この加速する世界で   作:NowHunt

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ある晴れた日、冷房の効いた部屋での一時

 加速世界でそれなりに暴れ、その翌日には謡や倉崎に美早、加えて有田君に黒チビに出会ったりとなかなかに濃い土日を過ごした。

 俺からしてみると、この土日でかなり多くの人と話した。学校で元々知り合っている相手ならともかく、リアルでは初対面の人もいた。だから単純に……ある意味では精神的に疲れた土日でもあった。

 人と会話するのも体力使うからね。しょうがないね。家に帰ったらあまり勉強に集中できず早めに寝てしまった。

 

 そして、訪れた月曜日。つまりは学校。

 土日挟んだあとの学校ほど行きたいものはない。寝たい。今すぐ布団にくるまって動きたくない。今でこそこれなんだから、社会人とか到底なれる気がしない。誰か養って……。

 

 なんて願いは虚しく、学校に行って勉強して飯を食ってまた勉強してを繰り返していたら放課後だ。

 

 ひたすら疲れた……。

 

「八幡、おつかれ」

 

 ホームルームも終わり放課後になったところで戸塚が声をかけてくれる。

 戸塚はもう部活を引退し、今や受験勉強に勤しんでいる。つまりもうベストプレイスからテニスをする戸塚を眺めることはできない。絶望! もう世の中に絶望した。

 

「おーう。戸塚もな。って、もう帰るのか」

「まだ学校にいるつもりだよ。自習室で勉強してから帰ろうかなって。今日は予備校の授業もないし。八幡は部活行くの?」

「まぁ、顔は出すわな。俺も俺で月曜日は予備校の授業ねぇし、部室で勉強かな。ま、授業があったとしても夜からだが……帰りに一応は寄る予定」

 

 ふと思うと奉仕部の引退はいつなのだろうか。

 最近は依頼などほとんどなく勉強会の集まりでしかない。あったとしても一色から生徒会の雑用があるくらいで、直近で言うと留美が突撃しただけだ。

 それこそ依頼がある日の方が稀なのだ。ならば、このままダラダラと続けるのも悪くないだろう。

 理由がなければ恐らく集まることもきっと少なくなる。雪ノ下と由比ヶ浜はともかく、俺なんて目的なく出歩くことなどしたくない人だからな。だから何にせよ理由は大事だ。理由があれば動くことはできる。

 

 それに……あの空間に流れる空気は好きだ。そう思えるくらいには雪ノ下と由比ヶ浜、2人のことをきっと俺は好ましく想っている……のだろう。やだ、断言するのは恥ずかしい。

 まぁ、ぶっちゃけるとそもそもの話、嫌いな奴とずっと同じ空間にいるとかまずムリだからな。不可能に近い。一緒にいるだけでマイナスな感情は持っていないこととなる。ただ社会人となるとそうも言ってられないんだろうなぁ。やっぱり働きたくねぇ……。

 

「にしても受験勉強は大変だねー」

「楽して大学行きたいよな。勉強せずにイージーモードで生活したい」

「ははっ、好きなことして生きていられたら楽なことないよね」

「そのためには宝くじか競馬とかで一攫千金か……」

「ダメだよ八幡、ギャンブルは良くないよ」

「だよなぁ」

「やるなら個人が責任持てる範囲で収まるくらいじゃないとね」

「はいごめんなさい」

 

 戸塚からの説教は心が辛いと思うと同時になんか興奮するまである。今のは謡にすら罵られる発言だ。煩悩退散。

 

「冗談はさて置き、そろそろ行くわ。っていうか学校に残るなら戸塚も来るか? アイツらなら戸塚が来ても嫌な顔しないだろ」

 

 そんな提案を戸塚に送る。

 加えて分からない部分があればユキペディア先生に聞けるおまけ付き。

 

