らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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思い出作りの旋律~箱根温泉旅行4日目~

一昨日のこなた達の遭難から一夜明けて、俺達はガタガタになった体を癒す為に泊まりを1日延長して、この日は温泉巡りを敢行する。

 

その際にいくつかの温泉を巡り、ある程度体を癒した俺達は一度旅館へと戻る。

 

そして、龍兄と共に修行の時に使った、一般客も知らない秘湯へと足を運ぶ。

 

そんな俺達の様子を伺っていたこなたはみんなを欺き、俺達の入っている秘湯へメンバー全員を引き連れてやってきた。

 

そんなこなたの行動に呆れつつも温泉を楽しみ、俺達は旅館へと帰った。

 

そして、とっておきの場所に行った俺達5人は今回の救出劇の裏側を知り、皆それぞれにかなたさんへのお礼をしにお墓参りへ行こうと心に決めたのだった。

 

そして、俺達の最後の思い出作りの朝が来た。

 

今日もまた、いつもの時間に起き出して俺は、洗面所へと足を向ける。

 

すると、今日は珍しくこなた達も普通に起きていたのを見て俺は驚いていた。

 

俺に気付いたこなた達は

 

「あ、おはよー。慶一君。今日は最終日だからね。みんなできっちり起きて朝御飯食べて皆と一緒に色々回ろうって思って早起きしたんだよ。」

「まあ、いつものあんたから見たら頑張った方よね。おはよう、慶一くん。今日は色々巡りましょ?」

「おはよ~けいちゃん。今日はわたしも頑張ったよ~?2年生でのみんなと一緒に作れる最後の思い出だもんね~。」

「おはようございます、慶一さん。今日も1日楽しみましょう。」

「おはよう、慶ちゃん。みんなで忘れられない思い出を作って帰ろうね?」

「おはよ、慶一。今日は楽しんで3年に向けて気合いれるゼー!」

 

そんな皆に俺も頷きながら

 

「そうだな。今日は写真とかも撮ったりして思い出を持ち帰ろう。」

 

そう答えると、同じように顔を洗いに来ていたこうややまとも

 

「おはようございます、先輩。私も今日は思い切り楽しんで良い思い出を持ち帰りたいと思います。」

「楽しい旅行だったって言えるような思い出を作りたいわね。」

 

俺は2人にも頷くと

 

「ああ、もちろんさ。今日は楽しもう。」

 

そう言うと、ゆたか達もまた

 

「おはようございます、先輩。今日こそは初日のような邪魔も入らなければいいですよね。」

「・・・うん・・・あんな事はもう・・・こりごりだから・・・。」

「何事もなく過ごしたいっスよねえ・・・普通っていうのも案外難しいものなのかもしれませんね。」

「オミヤゲたくさんカイコミますデスヨ!これぞタビのオモイデのダイゴミネ!」

 

最後のパティの言葉に苦笑しつつ

 

「ははは・・・まあ、それも思いでの1つかもしれないが、それ以外でも楽しもうぜ?パティ。」

 

そんな俺の言葉に、パティも親指をビシッと立てて応えていたのだった。

 

そして、顔を洗い終えて少し時間があったので、俺達はあの場所へと行ってみる事にしたのだった。

 

ゆたかとみなみ、こなた、かがみ、つかさ、みゆき、あやの、以外にまだあの場所に連れて行っていない面々も引き連れ、俺は屋上のドアを開ける。

 

そして、朝の風景をみんなに見せると、みんなは凄く驚きつつも喜んでくれたのだった。

 

そんな俺達の後を追って、龍兄やまつりさん、いのりさんもこの場所にやって来て、風景を眺めて軽く談笑してるうちに時間が来たので、俺達は朝御飯を食べに広間へと向かう。

 

朝食を終えた俺達は、まず最初に、旅館の前に集合して全員での集合写真を撮ろうという事になった。

 

叔父さんに頼んでシャッター押してもらう事になったのだが・・・・・・ここでもちょっとした争いが展開されていたのだった。

 

こなたside

 

集合写真を撮るという事で、今回もまた、慶一君の隣に立つ権利をかけて、私達の仁義なき戦いの火蓋が切られようとしていた。

 

「よーし、ここは1つ私が慶一君の隣へ・・・。」

「ちょっとこなた?前はあんたがその権利取ったんだから今回は譲りなさいよ!」

「今回はわたしも隣に行きたいよ。」

「前回の勝負では負けてしまいましたから今回は譲れません!」

「それならまた公平にじゃんけんで決めようゼ。」

「く、日下部先輩、今回はあなたも参戦なの?」

「だって面白そうじゃん?」

「ならここはもう一度じゃんけんで決着をつけようではないか!」

 

