この加速する世界で   作:NowHunt

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大分前にアクセル・ワールドとのクロスを書いて、すぐに何となく改稿してたら書き上がってたんで

あ、息抜きシリーズです


空と闇

「邪魔するぞー」

 

 3年の6月末の金曜日。

 

 俺と雪ノ下は勉強を、由比ヶ浜は俺らの飲み物を買って帰ってきた時に、奉仕部の部室内にて、平塚先生がいきなり入ってきた。

 

「邪魔するなら帰ってください」

 

「そう言うな、比企谷。私の拳を喰らいたいのか?それともはいよーって言えばいいのか?」

 

 新喜劇知ってるのか。

 

「慎んで遠慮します」

 

 と、一連の流れが済んだところで、

 

「話は何ですか?」

 

 シャーペンを机に置いた雪ノ下が問いかける。今時シャーペンとか珍しいけどな。

 

「明日みんなは何か用事があるとかないか?」

 

「私は大丈夫です」

 

「ゆきのんと同じくー」

 

「俺は夜から予備校ですけど、それまでなら…………」

 

「ようするにある程度時間はあるということだな」

 

「え、部活あるんすか?」

 

 マジかよ、面倒だな。

 

「まあな」

 

 と、言い、先生がそこらにある椅子に腰を掛ける。

 

「簡単に言うとな、明日ある女子校と交流会をしてくれないか?」

 

「「「女子校?」」」

 

 奉仕部全員の声が被る。

 

「うむ、実はな――――――――」

 

 

 ざっくり話を纏めると、この学校の校長と向こうの学校の校長が仲がよろしく、色々互いに話そうとなったらしい。

 しかも向こうの校長は総武高に1度来てみたいらしく、どうせなら生徒との交流会でもしよう………となったらしい。

 

 そんな建前いらねーよ。付き合わされる方の身にもなれ。

 

 

「で、その生徒を誰にするかは平塚先生に押し付k……頼まれた……と」

 

「そうだ。ほら、私若手だから……グスッ」

 

 そんな若干泣き顔で言われても。悲しいだけですよ。無理しないでください、先生。

 

「それで私たちに、ですか」

 

 そんな先生の様子は気にも留めず雪ノ下は淡々と話を進める。

 

「えーっと、先生女子校なんですよね?」

 

「そうだが。何か問題でも?」

 

 由比ヶ浜が唸りながら先生に尋ねる。

 

「やー…………、ヒッキー居心地悪くないかなーって」

 

「そうだな。相手に気を悪くしちゃダメですし俺は明日休みます」

 

 由比ヶ浜、よくやった。こうしたら、俺はサボれる。

 

「私もそれが妥当だと思います。相手にトラウマを植え付けるのは私としても気が引けます」

 

「お前は毎回俺を貶めないと何か喋れないのか?」

 

「…………………」

 

 雪ノ下は余裕の無視である。

 

「確かに比企谷には少し悪いと思う。それでだ、比企谷。もしやってくれたら、MAXコーヒーを10本ほど買おう。雪ノ下や由比ヶ浜にも同様だ。雪ノ下には友人の結婚式の二次会で当たったパンさんのぬいぐるみでも、由比ヶ浜はこれも二次会で当てたス○パラの割引券でもやろう」

 

「先生、引き受けます」

 

 俺は即答。

 

「先生、任せてください」

 

 続いて雪ノ下、即答。

 

「やります!やります!」

 

 由比ヶ浜、これも即答。

 

 ……………何か、買収されてるみたい。俺らの将来不安だな。

 

「助かる。時間は………確か向こうは10時くらいに着くと言っていたので30分前には着いといてくれ。お菓子とかはこちらで用意しよう。あ、これ大体私が纏めた概要だ。目を通しておいてくれ」

 

 そう言うと、先生は首に付けてあるVR機器の――――ニューロリンカーを操作し、俺のニューロリンカーのファイルにも転送される。

 

「分かりました。寝坊はダメよ。比企谷君も由比ヶ浜さんも」

 

「うーい」

 

「うん」

 

「あ、先生。そういや何で俺らなんすか?葉山とかで良くないですか?」

 

 部室のドアに手をかけた先生は背中を見せたまま、

 

「なーに、君らの方が面白そうだからだ」

 

 ……………………おい。先生絶対心の中で楽しんでるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――翌日。

 

「やっぱ帰りてぇ…………」

 

 部室でポツリと呟く。

 

「ここまできたら楽しもうよ、ヒッキー」

 

「お前はコミュ力あるからいいけどよ、俺と雪ノ下とかどうなんよ。俺なんかキョドりまくるぞ」

 

「あなたと一緒にしないでくれる?…………と言いたいけど、私も緊張はするわね」

 

「まあね。…………だって、私たち高3だけど、向こうは高1だもんね」

 

 そうなのだ。自室でファイルを確認したら、あら不思議。向こうの参加者3人いるんだが、全員高1ときたもんだ。

 

 なぜ、学年を、揃えなかった!

