らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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旋律達の夏休み1〜海へ、第四話〜

やまとside

 

昨日の夕食後、私達は海チームの人達にも昨日の山の中であった猪襲撃の件を詳しく話したのだけど、海チームの人達も昨日の絶景ポイントで写してきた写真を見ながら改めて事の重大さを認識する事となった。

 

各人色々と考えた事もあるのだろうけど、とりあえずその日は次の日の事を話した後、皆はそれぞれに体を休めるために床についた。

 

・・・・・・ここは・・・・・・どこ?・・・・・・

 

夢の中・・・なの?・・・・・・あれは・・・先輩?・・・・・・

 

私の前を私に背を向けたまま歩いていく先輩。

 

その背中を私は必死に追いかけるが、どんなに走っても先輩の背中は遠くなる一方だった。

 

思わず私は遠ざかっていく先輩の背中に呼びかけていた。

 

「先輩!待って!先輩!私の声が聞こえないの!?先輩!いかないで!」

 

何度目かの呼びかけに先輩は歩みを止め私の方を振り向いた。

 

その先輩の顔はどこか悲しげに私の方をじっと見つめていて、ふとその口元が何かの言葉をつむぎ出そうとしているのが見て取れた。

 

「・・・ごめんな・・・やまと・・・」

 

先輩は確かにそう言っていた。

 

そして再び私に背を向けると、先輩はゆっくりと私の前から遠ざかっていった。

 

私はその姿に、その言葉に、言い知れぬ不安を覚えて再び先輩に呼びかけながら先輩の後を追った。

 

そのうちに先輩の姿が闇に溶けて消えうせ、私はその場で呆然と立ち尽くしている所で目が覚めた。

 

「・・・っ!はあっ、はあっ・・・い、今のは、夢?・・・先輩・・・」

 

気付けば夜が明けていたが、私はさっきの夢の事で不安になり部屋を飛び出して先輩の部屋へと走っていった。

 

先輩の部屋につき私はおもむろに先輩の部屋へと飛び込み、まだ眠っている先輩を揺すり起こすのだった。

 

「先輩、起きて!先輩!先輩!」

 

私の呼びかけに軽く唸りつつも目を覚ます先輩。

 

それを確認した私は思わず先輩に抱きついていた。

 

慶一side

 

昨日の一件の事もあり、俺は疲れも手伝ってか早めに就寝したのだが、俺の部屋に誰かが進入してきた気配を眠りつつも感じていると、その気配は俺を揺すり起こし始めた。

 

俺は気配の主をそっと薄目で確認してみる。

 

その主はパジャマ姿のやまとだった。

 

「・・・起きて下さい!先輩!先輩!」

 

なにやら必死な形相のやまとに驚きつつも俺は、やまとの呼びかけに応じて布団から起き上がった。

 

俺が布団から起き上がるのを確認したやまとは泣きそうな表情で俺に抱きついてきた。

 

「お、おい、やまと、一体どうした?こんな朝っぱらから」

 

俺に抱きつきすすり泣きを始めるやまとに困惑しつつも、やまとの背中を優しくぽんぽんと叩いてやりながらやまとに聞いてみると

 

「先輩、よかった・・・」

 

その短い言葉を言って再びすすり泣くやまとに俺は頭にハテナマークを飛ばしていた。

 

とりあえず落ち着くまでは好きにさせておこうと思い、そのままの体制でしばらくやまとを受け止めていた。

 

しばらくするとようやく落ち着いたのか、やまとは俺から体を離しつつ

 

「・・・ごめんなさい、先輩。みっともないとこみせちゃって」

 

俺の顔を覗き込みながらばつの悪そうに俺に謝るやまとに俺は、何故こんな事をしたのかをやまとに聞いてみる事にした。

 

「それで、一体どうしたんだ?やまと。」

 

やまとは俺の問いかけに言いにくそうにしていたが

 

「その・・・実は夢で・・・先輩が悲しそうな顔をしながら消えていく姿を見てしまって・・・昨日の事もあったし先輩も怪我したりしてたわよね?だから・・・不安に・・・なったのよ・・・」

 

悲しそうな顔で俺に訴えてくるやまとの頭を優しくなでながら

 

「そうか・・・悪かったな、お前をそんなに不安にさせちまって。けどこの通りなんでもないからさ、そんな悲しそうな顔するなよな。」

 

出来る限り優しい声でやまとにそう言う、とやまともどこか安心したのかほっとした表情を見せて

 

