文化祭の準備が始まり、仕事も山積みで、みゆきやこうもそれぞれの責任者として他の生徒達以上に忙しい毎日を送っていた。
そんな中で俺は、やまとも含めた3人に少しでも体を休めるのに役立てばと思い、俺の家に文化祭が終わるまでの間泊り込むように言う。
こうする事で少しはましになるだろうとは思うが、それでも開催まではまだまだ忙しさは続くようだった。
みゆきには先日に伝えてある為に、こう達より1日早く俺の家に来る事となった。
そんな話を聞きつけてきたのかこなた達も泊まりに行くと言い出したのだが、この状況でこなた達の相手をする事は俺にとっても厳しいと判断したので、今回は何とか説得して遠慮して貰ったのだった。
今日の作業も大詰めとなり、俺は教室内を軽く片付けて戸締りを確認した後、鍵を持って教室を出て職員室へ向かおうとしたが、ふと、こなたのクラスに目をやると、まだ教室には灯りがついていて誰かが残っているようだった。
(またみゆきが頑張ってるのかな?)俺はそう思いながら教室を覗き込んでみると、案の定みゆきが1人明日の書類の整理に追われていた所だった。
俺はみゆきに声をかけてみる事にした。
「みゆき、今日も頑張ってるみたいだな。まだ終わるまでかかりそうか?」
俺の声に気付いたみゆきは俺の方を向いて微笑みながら
「今日は後少しで終われそうです。慶一さんはもう帰られるのですか?」
そう訪ねてきたので俺は頷きつつ
「こっちは今日の分は終わったからな。後は鍵を返して来たら終わりだ。みゆき、今日からしばらくは帰る所は一緒だから終わるまで待っててやるよ。」
俺の言葉を聞いてみゆきは俺に笑顔を見せつつ
「ありがとうございます。は、いいのですが、今日はかがみさんとは一緒ではないのですか?」
昨日の事もあったので、そう聞いてくるみゆきに俺は首を振って
「いや、今日はかがみは用事があるから先に帰るって言ってたからな。とっくに俺たちより先に帰ったよ。」
そう答えるとみゆきも納得したようで
「わかりました。それじゃ、私も仕事済ませてしまいますね?」
そう答えるみゆきに俺は頷いて
「俺はこの鍵を職員室に返してからまた戻ってくるから教室で待っててくれるか?」
そう伝えると、みゆきもにっこり笑って
「わかりました。教室でお待ちしていますね。」
そう言うみゆきに俺は、手を振ってとりあえず鍵を返しに職員室へと行くのだった。
職員室のドアをノックして「失礼します。」と声をかけて職員室に入ると、そこにはまだ居残りをしていた黒井先生が書類とにらめっこをしていたが、俺の声に気付いて
「ん?おお、森村か、ご苦労さんやな。お前らのクラスの準備はちゃんと進んどるんか?」
笑いながらそう声をかけてくる先生に
「ぼちぼちですね。スタート遅れたのが響いてますが何とか間に合わせますよ。」
そう答えると先生も腕組みして考える仕草をしながら
「そっか。まあ、何にしてもあまり無理はするんやないで?根詰めすぎて体壊したりしたら本末転倒やさかいな。」
その言葉に俺も苦笑しながら
「わかってますよ。先生の方こそ遅くまで見回りとかされるんでしょうから無理しないようにして下さいよ?あ、それと、これ教室の鍵です。」
そう言いながら俺は先生に教室の鍵を渡すと、先生も俺の言葉にカラカラと笑いながら
「なーに、心配せんでもこの程度なんてことないわ!お前もこれから家に帰るんやろ?気いつけて帰り。事故にはあわんようになー。」
そう言いはなつ先生に俺も笑いながら
「わかってますよ。それじゃ今日はこれで失礼します。」
そう言って俺は職員室をでてみゆきの待つ教室へと戻って行った。
教室に戻ると、今日の分の仕事を終えたみゆきが帰る支度を終えて俺を待っていた。
「お待たせ、みゆき。」
そう声をかけると、みゆきも鞄を手に持ち俺の方を向いて
「いえ、丁度私の方も帰り支度が済んだ所ですから大丈夫ですよ?それじゃ鍵を返してから帰りましょう。」