 

「でもっ!大丈夫だよ、私がちゃんとフォローするからね」

 

 由比ヶ浜は元気に言うが、

 

「こいつにはフォローされたくねぇ…………」

 

「あたしをバカにしすぎだし!?」

 

「由比ヶ浜さん、比企谷君と同意件なのは癪だけれど、お願いするわね」

 

「ゆきのんまで!?」

 

 と、まあ、いつも通りの流れである。

 

 

 ――――コンコン。

 

 部室の部屋がノックされる。き、きたか。

 

 ガラガラとドアが開くと、

 

「今日はよろしくお願いします」

 

 入ってきてきたのは、茶髪のロングヘアー。お嬢様みたいな清楚な感じ。そして、何より由比ヶ浜並の2つの丘が…………。

 

 一言で表すと美人。

 

 だが、何か怖い、得体の知れない恐怖がある。この雰囲気、前にも味わったことがあるような…………?いや、あるわ。向こう側で。……………まさかね?

 

 

 

「初めまして。倉崎楓子と申します」

 

 雪ノ下が来客用の椅子に座らせたところで自己紹介が始まる。

 

「総武高、奉仕部の部長の雪ノ下雪乃です」

 

「由比ヶ浜結衣です。よろしくね」

 

「比企谷八幡」

 

やだ、俺ってメッチャ簡素な自己紹介。

 

「ところで、倉崎さん。今日は3人とお伺いしていたのだけれど、残りの2人はどちらに?」

 

 雪ノ下が俺も思ってたことを尋ねると、倉崎楓子は微笑みながら、

 

「すいません。1人は風邪で、もう1人は補習が入ったもので。今日は私1人になっています。あ、それと楓子で構いませんよ」

 

 と、言われても俺がいきなり女子を名前で呼ぶとか無理なんですけどね。

 

「じゃあ………ふーちゃん?」

 

「由比ヶ浜、他校の前でそのアダ名のセンスは止めてくれ」

 

「どういう意味だし!」

 

「そのまんまだ。ヒッキーとかいうアダ名をつける人が他校の人にアダ名つけるとか可哀想すぎんだろ」

 

「ゆきの~ん」

 

「その話はまた後でにしてもらえるかしら、由比ヶ浜さん」

 

「うぅ~~」

 

「仲がよろしいんですね」

 

 俺たちの様子を見た倉崎楓子は微かに笑う。

 

 

 

 で、何か交流会ということで、話をしないといけないんだが、

 

「比企谷君、何か話題を振りなさい」

 

「ねぇ、何で俺なの?そこで俺をチョイスする意味ないだろ。そこは俺らより普通の由比ヶ浜だろ」

 

 由比ヶ浜から怒ってるであろう視線を感じつつ雪ノ下に抗議する。

 

「いいから。私は紅茶を淹れるから」

 

 諸君、これがパワハラである。こんな上司に当たってもめげずに頑張ってほしい。俺は諦めるけど。それはもう速攻に。

 

「えーっと…………趣味は?」

 

「ヒッキーありきたりー」

 

 由比ヶ浜は文句を言うがな、

 

「これしか出てこないんだよ」

 

 勘弁してくれ。

 

「そうですね。………ネトゲでしょうか」

 

「へぇー。そうなんだ。私はあまりしないかなー。運動とかはしないの?」

 

 由比ヶ浜はさらに話を広げにいく。そして、さりげなく敬語を外している。流石由比ヶ浜。マジパネぇっす。

 

 倉崎楓子………倉崎さんはその問いに苦笑しながら、

 

「運動はあまりできないんです。私の足って生まれつき悪くて、今も義足なんです」

 

 けっこう衝撃的な発言をしてくる。

 

 うそーん。マジで?

 

「えっ………。その、そ、そういうつもりは………」

 

 由比ヶ浜は律儀に頭を下げ、この場が微妙な空気になる。

 

 普通に俺も驚いた。つーかパット見、部室に入ってきた時そんな違和感なかったんだが。最近の技術ってスゴいな。

 

「大丈夫ですよ。日常生活には支障はありませんので」

 

「………ゴメンね」

 

 それでも、律儀に謝る由比ヶ浜。倉崎さんはニコッと笑ってそれに応じる。

 

 と、ここで、雪ノ下は全員に紅茶を渡し始める。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 倉崎さんは雪ノ下に礼を言う。

 

「いえいえ」

 

「由比ヶ浜さん、どうぞ」

 

「ありがとー、ゆきのん」

 

 百合百合しいね。2人とも。…………ってあれ?

