「………小町、説明しろ」
「あーっと、小町はお兄ちゃんのご飯を暖め直さないといけないので、ういちゃんの隣に座っといてね!」
「おい!」
台所に向かう小町に問いただすのは諦め、言われた通りに……まあ、いつも座っている席の隣に謡がいるだけだが、とりあえず座る。
「……で?」
【UI> だから、泊まりに来ました、のです!】
なーんでそんなに笑顔なのかね、謡さんや。
そういや、昨日小町何か言い淀んでいたな。このことか。サプライズか俺に気を遣わせたくなかったか。
「それは分かったからその経緯を説明してくれ」
【UI> 私の親が今、地方公演で家を空けています。加えて岡本さんも家のご用事でしばらく行けないとなりました。それを親に伝えたら「あ、なら比企谷さんのところにお邪魔すれば?」みたいなことを言われたのです】
「あっ、そう」
あれか、親っていえば能の公演か。大変だな。
………そして……なんか、もう突っ込むのも疲れた。
いやいや、軽すぎでしょ。年頃の娘をわざわざ千葉に預けるか?一応そこには男子高校生がいるんだぞ。
………あ、突っ込んでしまった。
「お前学校どうすんの?まだ平日始まったばっかだぞ」
【UI> ここから通うのです。交通費も貰ってあります。それと何回か休もうかな………と】
通う時間帯って電車混むだろ。
「遠いのによくやるよ。お前のお仲間のとこに行けばいいじゃん。倉崎とか」
あ、休もうかな云々は無視します。もう突っ込まない。俺の管轄外。俺は知らない。自己責任でお願いします。
【UI> さすがに親の了承がないと泊まるのは難しいのです。親の共通の知り合いは八幡さんのとこだけなのです】
「てことは、お袋たちも知ってるのか。………小町ちゃん」
「どうしたの?」
「お袋たち何て言ってるんだ?」
「お父さんは出張で2週間はいないから何も言ってなくて、お母さんにはバッチリ許可貰ったよ。お母さんもういちゃんのこと好きだからね」
【UI> 恐縮なのです】
両者公認かよ。そして、謡のなぞのどや顔よ………。文面と表情合ってねーぞ。
それと親父、社蓄乙。
「滞在期間はどのくらい?」
「ざっと1週間だよ」
小町の返答に思わず驚く。
「長すぎだろ………」
「まあ、忙しいらしいし仕方ないよ。それに、久々なんだから、別にいいじゃん」
「スゲーじゃん」
「お兄ちゃん?」
「………何もない」
また、佐藤健さん変身してくれないかな。movie大戦でワンチャンあったら……いいな。できればその時は中村優一さんも一緒に。
と、作者の願望は置いといて、小町が用意してくれた酢豚を食べながら話を続ける。
「ま、どうせ俺は帰ってくるの遅いからな。いてもあんまり変わらん」
「確かにねー」
【UI> 受験勉強、大変そうですね】
「楽ではないな」
本当にしんどい。これであと半年以上持つのかな。今日は少し遊んでしまいましたが………。
おっと、まず泊まるにあたって決めなければいけないことがある。
「ところで謡」
【UI> 何ですか?】
「もし、ここで俺らの関係を聞かれたら小町の友達ってことにしといてくれよ」
「それだと、さすがに年離れてない?」
「じゃあ、他に案あるか?」
俺の自己保身のための案を考えてくれ。
今のご時世、ソーシャルカメラで何かあったら、すぐにアウトになるんだよ。言い訳考えないと………。並んで歩くのは大丈夫だと思うが。
「親戚とか?」
「まあ、無難だな。……ってどうした?」
謡が俺の袖を引っ張る。
【UI> 八幡さんの許嫁とかは如何でしょうか?】
「イイネ!」
「良くない!」
この子いきなり何言ってるの?あと小町も乗らない。
【UI> むー………】
不満そうだな。残念だが俺はそんな冗談に付き合うつもりはないぞ。
もしそんなこと言ったら、雪ノ下には通報され、由比ヶ浜にはキモいと罵られ、一色にはドン引かれる。材木座にはロリコンと叫ばれる。先生には鉄拳制裁だ。
戸塚には……微妙な表情されるだろう。ああ、余裕で死ねる。
「お兄ちゃん」
「あ?」
「別に気にしなくてもよくない?」
「どうしてそうなる」
「バレなきゃ犯罪じゃないってニャルラトホテプも言ってたよ?」
「また懐かしいネタを………。つーか、俺が犯罪するようなことを言うな」
とても心外だな。
「あ、よくよく考えれば俺が謡と外出しなかったら大丈夫か」
それでも、多分セーフだよな?