「・・・先輩は・・・いなくなったり・・・しないわよね?」

 

と、俺に確認するように聞いてくるやまとに俺は微笑みながら

 

「そんなわけないだろ?大切な仲間や・・・」

 

一端言葉を切ってやまとの頭をなでながらさらに言葉を続けて

 

「大事な後輩達がいるんだ。俺もみんなの側に居たいって思ってるんだから居なくなるなんてありえないよ。」

 

俺がそう言いきると、やまとは心底安心したような顔になって

 

「わかったわ・・・ありがとう先輩。それといきなり迷惑かけてごめんなさい・・・」

 

そう言いつつ顔を赤らめながら俺に謝ってくるやまとに俺も苦笑しながら

 

「いや、いいさ。ともあれ結構びっくりしたけど、ただそれだけだし。」

 

そうやまとに返事すると、やまとも俺に笑顔を向けながら

 

「ふふ・・・よかった。それじゃ私は部屋に戻るわね。」

 

と言いながら部屋を出て行こうとするやまとに俺は「ああ、また後でな。」と言いながら手を振ってやまとを見送った。

 

やまとが部屋を出て行くと同時に突如として恐ろしいほどの殺気とオーラを部屋の外に感じ、思わず身構えているとゆっくりと部屋の引き戸が開きそこには・・・・・・鬼の形相のかがみが立っていた・・・。

 

かがみがゆっくりと部屋に入ってくるのを俺はただ震えながら見ているしかなかった。

 

そしてかがみは俺に

 

「慶一くんー?朝っぱらから一体何をやっていたのかなー?なんだか永森さんと抱き合っていたわよねー?」

 

と、言いつつ恐ろしい笑顔で俺に詰め寄るかがみに無駄かもしれないと思いつつも弁解を試みようとする。

 

「か、かがみ、とりあえず落ち着いて聞いてくれ、これはだな・・・」

 

そう言う俺にかがみはにっこりと笑って

 

「問・答・無・用」

 

という言葉と共にかがみの鉄拳が炸裂したのだった。

 

「うわああああ!またか?またなのかーーー!?」

 

という絶叫と、鈍い音が響き渡った。

 

その後朝御飯の時間になり中々起きて来ない俺の心配をしたこなた達が俺を発見するまで俺は部屋で気絶したままになっていたのだった。

 

殴られた右頬に氷を当てながら朝食後、部屋でくつろいでいると部屋にこなた達がやってきた。

 

「やほー慶一君。今日は災難だったねえ」

 

ニヤニヤしつついうこなたに俺は

 

「ちょっとした誤解が原因なんだけどな。それにしてもまさか気絶させられるとは思わなかったよ・・・かがみ、恐るべしだな」

 

そんな俺の言葉を聞きながらみさおは

 

「柊凶暴伝説って感じだよな。」

 

と、我ながら上手い事を言ったという顔で笑っていたが、その後ろからいきなりかがみに殴られて後頭部を抑えていた。

 

「うるさい!殴るぞ?」

 

と言うかがみの言葉にみさおは涙目で

 

「もう殴ってるってヴァ・・・」

 

と言っていたのだった。

 

俺もそんなやりとりに苦笑していたが、かがみとみさおのやり取りを見ながらこなたはいつものように目を細めつつ

 

「やっぱりかがみの突っ込みは鋭いねえ。それにしても慶一君。猪仕留めるほどの君がかがみの拳を避けれなかったってのはちょっと信じられない事だと思ったんだけど?」

 

そう俺に聞いてくるこなたに俺は自嘲の笑みを浮かべつつ

 

「・・・まあ、わざと受けたからな・・・かがみの拳をさ・・・」

 

申し訳なさそうな表情でそう言うと、こなたはその事を不思議に思ったのか「どうして?」と俺に聞いてきたので

 

「あいつの目の前で命の危険をおかして心配させたからな。泣かせるまでの事になったんだ。俺がこのくらいの罰受けなくてどうするって思ってな。とはいえまさか気絶させられるとは思ってなかったけどな・・・。」

 

苦笑しながらこなたにそう言うと、こなたも少し考える仕草をしてたがおもむろに俺の頭に拳を落とした。

 

「あだっ!こ、こなた?」

 

俺は驚いてこなたの方を見上げると、こなたは少し悲しげな表情で

 

「・・・話は聞いてるよ・・・私はその場には居なかったけど、もしその場に居たとしてもかがみたちと同じように慶一君を気遣って泣いていたと思うよ・・・慶一君には私達を心配させた罰としてこれくらいは受けてもらわないとね・・・」