 

「俺の分は?」

 

「ごめんなさい、比企谷君。来客用の紙コップを切らしていて、今日は我慢してちょうだい」

 

「ま、そういうことなら」

 

 先生、お菓子用意するなら、紙コップもお願いしますよ。

 

 自前のMAXコーヒーを取りだし、飲むことにするか。あ、お菓子も食べよう。

 

 それと、何気に雪ノ下の毒が少なくなったな。

 

「それで、ネトゲってどんなのしているんですか?」

 

 一応自分で蒔いた種だし、俺も話に加わる。

 

「比企谷さんも敬語を外してもいいのですが…………。よくある対戦がメインのですかね」

 

 …………この口調、なーんか嫌な予感がするわ。

 

「意外ですね。私はネトゲは疎いけれど、あまりイメージが湧きませんね」

 

 雪ノ下も話に加わる。

 

 それは俺も同感だ。

 

 ところで、対戦ゲームか。俺もやってるわ。色々特殊だが。格闘対戦だか、協力するゲームなんかよく分からんが。

 レギオンとか『上』とか『帝城』とかな。

 

「それに、………あそこに大切な人たちがいますからね」

 

 部室の窓から空を覗き、笑う倉崎さん。

 

「へぇー。……なんか、そーゆーのいいね。楽しそうで」

 

 感心そうな声を出す由比ヶ浜。

 

 まぁ、確かにネットだけの繋がりってのは気が楽だったりするんだがな。もう1人の自分?になる人もいるらしいしな。

 それでも、俺は独りが多かったけど。レギオン無所属だし。

 

「そういえば、2、3年くらい前にそのゲームの中でよく戦ってた人がいるのですが、疎遠になったんですよね」

 

 ほー。そうなんだ。ネトゲだとよくある話だよな。家庭の事情とか単純に飽きたとか。俺も2年と……半年前にある事情でゲームを止めたことがあるからな。

 

 …………それはそうと、なぜこちらを向きながら話してくるんですかね、倉崎さん。意味深な笑みで。

 

 

 

 

 

 しばらく、倉崎さんと談笑していた(俺以外)。驚いたのが倉崎さんが車の免許を取っていたことだ。

 確かにほとんど車はAIで動くから高1から取れるんだが、めんどいし取る気が起きなかった。

 

 そうこういている内に、

 

「…………あ、マッ缶なくなったわ。すまん、ちょっと席外す」

 

 ポテチ食べながらマッ缶飲んでると、すぐに飲みほしてしまう。だって美味しいもんね、糖尿病のなるまで出来る限り飲んでやる。いや、やっても飲む。

 

 雪ノ下たちの返事の有無は聞かずに部室から出る。

 

 部室から離れたところで、周りに人がいないか確認する。

 

 …………よし、いないな。人が通る気配はない。

 

 さっさと、ずっと気になっていたことを確認しようか。

 

 誰も聞こえないような声で呟く。あの世界に行くためのコマンドを。俺という人物を根本から変えたあの世界に。

 

「バースト・リンク」

 

 ――――と。

 

 途端に、世界が青くなる。

 周りが、廊下も、扉も、階段も、全て青くなる。ソーシャルカメラが写す景色だけが青くなる。

 

 俺はローカルネット用のアバターに切り替わる。小町が知らぬ間にデザインした可愛らしい狼?のアバターだ。小町はこれを気に入ってるから変えるなとのこと。

 

「さてと、マッチングリスト見るか」

 

 ブレイン・バーストのアイコンをタッチし、マッチングリストを開く。

 

 本来ならこの学校にはバーストリンカーは俺しかいない。

 だけど、俺の嫌な予感が的中していたら…………………、

 

「うっわ、いるよ……………」

 

 そこにある俺以外の名前を選択する。

 

 ――――すると、体が一瞬光り、ステージに転送された。

 

 ステージは………風化か。別に今日は戦うわけではない。

 

 この状態のまま奉仕部のドアを開ける。

 

「はぁ………。何でいんだよ」

 

 目的の人物は車椅子に座っていた。

 

「久しぶりですねっ。皇帝ちゃん」

 

「その呼び方は止めてくれ。………スカイ・レイカー」

 

 もう1度大きくため息をつく。

 

「そう言わずに。2、3年ぶりじゃないですか」

 

「俺としてはもう会いたくなかったんだよ」

 

「まぁ、たくさん戦ったのに?」

 

