「プロデューサーさん。最近帰りが遅いですよね。」
私は問い詰める。
「どうしてですかぁ?なんで早く帰って来てくれないんですか?」
プロデューサーさんの位置はいつも把握しているから、どこに居たのかは知っている。
最近出来たばかりの、劇場。
そこに毎日足を運んでいるんだ。
今月、オープンしてから毎日。毎日。
「まゆはずっとプロデューサーさんの事、待っていたんですよぉ?」
お部屋の中、机の下、車の中、劇場で座るプロデューサーさんの隣で。
唇を強く噛み締めながら耐えて耐えて耐えてきたのに。
「子豚ちゃんって呼ばれて嬉しそうでしたね。
まゆもあぁすればいいんですか?そうすれば好きになってもらえるんですか?」
私だけを見ていて欲しかった。
私だけのプロデューサーさんでいて欲しかった。
「この手首の赤いリボン。貴方は可愛いって褒めてくれましたよね?」
だからもっと褒めて貰いたくていつでもどこかにリボンを取り入れるようにしていた。
きつく結ばれて絶対に解けませんようにって願いを込めて。
「なんで・・・まゆだけを見てくれないの?
どうして、どうしてですか!?」
プロデューサーさんは何も言ってくれない。
目も合わせてくれない。
「まゆは、どうすればよかったんですか?
まゆはどうすれば、貴方から大好きと言ってもらえたんですか?」
今までどんなに嫌な事があっても、どんなにアイドルを辞めたくなっても、プロデューサーさんが居てくれたから乗り越えてきた。
大丈夫って、頑張れって、そう言ってくれたからここまで頑張ってきた。
エブリディドリーム。
いつでもプロデューサーさんの事を想いながら歌っていた。
恋人じゃなくても、プロデューサーさんがそばにいてくれるだけで。
それだけで私は幸せだった。それなのにっ。
胸の奥に苦いモノが溢れてしまっても、プロデューサーさんの事を考えていたらすぐに消えてなくなって。
でも、いつの間にかもう抑えきれなくなって。
苦しくて、悲しくて、辛くて。
「でも、貴方をこうして閉じ込めたら、完全に二人きりですよね。
大丈夫ですよ。ちゃーんとお料理ができるように用意もしましたし、飲み物も大丈夫です。
無くなってしまったら、まゆが買い出しに行きますよぉ。」
プロデューサーさんをお部屋に閉じ込める。
思いついたのはそれだけだった。
手錠を買って、ベッドとプロデューサーさんの手を結びつけるのは大変だったけれど。
「ねぇ、プロデューサーさん。事務所の皆さんはですね。
貴方が来なくても、『また劇場か。』って言ってるんですよぉ。
だから、邪魔なんて誰にもできませんよぉ?
いいえ、誰にも邪魔なんてさせないんだから。」
誰にも邪魔はさせない。
まゆのお部屋で、貴方から愛されるように。
「じゃあ、お仕事に行ってきますね?
あ、逃げようとしたって無駄です。
まゆのお部屋は完全防音ですし、鍵は内側から開けられない物も使用していますから。」
この生活をするにあたって、逃亡が一番心配だったから色々な種類の鍵を取り付けた。
管理人さんは、「アイドルの子だから、防犯対策をするのは大切だよ」と許可を貰っている。
「じゃあ、行ってきますね。うふ…うふふ。」
プロデューサーさんに手を振って、私は事務所へと向かう。
しっかりと扉の鍵を全てかけて。
最後にドアノブにリボンを結びつける。
誰かがドアノブを捻れば解けるように。
「ぜーったいに…逃がしませんから。」
ままゆ可愛いよーとか、
ままゆらぶゆーという方はお気に入りとか感想とか評価とかどんどんくれていいんですよっ!
もっと読みたい人もいいんですよ!
ちょっと違うんじゃない?とか、ここの設定どうなるん?とか思ったら全然いってくださいね!
それでは、闇に飲まれよ!(お疲れさまです!)