微笑みながらそう返事するみゆきに俺も笑顔を返しながら
「よし、それじゃ行くか、みゆき。」
俺の言葉にみゆきは頷いて教室に鍵をかけると、それを職員室に返しに行き、俺達は一緒に帰路へとついたのだった。
帰る際に家に来るにはあまりに軽装な感じがしたので、俺はその事をみゆきに訪ねてみることにした。
「そういややけに軽装だが、家に来るのにそんな軽装で大丈夫なのか?」
そう訪ねるとみゆきはにっこり笑いながら
「実は駅前のコインロッカーに荷物を預けてきてあるんです。申し訳ありませんが、そこまでお付き合いいただけますか?」
俺はそう言ってくるみゆきに頷くと
「コインロッカーか、なるほどね。わかった、一緒に行くか。」
そう答えると、俺達はみゆきの荷物が置いてあるというコインロッカーに向かったのだった。
そして、コインロッカーから荷物を取り出すと、俺達は電車に乗り込み家へと向かった。
その途中で夕食の食材を少し買い込んで家に戻る俺達だった。
家に辿り着くと、俺はみゆきが前の勉強会の時に使っていた部屋にみゆきを通して
「さ、ここを使ってくれ。俺はとりあえず夕食の支度をしてくるから着替えを済ませて少しのんびりしてろよ。準備できたら呼ぶからさ。」
俺の言葉にみゆきは恐縮しながら
「で、でも、いいんですか?私、何かお手伝いした方が・・・」
みゆきのその言葉に俺は軽く笑って
「いいよ。元々その為にお前をここに泊まらせる事にしたんだから、その時間を有効に使えばいいさ。それに、俺はお前ほど根を詰めている訳じゃないからな。お前よりは体の疲れもましだし、鍛えていたから体力もまだまだある。だから心配するな。」
そう答えると、みゆきはなんとなく申し訳なさそうな顔をしながらも
「そ、そうですか?ならお言葉に甘えさせていただきますね?」
そう言うみゆきに俺は頷きで答えて夕食の準備をするためにキッチンへと向かったのだった。
みゆきside
慶一さんにゆっくりしていろと言われ、とりあえず着替えを済ませてのんびりしていましたが、どうにも落ちつかない感じでしたので私はこっそりとお風呂の準備をしておこうと思い、部屋を抜け出してお風呂場へと向かったのでした。
(慶一さんはああおっしゃって下さいましたが、どうにも手持ちぶさたですしね・・・これくらいはさせていただきましょうか・・・)
そう考えながら私はお風呂場を軽く洗い、風呂桶にお湯を溜めてお風呂の準備を済ましてまた自分の部屋に戻ろうとした時、丁度夕食の支度を終えて私を呼びに来ようとしていた慶一さんに見つかってしまいました。
「ん?みゆき、こんな所で何してるんだ?」
慶一side
みゆきを部屋で休ませつつ、俺は夕食の支度をした。
とりあえず準備が済んだので、みゆきを呼びに部屋へ向かおうとした時、風呂場からこっそりとした足取りで部屋に戻ろうとするみゆきに出会ったので、俺は(あれほど言ったのに何かやってたな?)と少し呆れつつもみゆきに声をかけたのだった。
「ん?みゆき、こんな所で何やってるんだ?」
俺がそう声をかけると、みゆきは目に見えてうろたえはじめて
「え、ええっと、その・・・慶一さんに休んでいろって言われましたが、その、何となく落ちつかなかかったのでせめてお風呂の準備だけでもと思いまして・・・その・・・」
その答えに俺は軽いため息を一つつきつつ呆れたような顔で
「風呂の準備をした、と言う訳か?・・・はあ、まったく・・・」
俺が怒ったと思ったのかみゆきは悲しそうな顔で
「す、すみません・・・慶一さんに休めと言っていただきながら・・・私・・・すみません・・・」
俺は今にも泣きそうなみゆきを見て慌てながら
「おいおい、勘違いするなよ?俺は別に怒ってるわけじゃないんだから。まあ、でも、それがお前なんだなって改めて思っただけだからさ。」
そうみゆきに伝えると、みゆきはきょとんとした顔で俺を見て
