大丈夫?」
「え、えぇ(この男の子もお役目を? だけど、三ノ輪さんの顔見知りのようだしいったい)」
手を差し伸べようとした勇だったが、その必要もなく須美は立ち上がる。園子も駆け寄って声をかけてくる。
「えっと、あなたも『勇者』なの?」
「『勇者』ではないかな。…強いて言うなら、勇者の『守人』みたいな感じかな。だけど、今はバーテックスをどうにかしたほうが良くないかな」
園子の質問に答えるも勇はそれ以上の問いを遮った。勇者3人ははっとした感じで勇の言葉の意味に気づく。
「って、そうだ! バーテックスは!?」
「もう、あんなところまで…、急がないと!」
水瓶座は仲間の危機に駆け寄っている姿を見たのか現段階では脅威にはならないと判断し、4人を無視し先へと進んでいた。
「どうやって止めるんだ?」
「僕も遠くから見ていたけど、あの水を使った攻撃は厄介そうだね」
「私の矢じゃ傷つきもしないし…三ノ輪さんの武器なら効きそうだけど」
「あの水が邪魔で全然近寄れないもんな!」
須美は自分の弓矢は安全なところから攻撃できるが火力不足、3人の中で銀が最も攻撃力があるが近接ではないと攻撃ができず、園子については槍は色々と応用ができそうだが須美から見ると天然のイメージしかなく頼りないと語る。
「そうだ。勇、何か手はないかな?」
お役目を担う4人が揃ったのだ。銀は最後にやってきた勇が何か打開案を持っているのではと思い聞いてきた。しかし、勇は首を振る。
「僕のシステムはバランス型だから、3人が特化している部分で見てみれば劣ってると思う」
「っていうと」
「器用貧乏っていったとこだよ」
勇の武器は3人のと比べると、ボウガンは須美の弓よりも連射は効くが射程に劣り、盾は園子の傘よりも取り回しは効くも強靭性に劣り、盾から片刃剣を引き抜くも銀の斧よりも小さく威力に劣ってそうだった。
勇の言葉通りなんでもできるが、言い方を変えれば中途半端という感じだった。
「ねえ、さっき水球を蒸発させたあの矢は?」
「大赦で開発した特殊矢の一種だよ。さっきのは火矢みたいなものだったんだけど、あの小さい水球をやっと蒸発したって感じだから、そこまで効き目はないかも。それに数に限りがあるのが難点」
「え、あれ火矢だったの」
「……刺されば燃え上がるっていう代物だけど、多分あの大容量じゃすぐに鎮火されるかも」
がっくりと項垂れる須美と銀。当てと期待が外れたようだ。勇も申し訳ない気分となっている。
「他にもあるんだけどね」
「ええっと、つまり私たち3人のできない部分を補えるって感じなのかな~」
「そうだけど」
と、ここで園子が勇に質問を聞いてきた。その答えを聞いた園子は少し考えてから、
「ぴっかーんと閃いた!」
ペカーッと目を輝かせて言い放った。
「いくよ。準備はいい?」
「いつでもどーぞ」
「僕もいつでも」
「ええ、でも…本当にうまくいくのかしら?」
園子が考えた作戦の通りに4人は隊列を整え、いつでも動けるような態勢をとっていた。それが心配なのか須美は自身がなさそうに呟いた。
「きっと大丈夫だよ~。さっきも受け止められたし、それに今度は4人なんだから」
「そうだよ。鷲尾さん、1人ではああだったけど、みんなで協力すればイケる!」
「今はこれ以上に策が浮かばない。なら、やれるだけの事をやるしかないと僕は思う!」
3人の励ましに須美の硬い表情が少し和らいだ。そして、気持ちを切り替えようとしたとき、園子があっと呟く。
「そうだ。君の名前聞いてなかったよ」
「そういや言ってなかったね。僕は『紺野勇』」
「ふふ、初めまして、『鷲尾須美』と申します」
「『乃木園子』だよ~。よろしくね…『い~さ~』」
「い、『い~さ~』!?」
「あぁ、乃木さんはあだ名をつけて呼ぶみたいなんだ。アタシは勇のことは知ってるけど、一応…『三ノ輪銀』だよ」
「むむぅ~、これは後で詳しく聞かないと~」
園子の発言に思わず苦笑してしまう。簡素な自己紹介をしている間にも水瓶座は神樹の元へと向かってしまっている。
「それじゃあ…いくわよ!」
4人は気持ちを切り替え作戦の実行へと移った。まずは須美が弓による狙撃を慣行する。
「こっちに気が付いたよ!」
頭に命中し4人に気が付いたようだ。水瓶座が攻撃対象をこちらに定め水球を放ってくる。
「来たよ!」
「展開!」
園子が再び槍の穂先を傘状に展開し水球による攻撃を防ぐ。すると、水瓶座は先ほど園子を銀ごと吹き飛ばした水圧光線を放ってきた。激流ともいえる光線を園子は傘で受け、勇・銀・須美が園子の槍の柄を握り支える。
「重い―――!!」
「これさえ耐えれば!」
「負けて…たまるもんか!」
4人で団結し堪える。激流に足を止めている間に水瓶座は同時に勇者たちから見て真上に水球を雨あられのように降らしてくる。
「(!?)直上より攻撃!」
「勇!」
「任せろ!」
勇は右手だけで槍を支えると左手の盾を翳す、すると盾が展開し4人の頭上を覆う程の大きさとなる。それにより水球の雨あられは防がれる。