 

そんなこなたを見ながら俺は申し訳ない気持ちになって

 

「・・・そうだな・・・すまん・・・こなた。」

 

心配させた事を詫びる俺にこなたは一つ大きく深呼吸すると

 

「・・・はあ・・・とりあえずこれで昨日の件に関してはおしまい。私も気が済んだしね。でもゆーちゃんたちやつかさたちにも改めて謝っておきなよ?みんな慶一君の事心配してるんだからね?」

 

俺にウインクしながらそう言うこなたに俺も頷きつつ

 

「ああ、わかってる。その辺はちゃんとするつもりさ。とにかく今日一日はのんびりだな。」

 

そうこなたに声をかけると、こなたも俺の肩の包帯をみながら少し残念そうな顔をしつつも

 

「そうだね。昨日話し合って決めた事だし、今日はみんな思い思いにのんびりしよっか。」

 

そう言うこなたの言葉に俺も罪悪感を感じつつも頷く。

 

あの後、昨日の一件の事もあり、俺の怪我の事も考慮して一日のんびりする日にしようという事になったのだ。

 

「じゃあ、慶一君。私はちょっと町の方に行ってみるよ。ちょっと気になる店がありそうだからね。」

 

そう言って俺に手を振りながら出かける準備をするため部屋に戻っていくこなたを見送ると、入れ替わりでつかさたちが俺の部屋に来た。

 

「おはよ、けいちゃん。さっきは大変だったね〜」

 

苦笑しながら俺に言うつかさ。

 

「あはは。まあ、仕方ないさ。」

 

つかさにそう返事を返すと、その後ろからゆたかが

 

「先輩、ほっぺは大丈夫ですか?」

 

と心配そうな顔をして俺の顔を覗き込んでくる。

 

「問題ないよ。今冷やしてるところさ。」

 

そう言って俺はゆたかに笑顔で返す。

 

さらにゆたかの隣にいたみなみも

 

「・・・腕の怪我の事もありますし・・・あまり無理はしないでください・・・」

 

こちらも心配そうな顔でそう言ってきた。

 

「はは、確かにちょっときつかったかな」

 

そう言って俺は苦笑しながら答えると、みなみはますます心配そうに俺を見ていた。

 

「先輩の武勇伝はネタになりそうですがそれでもその程度で済んでよかったですよね」

 

そう言ってとりあえず心配してくれているっぽいひよりとその横からこうも

 

「まあ、それが先輩をネタにした遺作にならなかっただけよかったですけどね」

 

昨日の事もあるのだろう、少し棘のある言い方で遠まわしに俺を非難するこうに俺は

 

「はは、手厳しいな・・・でも・・・」

 

俺はそう言うとみんなのほうに向き直ってその場でみんなに土下座して

 

「緊急時だったとはいえ、みんなに心配と不安を抱かせてしまった事、本当に悪いと思ってる。すまなかった。」

 

そうみんなに謝罪する俺だった。

 

みんなは俺の突然の土下座に困惑しつつも

 

「いいよ、けいちゃん。無事に戻って来てくれたもん。ちゃんとけいちゃんがここに居るんだからいいんだよ?それで。」

「先輩がまた私達の前にいる。それだけで安心できますから。」

「・・・小早川さんの言う通りです・・・」

「先輩は不思議な人っす。私もこうして目の前にいる先輩を見ていると安心するっスよ。」

「先輩が居なくなる事なんて考えたくもないですから、これからも無茶はしないで下さいよ?」

 

4人は俺に温かい言葉を投げかけてくれる。

 

そんな会話を聞いていたかがみたちも

 

「そうよ?あんたが私達を大切に思ってくれるように、私達もあんたの事は大切だ、って事少しはわかってくれなきゃね。」

 

みさおもかがみの言葉に頷きながら

 

「そうだぜ?慶一。私らが泣いた事、その思いを忘れるなよな?」

 

そう俺に言ってくるみさおの後ろにいつのまにか部屋に来ていたあやのとみゆきも

 

「みさちゃんや柊ちゃんの言うとおりよ?あなたが居なくなる事想像したら凄く怖かったんだから。」

 

そう言い、少し悲しげな表情で俺に訴えるあやの。

 

「慶一さん、以前あなたが昔話をしてくれた時、私言いましたよね?あまり無茶はしないで下さいと。以前に慶一さんが拾った命をここで捨ててしまうのかとものすごく不安になりました。折角拾った命だったんですから、今後も無茶に捨てるような真似だけは絶対にしないでください・・・」