「いや、大丈夫だよ。僕は1人でやる方が集中できるタイプだから。周りに……見える範囲に人がいるとそっちに気を散らすんだよねぇ」

「言いたいことは分かる」

 

 基本的に全員黙って勉強しているとはいえ、由比ヶ浜が時折雪ノ下に質問などで話すことはある。完全な静寂とは言いがたい。

 

「じゃあ、またね八幡」

「おう、また明日」

 

 戸塚との別れを済ませ、俺は特別棟へと向かう。

 わずか短い一時だったが、随分癒された時間だった。

 

 数分後、部室へと着いた。俺より先に由比ヶ浜が教室から出たのは見ていたから、まぁ俺より先にいるだろうな。部室が開いているってことは雪ノ下もいるか。

 

「うーっす」

「あっ、ヒッキー」

「こんにちは」

 

 既に2人は座っているが、まだ勉強はしておらず紅茶を飲んでいる。

 

「比企谷くんも飲む?」

「いただけるなら」

「淹れるから待っていてちょうだい」

 

 雪ノ下が紅茶を淹れてくれている最中、俺の耳元でゆっくりと話しかけてくる。

 

「そういえば比企谷くん。この前倉崎さんとどういう話をしていたのかしら?」

「…………」

 

 今思い出したと言わんばかりだが、確実に問い質そうと言いたげな視線が俺を射抜く。声色は普段と変わりないはずなのにどこか冷たく感じるのは気のせいだろうか。

 え、なにこれ怖い。

 

「倉崎ってフーコちゃん? ゆきのんも会ったの?」

「いえ、土曜日の夕方、スーパーで比企谷くんと会ってね。そこで倉崎さんから連絡が来たと言っていたのよ」

「そうなのヒッキー!?」

「由比ヶ浜が俺のアドレス教えたからだろ。倉崎から連絡来るの……」

 

 誰が悲しくて真のドS女に自分から連絡先暴露するんだよ……。

 

「あ、そうだった。ごめんねヒッキー。で、どんな話なの」

 

 そう由比ヶ浜から詰められるけど、加速世界のこと話すわけにもいかない。

 万が一も考えてメールは削除済。直結されてもニューロリンカーから倉崎とのメールは見れない。というよりデータ圧迫するし誰のであろうとメールは都度消しているだけだ。残しているのはだいたい戸塚。あと謡。

 

「別にただの世間話。何しているか聞かれて適当に濁して答えただけ。由比ヶ浜がたまに連絡くるときと似たような感じだ」

「へー……って、あたしとメールするときそんな適当なの!?」

「言葉の綾だっての。ていうかメールの大半雑談じゃねーか」

「だってヒッキーと話したいし。たしかにヒッキーってわりと返信とか雑いよね」

「お前は俺に何を求めてるんだ……俺だぞ?」

「もう少し会話はちゃんとしようよ〜」

 

 と、由比ヶ浜からの追求をのらりくらりと躱していたら、雪ノ下が紅茶を置いてくれる。

 どうやら先ほどの冷たい雰囲気はなくなり今はごくごく普通の雪ノ下に見える。

 

「ありがと」

「えぇ。……あ、昨日は貴方どこか東京へ出かけてたと小町さんが言っていたわね。一応、たまにはいいかなと由比ヶ浜さんと勉強会に誘おうとしたのだけれど、家に電話したら小町さんが教えてくれたわ」

 

 ふと雪ノ下はただ疑問に感じたという表情で俺に問いかける。そこにはそのことについて俺を責めるといった感情は含まれていないように見える。

 

 そうだったのか。それは知らなかった。小町も帰ってきてからは特に言っていなかったし。言わなかった理由は、俺が帰宅してすぐに寝たからという事柄が占めているだろうけれど。

 というより、わざわざ俺個人ではなく比企谷家に連絡するのはなぜだ雪ノ下。あれか、上手いこといけばカマクラを見れるからか雪ノ下。会いたいなら小町がいるときに来ればいいのに……。

