両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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こんばんは。一か月ぶりですね。


新入生たちの実力を見る回となっております。


Episode.21

実力者達と主戦事情

 

「よし。まあひとまず、これぐらいでいいか。」

 

「オーケー!じゃあ、タケル!打席入って~。」

 

 

 松宮先輩と小野原先輩が練習を取りしきる。

 

 マウンドに立つのは、玄山先輩。

 三遊間に道隆、二塁ベースよりのセカンドの位置に洋介、ファーストに友章。

 レフトに伊月、ライトに朔良。

 センターには、さっきまでノックを受けていた善と矢部がいる。

 キャッチャーはもちろん小野原先輩。

 松宮先輩は、ノックを打ち終えた後、今は一塁側ベンチ付近にいる。

 そして、そのベンチ近くのブルペンには玄山弟、キャッチャーは國分。

 それを見ているのが俺、双葉諒という構図だ。

 

 ちなみに、芳美、井槻、陸奥の三人は今日は揃いも揃って休んでいる。

 新入部員が入ってくる、大事な日なのに。

 

 

 外野ノックをさっきまでしていたわけだが。

 どちらの一年生も上手く、さらにこれからにも期待できる出来だった。

 

 矢部は、足が速く、守備範囲が広かった。

 前からそうだったが、現在はさらに打球勘もついているようだった。

 多少、荒いようなプレーも見受けられたが、それは伸びしろと考えておこう。

 

 そして、善琥羽夜。

 正直、自分の予想を遥かに超えてうまかった。

 外野手として、一つ一つの動作が洗練されていた。

 唯一、肩はあまり強くないようだったが、それを踏まえてみても、一年生とは思えないようなレベルに見えた。

 

 

 今、俺は玄山弟と國分の様子を見ているわけだが。

 こっちもこっちで、すごい。

 

 特に、玄山弟。

 兄のベタ褒めも納得の実力である。

 また、フォームも良い。なにせ――、

 

 カッキィィンン!!

 

 

 突然の打球音に振り返ってみると、少剛月が外野の間をきれいに割る打球を飛ばしていた。

 前からの、突出した長打力は健在のようだ。

 

 ブルン!

 

 ブルン!

 

 コツッ

 

 ブルン!

 

 

 ・・・。

 一発屋で空振が多いところも、変わってなかったか...。

 

 

 

「あの~。」

 

 いきなり話しかけられたのでそっちを向くと、玄山弟と國分が並んで立っていた。

 

 

「先輩って、エースなんですよね?」

 

「ああ、まあね。」

 

 

 

「あの!ちょっとだけでいいので、ピッチング見せてくれませんか?」

 

「はい?」

 

 

 

 

 まさか、自分が投げることになるとは。

 まあ、見てるだけっていうのも物足りなかったし、ちょうど良かったけど。

 

 キャッチャーに座る國分、そして玄山弟がその後ろにスタンバイ。

 

「じゃあ、いくよ。」

 

 振りかぶって、身体をひねり、、投げる!

 

 パァンン!

 ミットの、乾いた良い音がした。

 

「おお...!」

 

「構えたところにきたずら...。」

 

 

 『おお...!』って、なんか照れるな。

 

 ていうか、ちょっと気になってたけど國分の言ってる"ずら"ってなんなんだろう?

 後で聞いてみるか。

 

 返球されたので、もう一球。

 

 パァァン!

 またまた良い音だ。

 

 

 ずっと思ってはいたが、國分のキャッチングはすごくキレイというか、なめらかというか。

 

 投げていて、すごく気持ち良くなるタイプのキャッチャー。

 良いね。なんか、どんどん投げたくなってきた。

 

 

 そのままの調子で、十数球投げる。

 変化球も、國分は難なくきっちりと捕球したので、素直にすごいと思った。

 

 そして、アウトローいっぱいに決まるストレートを投げたところでお終いに。

 もう少し投げたかったな。

 ちょっと残念だ。

 

 

「先輩!ありがとうございました!」

 

「いやいや、こっちこそ、投げさせてもらえてよかったよ。」

「國分も。すごく、投げやすかったよ。」

 

「こちらこそ!すごく、捕りやすかったず...です。」

 

「そうそう。國分がたまに語尾につけるのは、何なの?」

 