そんな風に喧々轟々とやっていると、そんな私達に慶一君から声がかった。

 

「おーい、こなた達、何してるんだ。さっさと撮るからこっち来いー!」

 

その呼び声に振り向いてみると、慶一君をはじめとして、この争いで集まってる私達以外の人間がすでに慶一君の側に並んで立っているのを見た私達は、その状況に思い切り脱力したのだった。

 

そして、がっかりとしながら私達は、集合写真を撮る為に慶一君達の所へ向かったのだが、こうなったら少しでも慶一君の側に近いところを確保しようと、足早にみんなの所へと向かうのだった。

 

そして、みんなでの集合写真撮影を済ませた後、私はある事を思いついて慶一君に持ちかけた。

 

「ねえ、慶一君。お願いがあるんだけどいいかな?」

 

そう私が慶一君に言うと、慶一君は私に

 

「ん?お願いってなんだ?」

 

そう聞いてきたので私は慶一君に

 

「うん。私とのツーショット写真を撮ってくれないかなあ?ってね。」

 

その言葉に、慶一君は少し顔を赤らめながら慌てつつ

 

「ちょ、ちょっと待てこなた。以前にも海に行った時に撮った奴あるだろ?今更また撮る必要もないんじゃないか?」

 

そう言ってくる慶一君に私は笑いながら

 

「確かに慶一君の言う通り、海でみんなとのツーショット写真も撮ってたよね?でもさ、今の私達はあの時の私達とはまた違うよね?だから、あの時とは違う君との写真を撮りたいんだよ。だめかな?そういのってさ。」

 

そんな風に言う私に慶一君は、少し困ったような顔をしていたのだった。

 

慶一side

 

集合写真でなにやら揉めていたように見えたこなた達だったが、そんな争いをしているうちにゆたかたちも配置についたのでこなた達を呼んだのだが、俺の方を見るなり、こなた達はなんだかがっかりしてるように見えた。

 

そんなこなた達と集合写真を撮った後、こなたは何かを思いついたのか俺にある提案をしてきた。

 

それが、”私とツーショット写真を撮って欲しい”という事だった。

 

こなたの提案に困惑してた俺だったが、こなたの言う事にも何となく頷けた俺は、そのこなたの提案に乗る事にした。

 

「あの時とはまた少し違う、か・・・わかったよ。ちょっと待ってろ?叔父さーん!ちょっと写真お願いしまーす!!」

 

そう言って叔父さんを呼んで、俺は叔父さんに事情を説明してこなたとのツーショット写真を撮ってもらう事にした。

 

叔父さんはカメラを構えると

 

「はいはい、もう少しくっついてー・・・それじゃ撮るよー?ハイ、チーズ!」

 

そう言って叔父さんがシャッターを切る瞬間に、こなたが俺の腕に抱きついて来たので、俺は思わず驚いたのだが、その驚きの顔のまま写真を撮られてしまった俺だった。

 

俺はこなたに

 

「おい、こなた。突然びっくりするじゃないか。」

 

そう言うと、こなたはしれっとした顔で

 

「んー?別にいいじゃん。こういう写真は自由だもんねー。慶一君だって満更じゃなかったでしょ?」

 

そのいたずらっぽい顔に俺は呆れて何も言えなくなった。

 

「やれやれ、まったく・・・。」

 

そう言って苦笑する俺に、そんな俺達の様子を見ていたかがみたちも

 

「慶一くん?こなたとも写真撮ったんだから私ともいいわよね?」

「わたしも改めて撮りたいよ。いいよね?けいちゃん。」

「泉さんばかりでは不公平ですからね。私ともお願いします。」

「私も新しい写真欲しいから頼むぜ?慶一ー。」

「私も海とは違う写真が欲しいですね。先輩、私ともよろしくです。」

「私ともお願い・・・。これもまた思い出になるし・・・。」

 

そして、ゆたかたちも

 

「私も先輩との写真撮りたいな。いいですよね?先輩。」

「・・・これから先輩達と同じ学校に行く事で作れる思い出の第一歩として、私も先輩と一緒に撮らせてください・・・。」

「私達もこれからは本当の仲間っスからね。私もいいですか?」

「ワタシはコンカイがハジメてのオモイデヅクリとなりますからネ。キョヒケンはミトメませんヨ?」

 