「え?慶一さん?それじゃ、その・・・」
そう聞いてくるみゆきに俺は苦笑しながら
「みゆきが自分の意志でそうしたい、っていうんなら仕方ないさ。俺は忠告はするけどそれを止める権利はないしな。だけど、できることなら自分の体、大切にしてくれ。お前は医者を目指してるんだろ?それを目指すお前が体壊すような真似してたら本末転倒だからな。」
俺のその言葉にみゆきは緊張が解けたようで、でも何だか申し訳なさそうな顔になって
「そうですよね・・・すいません、慶一さん。でも、私の意思を尊重してもらえた事、嬉しく思います。」
俺はその言葉に笑いながら
「まあ、それでも、程ほどにな。俺だってお前を心配してる事、忘れるなよ?それじゃ飯食っちまって少しのんびりしようか。」
俺のその言葉にみゆきは笑って頷いて、一緒にキッチンへ行って夕食を摂ったのだった。
御飯を食べながら俺達は軽いやり取りをしていた。
「慶一さん、覚えていますか?私が慶一さんを朝早くに起こしに行った日の事を」
「ああ、覚えてるよ。あれは本当に驚いたからな。」
「あの日もこうやって2人で食事しましたね。」
「そうだな、確かみゆきが作ってくれたんだったよな。結構美味かったぞ?あれは。」
「そう言っていただけて嬉しいです。あの事もそうですが、今回の事もまた私達の思い出の一つになればいいなと思っています。」
「そうだな。俺もさ、たわいのない事でも、きっと貴重な事なんだろうなって最近思うよ。今の俺は一日一日がとても大事だ。」
「私も、です。私は慶一さんや皆さんと出会えたことをとても嬉しく思います。そしてこんな楽しい思い出を作れる今がとても愛しいです。」
「学生時代は短いけど、でも悔いなく過ごしていきたいよな。これからもみんなでさ。」
「そうですね・・・・・・改めてありがとうございます、慶一さん。今まで泉さんやかがみさん、つかささんの4人で仲良くやってきましたが、慶一さんが峰岸さんや日下部さん、八坂さん、永森さん。小早川さんや田村さんとつないでくれました。私にとっての更なる世界が広がったのもあなたがいてくれたからだと思っています。」
「よせよ、照れるから。それを言うなら俺だってお前らに感謝してるんだ。中学校時代を後悔で過ごした俺だ。高校に行っても俺の世界が広がるかどうかが不安だった。けど、お前らは俺を受け入れてくれた。俺の世界を広げてくれたんだぜ?だから俺もお前らにはありがとうと言いたい。」
「・・・慶一さん、これからも私はみんなや、そしてあなたとも一緒にいたいと思っています。大学に通うようになる時、ひょっとしたら私達は離ればなれになるかもしれません、それでも・・・出来る事ならば一緒に・・・」
「・・・・・・なら努力しよう。」
「え?」
「俺達がこれからも一緒にいるために、できる努力はやってみよう。その努力の果てにばらばらになったとしても、俺達はきっと繋がっていられると思うから。心は繋がっていられると思うから。」
「・・・・・・そうですね。私もがんばります。あの時の体育祭で誓った時のように、最後まで諦めないで努力してみます。その時は慶一さんも・・・」
「わかってる。俺も諦めずにやるさ。」
そう言った後、俺達はお互いに笑いあった。
その後、洗い物を終えて、お互いの部屋に戻ってくつろぐ俺達だった。
そして、次の日の朝、俺はいつもの時間に目を覚ました。
顔を洗いに部屋をでてみると、どうやらまだみゆきは起きていないようだったが、念のためみゆきの部屋をこっそりと覗いてみると、まだ寝息を立てているみゆきの姿があったので、俺はみゆきの身支度等の時間を考慮しつつぎりぎりまで寝かせてやろうと思い、そっとみゆきの部屋から離れて自分の部屋へ戻り、身支度等を整えて朝食の準備の為にキッチンに向かったのだった。
やがて、朝食の準備を終えて俺は一息ついてから時間を見て、そろそろ頃合かな?と思った俺は、みゆきを起こしにまた2階に上がっていったのだった。
