あと、有馬さんの身体能力が高すぎるのはご愛嬌、と言うことで。
鷹岡の登場会からのスタートです。
あのあと俺は、傍迷惑黄色いタコ野郎、改め殺せんせーにE組の校舎まで案内された。
コイツと話している限り、生前に悪党の喰種と話しているような胸糞悪い感情にはならなかった。もしかしてコイツは、自分の意志と関係なく地球を爆破してしまうーー?…いや、そんな訳がない。きっと気のせいだ。うん。
そうこう考えているうちに校舎に到着し、もとからいた教師たちに挨拶をした。烏間とイリーナというらしい。俺を見たときに、二人して驚いたような表情をして、「何でただの一般人がこんな強者の雰囲気を纏っている…?いや、ありえない。彼はもともと一般人のはず…」
などとコソコソ喋っていたが、何を話しているのか、と聞けば何でもない、と答えるばかり。ああ天国にいるであろうハイル。有馬さんは赴任してから一日目でいじめの対象になっちゃったみたいだよ。
お、そろそろ教室に行く時間らしい。殺せんせーに
「有馬先生は教室の外に待機していてください。」
と言われたので、おとなしく待っていることにする。
「皆さんおはようございます。それでは、出席を取ります。」
と殺せんせーが言った瞬間、銃声がものすごい勢いで聞こえてきた。朝から先生に発砲とか、なにげにやることえげつないな。殺せんせーのメンタルが心配だ。
おっと、銃弾がやんだ。出席確認が終わったようだ。殺せんせーが「今日は皆さんに新しい先生を紹介します。入ってきて下さい、有馬先生。」と言っている。しょうがない。行くとするか。
そして俺は、教室の中へと足を踏み入れて行った。
教室の中に入った俺をおそったのは、たくさんの諦めの混じった視線だった。何人かの生徒は、「どうせこの教室にまともな人が来るわけないよな…」と言っている。どんな過去があったのだろう。非常に気になる。
まあいい。自己紹介でもするか。
「俺は有馬貴将だ。新任だが、よろしく頼む。あと、白髪だけど、とりあえず三十五歳だから。」
自己紹介を聞いた生徒たちが驚いているのがわかる。まあ、いきなり入ってきた白髪の男が三十五歳とか、そりゃ驚くよな。
「こ、この教室にまともな人が入ってきた…だと…?」
「ありえない!この教室にまともな人が入ってくるわけがない!」
「ちくわ大明神」
「最後の誰だ」
驚く方向そっちかよ。どんだけまともな人がいないんだ、ここの教室。
つーか、最後の誰だ。
「えー、有馬先生は、新任教師として椚が丘中学校に赴任してきましたが、E組担当なので、事情を説明して私の暗殺に加わって貰うことになりました。有馬先生には、烏間先生の補佐をやっていただきます。あと、体育は有馬先生も皆さんと一緒に習うので、仲良くしてください。」
殺せんせーの説明が進む。つーか、何で俺も一緒に体育をすることになっているんだ。いくらなんでも二十歳近く年が離れてる生徒と一緒に体育とかないと思うんだけど。まあいいか。
「何か有馬先生に質問はありますか?」
と殺せんせーが言ったあと、何人かの生徒が手を上げた。
「はい、磯貝くん。」
磯貝、と呼ばれた生徒が恐る恐る聞いてきた。
「あの、有馬先生って、一般人ですよね…?」
おい、何で一般人かどうかを恐る恐る聞くんだ。本当に過去に何があった。
「ああ、もちろんだ。」
おそらく俺は一般人…のはずだ。少なくともハイセみたいに赫子を出すことは出来ない。
「良かった〜。烏間先生みたいに逸般人だったらどうしようかと思った〜。」
逸般人ってなんだ、逸般人って。傘で喰種を駆逐できる程度だ。大したことはない。
「はい、カルマくん。」
カルマ、と呼ばれた赤髪の生徒が質問してきた。
赤髪って珍しいな。というか、よく見ればクラスの生徒がみんな別々の髪の色をしている。
もしかして、髪を染めたからE組行きになったんじゃないだろうな。
「三十五歳だっけ?その年で白髪とか相当ヤバくない?ねーねー、あと何年で禿げる?」
フ、鋭い質問だ。だが、手紙の中にあった神が俺の体を調整してくれたようで、生前失明していた右目も見えるようになっている。つまり、身体能力は高いままで、体の急激な老化のみがなくなっているのだ!
「確かに白髪になるのは早かったが、今のところ禿げる兆候などはないのでな。禿げるのは八十歳くらいだと思う。」
「ふーん。」
おい、何故つまらなそうな顔をしたし。もしかして、俺を禿げる絶望に晒したかったのか?
もう質問がある者はいないようだ。さて。俺の初めての教師生活を始めるか。
「あ、言い忘れていましたが、今日、新しい体育の先生がいらっしゃいます。名前は鷹岡先生と言うらしいので、覚えて置く様に。」
俺の他にも新任教師か。体育教師なのならば、おそらく相当の戦闘能力があるのだろうな。鷹岡だったか。覚えておくか。
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放課後になった。生徒と話していると、向こうから小太りな男が歩いてくる。あれが新任の体育教師か。なるほど。弱いわけではなさそうだ。
「おーい。そこの白髪の先生も、俺が買ってきた菓子食わねーか?」
「悪い。このあと、少しばかり用事があってな。それはまたの機会へお預けしておこう。」
小太りな新任の体育教師が聞いてきたが、断っておく。まあ、実を言うと用事などないのだが、あの教師からは、どこか下衆な喰種みたいな感じがするからな。仲良くなっておいて、いきなり攻撃してくる的な。まあ、今は様子見だけにしておこう。