そう言って来たので、俺は苦笑しつつも、とりあえずみんなとの写真撮影を行ったのだった。

 

そして、撮った写真をきちんと送ってもらう事をお願いして、お土産屋さん等を巡ろうと、俺達は歩き始めたのだった。

 

道中はこなた達もかわるがわる俺の横に来たり、手をつないできたり、こうやこなた、パティに至っては腕を組んでくるなどして俺を困らせつつ、騒がしい一団となっていた。

 

「・・・はあ・・・疲れたな・・・。」

 

お土産屋でみんなが土産物の物色をしている最中、俺は一人それを見守りつつしばしの静かな時間を堪能していたのだけど、その時に「きゃっ!」というゆたかの軽い悲鳴が聞こえて、俺はすかさず声の聞こえた方へ向かう。

 

すると、そこには、少し怯えるゆたかとゆたかを庇うように前に立つみなみの前に、あの時ゆたか達に絡んだ連中の1人がいたのだった。

 

皆も見守る中で緊張が走っていたが、俺はゆっくりとみなみの前に出ると

 

「お前はおとといの村木と一緒にいた奴だな?今度は何をした?」

 

俺がそいつにそう尋ねると、そいつは俺に困ったような表情を向けつつ

 

「いや、変なことは何もしてないぞ?それにここは俺のアルバイト先だからな。それに、もう俺はその子達にちょっかい出す気もないしな。」

 

俺は、そう言う男の態度や顔を見ながら男の様子を伺っていたが、男の言葉に悪意なしと感じ取ると

 

「・・・どうやらお前の言葉には悪意はないようだ。疑ってすまなかったな。みなみ、お前ももう警戒しなくていいぞ?それとゆたかももう怖がらなくていい。」

 

俺がそう言うと、みなみとゆたかも、そしてそれを見守っていた皆も緊張を解いたようだった。

 

「悪かったな。でも、お前にも非はあるぞ?最初の出会いでこいつらを怖がらせたんだからな。とはいえ、お前もこなた達捜索に協力してくれたんだったよな。そこは礼を言わせて欲しい。ありがとう。」

 

俺の言葉にゆたかやみなみも、そして、当事者であるこなた達やまつりさん達も彼に

 

「・・・あの・・・こなたおねえちゃんを探すのを手伝ってくれてありがとうございます。おかげでおねえちゃんも無事に帰ってきました。それと、怖がっちゃってごめんなさい。」

「・・・みゆきさんを探すのにご協力感謝します・・・ありがとうございました・・・。」

「私達の為に動いてくれてありがとうね?まあ、そうしてくれたという事で、ゆーちゃんにちょっかいかけようとしたことは不問にさせてもらうよ。」

「なんか色々あったみたいだけど、私達の為に捜索に加わってくれたのよね?そこの所はお礼を言わせて貰うわ。ありがとう。そして、迷惑かけてごめんなさい。」

「本当にありがとう。みんなとまた会えるきっかけを作ってくれて感謝だよ。」

「お世話になりました。それと共にご迷惑をおかけしました。」

「ありがとね。妹達を探すの手伝ってくれて。」

「まあ、色々あったみたいだけど、これで丸く収めましょ?」

 

そんな俺達の言葉にそいつは照れながら

 

「いや、俺はただ村木さんの気持ちに応えただけだから。それに、最初は怖い思いさせちゃったからな。あの時の事考えたら、お礼言われるのはなんとも照れくさいもんだよ。ともあれ、無事でよかった。村木さんにとっても、自分の無念の一部でも晴らせただろうしな。よし、今日は特別だ。店長に頼んでお土産安くするから是非見ていってくれよ。」

 

そう言ってくれる奴に俺は少し驚きながら

 

「いいのか?そんな事言ってもさ?」

 

そう尋ねると奴は笑いながら

 

「いいって。元はと言えばこっちが悪いんだしな。せめてもの罪滅ぼしさ。」

 

そう言ってくれたので、俺は改めてみんなに

 

「だ、そうだ。ここは彼の気持に報いるために、土産物見て行ってやろうぜ?」

 

俺の言葉に皆が頷くと、それぞれに物色を開始したのだった。

 

俺はゆたか達の所へ行くと

 

「ゆたか、みなみ、ひより、パティ。色々あったけど、改めてあいつの事許してやってくれるか?あいつも反省してるみたいだしさ。」

 