みゆきの部屋のドアをノックして部屋に入る旨を告げてから俺は、そっとドアを開けて中に入ると、まだ寝息を立てているみゆきを揺すって起こそうと試みた。
だが、みゆきは中々起きようとはしなかったので、俺は揺すりながら「みゆき、朝だぞ?起きろー」と声をかけつつ様子を見ると、みゆきはそれにようやく気付いたようで
「ん・・・んん・・・あ・・・」
そう言いながらぼーっとした目を俺に向けていたが、やがて、俺がみゆきを起こしている事に気付いたのか
「・・・あふ・・・おはようございます、慶一さん・・・今何時でしょうか?」
少しずつ意識を覚醒させながら俺に聞いてきたので、俺はベットの側に置いてあった目覚まし時計をみゆきに渡した。
それを受け取ってまじまじと時計をみて時間を確認すると途端に慌てながら
「え?えええ?も、もうこんな時間なんですか?た、大変、早く準備しないと!」
そう言いながらいきなり俺の目の前でパジャマを脱ぎ出すみゆきに俺は顔を真っ赤にして慌てて目を手で覆い隠すと
「み、みゆき、落ち着け!お前は俺の家にいるんだ、忘れたのか!?それにお前が起きる時間よりも遅くても俺の家から学校の距離は近いんだから大丈夫なんだよ!だからとりあえず俺の目の前でパジャマ脱ぐのはやめろー!」
そう俺が言うと、みゆきははたと我にかえり、自分の今の姿と俺がみゆきの前にいる状況に気付くと途端に顔を真っ赤にして
「き、きゃああああ!すいません、部屋から出てくださいーーー!」
それを聞くと同時に俺は部屋の外へと飛び出してドアを閉め、乱れた息を整えながらドア越しにみゆきに
「みゆき、とりあえず朝食の支度できてるから準備できたら下りてこいよ?それじゃ俺は先に行ってるからな?」
そう伝えてキッチンにまた戻っていく俺だった。
程なくして学校へ行く準備を整えたみゆきが顔をまだ赤くしながらばつの悪そうな顔で
「あ、あの、先程は失礼しました。それと、その・・・さっきの事は気にしていませんから。」
みゆきの言うさっきの事、という言葉を聞いて俺は、先程の事をうっかり思い出して顔を再び赤くしながら
「く、くれぐれも言っておくが不可抗力だからな?とにかく飯食って学校行こう。」
みゆきも俺の言葉に頷いて、けれど、まだ赤い顔のままとりあえず朝食を摂る俺たちだった。
朝食をとりながらみゆきはふいにクスクスと笑うと
「ふふ。前とは逆ですね。今日は慶一さんが朝食の用意をしてくれました。」
そう言うみゆきの言葉に照れつつも
「まあ、これでも一人暮らしは1年以上やってきたからな。この程度は作れるよ。」
そう返すと、みゆきはにっこりと笑って
「慶一さんの経験のたまものという事ですね。私ももう少し上手くなりたいですね。それに・・・些細な事ですけどこんな事も思い出になるのなら楽しいですよ?」
俺はそんなみゆきの言葉に「そうだな。」と短く返しながら(どんな些細な事でも思い出として積み上げていこう。)そう改めて思う俺だった。
朝食を終えて俺達は学校へと向かい、今日もまた準備という名の戦争を始めるのだった。
「おーい、そこの釘取ってくれ!」
「そこ押さえててー!」
「こっちの固定頼む!」
「それはそこに置いてー!」
「こっちも手を貸してくれー!」
「これはこれでいいかな?」
「こっちのセッティングはいいわよ?」
「それじゃもう一度見直してみるね?」
クラスの連中とこんなやり取りを交えつつ、準備を進めていった。
だが、今日に限ってかがみの様子が少しおかしい事に何となく気付いた俺は、かがみの様子を伺いつつ作業をこなしていった。
しばらくしてまたかがみの方に視線を向けると、少し青い顔をしながらふらついているかがみの姿が見えたので俺は側に行って
「おい、かがみ、大丈夫か?顔色少し悪いぞ?それにふらついてたようだし」
そう言葉をかけると、かがみは俺をキッと睨みつけて