「それだと小町、家では危ない関係を想像しちゃうよ」
オヨヨ……と泣き真似する小町は放っておく。お前も家にいるだろ。
【UI> 私、嘘は嫌いなのです。それに八幡さんたちの親戚もすぐにバレると思います】
「なら許嫁とかも嘘だろ」
【UI> えー!なのです】
謡は頬を膨らませ抗議してくる。え、なにこれ可愛い。
………イケない。俺はロリコンじゃない。ロリコンじゃない。
「何はともあれ、両者の親が公認してるなら、問題ないか」
「ま、そうなるよねー。………やましいことがなかったら」
「止めろよそれ。小町、間違っても雪ノ下とかには言うなよ」
「さすがにねー、そういう時の雪乃さんって怖いから小町も言いたくないよ」
あとは倉崎にもだな。バレたらこっちに押し掛けて来そうで恐ろしい。
「……ごちそうさま」
食い終わった俺は皿を片付けながら小町に尋ねる。
「風呂は?」
「もう入ったよ」
【UI> 温かかったのです】
そういや、どっちも寝巻きっぽい服装だな。
「じゃ、入ってくるわ」
「ほーい」
で、上がって歯を磨いて、鞄を運んで部屋に戻ったら、
「どうしてこうなった…………」
目の前の光景に唖然とする。
俺の部屋には机とベッド、あとは今時珍しいけど、紙の本があって本棚もある。昔のラノベとか、文学とか。
………それはいい。いつも通りで何にもおかしくない。
しかし、何故床に敷き布団があるのか?
そして、何故謡はこの部屋にある敷き布団の上に座っているのだろうか?
「おい、まさかとは思うが」
【UI> そのまさかなのです】
謡は雪ノ下並のない胸を張る。………やっべ寒気するわ。怖いよ。
で、お前ここで寝る気か。
「……小町め」
「呼んだ?」
ドアからニヤニヤしながら顔を覗かせる小町を睨む。
「なんで俺の部屋なんだよ。お袋の部屋は?」
「遅いけど、お母さん夜中には帰ってくるよ」
「なら、お前の部屋は?」
「ういちゃんの希望を叶えました!」
【UI> ありがとうございます!お義姉さん】
「うひょー!!」
小町のサムズアップがムカつく。それにうるさい。あと漢字がおかしかったぞ。
「それでね、お兄ちゃん。もしういちゃんに手を出したら………」
【UI> その時は責任を取ってもらわないといけないのです】
「手を出す前提で話進めるの止めて?あと、謡も変に乗らない」
つーか、さっきまでの話意味ないじゃん。
「今さら言っても変更は無理だよな。知ってる、俺にそういう権利がないのは」
去年の夏休みとかお正月とかで思い知らされている。
「では、ごゆっくり~」
不穏な言葉を残し小町は消えていった。
「ま、いいか」
どうせこのまま寝るだけだ。
と思いきや、ベッドに腰かけた俺に謡は直結ケーブルを差し出す。
無言で俺はニューロリンカーに差し込む。
これは恋人とかでよくあることではなく、
「バースト・リンク」
このゲームをインストールしている者にとっての内緒話がしたいという合図だ。
謡は思考発声もできないので、こうしてステージに潜るのである。
今のステージは……もう何でもいいや。すぐそこに謡いるし。
「どうした?」
「まず急に押し掛けてすみません」
「気にすんな。お前の親も大変なんだから、お互い様だ」
「はい、ありがとうございます。本題なんですが」
「どうした?ケーブル使うってことは小町に聞かれたくないんだろ」
コホンと咳払いをし、
「では、八幡さん今日ウルフラム・サーベラスと対戦したそうですね」
「……情報早いな」
「どうして彼と戦ったのですか?」
………カレントのことを言うわけにないかないしな。口止めされてるし下手したら記憶封じられる。
「風の噂で強い新人がいるって聞いて久々に戦いたくなったから。鈍ってないかの腕試しにはもってこいだろうと思ってな」
予め用意した嘘ではない言い訳を使う。
謡はジッと俺を見てくる。
「そういうことにしておくのです」
隠し通せたか……?心臓に悪いな。
「サーベラスさんに勝ったそうですね」
「いくら新人離れしたレベル1でも負けるわけにはいかないからな」
「その後、渋谷でも暴れたらしいですね」
「自分の中で色々と盛り上がってな。せっかくだし荒らしてみるか……みたいな乗りで」
「紫の人たちと話しましたけど、かなり荒れてたようでした。その話は置いといて、八幡さんの後にクロウさんも戦ったのです」
それが本題か?