そう言うと4人とも頷いて

 

「大丈夫ですよ、先輩。私はもうとっくに許してますから。おねえちゃんを探してくれたんですし。」

「・・・私もです。もう水に流そうと思います・・・。」

「私ももう気にしてないっスよ?あの人悪い人じゃなさそうですからね。」

「これぞアメフってヂ、カタマルってヤツですネ。せっかくのコウイデス。タノシませてもらいますヨ?」

 

そう言ってくれる4人に俺もほっとしていたのだった。

 

「慶一君ー!ちょっとこっち来てー!」

 

すると間髪いれずに俺を呼ぶこなたに苦笑しつつも

 

「待ってろ、今そっちいくから。」

 

そう言って俺はこなた達の方へ向かった。

 

「で?俺を呼びつけて何か用か?」

 

そう尋ねる俺にこなた達はお土産に選ぼうと思っているキーホルダーを数種類俺に見せて

 

「うん。実はこれなんだけどさ、どれが良いか慶一君の意見を聞きたいと思ってね。」

「色々迷っちゃったから、あんたに選んで欲しいかな?ってね。」

「わたしもちょっと迷ってるからけいちゃんに選んで欲しいな。」

「是非ご意見をお伺いしたいですね。」

 

そう言ってこなた達が俺に見せてきたキーホルダーは、いくつかの種類の水晶でかたどってあるものだった。

 

俺はそれをまじまじと見ながら、それぞれにあいそうなデザインの物を選んでみた。

 

こなたには星の形をデザインしたものを、かがみとつかさには紫に輝く水晶を、みゆきには鳥の形をかたどった水晶のキーホルダーをそれぞれ選んだのだった。

 

そして、俺は自分の選んだキーホルダーを4人に手渡すと

 

「こんな所でどうだ?まあ、俺のセンスなんてそんなにいいって訳じゃないけどな。」

 

そう言ったのだが、4人は俺の選んだキーホルダーに見入っていて、そして、少し頬を赤く染めた後

 

「ありがとう、慶一君。これ買ってくるね?」

「ま、まあ、あんたにしてはいいデザインの奴を選んだわよね。私も買ってくるわ。」

「ありがとう、けいちゃん。わたし大事にするよ。」

「ありがとうございました。また1つ思い出ができました。私も買ってきますね?」

 

そう言って4人は、レジへ俺の選んだキーホルダーを買いに向かったのだった。

 

それを見届けていると、俺の後ろから

 

「先輩ー。泉先輩達だけでなく、私たちのも選んでくださいよー。」

「・・・ね、ねえ先輩・・・これはどうかしら・・・。」

 

そう言ってくるこうとやまとの手に持ってる土産物を見て俺は、軽いため息をつきつつも選んでやると、2人とも喜びながらレジへとお土産を買う為に向かった。

 

同じようにみさおとあやのもやってきて同じように俺に選んで欲しいと言い、ゆたか達もまた俺に選択権を託しつつお土産を選んでいた。

 

それにしても驚いたのは、こうはペナントを探していたようだったのだけど、やまとがTシャツを持って来た事だった。

 

土産物屋を後にした時、こっそりやまとにさっきのTシャツの事について聞いてみようと思ったので、声をかけてみた。

 

「なあ、やまと。お前それ、普段着ようとか考えてはいないよな?」

 

俺は、やまとは普段これは着ないだろうと言う淡い期待を込めてやまとにそう尋ねてみたのだが、やまとから貰った答えは

 

「え?普通に着るわよ?何か変かしら?」

 

俺の期待を裏切るものだった。

 

ちなみにやまとの選んだTシャツは、胸の部分に大きく”箱根”の二文字が書かれているだけのなんというかシュールなデザインだったのだが、やまとは妙にそれが気に入ってるようだった。

 

そして、俺はそんなやまとの姿を想像した時、大きなため息を1つついたのだった。

 

そんな俺を見るやまとは、頭にハテナマークを飛ばしていた。

 

中学時代からそうだったのだが、やまとは土産物の選択に関して、普通の子とは少しずれた物を選ぶ事があった。

 

実際に、中学時代に行った修学旅行でも何故か木刀を買っていく、という事をやって、修学旅行から帰ってきたやまとが、俺にそれを見せに来た時には、俺を、その独特の感性で困惑させていた事もあった位だし。

 

だからこそ、今回もやまとがそんなシュールなお土産を選んだ事を受けて、俺とこうは中学時代を思い出して苦笑していたのだった。

 

