東南アジアを1人で旅行した主人公が、現地で物乞いになってしまうまでの話。
海外旅行先でよく見る物乞いは、実は日本人かもしれないと暗示を込めたノンフィクションのようなお話。


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閲覧注意物語

僕はいわゆるしがないサラリーマン。

仕事で怒られ、毎日ストレスと戦いながらつらい仕事を頑張っている。

 

 

 

そんな僕の唯一のストレス発散法は、一人で海外旅行に行くことだ。

休日と有給を合わせて、今回は東南アジアのとある国に旅行にいった。

 

 

 

飛行機が日本の地面を離れる瞬間、いつも気分が高揚する。

 

 

 

「いくぞー海外!」

 

 

 

 

東南アジアに到着した後、僕は空港を出てタクシーで近くの繁華街へ向かった。

 

 

街に着くと、あちらこちらで沢山の物乞いの姿が見える。

 

 

 

海外ではよく見る光景だ。

 

 

 

中には片腕や片足がない物乞いや、片目がない物乞いもいる。

 

 

物乞い達は海外旅行者を一目見るやいなや、何人も集まってきて、カタコトで「プリーズ、プリーズ」と言い寄ってくる。

 

 

 

僕は何も上げずに、さっとその場を離れようとした。

 

 

 

すると、

物乞い集団の中から日本語で一瞬

 

 

 

「助けて…」

 

 

 

といった声が聞こえた気がした。

 

 

 

僕は一瞬びくっとし、物乞い集団を見た。

 

 

 

「日本人?」

 

 

 

しかし日本人らしき物乞いの姿は全く見当たらない。

 

 

日本人はおろか、黄色人種系の肌の色の人は1人もいない。

 

 

皆焦げ茶色をした東南アジア系の現地人の物乞い達だけだった。

 

 

 

「何かの聞き間違いだろう。」

 

 

 

僕はあまり気にせずその場を立ち去り、その後観光を楽しんだ。

 

 

 

 

そして旅行最終日の夜、

 

 

 

一通り有名な観光名所も回り終え、最終日だしちょっと冒険してみようと、旅行ガイドブックに少し危険と書かれていた、ちょっと危ない雰囲気のする街へ繰り出す事にした。

 

 

 

「せっかくなのでこういう所も見ておかないとな。社会見学だ!」

 

 

 

僕はその街をしばらくぶらついた。

 

 

 

一通り散策し終え帰ろうとすると、人通りの少ない路地裏でいきなりガラの悪そうな男たち数人に囲まれてしまった。

 

 

 

「やばい……!」

 

 

 

そう思った瞬間、

 

 

 

背後から頭を殴られ、僕は意識を失った。

 

 

 

 

しばらくして意識を取り戻すと、僕は縄で縛られ、密閉された薄汚い建物の中にいた。

 

 

 

そこには先ほどの男達もいる。

 

 

 

建物の中には物騒なナイフや銃らしきものも置かれている。

マフィアたちのアジトだろうか。

 

 

 

「まずいことになってしまった……」

 

 

 

またその建物の中には、白人やアジア人のバックパッカーらしき海外旅行者も数人縄で縛られていた。

 

 

 

「僕達のようなバックパッカーを捕まえて何をするつもりなんだろう……」

 

 

 

 

---その後僕は恐ろしい光景を見ることになった----

 

 

 

 

ある白人旅行者が、マフィア達数人に抑えられると、マフィアの1人が何やら薬品のようなものを取り出し、「ハケ」で白人の体中に塗りたくった。

 

 

 

「Noooooooo!!!」

 

 

 

白人は大きな悲鳴をあげながら暴れ、かなり痛がっている。

 

 

 

すると白い肌が火傷したかのように赤くなり、しばらくすると焦げ茶色に変わっていった。

 

 

肌を焼く類の薬品なのだろうか、少し焦げたような匂いもする。

 

 

 

男達に抑えられたまま、顔から足の裏までくまなく薬品をハケで塗られていった。

 

 

 

その白人は大声で泣き叫びながら、もがき苦しんでいる。

 

 

全身に塗り終えると、みるみるうちに白色から焦げ茶色に肌の色が変わっていった。

 

 

 

その後、白人旅行者は痛みで気絶した。

 

 

 

動かなくなった白人は男達に抱えられ、奥の部屋に連れていかれていった。

 

 

 

 

すると男たちは僕の前に来た。

 

 

 

「次は僕の番だ……」

 

 

 

 

身動きが取れないよう、男達は僕を抑えつけた。

 

 

 

男達は先ほどの薬品を取り出し、ハケで僕の体にそれを塗りたくる。

 

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

僕は激痛で叫んだ。

 

 

 

肌に焼けるような痛みが走る。

 

 

 

マフィア達はおかまいなしにその薬品を僕の身体中に塗りたくった。

 

 

僕の肌は全身大火傷のように焼け焦げ、肌色から焦げ茶色に肌の色が変わっていった。

 

 

 

そしてその痛みに耐えきれず、僕は気絶してしまった。

 

 

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

 

 

何時間経ったのだろうか、僕は激痛で目を覚ました。

何時間も気絶していたようだ。

 

 

 

鏡を見ると僕の肌は肌色から焦げ茶色に変わっていた。

 

 

 

そして気絶している間にやられたのだろうか、片腕がなくなっていた。

 

 

 

切られた腕に激痛が走る。

 

 

 

 

「うぅ…、死ぬほど痛い……!!」

 

 

 

 

辺りを見渡してみると、捕まった旅行者全てが焦げ茶色の肌になっており、皆それぞれ片腕や片足がなくなっていた。

 

 

 

 

僕は理解した。

 

 

 

 

「これから僕たちは物乞いとして生きていくんだ……」

 

 

 

「物乞いとして生きていくには、体の一部が欠落している方がお金を恵んでくれる可能性が高いのだろう。だから腕を切られたんだ……」

 

 

 

「そして外国語を喋れる方がお金を海外旅行者から恵んでもらえやすくなるのだろう……。だから僕たちは捕まった……」

 

 

 

 

僕は今後の運命を悟った。

 

 

 

 

それから僕は現在に至るまで何年も物乞いをやっている。

 

 

 

 

物乞いをする時、少し離れた場所に監視役の男がいて、1日の売り上げはすべてその男に渡さなければならない。

 

 

 

僕は何年も物乞いをしているうちに心も体も完全にやられ表情も変わり、日本語も忘れてしまい、いつしか完全に現地の物乞いと変わらなくなってしまった。

 

 

 

 

皆さんも海外旅行に行く時は気をつけて下さい。

 

そして海外で物乞いに会った時、実はその物乞いは日本人だったのかも知れません……

 

 

 

 

 


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