 そう聞くと、突然慌てはじめる國分。

 

「ごっ、ご、ご、語尾!?な、何のことずら?」

 

「その語尾だよ。"ずら"って何?」

 

「いや~、これは~...。うう...助けて!文也くん!」

 

「ええっ!?ぼ、僕!?ちょ、ちょっと、、どっ、どうしよう。。」

 

 

 なんか、玄山弟まで巻き込んでバタバタし始めたな。

 

 

 そこに。

 

「おーい!そろそろいいか~?」

 

 主将から声がかかる。

 どうやら、一通り終わったようだ。

 

 

 少剛月と中山田の、打撃と内野守備。善と矢部の打撃。

 それらを終えて、残るはバッテリーだけとのことだ。

 

 中山田の実力をしっかり見てみたかったのだが、それは出来ず。

 

 まあ、一緒に練習すれば嫌でも見ることになるし、特に気にすることはないのだが。

 

 

 玄山弟と國分の二人は、洋介と道隆と、対戦するようだ。

 

 洋介と道隆は、打撃面で絶賛成長中だし、先輩らしいところを是非とも見せて欲しい。

 

 

 だが。

 果たして、どうなることやら。

 

 

 ふと、気付くと。

 

 俺の目の前に、玄山先輩が満面のドヤ顔をして立っていた。

 

「僕の弟、すごかっただろ?な?」

 

 

 ・・すごい圧だ。

 しかし、事実なので肯く。

 

「そうだよな~。エースは、文也に確定したってことでいいよな?」

 

 

 ・・何言ってるんだ。この人は。

 

「俺が、譲るとでも?」

 

「いやいや。冷静に考えて、だよ。なあ!?琉果!?」

 

 

「・・何言ってんだ、お前。」

 

 

 

 

「・・ごめんなさい。」

 

 

 

 

 まあ、弟への愛が甚だしいということは理解しましたよ、先輩。

 

 

 

 

 

 

 練習が終わった。

 今日は、一年生もきたし、いつもよりも盛り上がって練習ができた。

 

 明日は陸奥たちも来るだろうし、そうなれば18人か。

 

 多いな。

 

「いやいや、少ないだろ。」

 

「なんだよ友章。人の心を読んだみたいなこと言って。」

「というか、18人だぞ?多いだろ。」

 

「・・感覚が狂ってるんだろうけど、それはかなり少ない方だぞ。全国的に見て。」

 

「・・だよね。ハハ...。」

 

 

 

「それはそうと、一年生、皆けっこう期待できそうだな。」

 

「ああ。」

 

「諒が望んでたピッチャーが入ってくれたわけだけど、率直にどうよ?」

 

「まあ、嬉しいよ。一人でマウンドに上がり続けるっていうのも、正直キツイし。」

 

「ふ~ん。エースの座は、大丈夫そうか?」

 

「うーん、まあ、別にいいんじゃないか?俺、特にエースにこだわりあるわけじゃないし。」

 

「そうなのか?ふーん。」

 

「一応言っとくが、俺は一年に負けるつもりなんて全くない。」

 

「!・・そ。まあ、そう言うと思ったよ。」

 

「友章も、四番の座、奪われたりすんなよ。」

 

「当たり前だろ。」

 

「それならいいけど。」

 

「まあ、何はともあれ、これで、甲子園に一歩近づけたかな?」

 

「そうだな。最後は、俺たち自身の努力次第だけどな。」

 

「勝ちたいな、全試合。」

 

「もちろんだ。まずは、この春。」

 

「おう。俺たちは、経験も少ないし、とにかく試合をたくさんしたいな。」

 

「そのためにも、勝たないとな。」

 

「再来週頃から、大会も再開するし、頼むぞ、エース!」

 

「四番の働きにも、期待してるぞ。」

 

「じゃあ、」

 

 

 

「「また明日。」」

 




結果的に、こういう形になってしまいました...。
新入生たちの能力、全然明かしてないですね。ごめんなさい。
前書きにて大嘘をついてしまい、申し訳ない限りです。


こんなはずじゃなかったんですけどね。。
まあ、気にせずいきましょう。


よろしければ、玄山弟の能力とか、予想してみてください。


では。今話も読んでくださって、ありがとうございました!

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