 

少しうつむき加減で俺に強い口調でそう訴えてくるみゆき。

 

皆の言葉を受け止めて俺は、再び熱いものがこみ上げてくるのを抑える事が出来ずにみんなに再度土下座をしながら俺は泣いていた。

 

「ごめん・・・みんな・・・本当に・・・俺は・・・幸せな奴だよな・・・」

 

途切れ途切れに、皆に泣きながらそう言う俺の側に皆が来て、土下座する俺の背に手を添えて「わかってくれればいいんです」といいながら優しく微笑んでくれたのだった。

 

そんな俺達のやり取りを部屋の外から見守る3人がいた。

 

親父side

 

昨日の一件で慶一はガールフレンド達にかなりの心配をかけたらしい。

 

合宿所に戻ってからはこうちゃんややまとちゃんに責められ、こなたちゃん達にも色々と説教されていたようだった。

 

一夜明けてから、何気に成実さんや黒井さんと共にたまたま見かけた慶一達のやりとりを目にしつつ、話を聞いていた私達だったが、皆に怒られながらもそれでもあたたかな言葉をかけるこなたちゃん達の姿を目にして私達は軽くやりとりをする。

 

「森村のやつもいい友人ができたみたいやな。昨日の話聞いた時には気が気ではなかったけどまあなんにしても無事でなによりや」

 

顎に手を当てにこにことしながらそう呟く黒井先生の隣で成実さんも

 

「うんうん。青春してるねー。でもゆたかを助けてくれた人があの子でよかったかもだねーあの子ならこなたやゆたかを守ってくれそうだし。」

 

そんな2人の後ろで表情をゆるくして私は

 

「今までのあいつの苦労はまさに今の瞬間、心からの友人を得る事で報われる事だろう。先生、成実さん、これからもあいつの事を見守ってやってください。」

 

そう2人に言うと、2人も頷きながら「「まかしてください。」」と応えてくれたのだった。

 

そんな2人の言葉を聞いて私は、これからの慶一の事は安心できそうだ、と思うのだった。

 

慶一side

 

俺達のやりとりを遠目から見ていた親父達がそんなやりとりを交わしていた、という事をその時には気付かない俺だったが、後にゆいさんや黒井先生から聞く事となるのだが、それは後の話。

 

それから少しして昼食を終えた俺達は、午後の時間を思い思いに過ごす為自由時間にする事になったので、皆はそれぞれやりたい事をするために動こうとしていた。

 

(さてと、ちょっと港の方まで行ってみようかな?)という事を心の中で考えつつこれからの行動に思いを馳せていると

 

「慶一くん、午後からの予定って決まった?」

 

かがみが部屋にやってきて俺にそう言った。

 

「うん。とりあえず港の方へ行ってみようかと思ってるよ。」

「港?」

「うん。夕食の事もあるんだが、魚でも見に行ってみようかと思ってな。」

 

俺がそう答えると、かがみは途端に瞳を輝かせて

 

「魚?お刺身とか食べれるのかな!?」

 

かがみのあまりの食いつきっぷりに驚きつつ、俺は苦笑しながら

 

「ま、まあ、そういうのも手に入ると思うよ。」

 

そう答えるとかがみは俺に詰め寄ってきて

 

「私も行く!いいわよね?慶一くん!?」

 

と言うかがみの勢いに押されて俺は思わず

 

「あ、ああ、いいよ。んじゃ一緒に港行くか。」

 

そう言うと、かがみは満面の笑みを浮かべて

 

「ほんと?やったあ!」

 

そう言って、すごくかがみは喜んでいた。

 

そうして準備を済ませて玄関に向かうと、玄関に行く途中でみゆき、こう、やまとに合い、皆は俺の行く所を尋ねてきたので俺は目的地を伝えると、3人も一緒に行くと言い出したので、それじゃ一緒に行くか、という事になった。

 

5人で連れ立って歩きながらかがみは上機嫌で

 

「うーん、お刺身、焼き魚、ウニとか蟹も捨てがたいわね。ねえ慶一くん、魚を選ぶ際は私の希望もいれてもらってもいいかな?」

 

そう聞いてきたので俺はかがみに頷いて

 

「ああ。ある程度の希望は入れるつもりだよ。だからみんなも何か希望があれば言ってくれ。」

 

そう言いながら皆にも希望を募ると

 

「ギンダラとかカレイ、ヒラメの焼き魚なんかもいいですね。煮魚でも美味しそうです。」

 