「大丈夫よ。あんたに心配してもらうまでもないわ。ちょっと疲れてるだけだし問題なしよ?あんたこそ、こっちに気を取られてないで作業進めなさいよ。」
明らかに無理をしてるのが丸わかりだったが、こうなると意地でもこちらに心配させるまいとするだろうと思った俺は、かがみの動向に注意しつつ俺の作業を再開させたのだが、その矢先にかがみが眩暈をおこして倒れるのが見えた。
それを見た俺は、かがみの体が床につく前に一瞬で移動してかがみの体を受け止めると
「おい、かがみ!しっかりしろ、おい!」
そうかがみに呼びかけるも返事はなく、完全に意識を失ってしまっていた。
それを心配したみさおとあやのも俺達の側に来て
「柊、大丈夫か?しっかりしろよ!」
「柊ちゃん、私の声が聞こえる?柊ちゃん!」
そう呼びかけたが、やはり意識は戻らないようだったので、俺はかがみをお姫様だっこで抱えあげると
「みさお、あやの、この場は頼む。俺はこいつを保健室に運ぶから。」
そう告げると2人は頷いて
「わ、わかった。慶一、柊の事頼んだぞ?」
「慶ちゃん、お願いね。」
その言葉に俺も頷きで返すと、かがみを連れて保健室へと急いだのだった。
その途中でこなたが慌てて走って行く俺達に気付いて
「慶一君!待って!、何かあったの!?」
そう言いながら俺達の所に来たこなたは、俺の腕に抱えられている未だ意識を取り戻さないかがみに気付いて
「!?かがみ?かがみ!大丈夫!?」
そう声をかけるが、かがみはその声には反応しない。
俺は、慌てるこなたに努めて冷静に
「こなた、かがみが教室で倒れた。俺はこれから保健室に連れて行く。こなたも一緒に来てくれ。両腕ふさがっているとドア開けれないからさ。」
そう伝えると、俺の言葉にこなたも頷いて
「わかったよ。それじゃ慶一君について行くね?」
俺も、そう言うこなたの言葉に頷きで返した後、2人で保健室へと走っていった。
そして、こなたにドアを開けてもらい保健室内へと入ると
「あらあら、森村君に泉さん。どうかしたんですか?」
そう聞いてくる天原先生に俺は、腕に抱いているかがみの事を伝える。
「実はかがみ・・・柊さんが教室で急に倒れまして、俺がこいつをここまで連れてきたんです。」
そう伝えると、天原先生はかがみを一目見た後
「それならこちらのベットに柊さんを寝かせてください。ちょっと診てみますから。」
その言葉に頷いて俺は、かがみをベットの所まで連れて行き、寝かせた。
そして、天原先生が、かがみの体の状態をチェックするのを俺とこなたは黙って見守っていた。
程なくして天原先生は俺たちのほうに振り向いて
「過労、ですね。かがみさんも責任者としての激務に疲れていたんでしょうね。とりあえずはこのまましばらく寝かせて様子をみましょう。それと、それ以外の事は何もありませんから心配は要りませんよ?」
その言葉に俺とこなたは”ほーっ”と大きくため息をついて安堵したのだった。
その後は俺とこなたも体に疲れがでているようだから少し休んでいきなさい、と天原先生に言われて、2人でかがみのベットの側で様子をみながら心配そうに見守っていた。
そのうちに疲労がでたのだろう、俺とこなたはイスに腰掛けながら眠ってしまっていたのだった。
かがみside
突然意識を失った私は、気がつくとなにか柔らかい物の上で寝かされていることに気づくと共に、私の意識が覚醒していくのを感じた。
そして、意識を取り戻した私は、自分の置かれている状況を確認する為周りを見渡す。
すると、ここが保健室である事がわかったのだった。
「何で、保健室に・・・あ!」
私は自分が教室で倒れた事を思い出したのだった。
思い出したはいいのだけど、どうしてここに寝ているのかが思い出せず、頭にクエスチョンマークを飛ばしていたのだが、ふいに私のベットの側でイスに座って寝息を立てているこなたと慶一くんを見つけたのだった。
(え?何で慶一くんとこなたがここに?)