その後、温泉街を散策していると、今度は村木達と出会った。

 

「よう、森村。大人数で大変そうだな。でも、行方不明だった4人が見つかってよかったな。」

 

そう声をかけてきたので俺は村木に

 

「ああ。それもこれも、お前らがこいつらの捜索に協力してくれたおかげだ。改めて感謝するよ。」

 

俺がそう言うと、こなた達も改めて村木達に礼を言っていた。

 

突然にこなた達やそれ以外の人間達からも礼を言われた村木は、少し面食らいながらもなんだか照れているようだった。

 

そして、改めて俺達に向き直ると

 

「えっと・・・小早川さん、岩崎さん、田村さん、それに、パトリシアさんだったね?あの時はすまなかった。君達に怖い思いをさせてしまって申し訳ない。この事は一度謝りたいと思っていたんだ。本当にすまなかった。」

 

それと同時に、取り巻きの2人もまたゆたかたちに謝罪をしていた。

 

そんな3人にゆたか達も、こなた達を見つけるために協力してくれたのだから、と3人の事を許したようだった。

 

その後は、俺達に迷惑をかけたお詫びと称して、地元の人もあまり知らない観光スポット等に案内してくれた。

 

そうやって触れ合っていくうちに、俺達は村木達とも打ち解けていったのだった。

 

そして、今日の予定を済ませて旅館に戻る時、村木は俺に

 

「森村。お前らに危害を加えようとした俺がこんな事を言う義理じゃない事は分かってる。けど、俺はお前の事が気に入った。だから、俺の友人となってはくれないだろうか?」

 

そう言ってきた。

 

俺はその言葉に少し考える仕草をしたが、村木に手を差し伸べると

 

「色々あったけど、俺もお前みたいなライバルが居るなら張り合いもある。こちらこそよろしく、だ、村木。またここには遊びに来ることもあるだろうからその時にはまたお互いの実力を競いあおう。」

 

そう言う俺に、村木も手を差し出して来て、俺達はがっちりと握手を交わしたのだった。

 

こうして、最初のトラブルこそあったが、ここに俺の新たな友が出来たのだった。

 

村木との友の契りを交わした俺は、いずれまたするであろう再会を約束して旅館へと戻り、夕食を済ませる前に各々、旅館備え付けの温泉へと行ってのんびりとしているようだった。

 

俺もまた、同じように温泉に浸かってのんびりした後部屋に戻ったが、まだ龍兄も戻って来てないし、鍵は龍兄に預けてあるという事もあり、部屋に帰れないので仕方なく例の場所へ行こうと思い、そちらへと足を向けた。

 

そして、その場所へ向かう途中で俺はやまとと廊下で鉢合わせた。

 

「あ、先輩。これからどこかへ行くの?」

 

そう聞いてくるやまとに俺は頷いて

 

「ああ。部屋の鍵を龍兄が持っているから部屋にも帰れないんでな、あの場所へ行ってすこし涼みがてら時間でも潰そうかと思ってな。」

 

そう説明すると、やまとはちょっと考え込む仕草をしていたが、俺の方に顔を向けると

 

「・・・なら、私も一緒に行ってもいいかしら?こうもまだ戻らないし、少し暇を持て余していた所なのよ。」

 

そう言って来たので俺は

 

「ん?なら一緒に行くか?」

 

そう持ちかけるとやまとも頷いて

 

「ええ。それじゃ先輩?エスコートをお願いするわ。」

 

やまと特有の薄い微笑みを俺に向けながらそう言うやまとに、俺も少しだけ大げさに

 

「ははーっ。かしこまりましてございます、姫。」

 

まるで召使のようにうやうやしく頭を下げて手を出す俺に、やまとは顔を赤くして慌てながら

 

「ちょ!ちょっと、先輩!は、恥ずかしいからやめてよ・・・。それに姫って何なのよ・・・。」

 

最後の方は小声で俺に抗議するやまとに俺も苦笑しながらも

 

「はは。ちょっとだけおどけてみた。ま、とにかく行くか。」

 

そう俺が言うと、やまともはっと我に返って

 

「そ、そうね。こうしていてもしょうがないわ。それじゃ、行きましょ?先輩。」

 

そう言って、俺の後ろからついてくるやまとだった。

 

そして、屋上へ辿り着くと俺はドアを開けて外に出る。

 

そんな俺にやまとも続くのだった。

 

俺は空を見上げながら

 

「ほら、やまと。上見てみろ。今日もいい星空だ。」

 