そう言うみゆきは白身系の魚を選びたいようだ。

 

「趣向を変えてエビ買ってきてエビフライにしたりするのもいいんじゃないですか?ここなら新鮮なの買えそうですし。」

 

こうはエビ等を選ぶつもりのようだった。

 

「ちょっと旬は外れているけれど、さんまのような魚もいいかもしれないわね。」

 

そう言うやまとは無難な選択をするようだ。

 

俺はとりあえずそれぞれの希望は取り入れようと考えつつ港へと歩いていく。

 

その途中にある電柱に、何かのポスターが貼ってあるのを見つけて、俺は足を止めてそのチラシに見入っていたのだが、それに気付いたかがみたちは俺の方へとやってきて

 

「どうしたの?慶一くん。何かあった?」

「何を見ていたんですか?あら?これは・・・」

「面白い物でもありましたか?先輩」

「そのポスターがどうかしたの?・・・なるほど」

 

皆は俺が見ているポスターを見ながら俺が足を止めた理由に納得したようだった。

 

「今夜は花火大会があるらしいな。夕食済ませたらみんなで見るか。うちの合宿所の裏手の海岸で見れるだろう。」

 

皆にそう言うと、皆もにっこり笑いながら頷いてくれた。

 

それから再び港への道を進み、しばらく行くと、目的の港が見えてきた。

 

「へえ?結構活気があるわね。」

 

港の喧騒を見ながらかがみが呟くとみゆきも

 

「ここなら色々見つけられそうですね。慶一さん、とりあえずどの辺りを見るのですか?」

 

と、話を振って来るみゆきに俺は周りを見渡しつつ

 

「そうだな・・・向こうの奥から行ってみる事にするか。」

 

大体の目星をつけて俺達は移動を開始しようとした時、横から聞き覚えのある声が飛び込んできた。

 

「あれ?慶一君じゃん。それにみんなも、どうしたの?こんなところに来てさ。」

「あ、おねえちゃん達だ。けいちゃんもいる〜。みんなに会えるとは思わなかったよ〜。」

 

という声の方を見ると、こなたとつかさが居た。

 

「お前らこそ町の散策に行ってたんじゃなかったのか?何でこんなとこに?」

 

そう聞き返すとこなたが

 

「うん。つかさにつきあってもらって町の散策してたんだけどさ、夕食の事思い出してどうしようか?ってつかさと相談したんだけど魚とかいいんじゃないかな?っていう事になってねー。」

 

その後を補足するようにつかさが

 

「それで、お魚を扱ってそうなところを捜し歩いていたらここに辿り着いたの〜。」

 

俺がそんな2人の説明に「なるほど」と納得していると、横からかがみが

 

「ふうん?でもよくここの事わかったじゃない?他にもそういう所ありそうな感じだったけどさ。」

 

かがみの疑問にこなたが人差し指を立てながら

 

「町の方で聞いたんだけどさ、ここで扱ってる魚の方が新鮮だよって教えてもらったんだよね。それでここに来てみただけなんだけどね。」

 

と言うこなたの説明に納得して頷いているかがみの後ろからみゆきが

 

「なら泉さん。目的も一緒な訳ですしこのまま合流して回りませんか?それでいかがでしょう?慶一さん。」

 

俺にこなたたちとの合同行動の許可を求めてきたみゆきに俺も断る理由はなかったので

 

「そうだな。んじゃみんなで回ろう。」

 

その俺の言葉にこなたとつかさも喜んで、俺達のメンバーに加わり、夕食の買い物をすることとなった。

 

「とりあえずこれは今日の買い物の為の予算だ。ここからは手分けして食材をそろえていこう。そのために班分けするぞー。」

 

というわけで班分けはこうなった。

 

こなた、かがみ組。

 

つかさ、こう組。

 

やまと、みゆき組。

 

買い物をしつつも要所で締めてくれるパートナーとしては最良の選択を取ったつもりだが<特にこなたとかがみ。食に目がくらんだかがみをこなたが止めてくれそうだったから。>とりあえず皆にそれぞれ目標の食材確保を頼み、俺は一人知り合いの漁師さんのいるところへと向かうつもりだったので

 

「みんな、それじゃここを集合場所にして各々買い物を済ませたら戻って来てくれな。」

 

と言う俺にかがみが俺が単独行動することに疑問を持ったのか

 

「あれ?慶一くんはどうするの?まさか私達におしつけてさぼろうとか考えてるんじゃないわよね?」

 