いくら考えていても答えが出ないで困惑していたのだが、私が意識を取り戻した事に気付いた天原先生が
「あら?柊さん、意識が戻ったんですね?よかった、大した事なくって。」
ニコニコしながら私にそう言って来たので
「は、はあ・・・お手数をおかけしました。でもどうして私、ここにいたんでしょうか?」
その言葉に天原先生は笑顔のままで
「そこで眠っている森村君があなたを保健室まで連れてきてくれたのよ?」
その言葉に驚いて私は慶一くんを見た。
「そ、そうだったんですか・・・慶一くんに迷惑かけちゃったかな・・・」
その言葉に天原先生は首を振って
「いいえ。彼はきっとそう思ってはいないと思うわよ?何よりお友達の事を心配する子ですからね。」
天原先生の言葉に私は、嬉しさと申し訳なさが同時に心に沸きあがって来るのを感じた。
そして、私は眠る慶一くんの頬に触れながら
「ありがとう、ごめんね?手をかけさせちゃって・・・気にしてくれた事嬉しかったわ・・・」
そう言い終えると同時に慶一くんが目を覚ました。
私は慌てて手を引っ込めて顔を真っ赤にしながらベットに体を横たえたのだった。
そんな私に気付いた慶一くんは私に
「お?かがみ、気がついたんだな。良かった、心配したんだぞ?」
そう言いながら私の頭をなでる慶一くんに私は申し訳なさで一杯になって
「ごめんね・・・あんたにえらそうに説教しておいてこうなってあんたに迷惑かけちゃった・・・本当にごめん・・・」
そう私が彼に謝ると、慶一くんはにっこり笑いながら
「まあ、大した事なくてよかったさ。お前も結構無理する所あるんだし、これからも気をつけろよ?俺もそうするようにするからさ。」
その言葉に私は素直に頷いて
「うん。私も今度は注意するわ。だから慶一くんも無理はしないでね?」
私の言葉に慶一くんも力強く頷いて
「ああ。気をつけるよ。それじゃ俺は作業に戻るからかがみはもう少し休んでろよな?それと、こなたもそうだけど、みさおやあやのもお前の事心配してたから、後でちゃんと声かけておいてやれよ?」
そう言いながら慶一くんはまだ隣で寝ているこなたの頭をなでてから
「それじゃ、天原先生。後はよろしくお願いしますね?」
そう伝え、保健室を後にしようとドアに手をかけたとき、いきなり保健室のドアが開いてつかさが泣きながら、みゆきも心配そうな顔をしながら保健室に入れ違いで入ってきたのだった。
慶一side
とりあえず意識を取り戻したかがみを見て安心した俺は、後は天原先生に任せて保健室を後にしようとしたのだが、丁度いいタイミングでかがみの事を聞きつけたつかさとみゆきが入れ違いに保健室に入って来たのだった。
とりあえず2人に声をかける
「つかさ、みゆき、かがみはもう大丈夫だ。ちょっと過労気味だったらしいけどな。俺はとりあえず作業に戻るから2人はかがみの側についていてやってくれ。」
そう伝えると2人とも頷いて
「わかったよ、けいちゃん。おねえちゃんをここまで運んでくれてありがとね?」
「大事にならずに済んでほっとしました。後は私達がついていますから慶一さんは作業に戻ってください。」
その言葉に俺も頷いた後、自分のクラスに戻っていった。
教室に戻ると、俺に気付いたみさおとあやのが真っ先に俺の所にやってきて
「け、慶一。柊はどうだったんだ?」
「大分時間かかってたみたいだけど、大丈夫なの?」
2人に俺はかがみの状態を伝える。
「少し過労気味だということだ。休めば大丈夫という事だから心配はいらない。」
そう伝えると2人ともほっとしたようだったが、みさおは俺に
「あーよかった・・・けどよ?慶一、お前なかなかやるじゃん?柊をお姫様だっこだもんなー。」
そう言いながらケラケラと笑うみさおに俺は、顔を真っ赤にして
「あ、いや、その・・・とっさだったから、ああなっただけだよ・・・」
しどろもどろになりながら言い訳をしたが、みさおのからかいはやまなかった。
その後は、かがみは大事を取り俺たちよりも先に家に帰り、みゆきも今日は一足先に家に戻っていた。
俺は、こうとやまとが今日からしばらく俺の家に泊まることとなっていた事もあり、家へと2人を招待するためにアニ研の部室へと2人を迎えにいったのだった。