 

「東京って、どしたのヒッキー」

 

 これまた不思議に感じた由比ヶ浜は紅茶を口にしつつぼんやりと声にする。

 

「別にたまの気分転換だ。毎日引きこもって勉強するのもキツいしな。何となく昔暮らしてた辺り散策していたってだけ」

「あぁ、前に言っていたわね。たしか練馬の方に数年暮らしていたとか」

「だな。3年くらいか」

 

 あの数年はほんとずっとあっちの世界にダイブしていたな。基本的にソロで潜って、謡が無限EKになる前だとたまに行動していた。いやもうホント、あのときはよく1ヶ月も連続してプレイしていたと思うわ。

 無制限にいる間には様々な出来事が起きた。心意やエネミーなど摩訶不思議なこともあったし、何よりまさかエネミーの中でも最上位の奴と別の空間で――――

 

「へぇ~、練馬のどこ行ってたの?」

 

 横道に逸れた思考は由比ヶ浜の声と共に途切れる。

 

 ……たまにはアイツに顔を出した方がいいのかな。いや面倒くせぇ。

 

「だいたいは街中ブラついていたな。あとは前に住んでた近所にケーキ屋があって、久しぶりってことで休憩ついでに寄ったりしたわ」

 

 なお目的は別にあった模様。 

 倉崎たちに来いと命令されたから渋々、クッソ暑いなかわざわざ行った。

 ……あれ、今さらだが、未だに美早の名字知らないな俺。連絡先も知らないから余計に知る手段なくね? 謡からこっそり仕入れておくべきだったか。いやまぁ、俺からアイツに連絡することなんてないけど。

 

「貴方が……ケーキ?」

「中学のころよく通っていたんだよ。歩いて5分の距離だったしな。よく親父も仕事帰りとかに買ってきてくれてな」

「ヒッキー、甘党だもんね」

「人類みな甘いの大好きだろ」

「豪語するわね……」

 

 先週、美早と上月と話した帰りに土産として買ってきたら小町も大層喜んでいたとも。さすがに小町は美早のことは覚えていなかった様子だった。

 

「ヒッキーのオススメならあたしたちも行きたいなぁ。ねぇゆきのん」

 

 女子の由比ヶ浜からすれば当然と言えば当然。しかし、内情を知っている俺からすると非常に不味い展開になってきた。

 由比ヶ浜なら行きたいって言うわな……。

 

「興味はあるわ。何しろ比企谷くんの通っていたお店だものね。けれど、東京よ? 電車で行くとしても少し遠くないかしら?」

「今から行っても往復で2時間半から3時間か。うーん、さすがに遠いね。また休日に行く?」

「そうね。今度の休みに……そのお店ってイートインはできるの?」

 

 嫌だよ……どんどん話が進んでいくよ……。

 

「……あるけど」

 

 渋々答える。

 

「だったら行こうよ。ヒッキー案内してほしいなぁ」

「いや1時間以上かけてケーキ食べに行くのか? 行くなら近場でよくね。千葉駅とかカフェ多いだろ」

「そのくらい普通だし。てか、ヒッキーも昨日そうしたらしいじゃん」

「ぐうの音も出ない。でも俺はほら、あれだから、ただのついでだから」

 

 頼むから行くならせめてお前らだけにしてくれと切に願う。それなら面倒なことにはならないだろうから。

 

「つーか、この土日で気分転換はしたからしばらく出かけずに勉強する予定なんだが。最近ちょっと出歩き過ぎたし」

「でもあたしはヒッキーと違って、この前の土日も勉強していたから! ご褒美はいるし!」

 

 そういや雪ノ下の家で勉強会だったな。

 

「たしかに最近由比ヶ浜さん頑張っているからね。成績も少しずつ上がってきているわけだし、ご褒美と言いたくなるのも分かるわ」

「ゆ、ゆきの〜ん」

「引っ付かないで。それに由比ヶ浜さんはまだ安心できる立場じゃないのよ。成績はダイエットと同じ。油断したらすぐリバウンドするわ」

「が、頑張る!」

 