と、疑惑の目を向けてきたので俺は慌てて

 

「ちがうちがう。俺は知り合いの所へ食材を見に行くだけだよ。掘り出し物が手に入るかもしれないからさ、楽しみにしてて欲しいって事かな。」

 

そう説明すると、俺の言葉にかがみは一瞬目を輝かせたが、隣にいるこなたに悟られないように慌てて

 

「ま、まあ、そういう事なら期待してみようかしらね?」

 

気丈に振舞ってみたが、どうやらこなたは一瞬だけ輝かせたかがみの目に気付いていたっぽい感じで、かがみを横目でみつつニヤニヤとしているのが見てとれた。

 

俺はなんとなくそんなやりとりに気付きつつも苦笑しながら

 

「それじゃみんな、また後でここでな。それぞれ買い物任せたぞ?」

 

と言うとみんなも「「「「「「了解ー」」」」」」と返事をした後各々の買い物へと散っていった。

 

俺はそれを見送ると自分の目的を果たす為に知り合いの漁師のいる所へとむかうのだった。

 

こなたside

 

とりあえず夕食の食材確保とかがみの暴走を止めるため<多分慶一君はそれを見越して私にかがみとペア組ませたんだろうな・・・>に一緒に食材探しに回る事になった。

 

「さてと、とりあえずますはお刺身でも・・・って、かがみ?」

 

かがみに話を振ろうとすると、かがみは試食コーナーのところで引っかかり、お刺身等の試食をして満面の笑みを浮かべていた。

 

そんなかがみに呆れつつも私はかがみのところに行き声をかける。

 

「かがみ、だめだよこんな所で道草食ってちゃ。それにここで食べちゃったら夕食入らなくなるよ?もっとも、体重増えるの関係ないっていうんならほっとくけどー?」

 

と言う私の夕食という言葉と体重という言葉にビクッときたのか、かがみは苦笑を浮かべつつ

 

「や、やだわ、こなたったら、わかってるわよ、みなまで言わなくても。ちょっと美味しそうだったから試食させてもらってただけじゃない。」

「はいはい、とりあえず買い物途中だからいくよー?」

 

と、いかにも説得力なさそうな言い訳をしつつ試食コーナーに未練たっぷりな表情のかがみを引きずって目的のお刺身を買いに向かうのだった。

 

「・・・よし、こんなもんでいいよね。それじゃかがみ、戻るよー?ってかがみ・・・」

 

用事も済んだのでそろそろ戻ろうとかがみに声をかけてそっちを見ると、まだその他の試食コーナーに後ろ髪引かれてるかがみがいた。

 

「・・・えっ?あ、こ、こなた、用事すんだの?」

「まあね、でもかがみ合宿所戻ったらたくさん食べれるから今は我慢してね?それじゃいくよー」

 

またもかがみを引きずりながら集合場所へと向かうのだった。

 

こうside

 

私とつかさ先輩とで私の希望でもあった海老関連を見るために一緒に歩いていた。

 

「そういえばつかさ先輩はエビの調理ってできます?」

 

横でぽやぽやとした笑顔で歩きながら魚介類をチェックしていたつかさ先輩に声をかけると

 

「エビ?うん、エビフライとかもできるよ?でも甘エビも美味しそうだよね〜。」

 

私の念願もかないそうでなおかつ甘エビも捨てがたかったので

 

「それじゃ、車エビと甘エビを買っていきましょうよ?」

「うん、そうしよっか。八坂さん、ちょっと予算とお会計の計算してくれる?」

 

私の提案に賛成しつつ、会計計算を頼んでくるつかさ先輩に頷きながら私は会計の計算を行い支払いをすませた。

 

「それじゃ、集合場所に戻りましょうか。」

「そうだね、いこっか〜」

 

食材を手に入れた私達は集合場所へと戻っていく。

 

やまとside

 

私と高良先輩は白身系の魚をメインにあとはさんまとかの魚を求めて市場を歩き回っていた。

 

「先輩、いい物見つかった?」

 

私が先輩に尋ねると、高良先輩はにっこり微笑みながら

 

「ヒラメのよさそうなのとお刺身にハマチもいい感じでしたのでそちらは確保しました。私はお刺身は食べれませんけど、お好きな方もいらっしゃるでしょうし。それで、永森さんの方はいかがです?」

 

私の成果を尋ねてくる先輩に私は

 

「ギンダラとカレイね、焼き魚にしてもいいし煮魚でもいけそうよ?」

 