「俺、お前との勝率4割ぐらいだからな?………というより、なんでここにいるんだ?」

 

「心外ですね。ここにいるのは本当に偶然ですよ。ですが、この高校に入ってすぐにマッチングリストを確認したんですよ。そしたら、珍しき名前がありまして…………」

 

 くっそ、油断した。高校のバーストリンカーは少ないから大丈夫だろうとたかをくくっていた。

 

 よりにもよって、こいつにだけはリアル割られたくなかったのに。

 

「なら、なんで俺って分かったんだ?多分だが、部室に入ってきた時に気づいてたよな?」

 

 その言葉にレイカーはクスッと笑う。

 

「女の勘というものです。一目見たらビビって来ました。口調や雰囲気などがそっくりでしたしね」

 

「長年会ってないのによく覚えてるもんだな」

 

「一杯戦いましたから。忘れられませんよ」

 

 はいはいそうですか。機嫌よさそうですね。

 

「ところで、皇帝ちゃん」

 

「だからその呼び方止めろって」

 

「えー……。でも、あなたの名前はダークネス・エンペラー。だから皇帝ちゃんなんですけど。ほら、あなた立派なマントまで持っていますしね」

 

 いや、本当ブレイン・バーストの開発者恨むぞ。なんでこんな中二感溢れる名前とデザインにしたのか。

 

 あ、レベルは7だから。

 

「あなたって……今は18歳?」

 

 唐突にレイカーが尋ねてくる。

 

「17」

 

 首を振りながら答える。

 

「あ、まだ誕生日ではないんですね」

 

「そうだが………それが何か?」

 

「ならなぜ、バースト・リンカーになれてるの?聞いても大丈夫かしら?」

 

「別に構わん」

 

 そう前置きする。………こいつになら少しは話しても大丈夫だろうな。

 

「そうだな。ブレイン・バーストの歳高年齢が大体お前の年なのは事実だ。ニューロリンカーが完成して発売されたのがそのくらいだからな」

 

 一呼吸置き、話を続ける。

 

「でもな、俺の両親の仕事がニューロリンカーの開発に携わっててよ………。俺がもうすぐ生まれる時に、ニューロリンカーを付けて赤ん坊に害が出るかどうかの実験に使われた。試作品をずっと。だからインストールできた」

 

 俺の言葉にレイカーは顔を逸らし、

 

「ごめんなさいね」

 

 と、短く言う。――――が、

 

「その事に関しての記憶なんてもうないし、その話を聞いた時は興奮したんだがな。………だってテストプレイヤーとか面白そうじゃん。しかもニューロリンカーのだぜ?」

 

「男の子ってみんなそうなのかしら?鴉さんも喜びそうだし」

 

 呆れた様子のレイカー。だが、さっきより、雰囲気は和んだ……気がする。

 

 

 

「そういえば………」

 

 と、人指し指を伸ばしたレイカーは、いきなり勝手に話を始める。

 

「あなたが引退した時期からすると、今、加速世界がどうなってるか知っていますか?色々と厄介なことが起きてるんです」

 

 ……………厄介なこと?

 

「えーっと、俺が知ってるのは、黒のチビが赤の武器職人の首チョンパしたことと、そのせいで黒のチビが引退したこと。他には、飛べる鴉の出現とチビの復帰に、災禍の鎧の完全消滅…………くらいか?」

 

「よく知っていますね。…………ところで、その黒のチビというのは………?」

 

 レイカーの体が水色に光りながら、ジリジリと車椅子で寄ってくる。一先ず距離を取る俺。

 

「まずそのオーバーレイを消せ。俺をどうするつもりだ?」

 

 こえーよ、もうその行動で分かってんだろうが。

 はいはい、ロータス大好きですねあなたは。雪ノ下と由比ヶ浜にも劣りませんね。

 

「…………まぁ、いいでしょう。それより、なんでそんなに知ってるのですか?」

 

「なんでって…………。俺の親から教えてもらったから」

 

 それくらいしかなくね?ブレイン・バーストの情報得るの。あ、でも全身水の奴は色んなとこから情報得ていたな。

 

「あなたの親って誰なんですか?噂にも聞いたことが…………」

 

「えっ……。マジで知らないの?」

 

 心底驚いた声を出す。

 

 いや……確かになるべく内緒にしてくれとはあいつに言ったけど、レイカーにはバレてるもんかと。本当に黙っていたのか。だって俺がバースト・リンカーになってからもう………3、4年だぞ?

 

「私も知ってるバースト・リンカー…………?」 

 

 レイカーは困惑した様子だ。見当もついていないのか。

 

「マジか。…………お前専用ののオプションだぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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