 仲が宜しいことで。

 

「店のアドレス教えるから2人で行ってこいよ」

 

 もう7月に入っている。夏も真夏だ。正直あまり出歩きたくない。

 倉崎たちに脅されてわざわざ店に出向いたが、あのジリジリと焼き付けるような日差しには到底敵わない。エアコンの効いた部屋にいたい。

 

「ヒッキーいないと意味ないし!」

「せっかくだものね」

 

 俺の提案は即座に否定される。

 

「わーったよ。で、いつにする?」

 

 もうムリか……。

 

「土曜日って言いたいけれど、あれよね。明後日から定期テストあるわよね。期末の」

「あぁ、言われてみれば。忘れてたわ」

「この時期推薦を狙う生徒以外あってないようなものだものね」

「総武高って指定校推薦の枠少なすぎるしな。相当成績上位をずっと維持してないと取れないだろ。雪ノ下なら狙えそうだが」

「残念ながら行きたい大学の推薦はなかったわ。指定校は滑り止めにもできないからね。指定校取ったらそこに絶対行かないといけないわけだし」

 

 ほー。まぁ、そりゃそうか。

 

「って、そうじゃなくて。テストが午前までだから午後に行こうってことだよね?」

「端的に言えばそうね。テストが終わったら荷物をさっと片付けて東京へ出かけない?」

「いいね!」

 

 しゃーない。ここまで話が進んでしまったらもう止められない。俺はこの短期間で何回美早のいる店に行かないといけないのか。

 といっても、美早が必ず店にいるかどうかは不明だ。アイツもまだ学生。加えて美早も高校生、この時期なら俺らと同じく定期テストがあるだろう。そんなずっと常駐しているとは思わない。

 いない可能性に賭けて気楽に行こう。

 

「では話も落ち着いたことだし、勉強しましょうか」

 

 雪ノ下の一言と共に奉仕部の部室には静寂が訪れた。

 時折雪ノ下や由比ヶ浜が教えたり教えられたりと話し声があったが、しばらくは静かな空間だった。

 

 

 その心地良く、そして勉強しているから息苦しさもある静寂を打ち破ったのはおよそ1時間経ってからだ。

 

「……ん」

 

 視界内の端にピコンという通知音と共にアイコンが光る。どうやらメールが来たみたいだ。

 少し集中が切れかけていたこともあり、休憩がてら飲み物を飲みながら内容を確認する。

 俺が思わず呟いた……声が漏れたが、目敏く反応した雪ノ下がこちらに視線を向ける。

 

「どうしたの」

「メールが来ただけだ。どうせ迷惑メールだろ」

「誰からなのかしら」

「だから知らん相手じゃねーの……って、お前か」

 

 お前とは昨日会っただろう。というより、昨日ほぼほぼずっと一緒にいたはずなんだが? 昨日の今日でそんな連絡せんでも……。

 

「え、誰なの。あたしたちの知ってる人? 小町ちゃんとか?」

「もしかして姉さん?」

「あぁ、前に遊んだ謡だよ。内容は……別に何てことのない、他愛もない話」

 

 コメントと一緒にホウとのツーショットが送られてきた。

 謡の腕にホウが止まっている。何ともまぁ、この組み合わせはかなり迫力のある。そして、ある意味合成を疑いそうになるくらい知らない人が見れば疑問が浮かぶ写真だ。

 こうして謡と一緒にいるとホウって大きいなと改めて知る。さすが猛禽類といったところだろうか。

 いつか俺も間近で見たいが、あの飼育小屋からでも充分近かったと思い直す。

 それと餌やりやってみたいという幼心が疼いてくる。ホウは臆病らしいから、恐らく俺ではできないだろうが。前に謡から聞いた話によると……いや、あれはあまり気分のいい話ではない。止めておこう。

 

 俺の内心はさて置き、由比ヶ浜は嬉しそうに顔を輝かせ、雪ノ下は怪訝そうな顔付きになる。

 

「謡ちゃんから! いいなー!」

「貴方たち、随分と仲良いわね……」

「単純な付き合いの長さで言ったら雪ノ下たちより長いしな」

 

 仲良いよね?