そう言って、自分の見つけた魚を見せた。

 

「なら、このあたりで決めましょう。それじゃまとめて支払いますので永森さん、品物をこちらに。」

「わかったわ。高良先輩、これを」

 

自分の選んだ魚を高良先輩に渡し、高良先輩に会計をお願いするのだった。

 

「こんなものでしょうか。永森さん、それじゃもどりましょうか。」

「そうね、いきましょう。」

 

高良先輩に促されて私達は集合場所へと向かって移動を始めた。

 

慶一side

 

俺はみんなと離れ、一人知り合いのいる漁師さんのやっている市場へと足を運んだ。

 

しばらく歩くとその市場へと辿り着き、そこにいる一人の男の人に声をかけた。

 

「こんにちは、しばらくですね。今日は何かいいもの入ってますか?」

 

俺の声に気付きこっちを見る漁師さんは俺に

 

「おお、君は龍神さんのとこの慶一君じゃないか。久しぶりだねえ、今回珍しく来たってことはまた山篭りとかしにきたのかい?」

 

豪快に笑いながら俺に声をかけてくる漁師さんに俺は左右に手を振りつつ

 

「いえ、今回は俺の通ってる学校のクラスメートと遊びにきてるんですよ。一週間ほどの滞在予定でね。」

 

そう返事をすると、漁師さんも顎に手をあてながら

 

「おお、そういう事だったのかい。それで?今日はその食事のために食材探しに来たって所かな?」

 

そう尋ねてきたので、俺はその言葉に頷きながら

 

「ええ、そういう事です。何かいいものありますかね?」

 

そう切り出してみると、漁師さんは「ちょっとまってな。」といって奥のほうへと入っていき、少し待っていると奥からお勧めの物を持ってきてくれた。

 

「今回はマグロの中トロと赤身のいい所があるよ。それも冷凍物じゃないやつだ。うまいぞ?それと、タラバガニがある。後はウニのいいやつとイカだな。」

 

俺はそれらを見てそのお勧めを買う事にした。

 

「それじゃそのお勧めをください。」

「あいよ。それじゃこれは例の合宿所へ届けておけばいいかな?」

 

という漁師さんの返答に「お願いします。」といって会計を済ませた後、俺もみんなの所へと戻っていった。

 

集合場所に戻ると買い物を済ませたみんなが待っていた。

 

「お?やっともどってきたね。ってあれ?手ぶらなの?」

 

俺が単独行動する時、掘り出し物が手に入る、という事を言っていたのに何も持たずに戻ってきた事に疑問を感じたこなたが俺に聞く。

 

「はは。手には持ってないけどちゃんと手に入れてる。合宿所に届けられる事になってるから大丈夫さ。まあ、そんなわけだからみんな持ってる荷物を俺に貸せ。合宿所まで運んでやるからさ。」

 

事情を説明するとみんなは納得してくれたようだが、荷物の事を言うと、誰一人俺に荷物を渡そうとする者がいなかったので俺は不思議に思い

 

「あれ?どうした、みんな。」

 

そう尋ねると、こなたが俺に少し呆れるような表情を見せながら

 

「慶一君、荷物を持ってくれるという君の気持ちは嬉しいけど、君は肩を怪我してる事忘れてるんじゃない?いくら私達だって怪我人に荷物持たせるほど鬼じゃあないよ?」

 

と言うこなたの言葉に皆も頷くのを見て俺は、少し申し訳ない気持ちになりつつも

 

「はは、ちょっとみっともないけど頼ってもいいかな?」

 

と言う俺の言葉にかがみはにっこり笑いながら人差し指を立てて

 

「こういうときは遠慮は無用よ。私達も慶一くんに助けてもらったりするんだから、私達だって慶一くんを助けたいって思うし、こういう時くらいは頼って欲しいとも思ってるわよ。だからそんな申し訳なさそうな顔はしない。」

 

そう言ってくれたので俺はみんなに「ありがとう」とお礼を言うのだった。

 

皆も俺の言葉に満面の笑顔で頷き返してくれたの見て、少しみっともないながらも嬉しく思う俺だった。

 

それから皆で食材を持って合宿所に戻ってきたが、その時に俺の買い込んだ食材も丁度届いたところだった。

 

皆は、<特にかがみは>俺の買った食材をみて大分喜んでいたようだった。

 

こなた達は早速買って来た食材の調理を開始した。

 

今回は調理の手伝いにこうややまと、あやの、みなみの参戦で行う事になったので、俺達はそれ以外の準備をするのだった。

 