「あれは僕が防ぐ!」
「紺野君、片手で!」
「勇者は根性!! 押し返せ―――!! オーエス!」
片手で園子の槍を支えながら頭上の攻撃を防いでいる勇に須美は心配そうな声をあげる。そんな勇の行動に応えるかのように銀が掛け声をかける。須美が戸惑っていたようだが銀に押される感じでかけ声に参加する。徐々に水瓶座との距離が詰まっていく。
「途切れた、今!!」
「突撃 ――― !」
そんな4人の行動が報われる時がきた。水圧光線を放っていた水球の水が空となり激流が止んだのである。作戦は第二段階、銀に全力での攻勢をかけようと、援護のために須美と勇も彼女のあとを追い跳ぶ。迎撃のため水瓶座がまた水球をとばしてくる。
「私だって!」
須美の弓矢による連射が正確無比に水球を撃ち落していく。水球の弾幕に道ができた。これを逃すほかはない。
「出し惜しみはしない! ……狙い撃つ!」
勇が右手でボウガンを取り出し構え矢を放つ。放たれた矢が数本水瓶座の頭に突き刺さり数刻後に大爆発を起こした。須美の例もあり、大した攻撃ではダメージを与えられないということで勇のもつ矢の中で一番破壊力のある矢を使った。水瓶座は爆発に仰け反り、大きな隙ができる。
「ナイス、
「銀!」
「三ノ輪さん!」
「いっけー、ミノさん!」
「おりゃあああああああ!」
銀の叫びに応えるかのように両手の斧から炎が噴き出す。みんなによって出来た大きなチャンスに炎の斧となった得物をこれでもかと振るう銀。燃え盛る火の玉となった銀のラッシュにより水瓶座がバラバラに引き裂かれていく。
「どぉだぁああああああああ!」
最後に十字に水瓶座の頭の部分をカチ割る。銀の猛攻に水瓶座の3つの水球は度重なる攻撃を受け罅が入っていきついに砕けた。水瓶座から水が勢いよく噴出される。
「あぁ、ミノさんが!」
最後の一撃を加えた銀がそのまま落下していく。このままでは地面へと直にぶつかってしまう。
「危ない!」
それを見た勇が真っ先に動き出した。ダッシュで銀の落下地点へと駆けると激突寸前の銀をその身で受け止めた。しかし、落下の勢いは受け止めきれずにその勢いのまま木の根へとぶつかった。
―――――――――
side:三ノ輪銀
「……いったーーー! 派手に落ちちゃったな」
バーテックスに攻撃を加えるのに夢中だったため着地体制をとってなかった。銀は地面に落ちてしまったのだろう。それにしては痛くないなと思いながら銀は顔をあげる。
「へ?」
「う……」
目の前に勇の顔があった。頭をさすっているところを見ると何かにぶつかったのかと銀は疑問に感じていたが、
「いてて……あ、銀大丈「あ…あ……!」…ぶ?」
今の状況は樹海の木の根を背にして勇が銀は勇の上に抱きかかえられるようにして乗っていたのである。さらに体と体が密着しており、それに気づいた銀の顔がどんどん赤く染まっていく。
「ワッツ!!! いったいどういう状況なんだよー!!!」
「……つぅ!!!」
超至近距離のシャウト、もろに受けた勇は耳をやられた。
「……説明してもらえませんかね?」
「銀が落下しそうだったのを受け止めようと」
キーンと耳鳴りがするも勇はなんとか答えた。少し冷静になった銀はその状況を察する。
「そ、そうだったのか。それじゃあ、仕方ないな」
「三ノ輪さんー! 紺野君ー!」
「お怪我はないですか~?」
「うん、大丈夫」
「……勇のおかげで…なんともなかったさ」
不可抗力だったこともあり銀は勇を赦した。そこに須美と園子の声が聞こえてきた。銀は目にもとまらぬ速さで勇から降りた。銀と勇の姿を見つけ、ほっと須美は安どの表情を浮かべる。
「…花?」
「これって…?」
すると、4人の頭上から花びらがひらひらと舞い降りる。
――― リィン
「始まったんだ…『鎮花の儀』が。綺麗…」
大橋についた多くの鈴鳴り響く中、花びらがまるで雪のように大橋全体へと降り注ぐ。勇者たちをまるで祝福するかのように降り注ぐ花びらは水瓶座だった残骸が徐々に薄くなっていき、最後には消えてしまった。
「ん? 待って待って? てことは!」
「撃退…できたってことかな?」
互いに顔を見合わせる4人、やがて撃退に成功したことを…確信し、
「「「「やったーーー!」」」」
年相応に、思い切り叫んだ。お役目の時は早かったが、必死で戦い、神樹を、人々を、大切なものを守ることが出来た。うれしさのあまり銀は勇に、園子は須美に抱き着く。須美は普通に照れていたが、勇にいたってはほぼ反射的に抱き着いてきた異性の銀に密着され顔を赤くし、銀ははっとし一気に冷静になると先ほどの件を思い出し、また顔を真っ赤にしてしまった。
余談ですが、乃木園子の愛用枕である『サンチョ』が勇者部員たちの元に届きましたね。
後1話ほど、この小説の話を投稿したら『ゆゆゆ×ファフナー』の執筆に戻ると思います。ゆゆゆ2期の放送した影響でわすゆの物語であるこちらのほうを書きたかったものでね。