 

「でも、謡ちゃんと頻繁に会っていたわけじゃないよね?」

 

 おぉ、由比ヶ浜……頻繁って単語使えるんだな。

 

「なんか失礼なこと考えていない!?」

「気のせいだ」

 

 よく分かったな。

 

「で、どうなのヒッキー」

「最近ちょくちょく会ってはいたけど、数年は会ってなかったな。それまでは月1くらいで連絡取り合っていた程度だ。内容はだいたい近況報告だな」

「そうなんだー。でもヒッキーが月1でも連絡するって珍しいね」

「お前は俺を何だと思っているんだ……」

「妥当な評価よ」

 

 ぶっちゃけ雪ノ下の一言をひっくり返せるような言葉を持ち合わせていないのは事実だ。悲しいね。

 

「今さっき、何て話していたのかしら?」

「謡の小学校でペットを飼っていてな……実際今いる場所は別々でその辺の事情全部話すとややこしいから端折るが、そのペットとの話だな」

 

 と話しつつ雪ノ下と由比ヶ浜のニューロリンカーにさっきの写真を送る。

 それを見た2人の反応はそれぞれ。

 由比ヶ浜は目を大きく見開き、私驚いています! という風に大げさに驚く様子が見て取れる。演技ではなく、素でこの反応なのはスゴい。

 

「わっ、謡ちゃん! 鳥がめっちゃ近い! これカッコいいね。これは鳥……梟なのかな?」

 

 雪ノ下も多少は驚いたようであり、感心した様子が確認できる。

 

「猛禽類よね。詳しい種類は……」

「名前はホウ。アフリカオオコノハズクって種類だ。調べたところフクロウ科だな。まぁ、どっちかっつーとミミズクに見えるけど」

「へぇ。そう言うの。彼女の腕を止まり木のように……謡さん、かなりの度胸ね。純粋にスゴいわ」

「度胸っていうよりこれはただの慣れだ。これまた色々あってホウは謡の手からしか飯食べないらしいからな」

「そうなの。それはまた責任重大ね」

「謡にとっては責任もあるけど、もう日常の一部だろうなぁ」

 

 先ほどの雪ノ下の言葉に対して否定と肯定を同時に述べつつ謡には『雪ノ下と由比ヶ浜が褒めてたぞ』と送る。返信は……すぐには来ないか。

 

「まぁ、また謡に会う機会あったら褒めてやってくれ」

 

 とだけ言ってから勉強を再開する。

 

「えぇ、そうするわ」

「だったらさ、明後日行けるか分かんないけど、謡ちゃんも誘わない? ヒッキーもいるなら謡ちゃんも安心できるし」

 

 再開できなかった……。

 

「まだ7月上旬だぞ。中学生以上ならテスト期間でワンチャンあるかもだが、アイツ小学生だし授業あるだろ」

「それもそっかー」

「夕方から合流ならできるかもね」

「え、そんな長くいるつもりなの? ケーキ食べたらさっさと帰ろうぜ」

「全く貴方は……どうせならケーキを食べつつ勉強や談笑したいじゃない? 遠出しているなら尚更よ」

「そういうもんなのか……」

 

 まぁ、美早や上月とも似たようなことしたし、女子からするとそれが普通なのかもしれない。

 

「比企谷くん、謡さんに声かけるだけかけてくれる?」

「はいはい」

「はいは1回」

「はーい」

「伸ばさない」

「……はい」

 

 母親なの? ははのんなの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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