ちなみに帰ってきたときにゆたかたちにも花火大会の件は伝えておいた。

 

やがて料理が出来上がり並べられた料理を見て

 

「おお、こいつは中々だな。」

「お刺身も焼き魚も昨日の松茸も美味しそうね。」

「今日も美味しい物をいただけそうですね。」

「おー、これは美味そうだってヴァ。」

「海のものもいいっスねー。」

「食べるの楽しみです。」

 

という俺達と共に黒井先生らも

 

「おお、今日もまたすごいごちそうやな。こら酒がうまそうや」

「どれもおいしそうー、来てよかったー。」

「今日はいい物があったようだな。さあ、みんな席につきなさい。慶一、頼むぞ?」

 

最後に親父が俺に言うと、俺は咳払い一つして「それじゃ、いただきます。」

 

と号令をかけるとみんなも「「「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」」」

 

という声と共に食事が始まった。

 

ちなみに、その食事を終えた後、風呂場にてかがみが体重計に乗って相当に落ち込んでいた姿を見かけたというこなたの証言をもらう事となった。

 

一通りの食事を終えて風呂を済ませ俺達は、花火大会を見るために裏手の海岸へ集合していた。

 

「そろそろかな?」

 

俺の方を向いてこなたが聞いてきたので俺もその言葉に頷きつつ

 

「そろそろじゃないか?」

 

と声をかけた瞬間、花火の打ちあがる音が聞こえてきたので俺達はそっちに目を移す。

 

空に上がる色とりどりの花火を見上げながら俺はいつしか砂浜に座り込んでいた。

 

そんな俺の周りに皆も腰を降ろして花火を見上げていると、いつのまにか俺の左右にはやまととかがみがそれぞれ陣取り、他のみんなも寄り添うように俺の側に来ていた。

 

空を見ながらやまとは

 

「綺麗・・・やっぱり花火はいいわね。」

 

そうポツリと呟くのを聞いた俺は

 

「今回は運がよかったかもな。時期をずらしてしまってたら見れなかったかもだしな。」

 

同じように空を見上げながらやまとに言うと「そうね、運がよかったのかも」とやまとは俺に言う。

 

「この時期に海に連れて行ってくれた慶一くんに感謝かな。」

 

反対側に陣取るかがみがそう言ってくれたので俺も

 

「楽しんでくれてるならそれでいいさ。連れて来た甲斐もあったってもんだ。」

 

笑いながらそう返事をすると、かがみも俺を見てにっこりと笑ってくれた。

 

そうしているとこなたが後ろからのしかかってきて

 

「またこうして花火見たいなあ・・・みんなで一緒にさ。」

 

俺の背中でそう呟くこなたに俺は

 

「言ったろ?俺達がそうしたいと望むのなら何度だって出来るってさ。また来年も、いや、俺達が望む限りはこうして、ここじゃない場所かもしれないが花火をみんなで見よう。」

 

力強く言う俺にこなたは頷きながら

 

「うん、そうだね。不思議だな。慶一君がそう言うとなんだかそうする事なんて難しい事じゃないって思えるよ。」

 

こなたの言葉を聞きながら俺はみんなを見回して

 

「難しい事じゃないさ、みんながそう望んでるってわかるからな。その思いを感じられるからきっと出来るって思えるよ。」

 

俺の言葉にみんなも力強く頷いてくれたのだった。

 

そのみんなの意思を確認して花火に目を戻そうとするときやまとが俺の手を握ってきて俺に

 

「その時も先輩は私達の側にいてくれるわよね?」

 

俺を見つめその事を確かめるように問い掛けてくるやまとに俺は

 

「あたりまえだ、やっと出来た俺の居場所だからな。その居場所を自分から捨てるような真似はしないさ。」

 

という俺の宣言にみんなもどこかほっとしたような顔していた。

 

こうして3日目は終わりを告げるのだった。

 

その後、俺達はそれぞれの部屋へと引き上げる。

 

俺は布団に潜りながら、これまでの事に思いを巡らせていた。

 

この旅行を提案したのは皆で楽しむ事も目的の1つであったが、もう1つ、皆にも伝えていない俺の目的があった。

 

その目的を果たす為には俺自身に相応の覚悟が必要だったが、今日までを経て俺の中でのもう1つの目的に対する覚悟も決まり、俺は次の日にその覚悟を形にしようと決意する。

 

明日のそのその事に思いを馳せつつ、合宿所での俺達の旅行も折り返しへと向かうのだった。

 

 

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