遊んでましたすいません!!!
あと今回少ないし全く進展もしません
ゆっくりと目を開ける。
「生き……てる?」
意識を失う前に感じていた浮遊感と滞空時間から考えて、とんでもない高さから落ちたはず、だが体に目を向ければ五体満足で存在している。手を開閉してみるが、特に異常は見られない。その事にカイトは周りを見る余裕が出来たのか、辺りを見渡した。
そこはひたすらに平坦な地面が続いていた。色は黒。黒一色。どれだけ遠くを見ても色は無い。そもそも遠くと言っても距離を測ることが出来ない。空を見上げるも、それは真っ黒な天蓋に覆われていて、星や雲だけでなく、太陽や月さえ姿を見せていない。空も地面も、見るもの全てが黒。空や地面なんていう表現をしたが何処からが地面で何処からが空なのかの区別もつけられない。
「……」
意識が落ちる前に見た景色は極彩色の空間だったはず。なら何でこんな場所に、という考えが頭を回るも、それに対する答えは出てきやしない。
ぐるりと一周、三百六十度辺りを見回しても、景色に変化はない。
「……何処だここ」
地面は1ミリの起伏も無く、果てがあるようには思えない。
「なんだよここは……」
カイトは考える。
(あの極彩色の空間は?)
(俺はどうしてこんな所にいる?)
(魔物共はどうなった?)
そこまで考えて、カイトは思考を放棄した。余りにも分からないことが多すぎる。
「まぁいいや、どうにかなるだろ。」
そういってカイトは出口を探して黒一色に染め上げられた世界を歩き出した。
山も谷もない。川も海もない。月も太陽もない。
「はぁっ、はぁっ、」
いつまで歩いてもどこまでも同じ世界。
「はぁっ、はぁっ、」
きっと、脳はもう理解しているのだろう。こんな行動に意味は無いと。
「はぁっ、はぁっ、」
それでもカイトは動く。
きっとどこかで変化が起こる。起こって貰わなければ困る。
ただ光を求めて、つまらなくとも、平穏だった生活を思い出し縋りながらカイトは歩き続ける。
そして。
どれだけ歩いただろうか。時間や日にちなど数えてないが、相当な時間なのは分かる。だが、その疲労に対価は比例しなかった。
無い。何もない。人はいない。動物はいない。植物はない。そもそも地球やトータスで見た全てがそこには存在していなかった。
「あああああああああ…………」
意味が、
分からなかった。
「ああああああああああああああああああ…………!」
自身の呼吸音しか聞こえなくなる。
ガラガラと足元が崩れていくような感覚に陥る。
自分が立っているのか寝ているのかの判断さえ着かない。
こんなワケの分からない場所に来るくらいなら、あの魔物共に突っ込んでいた方が良かった、なんていう気持ちさえ湧いてくる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!」
四つん這いになり頭を抱えてか細い声を漏らす。
呼吸が荒くなり聞こえる音にノイズが混じりだす。
それに合わせて足元から得体のしれない物が体内を這い上がってくるような感覚が襲いかかる。
さっきまでの、起きた途端はまだ夢の中にいるような感覚、とは違う。
取り返しがつかなくなって、自分の人生のビジョンが見えなくなるような感覚。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
自分の目で確かめた。確かめてしまった。
終わりがないことなんてない。そう思って。
得られた物は何もない。
今まではこの余りにも奇怪で絶望的な状況に理解が追いつかなかった。
現実感、それがどんどんと身体を蝕んでゆく。
幾ら拒絶し、敵意を抱いてもそれはゆっくりと、しかし確実に近づいてくる。
誰もが一度は感じた事のある漠然とした死への恐怖。そんなものとは比べ物にならない別方向からの恐怖。
創作物の世界には案外『絶望的な状況』というものはありふれている。
世界の果てに行き着いたり何も無い空間で五億年過ごさせられたりなどザラである。しかし、その全てに救いがあった。明確な目標があった。
だが、ここはそんなご都合主義の空間ではない。
実際、カイトは足の骨が折れているのではと思うほどの痛みと疲労を感じている。それはこれが現実だと物語っているし、多分ここで死ねば死ぬだろう。
さらに、現代人として、味わった事の程の飢餓感と渇きがある。今にも倒れてしまいそうな程のものが。
枯渇死や餓死なんてものをここまで意識したのは初めてだ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
カイトは自分がどれだけそこにいたのか、どれだけ意識を失っていたのか分からなかった。地球なら、いや、トータスでさえ太陽や月である程度の時間は図れた。だが、ここにはそんなものは一切ない。あるはずの空は見えず、ただ真っ黒な空間が広がっているだけ。数秒かもしれないないし、もしくは幾日もそこに立ち尽くしていたかもしれない。
いや、まだどこかに出口のような物がある可能性も存在している。だが、それを確かめようとする気力は今のカイトにはなかった。
一旦意識を失った事により考える余裕が出てきた。
そもそも、一体ここはどこなのか。
【神域】はこんなバクったゲームのような世界ではなかった。
確か、極彩色の空間、あの通路から転げ落ちてここに辿り着いた筈だ。
それなら、上に行けば帰れるのかも知れない。だが、カイトには空を飛ぶ技能も無いし、そもそも戻ったところで、そこは【神域】なのだ。そこには自分を助けてくれる人間も居ないし、どのみち大量の魔物に押しつぶされて死ぬ。
「なんだ。詰んでいるんじゃないか」
カイトは理解してしまった。
現状を打破出来るものは何一つない。このどうしようもないほどに混沌とした世界で、自分は終わるのだと。
「ははっ、────」
笑っていた。カイトは思わず笑っていた。自分の感情が分からなくなる。心の中で諦めが希望をグジュグジュと腐らせていく。
ボロボロと涙を零しながらカイトは笑う。
この笑みは絶対に喜色の笑みではない。普段何も写しているようには見えない無表情でももっと美麗に見えるのではないかと言える程の表情だった。
もうちょっと絶望した感じとか救いのない感じとかを描写したかったんだけど難しい……
最近ありふれの作品増え始めて嬉しい……嬉しくない?