そう促すとやまとも空を見上げて

 

「・・・本当・・・凄い眺めね・・・ねえ、先輩。陵桜に来てから私達、色々あったわね・・・。」

 

星を見ながらやまとは俺にそう切り出してきた。

 

俺もそんなやまとに頷きながら

 

「ああ、そうだな・・・。最初は俺とこうだけが知り合いのはずだった。けど、何故かフィオリナへ行くはずのお前が来て・・・こなた達と友達になって・・・さらに、ゆたかやみなみ、ひより、パティの俺達とは直接の繋がりのない奴とも気付いたら仲間になってたな。そしてその輪は今もなお広がっていってる。」

 

そんな俺の言葉にやまとは

 

「・・・そうね・・・先輩?私達は高校に上がっても・・・ずっとこの3人でやっていくのかもしれない、そう思ったわ。たぶんこうも、そして私も・・・先輩とはそう簡単に離れられないかもしれない、って最近は思うようになったわ・・・。それだけ先輩との付き合いは・・・先輩の存在は・・・私にとってもとても居心地のいいものになってる。この居心地の良さを知ってしまったら・・・たぶん離れられない、そう思うから・・・。」

 

俺はそんなやまとの言葉に照れながら

 

「はは・・・俺の事をそんな風に思ってくれるのは嬉しいが、やっぱり照れるな・・・。けどな、やまと。俺もお前と同じだ。今のこの場所に・・・俺は居心地のよさを感じてしまった。俺もまたお前と同じようにこの居心地のいい場所を手放す事は難しいだろうな・・・。」

 

そして俺は少し間を置いた後

 

「なあ、やまと。」

 

俺の言葉にやまとも

 

「何?先輩。」

 

そう返すやまとに俺はやまとを見つめつつ

 

「これから先、後どのくらいこの場所に居られるのかは分からない。けど、行ける所まで・・・居られるところまで居てみようと思ってる。やまとはどうだ?」

 

俺がそう聞くと、やまとは再び空を見上げながら

 

「私も先輩と同じかな・・・どこまで居れるのかわからない・・・けど・・・しがみつく理由はある、そう思えるから・・・私も皆や先輩と一緒に・・・行ける所まで行ってみたいわ・・・。」

 

そんなやまとの言葉を聞いて俺も1つ頷くと

 

「・・・なら、行ってみるとしようか・・・。この先に何が待っているのかはわからないけど・・・どんな結末があるかはわからないけど・・・皆と一緒に・・・最後まで行ってみよう。」

 

そんな俺の言葉に

 

「大丈夫だよ。私達ならきっと行けるよ。」

「今更簡単に切れる程度の絆じゃないつもりよ?」

「みんなそう思ってるからきっと大丈夫だよ。」

「私は最後まで皆さんと歩きたいです。」

「だってそれが私達のつながりだもんね。」

「私は微塵も疑っちゃいねーゼ?」

「私も先輩達と一緒に突き進みたいですね。」

「私もです。こなたおねえちゃんや皆さんと一緒に。」

「・・・私も・・・みなさんの仲間ですよね・・・?」

「ここまで来て仲間外れはないっスよ?」

「ソーデス!そのトオリですヨ!ワタシもフレンドですから。ファミリーですからネ?」

「まあ、その為にもお前は頑張らなきゃいけないがな?慶一。」

「まあ、森村君や皆なら大丈夫でしょ?」

「うーん、青春だね。友達だね、仲間だねー!!」

 

と、何時の間にか来て居た皆にそう声をかけられて驚く俺達だった。

 

そして、俺とやまとは顔を見合わせて笑いあうと

 

「んじゃ、皆にはこれからも付き合ってもらわくっちゃな。よろしく頼むぜ?みんな。」

「・・・仕方ないからこれからも付き合っていくわ。みんな、よろしく。」

 

そう言う俺達にみんなも笑って頷いてくれたのだった。

 

1年を振り返って見て改めて思う自分の居場所。

 

そして、それをみんなが俺に、そしてやまとに与えてくれたようだった。

 

俺もやまともその居場所の心地よさを知ってしまった。

 

この誘惑はまさに逃れ難い物だった。

 

だからこそ、俺は俺の居場所を守る為に改めて皆と共に歩もうと心に刻んだのだった。

 

明日で旅行も終わりとなる。

 

けれど最後まで楽しみたい、そして、いつまでもこの思い出を忘れずにいたいものだと強く思う俺だった。

 

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