誰かに尽くし、感謝され、笑顔になり、言葉を交わし、縁を結んで行き…
関わりをもち、また誰かに尽くし、感謝され…
この巡りが堪らなく好きで、愛おしいと思い始めたのは、何時からだったろうか…
そう、あれは、初めて―…
「…うっ」
不意に意識が戻り、自分の現状を確かめる為、辺りを見渡すと、視界に映ったのは、見慣れたホテルの一室などではなかった
霧に覆われた大きな湖、そしてその湖の畔に赤い…いや紅いと言うべきの色をした洋館が見えた。
パッと見て、この光景が現代日本のものとは思えないものだ…更に、澄んだ空気と水、風に揺られる木々にも、混乱させられる…
「夢…夢だよな、こんなの」
目の前の光景が信じられず、自分の頬を抓る、抓った頬は赤くなり、痛みもある
「…ッ、痛いな、って事はやっぱり…夢じゃないのか」
心のどこかで現状を受け入れた自分に苦笑する、そして自分がこんな状態になった原因の女性を思い出す
「あの女性は…いったい何者なんだ?」
いきなり空間を切り裂いたようなことをし、自分をこの見知らぬ土地に連れてきた、金髪の美女、八雲紫
「しかも…何が目的で私をこんな土地に送ったんだ…?」
一番分らない点はそこだ
…自分で言うのも何だが、こんな非日常に巻き込まれるような事をした覚えは無い…つもりだ。
「(とりあえず…彼女に話を聞かないことには、何も始まらなそうだな…)」
そう考えた私は紅い館に向かう為、服に付いた汚れを掃い立ち上がり、空を見上げる
空は雲一つ無い、気持ちのいい空だったが、太陽は西に傾き始めていた
「おいおい…野宿は…勘弁だぞ」
自然が豊かで、少し先には山も見える、こんな所で寝たら野犬にでも襲われそうで、安眠など出来る気がしない
私は足早に洋館に向かった。
一時間程歩いただろうか…私は目的どおり、目覚めた場所から見えた洋館の門前に
いた
途中で金髪の幼子が襲ってくるというハプニングがあったが、常備している飴を数個渡したら、ここまで案内してくれた…今度会う機会があれば、何かお礼をしたいものだ。
改めて洋館を一瞥する
「近くで見ると…迫力や威圧感が凄いな…」
目の前にある洋館の大きさからくる迫力、そして紅と言う色から来る威圧感は、下手な中世の城や牢獄よりも感じるものがあった
感傷に浸っていると、門の方から寝息が聞こえた
門に視線を移すと、そこには門柱に寄りかかるようにして、舟をこいでいる女性がいた
その女性は緑色のチャイナドレスに身に纏い、龍と書かれた星が付いた帽子を被っていた
「(…居眠りをしているが、彼女は、門番なのだろうか)」
この土地に来て…初めて会ったまともな話が出来そうな人物は、特徴的な服装な居眠り女性とは、予想外だ。
門に近付き、彼女の肩を揺らし、起こそうと話しかける
「君、起きてくれないか?」
「うう~ん…咲夜さん、私は中国ではなく美鈴ですぅ…むにゃむにゃ…」
中々起きない女性…せっかく寝言で自己紹介してくれたのだから、名前で呼んでみた
「寝惚けてないで、起きてくれないか?『美鈴』さん…?」
「ハッ!?誰です!私をちゃんと名前で呼んでくれた方は!!」
「…名前を呼んだのは、私だよ」
女性が名前を呼んだ瞬間に目覚めたことに驚きつつ、会話を続ける
「ああっ!ありがとうございます!!暫くぶりに自分の名前を呼ばれました!!」
「そっ、そうか…それは良かった」
彼女の勢いに押されながらも、私は質問をすることにした。
「美鈴さん…少し質問をしていいかな?」
「はいっ!私に答えられる事なら何でも聞いて下さい!!」
「この館に八雲紫、という女性はいるかい?」
「やくもゆかり…?いえ、そのような方はこの紅魔館にはいらっしゃいませんよ?」
彼女の否定の言葉に軽くショックを受けたが、質問を続けた
「そうか…では、ここは何と言う地方なのか、教えてくれないか?」
「この土地…と言いますか、この世界は幻想郷という世界らしいですよ」
幻想郷、と言う言葉は気になるが、それよりも気になったのは…
「らしい…とは?」
「いやぁ…実は私、最近この土地に来たもので…ハハハッ」
…まさか見知らぬ土地で、似たような境遇な者に会うとは、運命という言葉を感じられずにはいられなかった――…
「…ところで、貴方は誰ですか?」
「…随分遅い疑問だね」
大分遅い更新になってしまい、すいませんでした(土下座
いやあ…御盆やら幽閉樂祭やらで忙しくて…←オイ
紅魔館の位置等は、求聞史紀等を参考にしました。
あと、紅魔異変が起こる前の設定で書いてます。
…主人公の口調が安定してませんが、そこは目を瞑って欲しいです…(今後頑張って直して行くようにします)
ではでは、また次回お会いしましょう。
感想等々お待ちしてます。