「へー、あいつが。ということは俺とクロウはすれ違いになってたのか」
「そうなのですね」
クロウとは俺も1回戦ってみたいな。この前戦えばよかったか。また機会を見つけれる……かなぁ。
「で、結果は?」
「クロウさんの負けなのです」
…………純格闘型に物理無効は荷が重かったか。それがなくても硬いもんな。
「それで、そのことをローねえやフーねえに伝えたのです」
「別によくない?レベル1に負けたくらいで。あいつはぶっちゃけレベル5の実力はあるぞ。お前らのレギオン過保護すぎだろ」
「少し気になる点がありまして」
なんか読めてきたぞ。
「研究会と何か繋がりがあるかも……みたいなか?」
「よく分かりましたね」
謡は驚いた声を上げる。
そりゃ、カレントに依頼されましたから。
「何となく聞きそうだなーって」
とりあえずここではこう答えておく。
「でしたら、話が早いのです。八幡さんから見てサーベラスさんはどうでした?何か疑問に思ったなことや不可解なこととかありましたか?」
「まあ、新人にしては戦い慣れているってのが不思議だ。親も不明らしいしな」
「なるほど。印象はどのような感じでしたか?」
「爽やかな青年。……研究会のメンバーはわりと性格がゴミと聞いてたからな。話を聞く限りでは研究会とは似ても似つかない」
だから関係あるかどうかは、俺の見解では五分五分かな。
「……ありがとうなのです。またローねえたちにも話しておくのです」
しばらく謡が何かを考えている様子だったので、頃合いを見て声をかける。
「もう引き分けでいいか?」
「はい」
現実世界に戻る。
謡はケーブルを抜き自分の鞄に閉まっている。それが終わると同時に布団に寝転ぶ。
「まだ起きとくか?」
【UI> はい。八幡さんとも何かお話をしたいので】
「つっても、話のネタないぞ。」
【UI> いつもは私の話ばかりでしたので、今度は八幡さんの学校生活を聞きたいのです。………特に部活の2人と生徒会長のことでも】
「なんでまた………。小町からある程度聞いてるんだろ?」
俺の黒歴史掘り返すようなもんだ。生徒会選挙とか諸々恥ずかしいエピソードがある。
【UI> 小町さんから聞いただけてまなく八幡さん自身の口から聞きたいのです】
今、1つ気づいた。さっきから謡全く瞬きしてない……………怖い………………。
「ま、いっか。遅くなったら寝ろよ。そうだな、先ずは俺が事故ったところだからだな」
【UI> 私を助けてくれた時……中学2年生の時も事故にあってまたですか。よく生きてましたね】
「全くだ」
今思えば、あの頃はイジメにあってて、それを忘れるくらいずっと対戦ばかりやってたな。
2年と少しでレベル7に上がるくらいには明け暮れていた。かなりのスピード出世だな。
【UI> 体には気を付けてくださいよ。私の知らないところで傷つかれると凄い悲しいのです】
「………おう」
そう面と向かって言われると照れるな。
「それでだな――――――――」
「………ん」
と、夜中もずっと話していたが、途中で俺と謡は寝落ちしてしまったらしく、次に目覚めたのは朝の目覚ましが鳴った時間――つまりは朝だ。
「もうそんな時間か」
まだ寝ている謡を起こして、小町と謡と一緒に朝飯食って学校行く準備をする。
涎垂らして寝てた謡は可愛いと思いました。
そして、学校に行って授業受ける。
部活では一色は俺ら受験生に対して自粛している。ここに来る頻度は下がった。たまに先生が雑用持ってくるから3人で対処しては勉強の繰り返し。
由比ヶ浜に教えたり、雪ノ下に教わったり、先生にも教わったりしている。
部活が終われば予備校がある時は行く。ない時は自習しに行ったり、図書館で勉強したり、家で勉強したりとまちまちだ。
「さてと………」
今は家に謡がいるし図書館にでも行って勉強するか。
最近こればかり更新しているな。
他のやつはそれなりに展開考えて書いてるけど、これはススーッって書ける。なんか、こう……勢いで。良いことなのか、悪いことなのか。
ま、でも、これからどう書くか決めてない行き当たりばったりなんだけどね!
感想いっぱい書いても……ええんやで?